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ある初夏の休日自転車で、まだそんなに暑くもないのに私はプールへと溺れに行った。満水にしたばかりのプールで体は冷えに冷え、ガタガタ震えながら溺れること5時間。水着の上に服を着ていただけの格好で自転車を走らせた私は、帰る時の状況にまで考えが及ばなかった。初夏のプールあがりの寒さを大人になって忘れてしまっていたようだ。着替えるのめんどいから水着で行って水着で帰ってくりゃえぇわいな~、と真夏のプールあがりのイメージしか持っていなかったのである。…寒い…寒いなんて…夏なのに…。私は帰宅途中のコンビニが掲げるのぼりにすがった。「おでん」の文字が私を手招く。「夏に『おでん』って~喰うひと、おんねやろかぁ??」とほざいていた私である。喰うひと、それは今の私だが。
ガンガンに冷房が効いた店内で、店長らしきおっちゃんに震えながら言う。 「だ、だ、だいこんとぉ…」 「はいっ、大根とっ!?」 おっちゃんは威勢のよい声でもって味のしゅんだ命の大根を選ってくれた。 「し、しら…しらたきぃ…」 「しらたきサンっ!はいっ、あと?!」 命のしらたきサン、40歳、生保レディ。 「…がんも…」 「ほいっ!がんもクンっ!」 命のがんもクン、元気だけが取り得だぜ。 「ほな…それで。」 「はいはいっ、汁、どうする?ちょっとだけでも入れとこか?」 「山ほどナミナミ入れといてぇ~…」 「へいへいっ~たっぷりね~っ」 私はおでんの出汁をこぼしつつ、コンビニの真裏のお花見広場的公園のベンチまで移動した。命のおでんは私を芯から温めた。おっちゃんがたっぷり入れてくれた汁を飲み干し、満足した私の目に映ったのは、便所標示であった。左に行くと、公衆便所があるようだ。私にはもよおしたい気持は微塵もなかったが、便所標示に近づいた。気になる…気になるのだ。便所標示に描かれてある紳士と淑女(プロフ画像参照)が。 これは…普段着ではなかろう。もう私の目には紳士はタキシードを淑女はドレスを着ているようにしか見えない。そんな貴族御用達公衆便所標示を前に、私は我の姿を再確認した。濡れた水着の上から羽織ったパーカーが、残念な具合で濡れている…。踵を返してそそくさと自転車まで戻る道中、古いビーサンがキュキュっフギョフギョっと鳴いた。 嗚呼、私は気軽に公衆便所に立ち寄れないような大人になってしまったのか。 #
by yoyo4697ru980gw
| 2007-12-22 14:03
| +武道便所 グレージー+
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