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キューおねぇマン
家庭訪問の期間中、部活動が前半と後半に分かれてそのどちらなのかは部によって違うらしく「何時からやろうな~」と言ってみたり、朝練が「あるんかな~ないんかな~」と言ってみたりまた今週の週末の部活は「あるんかな~ないんかな~」と言ってみたりするチョモ。そんなにキワキワじゃないと部活動の有無や活動時間は告知されんのか。顧問の気分次第か部活動。
そんな頼りない情報しか入手しないチョモに私は陸上部の話しやすい先輩とか知ってる同級生なんかに数名、電話番号を訊いておいたほうがええで、と提案した。個人情報に厳しくなっている学校は、学級名簿を作ってはくれない。執行部のダレダレさんと至急連絡を取りたい「同じ学年のナニナニ部の千徒ですが、電話番号を教えていただけませんか。」と名乗っても返ってくる返事は「本人に電話番号を教えていいかの確認をまずは取ってみます。」である。急いているんだがな…とても。学校を介すと事がスムーズに運ばないので、自力で入手するのが手っ取り早い。

「はい、これぇ~。」
とチョモが古びた紙キレをよこす。
「なに?」
「キューのメールアドレスぅ…ぁあしんどぉ~…」
以前はちょくちょく交流があったが、ここ何年かはパッタリと姿を見せなくなっていたキューが同じ部活なのでキューにアドレスを訊いてきたらしい。
「ほな、チョモ友で登録しとくわ。」
我が家は携帯電話共有である。中学生に自分専用の携帯電話を持たせる気はさらさら無い。
「空メールしといて。ホンマにカラでイこう。」
「おぉ、auってコトはEじゃなくてCでイけるやん。Cのおせーて、て入れとこかな。」
「Cのおせーてって、電話番号教えてってコトやろ?」
「ぁあ、そうか…そやな。キューて共有?」
メールアドレスは変更出来るけど番号は簡単には出来ないから、共有だとオカンの番号を聞き出すということになるではないか。私は、キューのオカンとは面識がないので、電話番号を教えてなんて「突然のご無礼」ということになる。
「いや?自分の。」
「なぁにぃ~?個人でお持ちか、キュー。」
「そやねーん、自分専用やで~、生意気やろぉ~?」
「ナマのイキやなぁ~っ!訊き出そう、番号。チョモを装って訊き出そう。キュー?携帯番号おせーて~…アンタ、キューとはどうゆう関係よ?おせーて~とか、言うん?それとも、お願いします教えてくださいすいません申し訳ない、て関係?それとも、教えろやコラついでにコーラ買って来い、て関係?」
「うーん…『教えてくだせぇ』くらいにしといて。」
古くさい付き合いだな。
携帯番号を教えてくだせぇ。おいら名乗るほどでもない千徒です。送信ピコ~。
すると、キューからの返事がこう来た。
仕方無いわね一回きりよ!(電話番号)ですわ
見ない間におねぇマンになっちゃったみたいやな、キュー。明け方に無言電話がかかってきたらアタクシだと思っていただいて結構よ、と礼を返し、シャワーから出てきたチョモに、キューがおねぇになっとるぞ、と報告すると「いやいや、アドレス訊いた時からそのキャラやってん。」と言う。

「メールアドレス教えてくれる?」
と申し出ると、キャラの確定しているキューは、
「仕方ナイわね~ちょっとお待ちよ~。」
と艶を出して筆箱も出したらしい。今から書いてくれるんかおもたら筆箱の中から紙キレを出してきて渡した。
キューおねぇマン_d0137326_232893.jpg

「まァこれは予言してたコトやから。今日、訊かれるおもて書いて入れとってん。」
キューおねぇマン_d0137326_2322072.jpg

だいぶ前に予言したなキュー。
メモの切れ端ボロボロやないか。昨日今日の折り目とちゃうぞ。
予言の後でなかなかアドレス訊かれへんかったみたいやなぁ…。
リユースか…エコ精神が高いヤツだなぁ…よきこと・よきこと。もったいない・もったいない。
親と携帯共有すると、出費もエコだぞ。

