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戦争遺跡越しの宮崎の空
今夏、故郷宮崎に帰省し戦争に思いを馳せてみました。
18歳までは宮崎県内のいろいろな土地に居を置き日常を送って来たけれど、この地にある戦争の爪痕をまじまじと見たことはなかったので、戦争体験者である94歳の祖父に会いに行く前に寄り道をして自分の目で見ることにしたのです。

「このプリントちょうだい」
「いいよ」
きっかけは中学生の姪のプリント。
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「これ本なの?」
「学校でビデオを見た時のやつ。みんな泣いてたよ」
このプリントにあった市内に残る戦争遺跡のひとつが市役所にあるようなので、プリントの詳細を聞きがてら日向市役所へ。
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市役所は平成31年3月に新庁舎が完成、向かって右端にあるのが沖縄の学童や教諭など計130人が1944年9月の戦火を逃れて疎開したことを今に残す、学童集団疎開記念之碑です。
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牧水の故郷、旧東臼杵郡東郷町は合併により日向市東郷町となりました。
酒と旅を愛した歌人、若山牧水。
牧水はこんな歌も詠んでいます。
若竹の 伸びゆくごとく 子ども等よ 真直にのばせ 身をたましひを
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今を生きる子供たちの身とその魂が真っ直ぐに伸びることを願ってやみません。
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学童集団疎開記念之碑越しに、空を仰ぐ。
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戦争を知らない私たちはこの空の本当の美しさを知りませんが、それが平和だということを中学生の私たちに教えてくれた東郷中学校の当時の教頭先生の戦争雑談(戦争を語る耄碌先生)を私は一生忘れないと思います。
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姪のプリントだけしか情報源がないので市役所で聞き込みをしたところ、書籍ではなく市報を学校がコピーしたものであった由、市報そのものはないけれどデータは残っていたのでと参考資料とともにカラーコピーをしてくれました。
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1994年(昭和19年)11月、富高航空隊が誕生。
現在は富島中学校になっていますが、当時の隊舎の赤レンガ門は現在も富島中学校の正門として残っています。
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日向市は海軍富高飛行場があったため、米軍が日本全土を空襲するようになった戦争末期にはとくに激しい機銃掃射や爆撃投下を受け、多くの人が犠牲になりました。
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富高飛行場があった財光寺地区の共和病院には、神風特別攻撃隊出撃之地の碑や滑走路跡もあります。
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ちょうどこの日は慰霊の式典と思われる準備中。
奥に見える櫓は盆踊りでしょうか。
お盆に戻って来たご先祖様の霊を慰める盆踊りは、先祖供養の行事です。
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神風特別攻撃隊出撃之地の碑の後ろにあるのが残されている爆撃痕。
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直径12メートル、深さ約5メートル。
当時はこのような爆撃痕が無数にあり、激しい空爆を物語っていたそうです。
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残していくことの大切さ伝えていくことの大切さと、ふたつのことが私たちの世代に引き継がれていくのだなと改めて思う夏。
そしてそれはひとに言われてすることでは決してなくて、日常の中で少し触れた戦争の一部が行動の動機になるカタチで引き継がれていくのが平和の維持の在り方なのだろうと思います。

爆撃痕越しに、空を仰ぐ。
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お気づきになられましたか。
盆に死者の御霊をのせて戻ってくると言われているトンボが目の前に。
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眼をあげよ もの思ふなかれ 私(あき)ぞ立つ いざみづからを 新しくせよ /若山牧水
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94歳の祖父は、特攻隊とは別の隊の少年兵として知覧に待機していました。
ずっと知覧に行きたがっていたのだけど、実際に祖父が知覧を訪れたのは戦後64年経ってから。
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知覧の話を祖父は口に出して語ろうとはしません。
生きている以上、祖父にとって戦争は過去ではなく我が身に起こった事実だから。
戦争体験者のすべてが戦争を語れるわけではないということも私たちは知っておかなければなりません。
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神風特別攻撃隊出撃之地の碑越しに、空を仰ぐ。
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日本人の行動で最も尊いことは、74年間戦争をやっていないことだと思います。


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by yoyo4697ru980gw | 2019-08-29 21:57 | +ミルニング+ | Comments(0)
本物の方向音痴にとって魔のトイレと化す映画館のトイレ
これまで何百回と、いいや何千回とだろうか、間違えて男子トイレに入ってきた。
自信を持って出口だと思って男子トイレに辿り着いてきた。
ひとえにド方向音痴だから。
方向音痴あるあるの部類である。

自分が方向音痴だという自覚のあるひとは多いだろう。
しかし男子トイレに入るくらいなら、その方向音痴はまだ甘い。
本物のド方向音痴なら、入ったら最後出られなくなるトイレがあるのだ。
実際に入ると自分を見失うので、お知らせしておきたい。
その迷宮トイレは映画館のトイレである。
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もちろん、映画館のどのトイレもが迷宮トイレというわけではない。
条件を満たしていたら映画館でなくても迷宮トイレになる可能性はある。
しかし私は数えるほどしか映画館に行っていないのに、それでも高確率で出られなくなるので、映画館のトイレの作りがだいたい似ていてしかも迷宮の条件を満たしているのだと思う。

【迷宮トイレになる条件】

1.個室に行くまで曲がり角が、多め。
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入り口から個室に入るまでに曲がり角が多いことは迷宮トイレの必須条件である。
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何回曲がれば着くんだというほど右折・左折・右折。
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たかが数歩で出て来る曲がり角ほど
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方向音痴を悪化させるものはない。
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2.鏡、そして鏡。
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鏡が大きくて多い。
向かい合わせに鏡なのが一番いけない、鏡に鏡が映りその鏡に鏡が映りとエンドレス鏡になってしまう。
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自分の動きが右折なのか左折なのかもわからない、だからずっとウロウロしている。
ドコが通路でドコが個室でドコがパウダールームか、どっちから来たか、どのくらい奥に行ったのか、全然わからない。

3.個室がいっぱいある、錯覚。
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ご覧のように鏡を利用した個室が倍の現象はド方向音痴が混乱する原因のひとつである。
実在の個室の数に迷う。
結界の向こう側の個室に入ろうという素振りで奥に行き止まってしまったら、自分の現在地がわからず引き返す距離がつかめない。
途中で実在する個室を偶然見つけて入っている、という感覚だ。
出て来ても手洗い器を探す旅が始まり、目的地は見当たらない。
何かのラッキーで手を洗っているのだ、個室からたまたまおばーさんが出てきたとかそういうことで。
もちろん自力では外に出られないので手を洗う時間はおばーさんに準ずる。
おばーさんの手を洗う時間が長かったら前髪を整えて時間を稼ぎ、おばーさんにほのかに不審がられながらもついて行き、出口に誘導していただく。

たったこれだけの条件であるが、これから迷宮トイレデビューを華々しく飾りそうなアナタはくれぐれも注意するように。
自分の方向音痴もとうとうここまできたかと頭を抱えるような現在地の見失い方をする。
そのうえ映画館のトイレはタイミングによってはアナタ以外誰も利用する人がいない、という魔の時間まで存在するのだ。
みんなが行くタイミングでトイレに行かねばならない。
私が言えるのはそれだけである。






by yoyo4697ru980gw | 2019-08-29 13:16 | +武道便所 グレージー+ | Comments(0)
ヘアドネーションをするのに3年かかりましたというおはなし

私は人生の90%以上をショートもしくはボブどまりの髪型で過ごしてきた。
子供を年子で産み絶賛育児中だった2年間は我を忘れていたので髪も伸び放題であったが、それは伸ばしているのではなく伸びてしまったという結果論。
しかし今回はヘアドネーションのために意識的に伸ばしてきた、3年。

「50㎝でドネーションしようと思ってんねんけど、どのくらいかかる?」
「50㎝ですか?切る部分が50㎝ですよね?」
「そう。寄付する髪の毛が50㎝」
「3年はかかるでしょうねぇ」

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元美容師の女装家アオイが3年と見積もったその3年が過ぎたけれど、私の髪の毛は30㎝もキビシイ。
伸ばし始めは前下がりのボブ(2016年8月)だった。

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このようなペースで伸びていったがどうも伸び率が悪い、どうゆうこっちゃ。
すると4月に私の髪の毛に超高級トリートメントを塗りたくった現美容師の弟が言う。
「髪の毛ってずっと伸び続けるわけじゃないんだよね」
「へ?そうなの?でもギネスの人とかめっちゃ長いやん。こないだも10代の女の子が生まれてから切ってへんゆーて初めての断髪式やってたけどえらい長かったで」
「あれね、稀なの。ずっと伸ばし続けたら誰でもあれだけ伸びるってわけじゃなくて、その人その人で長さって限界があるの。抜けて新しく生えるのを繰り返してるから、ある程度の長さ以上は伸びないのが普通よ。今このへんやな~て覚えといて3か月後に伸びてるかどうか見てみたら?伸びてなかったらそこがアンタの限界ってこと」
30㎝すらキビシイ長さが私の限界ということだろうか。

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出典:https://hairdonation.hero.or.jp/hair/



31㎝以上の長さが必要とされているのに。
思えば私の寄付はいつも足らない。
献血400mlを出す気マンマンで行くと体重が足らなくて200mlに減る。

使えない善意というのが一番困るのだろうなと思う。
難病のおかげで投薬をしているので私の血液はもう使えない。
今の私の身体で寄付出来る部分は髪の毛くらいしかなさそうだ。
だからドネーションは気軽にではなく、気合を入れて取り組んだ。
31㎝未満の髪の毛で出来るウィッグは常に帽子を必要とするインナーキャップウィッグと呼ばれるもの。
子供たちの希望するフルウィッグを作るためには31㎝以上の髪の毛が必要なのである。
それなので私は子供たちがカットの希望を言う楽しみを含めた50㎝で寄付しようと気合を入れた。
頭髪を失ったショックを受けた子供がルンルン出来るようなフルウィッグは31㎝未満の髪の毛では出来ない。
無償提供してもらうウィッグだと贅沢は言えない?希望は言えない?ルンルンしちゃダメ?
いいえ。贅沢言いな、希望言いなよ、ルンルンしちゃいな。

闘病をしている子供たちの日々には我慢することが多い。
中年の私でさえ入院中の我慢には、真夜中に身悶えたほどである。
ちなみに私は昭和一桁生まれの粘り強い助産師さんが辛抱強いと太鼓判を押したほどだ、それほど我慢強い大人でも闘病中の我慢には身悶えるのである。
年端も行かない子供たちに我慢が出来ようか、そんな現実を彼らは耐えている。

子供たちが期待する以上のウィッグを提供したいそんな思いが滲み出るこの団体に寄付する髪を31㎝以上にしたいのだが、私の髪の毛の限界が31㎝を超えて伸びてくれていないようだ、どうやら。

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3か月の間の伸び率がゼロに近いではないか。
私の髪の毛はこの長さが限界らしい。