他の人にも電話番号とか訊いといたかとチョモに問えば「いや?キューだけ。」と言う。そのキューは携帯を肌身離さず持っているわけじゃないだろう?気付かないって可能性だって携帯電話は高いじゃんか、現に私は携帯が鳴ってることに気付かない率、高いぞ?固定電話の番号を知っときなよ、念のためにあと一人くらい…そうアドバイスすると、チョモは言い切った。
「キューは交友範囲が広いからな、キューひとりで十分。」
そのキューの携帯がエンプティーだったら、どうすんだよ。
「アンタはほんま…個人主義やなぁ…少しは広げたらどうなんや…」
返事はない。
家庭であけすけなぶん、学校では秘密主義を貫く姿勢か。
ボロが出まくりやがってると思うが。




# by yoyo4697ru980gw | 2009-04-27 23:08 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)
指ですくう
コース料理のデザートでクリームブリュレが出てきた。あまりのおいしさにスプーンでスミに残るクリームブリュレを掻き集め、味わった。同席の友人たちが会話をしている隙をツいて、欲望を抑えきれず指を器に突っ込みまるでゴムベラかのようにクリームブリュレを寄せ集めて舐めていると、それに気付いた友人が「やめさないよ、はしたない。」と注意した。友人の目を盗みながら素早く指をすべらせもう舐める余地がないというほど舐め終えると、ウエイターが皿を下げにきた。ほどなくして彼女の前に件のクリームブリュレが運ばれて来た。もうデザートは先ほどいただきました、と告げるとウエイターはこう言った。「こちらは店からのサービスです。大変にお気に召されたようでしたので。」友人の目を盗んで舐めている所を従業員にしかと見られていたのである。なんと粋なお店であろう。コース料理を出すくらいなのだから、それなりのお店であるはずだ。マナーを守ることなど基本のキであろう。はしたなくはない食べ方をしてシェフを呼び「デザートが大変おいしゅうございましたわ。」かなんかって言うのが礼儀だったりするようなトコかもしんない。そんな高級店が、指を突っ込んで舐めくりまわす客の行動を、最高の称賛と受け取ったのである。料理人にとってそれは確かに無言の称賛である、舐めまくってしまうほどおいしいということなのだから。マナーは大切であるが、あまりの素晴らしさに一滴さえ一粒さえ残したくないと思えば、この行動はルール違反ではないと思う。それがルール違反ではないことを、もう一皿サービスするという行為で認めたこのお店の、心意気が最高級ではないか。

さて、私は高級店でコース料理を食べる余裕はないが、ちょっとばかしの無理を承知でコスメをしこたま買っている。
指ですくう_d0137326_13233845.jpg

なけなしの金をチープなコスメ研究につぎ込んできた。安価でありながら文句なしというコスメを厳選することこそ、女に生まれてヨカった~っ!とひたれる喜びだとかたく信じている。それほどにチープコスメに心血を注ぎこよなく愛してきた。
接客業を辞めてからというものだんだんと薄汚れてきているが、たまにメイクを施して年上の女性と会ったりなどすると「やっぱ千徒さんはわっかいなぁ~ノーメイクでいけんねや~んっ♪」と言われて小さく反抗する「…いや…30分かけてして来ましたけど。」
中学校の保護者など年齢層が高いのでカバー力もそれなりに高いゆえ、私も負けじとフルメイクで出陣する。行きしに剥がれ落ちても知らんぞとばかりに層にしたメイクで到着すると、特殊メイクでもしているのかと見紛うほどのキングオブフルメイクに出くわすのである。海外コスメの香りが漂っている御婦人がひとりふたりまたひとり。帰宅して速やかにオイルクレンジングをしながら私は思うのだ「…メイクって…なんなんだろう…」コスメに対する情熱が一時的に萎えたりなんかする。
だからというわけでもないのだが最近は基礎化粧品に全力投球中である。メイクは毎日やらないけれど、洗顔・整肌・保湿なら毎日やる。ならば基礎化粧品を究めよう。