「ん~~~襟足の部分はキビシイんじゃない?31㎝取るとカリアゲよ」
「襟足ちょっとくらいのカリアゲなら許せる」
「いいや。ガッツリいくカリアゲになるな」
「44のガッツリカリアゲって痛い髪型やなァ…ま、でも上の髪を長めにして被せてカリアゲを隠せばなんとか」
「いいや。上も31㎝取れば隠れないね。どうする?」
「ん。いこうガッツリカリアゲ。31㎝以上ないと意味ないから」
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カリアゲの儀。
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ゴム上2㎝で切っていくからね、これ。
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ほぅら、もうカリアゲるしかないでしょ。
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本当にギリギリのやっとかっとの31㎝の束1本目。
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頭に生えてる時には多いと感じていたけど切り落とすとそうでもない。
それより、頭から切り落とされただけで髪の毛ってこんなに気持ち悪いものなのか。
落ち武者を想像させる恐怖。
そう考えると落ち武者ってまだ切り落としてもいない髪の毛なのに、頭に生えてる状態で同等の恐怖を感じさせるわけだからすごいインパクトのあるヘアスタイルなんだな。
だからって落ち武者ヘアが流行るとは思わないけど。
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ではドネーション後のカリアゲスタイリングです。
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ドネーションした途端に寝グセみたいなのが出現。
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立派に刈り上がっております。
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「カリアゲとの境目がボコってしてるで」
「あ、ソコね。バランス的に残してたほうがいいと思うよ」
私のスッキリさせたいバランス的にはスッキリ刈り上げてくれてるほうがラクなんだけどな。
だいぶ短くなってしまったけど、無事に31㎝ギリギリが取れたので良しとしよう。
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私の31㎝でロングごっこをして遊ぶ姪。
「返しなさいそれは寄付する髪の毛なんだから」
この姪だけが最後までロングのほうがまぅちんらしいと言っていたが、親戚一同はカリアゲショートになった私を見てやっとまぅらしくなったと言っていた。
髪型ってそのひとを印象づける時の一番の要素なのかもしれない。
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ドネーションは匿名でも無記名でもOKです。
このようにライターネームでも問題ありません。
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出典:https://hairdonation.hero.or.jp/topics/news-detail.php?id=899
(トピックス【本日髪の毛が届いた皆様】より)

バンドエイドに記名しているのは傷が癒えるようにという願いを込めて。
美容師さんがたに使っていただけましたでしょうかね、不織布で伸びるタイプなんで指にピッタリフィット、いろいろ使ってみたけどこれがベスト1の逸品、ダイソーで108円かなりの確率で売り切れです。
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封筒の内側に貼り付けて郵送。
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この封書を送る郵便局をレトロが効いている簡易郵便局で出すことにしました。

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タバコ屋さんくらいの入り口がぐっとくるポイントです。
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「写真撮っていいですか?」
「私をですか?!どうして?!」
「いやいやいやいや、窓口のこの雰囲気をね。なかなか見ない古さなので。おばちゃんの顔は入らへんようにしますやんか、ダメですかね?」
「あ~~~ビックリした~いいですよ、いいですよ。どうぞ」
こっちがビックリした~ゆぅねん。
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一身上の都合で封筒がボロボロになってしまい1年寝かせたようになっていますが、実際には3日しか寝かせていません。
たった3日でこのくたびれ具合を出せるのが逆にすごいと思いませんか。

昔を知っているわけじゃないのになぜか万人が懐かしく感じる雰囲気というのは共通してあります。
簡易郵便局の窓口もそう。
だから写真を撮りたいと申し出たわけですが、窓口のおばちゃんからは事務所を通せと言わんばかりの拒否感が急に漂いました。
平和な日常を営んでいた簡易郵便局で近年まれにみる大事件勃発です。
おばちゃんを撮りたいって言ったらその理由まで述べることになるのか。
私なんて盆踊りしてたら写真撮っていいかすら聞かれることなく勝手に撮られてネットにあがってるし、動画も勝手にYouTubeにアップされてるけどな。
私も今後は「どうして?!」て言おうかな、言ってるヒマなく撮られてるけど。
関西(とくに大阪)ではね、盆踊りをしていたら写真や動画を勝手に撮られるのが主流ですので覚えておいてくださいね。
撮らないでと拒否出来るようなヒマはありませんので、撮られる側の人間が自分とわからないような変装をしてください。
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さてここで問題です。
私は窓口にいくら出したのでしょうか、そう150円正解です。

ひとつの目的のためだけに髪の毛を3年間伸ばした経験がおありだろうか。
寄付することを目的に髪を伸ばすと、自分の髪が肩につく頃には確かに自分の頭から伸びている自分の髪ではあるが、大事な大事な他人様の髪の毛になっている。

3年頑張ろうじゃないか、1回だけ。
ひとりが1回頑張れば何人の子供たちのフルウィッグが出来るだろうかと考えて、1回だけ3年間伸ばして寄付してみませんか。
人生でひとり1回だけを世界77億人規模で、どうですか。






by yoyo4697ru980gw | 2019-08-28 12:58 | +mender!+ | Comments(0)
失格の人間を

解説と、年譜まで含めても200ページに満たない文庫本を、もういい大人なんだからと自分に言い聞かせて読破した。
人生で三度目、中学で読み高校で読み、大人になったらもう一度だけ読もうと思って二度挫折して、今回こそ挫折せずに読んだ、人間失格

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奥野健男翁の解説によると太宰文学は全肯定か全否定しか許されず、太宰治本人は稀で特別な存在と位置づけられる作家らしい。
誰にとってもそうなのだろうか。
私はこの作家の小説を肯定も否定もなくただただ、わけがわからないと思っている。
中学生の時に担任の先生が、いま読んだ本を少したって読み返すと別の感想を持つ、そしてさらに大人になって読み返すとまた違う感想を持つ、と言っていたので読み返した本はたくさんある。
どれもこれも先生の言う通り感想が違った。
なのに中学の時にも、高校の時にも、大人の今も、人間失格の感想は同じ。
肯定も否定もなくただわけがわからない。

人間失格は私にとってとにかく進まない本なのだ。
ネガティブにネガティブを重ねすぎていてクドい。
どうあがいてもマイナス思考、でも文章は読者のプラスになるように書かれてあって混乱する。
読者に与えられたそのプラスにしたって書かれてあることを反面教師にすればプラスてな具合なのでプラスなんだかマイナスなんだか、わけがわからない。
まるで離婚会見の感謝しかないという言葉のよう。
感謝しかなくて何故に離婚という選択になるのか。
同じ時間を過ごす日々で夫婦間には複雑な感情が波のように押し寄せてはいないだろうか、私は津波のように押し寄せて来ると思っているが。
感謝しかないなら、感謝しか伝えていないわけだし、そうなると感謝だけがあふれて離婚にはならないような気がする。
夫婦のどちらか一方が、もしくは互いが、感謝しかしなくなったら離婚なのか。
感謝、て何なんだ。
わけがわからない。

人間失格のわけのわからなさ、理解に苦しむ選択の数々。
そういう狙いで書いているのだろうし、後半には重ねるネガティブさが増すし、そこが狂人になっていく様を表現してるということなんだろうけど、とにかくクドい。
読点どんだけ続くねんとツッコミを入れたかと思いきや、文中の( )の中が長くて本文との切れ目がわからない。
太宰文学の解説ではしばしば太宰のユーモアが特徴として挙がるが、私は太宰の文章にユーモアを見つけたことがなかった。
もしかしてこのツッコミのことだろうか、太宰文学のユーモアって。

人間失格の中に出てくるエピソードの何かひとつ、どこかひとつ、その理不尽さや卑怯さや求めるものとのズレなど、我が身に置き換えて共感する部分は誰にでもあるのだと思う。
そしてそれを正さずとも純粋なまでに逸れない姿勢、自分を偽って受け身を貫き、挙句に弱くダメな人間へと堕ちていく主人公の中に、捨て身になってでも流されずにいる正義をみるのだと思う。
しかしこの主人公はサラっとすべてが人のせいである。
自分と関わった誰かのせいにして生きているのに、自分が悪いと結論づけてうまく周りに自分のせいだと思っている人と思わせている。
主人公が変わるチャンスはいくらでもあるし、そういう出会いも改心するような出来事も書かれているのに、主人公は常にダメなほうの選択をして自分で選んでおきながら選択肢はコレしかなかったみたいな顔をしているのだ。

主人公が人間として失格という物語ではない。
主人公は物心がついてからずっと我の周りにいる失格の人間を数えているように私には読める。
失格の判定を下しているのは太宰治である。
こんな人間が周りにいなかったなら、このような人間失格が出来上がることはなかった。
という物語、つまり登場人物の全てが人間失格。
そしてこの本に出てくる登場人物のような失格の人間が、読者の周りには必ず居ることを太宰は知っている、そんな物語。
共感性を抱いて読みすすめていた読者はどこかのタイミングで気付くことになるのだろう、自分も誰かにとっては失格の人間なのだということを。
人間である以上まったくもって合格しないのだ、誰も。
わけがわからない、失格じゃダメなのかどうかさえ。

そんなわけで、夏休みの課題の仕上げとして、人間失格の読書感想文をキーワード検索して辿り着いたかたには申しわけないですが、この本の感想は内容ではなく文庫本について書きたいと思います。
最近の夏休みの読書感想文はブログ検索をして勝手にパクるんですってね。
ひとが書いたブログ2~3コを繋げて作文にするんですってよ。
テイストの違う読書感想文を違和感なくつなげる技術があるなら、自分で書いたほうがいいほどの文才があるだろうにもったいない。

文庫本というものを発刊したのは岩波文庫でその時にスピンが登場し、岩波以外の出版社も岩波に倣って文庫本にスピンを付けました。
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しかしこのスピン、1970年以降は新潮文庫にしか付いていないんです。
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2011年から刊行している星海社文庫の一部にもスピンは付いていますが、まだまだスピンは新潮文庫ならではの特徴なんですよ。
スピンがあるから新潮文庫を選ぶ、というひともいるくらいスピンは新潮の代名詞。
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私はスピンを玉止めする読者です。
その理由は同じようにスピンを玉止めしている人物に聞いてください。

そして覚えておいてほしいのです。
スピン付きの文庫本は、
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ガタガタです。
ページが揃っていない理由は自力で調べて、どうぞ読書感想文のむすびに使ってください。






by yoyo4697ru980gw | 2019-08-20 23:05 | +ミルニング+ | Comments(0)
夏祭りのナツ

「せっかくやからお祭り行っておいで」
伊丹のナツは盆踊りのナツだけど、宮崎のナツは花火大会のナツ。
週末はどこかしこで花火が上がるナツ。
おばーちゃんの新盆でおばーちゃんとよく見た花火を、我が子に見せる。
「行こっか、抽選会」
ひ孫、花火じゃなくて抽選会が目的。
さすがクーポン桐谷の異名を持つ男。