安価であるとは具体的な金額でゆぅたら、1アイテム1000円以下である。3段階あって、0円~500円(0円が存在するのはいただきモノだから。季節の変わり目に大阪あたりをブラつくと試供品で2週間のUVくらいは蓄え可能)ならば誰の許可も必要無くチープコスメ殿堂入りという価格。500円を超え1000円未満である場合、これは質と量を兼ね備え、使い心地と優秀さの評価が高ければチープコスメと呼んでいいだろう。まれに1000円を超える場合がある。上限は2300円である。2300円を超えた時点で、それはもうどんだけ優秀な成分が配合されていようがチープではない。ただ金をかけただけ。そりゃ金さえかけりゃぁ海の底のミネラルでも何でも入れられるわい。美容とは金をかけることではない、心掛けである。美容クリームが8000円だとぉ??…この心掛けが必要だ。金銭感覚の「安い」の脳内底値を値上げしてはならぬのだ、絶対に。風呂上りに塗って翌朝流すクリームに8000円は、高いぞ絶対に。朝から私の喉を大量に流れている2リットルのインスタントコーヒーなら21本も買えるから。これさえ飲んでたら一食くらい抜けるから。「たいした金もかけずにキレイね、いつも~。」言われ方は悪いけど、これこそ真の美しさであるぞ諸賢よ。

基礎化粧品の中でどう転んでも高価なアイテムがある。それが「美容液」と「保湿ジェル」なるものである。ま、どっちかひとつでいんだけど、どっちも同じくらい高価である。スポイド付きの青色のビンに入った美容液が1万円を超えていたりなんかして、これ何年モノですか?と訊こうかと思うほど。テスターを指先にチョコンと乗せるとタラ~と流れゆく美白エッセンス、ちぃせぇチューブで9000円。これ似てるからスジャータポーションミルクでも塗っとったらえんちゃうか?ベタつくか?アカンか?なんせ「褐色の恋人」やからな、美白はせんか。
もうちょっと頑張ってぇなコスメ企業。こうしょう、詰め替えタイプのみ販売してパッケージも業務的にしよう。遮光瓶は各自用意で。一回使い切りタイプビニール包装で防腐剤入れんとこ、その分、安くしよ。ミキサー車かなんかで顧客の家まわって、保存容器に注いでいったら…あ・コレは高くなりそやな。…もうちょっと安くしてくれななぁ…ちふれよ、期待できるのはおたくですわよ。もうちょいイけるよ、おたくさんは。続けて買えるような価格にして。『続けることが、きれいの、きほん』なんやろ~消費者は『いつも「キレイ」に、まっすぐ。』やで~。

いただいていた保湿ジェルが昨晩、底を尽きた。
「1回分にしては多いけどもう1回分はないな」というような時だけの贅沢が、指ですくう行為である。
この、いただきモノだから価格はわからないがきっと100円や200円ではなかろう保湿ジェルを、今夜は顔だけでなく首にも、ほんで腕にも、きゃっきゃっきゃ足にも塗っちゃうもんねぇ~。指でこれでもかといつまでも絡め取り贅を尽くす。
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目を盗みながら舐めくりまわして味わったクリームブリュレに匹敵するほどのまるで舐めたような空容器は、無言の称賛である。
どこかの企業よ、この悪食さながらの執着心をしかと見てはくれまいか。これほどまでのお気に召しようを認めてはくれまいか。私が、貰わないかぎり手を出さない美容液を1本サービスしてはくれまいか。私はモニターとして、細かな採点レポートを提出する所存である。
# by yoyo4697ru980gw | 2009-04-27 13:30 | +談合料亭『千徒馬亭』+ | Comments(0)
モノでツラれて
晩におばーちゃんから電話があった。チョモが「うーん…元気やでぇ…?」とかなんとか言いながら会話をしている。
電話を切ったあとで「なんやったって?」と問えば、予約してたケーキあるから、明日、持って行こうか?やって。
「おじーちゃんちに来るんやったら、おばーちゃん明日、仕事が昼までで夜はないし、おばーちゃんケーキ届けに寄った時に迎えに行こうか思うけど、てゆぅてた。お菓子も持って帰らなアカンしな?やってサ。」
「あんたがおじーちゃんの誘いとかを断るからやんか~こないだも行かんかったし。ますます、モノでツラなタダでは来へんと思われてんちゃう?予約で買うケーキまで用意さして、贅沢が過ぎとんねん。それでも行かへんて、ナニサマやねんアンタ。今週、部活ないねんから行きなさいよ~たまには。もう部活で行かれへんようになんで?」
私が言ってもおじーちゃんちに行くという気にどうもなっていないチョモ。