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「一枚百円やって。どうする?何枚にする?10枚とか買えば当たる確率も上がるんちゃう?」
「いや、一枚。」
抽選目的なのに、そこはあくまでも運を買う男。
「一枚入魂で。」
「こないだタカボがさ、アイス買って来てくれって言うから買って行ったら『アイス代』つって宝くじが入ってる袋をくれたのよ。あれって10枚買ったら1枚は300円当たることになってんねん。何かのついでに換金するか~と思ってそのままにしてて、ほんでそのうちタカボが十数年ぶりに服を買おうと思ってるから付き合えってゆーのね。その時に、いま買った服をたぶん十数年着るんやろうな~おもて『もう生きてるうちに服を買うことはないやろうから良いものを買ったら?』て言ってちょっと上等の服を買いに行ったら、ちょうどセールで買い物総額が予算より2万円くらい安く買えたの。得したから宝くじ買うって言い出して窓口で『宝くじ50枚』て」
「50枚?!」
「15000円やで。いらんやろ、そんなに。この世で一番当たらんのが宝くじやでって教えたら『確率的にはそうやろうな』やって。」
「セールで得しても宝くじに使っちゃうんやな」
「と、思うやん?ついでに私がもらった宝くじの束の300円も換金しとこおもて換金したら1500円。当たりくじだけが5枚入ってる袋やってん。だからいつも50枚こーとんねん。セールで得したとか関係なく宝くじ買うねん50枚」
あからさまに募金箱に寄付をするひとじゃないけど、日本一当たらないくじと知ってて買ったり、気が向いたらちゃんと仕事をして稼いで経費であげられるモノを経費にせずに税金を高くするひとがお前の祖父だぞ。
ま、その税金をつい最近まで滞納してたけどな☆
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「花火の時間って何時なんですか?」
「ステージが終わったら、になります」
「あ~…そうですか。抽選会はだいたい何時頃?」
「それも、ステージが終わったらですかね」
「あ~…お祭りって何時までなんでしょう?」
「抽選会が終わったらですね」
さすが宮崎、時間と土地が余ってる。

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「こんなにたくさん人おってんな。昼間どこに隠れてんねやろ全然みひんけど」
「本格的やな」
本格的と言えば、関西イチ本格的な無料音楽フェスITAMI GREENJAM'19もどうぞよろしく。22日夜の盆踊りはとくによろしくお願いします。

木村つづく氏とDJ-SHIRO氏の息の合った司会がおもしろい。
只今の旬よしもとの、新喜劇地域限定バージョンといった趣き。
地元住民の行動パターンを知っていないと笑いが取れない攻めの話術と、突っ込み過ぎないツッコミ。
あとで聞いたら宮崎でのつづく人気はスゴいらしい。
テレビを見ない弟がつづく番組を見てみろと勧めるほど。
テレビを見ない姉である私は、とくに単体でふたりを見たいわけじゃないけどな。
DJシローこと濱田詩朗人気はどうなっているのだろうか。
私はどっちも同じくらいの推しっぷりだけど。
ふたりの掛け合いがおもしろいと思う、息ピッタリで。

抽選会を仕切るふたりの順応性の高さがとくにおもしろい。


「次は電子レンジです」
「電子レンジ!いいですねぇ僕が欲しいくらいです電子レンジ、いくつあっても困りませんもんねぇ」
困る困る、2台目でさっそく置き場所に困る。

「ガソリン20リットルが当たってるんですが取りに来てないかたがいますんで、番号をもう一度言いますね」
当選番号を連呼して無事に当選者がステージに駆け寄る。
「ずっと待ってたんですよ、ガソリンぶっかけようかと思って。」
「おめでとうございます、ガソリン20リットル。ガソリンね、何に使いたいですか?」
「車…」
「でしょうね!」

抽選会中に迷子が現れたら呼びかける。

「おっと、ここで迷子です!この顔に見覚えあるお母さんいないですか?」
「あ、お母さんおられました」
迷子をお母さんに引き渡す際にはふたりできっちり声を合わせる。
「おめでとうございま~す!」
「奇跡の再会ですね」
「スタッフ一生懸命探しました。こんな奇跡ってあるんですねぇ。」
中年が大爆笑。
生き別れになった肉親捜しをする番組の「スタッフ一生懸命に探しました…お父さん、見つかりました!」てヤツね。

「いいですねぇ、次はテレビ!濱田さん欲しんじゃないですか?」
「欲しいですねぇ、ウチのテレビは小さいですからね」
「こん~なちっちゃいテレビを家族全員で頑張って見てますもんね、濱田さんちは。」
小さいテレビは頑張らないと見れたもんじゃない。

こんなカンジでずっと続く抽選会なので、立って見ているひとをつまらなくさせない。
ライブのおもしろさだと思うな~アレは。

ステージではいろいろなプログラムが進行する。
歌や踊りや太鼓など。
盆踊りが普及していないのがもったいない広さ。
皆さん、盆踊りは先祖供養なのをお忘れですか。

「ジャグラーのピカチュウって言わなかった今?」

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「言ったな」
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「いいんかな?ピカチュウって名乗って」

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「同じ名前はダメでしょ。新つけないと。新ピカチュウ」
新加勢大周方式で。
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ひがちゅうでした。
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司会者のおふたり推しなんだけど、ひがちゅうを中心に写真が何枚もあるのは、ひがちゅう本人が画像を撮ってSNSにバンバン載せていいと言ったから。
むしろ積極的に載せて欲しい口調だったから。
そんなようなことを言ったから、8月10日はひがちゅう記念日。
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大道芸素晴らしいひがちゅう。
視聴者の率直な感想を言いますが、話術イマイチです。

つづく濱田ペアのような声量もボケも出ていないのが残念ポイント。
「もう一段高くします」
とコップを置いて板を乗せる時には、このようなショーの定番フレーズを言う。
「このコップ、なんと!!100均で買えます」
手垢にまみれた感の中途半端さがあるこのフレーズ。
100均で買えるシリーズとでも言おうか店舗名を出すバージョンもある。
ダイソーで売ってますとか、キャンドゥでさがしましたとか。
まだ汚れたてでひと昔の前のフレーズとして使うには浅いので、もうちょっと使い倒されてからわざと使うほうがいいと思う。
100均だから簡単に手に入ると思ってるだろうけど、ダイソー商品は月に800点の新商品が出てて商品回転率は高いから、ひがちゅうとまったく同じコップは意外ともう買えないかもしれない。
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コップの上に板を乗せ、その上に乗るひがちゅう。
コップ板が二段になると難易度も危険度も高くなります。
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成功した時の目の前の子供のリアクションの質がお高い!

今では大道芸だけで食べていってるひがちゅうですが、前は仕事をしながらジャグリングをしていました。
その時の仕事はエンジニア。
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自らすすんで危険な職に就くために辞めた前の職場では、安全管理を担当していました。
危険な仕事に晒されたひがちゅうです。
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でも大丈夫、失敗しなかったので。
さすが安全管理をしていただけありますね。
成功だったので、おまけで脚立をアゴに乗せると言うひがちゅう。
ジャグリングにおまけが付くと、脚立をアゴに乗せるというサービスになるのか。
ジャグリング界ではアゴにモノを乗せることはおまけ程度なのだろうか。
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まぁまぁの大きさだけど。

ステージのジャグリングもいいけど、バックステージのバランス芸も捨てがたい。
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ゴミ箱の魔術師。
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ゴミの中からかき氷カップだけを積み上げる。
このカップ、なんと業務スーパーで売ってます。
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高く積み上がるカップに子供達も興味津々。
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ギャラリー参加型のゴミジャグリングは楽しくゴミの分別をするのでしょう。
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崩れそうで崩れない。
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しかし、とうとう崩れる。
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崩れたあとはしっかりとゴミ。
あんなにゴミ以上だったのに、すっかりゴミ以下。
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そのような、夏です。







by yoyo4697ru980gw | 2019-08-19 01:40 | +朝臣寺+ | Comments(0)
素潜り玄人への道 ~わりとショートカットで~
物心ついた時から寒冷蕁麻疹を患っている弟は、私が知る限り泳げなかった。
プールに入ったら全身に蕁麻疹が出て腫れあがるので、泳げる前に入れなかった。
ダウンなんて一切いらない宮崎で、冬には防寒をしていても顔が腫れる。
とにかく冷えることは何もできないのだ。
そんな弟がいつからか生意気にも「俺オマエより泳げるわ」と言うようになった。
その頃にボルダリングを覚え、岩を登るついでに素潜りまで覚えたようだ。

「どうする?アジが100匹くらい釣れてるみたいよ?行く?」
「アジ南蛮漬けやな・・・でも立て続けに食事する約束入れちゃったんだよね。食べる日がないんだけど」
「だったらオレ、潜ろうかな。アンタ波打ち際でワキャワキャゆーて貝取りでもしとけば?」
「ふざけんなっ水着持ってきとる。潜る」
「いやいやいや水着とかそんな軽装で素潜り出来るような場所じゃないから。ウェットスーツじゃないと岩とかにぶつかってウニ刺さるしカキで切れるよ?」
「一回アンタが潜るの見てから決める。たぶんラッシュガードで潜れる」
「ガッツあるな、おい。泳げる?結構体力いるよ?疲れるよ素潜りって」
「泳げないけど海だから浮くしね」
「経験ないんでしょ?」
「何を持ってして経験なのさ」
「釣りしてて一回落ちたことがあるとか、波にのまれたことがあるとか」
「どんな日常やねんそれ。ここに住んでる間アホほど海で泳いだけど離岸流に本格的にさらわれたこともねーわ。サラっと波に引かれたことはあるけど制服のまま入水しても常にブジカヘル」
無事に帰還いたし候。運とカンが多い生涯を送って来ました。
「ん~無理だと思うけどねぇ。最初は波打ち際で貝取るくらいにしといたら?絶対に素人はいけないとこ行くからまず見ときなよ、何人も死んでるから」
「死ぬんだぁ・・・でも人間って死ぬ時は死ぬからねぇ」
「波に体もっていかれるのってそんな甘いことじゃないからね。知らんから言えるだけ。パニックになるよ」

カナヅチから素潜りのプロに変貌を遂げたタカシ先生からの助言。
其の一、潜るなら完全防備!
ウエットスーツに地下足袋・手袋、肌を絶対に露出しないこと。カキやフジツボ、貝類がびっしりへばりついた岩にぶち当たったらザックリ切れます。人間は無力です、波の力を前にして抵抗できるならそれは人間以上の何かです。
其の二、体には何もつけるな!
素潜りは海水を飲みまくります。タカシ先生もグビグビいってます。
腰から水の入ったペットボトルなどを重り代わりにつるし飲んだあとはそれが浮き替わり、みたいなことを言っているうちは素人です。腰回りにつけた装備が波で体をもっていかれた時に岩の間に挟まり水中でパニくって息が止められず溺死した人間はたくさんいます。玄人は浮きを手で持って行き浮きのほうに装備をつけます。そして波で自分が危なくなれば手を離すのです。装備よりもすぐに命を取れる、それがプロです。
其の三、自分の限界は過小評価!
あともうちょっと行ける、は絶対に行けません。自分の限界は自分が感じるよりも先に訪れます。限界の一歩手前でやめる判断が出来ることそれが玄人の第一条件。素潜りのプロとは出来る人ではなくやめられる人のことを言うのです。