翌朝はおじーちゃんから電話があった。「うーん…元気やでぇ…?」と同じような調子で電話を受けるチョモ。まだ行く気になってないんか。おばーちゃんから誘われ、おじーちゃんからも誘われ、あんなにいろいろよくしてもらって何の躊躇いがあるというのじゃ。
「ううーん…あ…うん、行くわ。そうやなぁ…ちょっと待ってな、まぅ?何時くらいに来てもらったら、いいやろ?」
「いつでも、ええやん。あ、でもアンタ昨日、おばーちゃんが寄るでって言ってたんやろ?確認したほうがええんちゃう?おばーちゃんに。」
「あ…そうやな。あ、おじーちゃん?昨日おばーちゃんがこっちに寄るわ、ってゆぅててん。おばーちゃんに電話してみるわ。」
電話を切ったあと、おばーちゃんはケータイを持って仕事することなんか滅多にあらへんから、連絡がつかなんだら電話ちょーだい、おじーちゃんが迎えに行くからな、と最後に言っていた、とチョモが言う。
「おばーちゃんからもおじーちゃんからも電話があって…こんなに呼ばれてアンタのその態度はなんやねんな…」
私は静かにため息をついた。
「いやぁ…行かれへん理由がまぁ…あんねんけど…朝練があるなら向こうをめっちゃ早くに出なアカンから…悪いやん…」
「土日に部活がないねんからないやろ…月曜に朝連なんて…」
「…まぁ…あったとしても来てない人とかおるからな、一回くらい朝練を出んかってもええねけど…。朝練あきらめたとしても、40分にはここに着いとかな間に合わんやん?今までは7時に出てたんやけど…それより前に出てもらわななぁ…早いんよなぁ…朝が…。」
「そやなぁ…まぁソコはおじーちゃんとの交渉やな…。おじーちゃんの仕事が休みで朝ゆっくりしてるようなら、日曜の夜に帰って来たら?迎えに行くし。」
「そやな…交渉してみよ…」

そして午後におばーちゃんに電話をしてみると、ちょうど今、仕事が終わったトコというタイミングだったらしい。土曜やから混んでるかわからんけど今からそっちに向かうわ、と言う。
スムーズに来られたのだろうおばーちゃんは小山ロールを持って現れた。
「うわっ一本まるまるなんっ?!」
そうだな…もう誕生日にケーキをホールで買うことも最近はなくなったな。クリスマスケーキだけだもんな、ホールで買うのは。だってクリスマスケーキはむーちんの会社が買ってくれるんだもん。
「ほんじゃ、早速いただきましょう、おやつにしましょう。コーヒーいれますわ。」
「うわ~~~キメ細かなスポンジやな~フッワフワっ!」
「おばーちゃんが居てよかった~。おーへんかったらケーキ食べるようなこと、ないもんな~。」
「ホンマやなぁ…結局…チョモの誕生日、ケーキ買わんかったなぁ?」
「まぁ…中学入学のお祝いも兼ねてこーたりんかいな、まぅちゃん…。」
「そうやん。今からでもおそないで、買ってや。」
「えー…だって…ケーキって高いんですもん…」
「チョモは去年もいらん、てゆーたやんか。自分がいらんてゆーたのに。」
「クリスマスケーキ買ってるトコのケーキなんて、ショートケーキやのに四百なんぼとかするんですよっ?!めっちゃ高いぃ…」
「そうやなぁ…一切れで400円500円してたら買われへんわなぁ…」
「買えません、買えません。」
一切れでは満足しなかったチョモは、余りの分の小山ロールまで「コレ、食べてええのん?」とウマいウマいと平らげた。そしてぬけしゃーしゃーとおばーちゃんにこう言ったのである。
「おばーちゃんな?何かしら買って用意してないと、そうゆうモノがないと、僕が来へん、ておもてない?」
「いやいや、そうゆうことは、ないねんで?」
「ほんまに?ケーキとかでツらな、とかおもてへん?」
「違う違う、このケーキはもらったんやで?予約して買うからね、てえらい騒いでたんはきーててんけど、それをもらったんがたまたま昨日やってん。これが月曜や火曜ならアレやけど…昨日やったからアンタらに食べさそうかなーおもたんやんか。そんなん、部活で来られへんやろな、とはおもてるで?わかってんねんから、来られへんのんは。」
「騒がれるだけあんな。たしかに、ウマいで。ほな、行こか~。」
おまえ…間違いなくモノでツラれとるやないか。
# by yoyo4697ru980gw | 2009-04-26 00:07 | +談合料亭『千徒馬亭』+ | Comments(0)