「命あっての素潜りだから」
名言出しました、タカシ先生。

では皆さんのイメージを覆す素潜りのはじまりはじまり~

「うわ~ぬかるんでる~タイヤ半分埋まった~」
「四駆でよかったね」
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「まだこれ二駆よ」
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「二駆で行けるんだ」
「馬力が違うからね」
馬力はいいけど燃費が悪いそうです。

「落ちないでね?」
「なにそのワンランク上の注意」
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「行けばわかる」
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海への道が見えないイヤな予感。
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やっぱりな。
現地の釣り人しか行かないパターンの海ね。
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落ちたら死ぬデスルート経由。
そこまでして釣果重視か!の遊びじゃないヤツですね。
この世にはデートで行ったらフラれるタイプの海がありますが、それがココです。
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オマエよくも出がけに「サンダルで行けるかな?」の私の問いに「いけるんじゃない?」て返したな。潜りをあんなに無理と言ったくせにこのルートをサンダルで行けるって危険予測の見積もりが狂ってるだろ。
フザけて昨日買ったモンペさっそく着るか~なんつって着てよかった。
さすが運とカンだけの女、命拾いしたぜ。
リゾート気分で南国の海テイストのファッションでしけこんでたら大怪我するところだった。

私を置いてサクサク歩く弟の荷物。
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5キロ。
よくこの道で5キロを運ぶ気が起こるな。
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手ぶらでも無理な足場で5キロを担ぐ弟。
「海に着くまでが危険すぎるんじゃっ!」
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「ひぇえぇええぇっぇえっ!落ちる~!待って写真撮るからつかんでて怖いコワイこわい」
「度胸あるな」
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「狭すぎてアングルがうまくいかない!もうええわ、早く行って!この幅でふたり立ち止まるの無理っ怖いっ!」
「オマエふざけんなっ」
姉弟喧嘩、勃発。
危険な状況で男女は恋に落ちるらしいけど、崖から落ちそうになると男女は間違いなく喧嘩になります。
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「ちょっと、どっから降りた?」
「ソコに道あるじゃん」
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「ドコよ?」
「みんな降りてるから色変わってるトコあるやろ?」
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「いまいち明確じゃないんだけど、その後のルートが。」
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たぶんこんな感じの道順。
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こうかな。
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正解どれやねんっ!
手探りすぎんねんっ!置いていくなっ!

なかなかのひと悶着がありまして素潜りポイントへ到着。
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目指すはこちらの洞窟です。
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見えていますが意外と距離はあります。
この洞窟にはまだ行ったことがなくて探索してみたかったらしいですが、白波が立っていてとても危険なんですって。
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「いいなァ楽しそうで。このまま潜ろうかな」
「タオル持って来た?」
「いいえ」
「タオル敷かないと車濡れるじゃん」
小せぇ男だな。
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わずかばかりの日陰はあっという間になくなり太陽が動いていることを実感させてくれます。
ジリジリ、暑い。というよりもはや痛いです。
「あつ~潜りた~い」
「無理無理。ここは波の引きが強いから。じゃ洞窟までちょっと行ってくる」
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優雅に見ているでしょうが、
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過酷な場所なので居るだけで大変。

「ハリセンボンつかまえた~!まぅ見る~?」
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洞窟に向かう途中、ハリセンボンを捕まえて私に見るかと問うので「見る」と答えると岩場を戻る弟。
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泳いだほうがラクで早いじゃないかと言うと、泳いで戻ったらハリセンボンが流れていくらしい。
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それで歩いて持って来ました。
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プカプカ浮くハリセンボンがグングン流れます。

穏やかに見えるこの海、じつは潜っている場所は素人には潮目を読むのが難しい入り江なのです。
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ポトンと放ったハリセンボンは波に弄ばれて右往左往。
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岩付近はとくに波のチカラが強くまた予測も出来ません。
この日はプランクトンの粒が肉眼で確認できるほど濁っていて視界がとても悪い。
濁っていても上から覗き込んでこの透明度ですから、南国の海はバカにできませんね。
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浮いたハリセンボンはこのような軌道で流され見えなくなりました。

「潜れるな。よし、潜るわ」
「いやいやいやいや、ココはやめとけ。ココは最初に潜るところじゃないから。もっと初心者のトコ連れて行くから。俺が最初に行ったトコ。そこなら何かあったら助けられるけど、ココは無理。潮目読めるわけねぇ」
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こんな潮目でしょ?いけると思うけどなァ。

「帰りは違う道で戻るよ」
「道か?これ」
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ピースサインを繰り出す弟の片手の荷物は海水を吸っているので5キロ以上。
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誰が設置したのかわからない岩から生えているロープをポーンと蹴って私を置いていく弟。
これ、画像では急な傾斜みたいに見えますが、ほぼ垂直の壁です。
弟が転げてくるんじゃないかと思ってテッペンに着くのを見届けてから私がGOですが、このロープは切れちゃうんじゃないかと信用がならんので全体重を預けることが出来ず、素手で登ったほうが早かったくらい時間がかかりました。
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素潜りポイントは遥か下。
「こっちね~」
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弟はアレかな、死に場所を探してさまよっているのかな今。
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足場がだんだん悪くなります。
「こっちね~」
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もう道でもなんでもないような道を進みますが、弟は道だと言い張ります。
左に足を踏み外せば、ズドン
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右に道を踏み外せば、ドボンです。
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「うわ~緑々しいねぇ~!ほら見てん」弟、緑のグラデーションに歓喜。
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「…そうね」
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危険極まりない環境で見るこの景色に、私はグラデーションを愛でるほどの感動をおぼえてはおらんが。

「ここ出たら初心者の海に行くから。そこだと離岸流とかないし。波はあるけどね」
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どやって出んねんっココを!
ここを出るのが過酷すぎて初心者の海なんて余裕やっちゅーねん。

では、ココからは初心者用の海で素潜りデビューを果たし、当然ながら海中なので画像はございません。
ちなみに素潜りをするような恰好じゃない軽装というのは、こういう装備を言います。
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「先生、あっちのほう行きたい」
「最初から沖に出るのは危険だってば。しばらくはここらへんの足つくとこで波にのまれて」
岩の浅瀬で波にさらわれる。
手も足も上にあがって転がる転がる、痛い痛い。
「ねぇ、最初最初って言うけどさ?どんなひとでも最初の1回目はあるわけやん、プロにも。」
「そりゃそうよ」
「その1回目ってのが私には今日」
「うん。で?」
「干潮って2~3時間しかないんでしょ?急ごう」
「ガッツあるな、おい」
それもさっきから言ってるけどさ、ガッツあるんじゃなくてガッツしかないのほうなんだけどな。

タカシ先生が白波の立つ浅瀬で波のパターンをつかめというので、コロコロ転がってビックリするくらい海水を飲む。
泳いでいて顔を海水に着けたままシュノーケルに入った海水を吹き上げるのは初心者には難しい。
「なんで鼻からも口からも海水を飲んで苦しいんだろう?何が悪いの?」
「鼻で息してるからよ」
「鼻で息しないの?」
「しない」
「先に言っといてくれる?そういうコツ」
「普通は鼻で息して海水吸って口からも飲んで苦しくなってパニックになるんだけどね。よくパニックならないね」
「なってるで。だからといってバシャバシャやったところで無駄に体力を使うだけやから海水飲み干して呼吸する、しょっちゅう苦しい」
「しょっぱくない?」
「しょっぱい。すごく喉が渇いてあ゛~水が飲みたいっ!て思う、喉がカラい、かなりつらい。でも水が欲しい~!てのが続いても1分程度なんだねアレ。ずっと喉がカラいわけじゃないってわかったら1分の我慢やなおもて」
「そういう気持ちの切り替えって、普通は難しいの。初心者はとくに怖いってのが先だから」
「気持ちの切り替えが人より早いからね、私は」
「そだね。どうする?沖に出てみる?」
「行こう」
「行く?!」
「なんなんだ、自分できーといて」
「いや…俺は最初行かなかったから」
次がいつでもあるキミと私とでは、取り組み姿勢が違うのだよワトソン君。
私には次に故郷に帰る理由が今のところ無い、きっと夏にはもう帰りません。

「ぅわ~~~~っ苦しいっ」
「本当に?」
「なんでウソつかなアカンねん」
「ぜんぜん平気そうやから。たまに顔あげて自分の位置、確認して」
「ヤだ。顔上げたら疲れる」
「俺より前を泳いでるっておかしいやろ?後ろにいるのを引っ張るならわかるけど、前にいるアンタをもう2回引き戻してるからね?本当に危ないから、顔上げて位置確認しないと」
「アンタなんのためにおんねん?」
「へ?それ俺の役目?」
「何かあったら助けるって言ってたじゃん」
「あ、そういう感じの助けだったんだ…」
行き過ぎる防止のために先生がついています。

「どうする?この先ちょっと危険になってくるんだけど、行く?」
「行く行く~」
「行く?!」
「どういうことやねん、きーといて」
「いや…さっき岩場に上がる体力なくなってたし、行かないかな~て思ったんだけど。ガッツあるな。今もうココでもよくついてきたなって感じよ?宮崎で素潜りしてきました、て堂々と言えるレベル」
「んじゃ堂々と言いふらすわ」
初日で沖の危険な潮目のポイントまで行ったらもうどこでも潜れるレベルだそうですよ、私の次の職は海女っつーことでよろしいですかね。

足のつかないところで海水を飲むということが初心者には怖いことなんですって。
私も怖くないというわけではないのですが、たぶん好奇心のほうが勝つのだと思います。
だから夢を持てない若人のみなさんがた、夢を探し出せなくてもくじける必要はありません。
好奇心があれば行動を起こすことは出来ます。
私の好奇心はおもしろそうというだけの動機ですよ、こんなつかみどころのない理由で恐怖心をねじ伏せるわけですから、好奇心ってコスパいいよね。

ただねぇ…いただきたくない勲章がねぇ…。
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「痛ぁいっ!!足が腫れてる!!」
「あ、それ勲章・勲章」
望まざる切り傷は岩に叩きつけられた時に切れたそばから海水で消毒されているので治りは早いですが、陸に上がると紫外線にさらされて腫れていきます。
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細かな水疱は紫外線による火傷です。
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指先も切れまくります。
太ももがパンパンで膝を曲げることが出来ない筋肉痛が3日ほど続き呻きながら起きる朝を迎える、それが素潜り玄人への道です。
たった一日で先に進んでショートカットで道を究めると勲章がえげつないので気をつけましょう。







by yoyo4697ru980gw | 2019-08-05 13:19 | +朝臣寺+ | Comments(0)