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感謝の意
卒業という節目を前に、「感謝を込めたプレゼントを作りましょう」という家庭科の学習があるということで、希望を訊かれた「なにが欲しい?」
「私、いま欲しい物の一番は帯なんやけど、織ってくれんの?フォーマルな感じで。」
「無理に決まってるやろっ」
「まず弟子入りしないとねぇ…とりあえず卒業してくんないとなぁ…弟子って住込みやで?」
「4時間しか、ないねん?絶対ムリやねん?4時間で出来るモンゆーてくれるか?」
「感謝なら言葉でええわ。いらんもんはいらんから。」
「授業として作らなアカンから何かゆぅて。」
創作キットの一括購入の中から選んでもいいし、自分で材料を用意して別の物を作ってもよいので、冬休み中に決めて材料を取り揃えておくように、とのお達しがあったので「創作キット」なるものの見本を見に行ってみたが、ピンと来ない。ティッシュカバー、ランチョンマット、ううむ、いらん。

そんなわけで、私が作ろうと思っていた「刺し子ふきん」の材料をそっくりそのまま半吉に渡し、刺し子図案をいくつか見せて刺し方もチョロっと教え、一針一針、感謝の念を込めて刺してきな、と言い渡した。完全手縫いだぞ?と言っていたので半吉は最初の2時間、ふきんのフチを装飾っぽいデザインを考えながら手縫いしていたそうな。すると担任のごっちゃんが、あまりに時間のかかり過ぎる半吉に、回りはミシンでガーって縫って模様を刺繍したら?とアドバイス。
「いいえ…母が…刺し子の良さがなくなるから手で縫ってほしいと言うもんで…」
そう答えると、ごっちゃんは笑っとったそうだ。
「ミシンつこたほうが早くてキレイに仕上がる、と思うならつこたらええ。アンタが使いたいならミシンにしたらええ。でもそのふきんは、刺し子じゃぁないから『刺し子じゃない』と思いながら私は使う。」
完全手縫いで『刺し子』の冠がつけられるよう、頑張ってはみたものの自分が思うようには進まなかったようで、デザインを大幅に変更して挑んだが、それでも4時間では出来上がらなかった。それが腹立たしかった様子で、帰宅した半吉は言った。
「結局、出来あがらへんかったがな…。」
「まァえんちゃう?とうぶん一緒に暮らすやろから、出来あがったらくれたらええし。そないに急ぐモンでもないで、ふきん。」
「急ぐねんっ。4時間で出来とかなアカンかってん。コッチだって急いでやってねけどなぁ…ごっちゃんが色々ゆってくんねんっ。刺し子やってゆーてんのに『ミシンで縫ったらええのにーっ』とかやっ。もぅ…刺し子やのにっ!」
「くっくっく。ごっちゃん、若いからなぁ…刺し子のなんたるかを教えたらなアカンなぁ…。じゃぁ、今度ごっちゃんがなんやゆ~て来たら職人気質でゆぅたら?『知らんもんが手ぇ出すんぢゃねぇっ!』ゆぅて。触るでねぇ!あっちゃ行けぇっ!ゆぅてな。」
「もう時間ないで。家庭科展に間に合わへんかったから。縫う時間はもう無い。」
「…なぬ?」
どうゆうこっちゃごらぁ。時間はある、たっぷりとな。出来た時が完成の時や。何をほざいとるんじゃ、半吉。

事の詳細を訊けば、4時間の家庭科で作った作品から家庭科展に出品する作品を選ぶ。その作品を作る、4時間。
学校教育よ、そんなに締切が大事か。感謝を込めてプレゼントするとはよぉゆぅてくれたもんや。キレイごとゆーてんじゃねぇっ「家庭科展に出品する作品を作るついでに親に感謝を込めてみましょう」の授業じゃねぇかっ。学校がそれを求めても、母は求めん。半吉よ、手縫いでやれ。刺せ、出来あがるまで。てめぇが守るのは締切じゃぁねぇ、感謝の意だ、てやんでば~ろ~っ!

刺し子はね、下々の暮らしの民がね、産着やおむつなんかに刺したのさ。麻の葉のようにスクスクと子供が育つようにと願いを込めて、麻の葉を図案化して一針一針、おっかぁが夜な夜な刺しに刺したんだよ。…と、私は本当にそうは思っていない。子供5人10人が当たり前だった時代に、短い期間しか着ることのない産着やおむつを、次の子供その次の子供でも使い回すためには、上質とは言えない布を補強する必要があった。フチだけを縫い合わせた雑巾はすぐにヘタるが、フチから渦巻き状にグルグルと運針して縫い合わせてある雑巾はいつまでも使える。それと同じで刺し子を施した産着は、洗っても洗っても簡単にヘタれはしなかっただろう。長男に着せ、二男に着せ、長女が着、三男が着る、ほつれてきた所に違う糸で夜な夜なまた身籠っているおっかぁが刺す。「この産着も…もう4人も着たのねぇ…」あと2人が限界かしら。スクスクと育って来た我が子を家庭の雑事の片手間に育児しているおっかぁは「私の赤ちゃんがスクスクと育ちますように」なんて、いまさら悠長に願いを込めて刺すまでもないだろう。スクスク育つことは4人の子供で実証済み。
合計3回の刺し子を施し、おっかぁは4男6女の子供を育てあげる。丁度そのころ隣村では、おっかぁの姪っ子が初めての子供を授かるのである。
「タエちゃん、ウチの子たちの産着を持って来るさけぇ。赤子が産まれたらなにかと物入りだで、財布の紐はしっかりときつく縛っとかなアカンえ?」
おっかぁは押入れにしまい込んだ産着を2枚、出してきた。ススけた産着に最初は黒、そして紺、最後は朱色の糸で刺し子が施してあり、裾はだいぶほつれている。
想いが込もるのは、この時である。
この産着に最初に手を通した長男も、もう、12才。百日咳を患って寝ずに看病をした時は、末っ子のチエがこの産着を着てただやぁ…ほんにあの子の夜泣きはひどぉてそこいらじゅうのたうちまわっとったもんや…。

半吉もじきに13才。
初めて刺し子に手を出した時は、家庭科展に間に合わなかっただやぁ…。
「だからミシンで縫ったらええってゆったのにっ」てごっつぁんに言われた時は、悪態ついてのたうちまわっとったもんや…。
ウチではなぁ…ふきんが台拭きになり、雑巾になり、靴磨きになるだで、しっかりと刺さなアカンえ?
半吉の込めた感謝は、裏切ることはありゃしまへん。
刺し子に費やした時間の5倍、使い回せるだけの強度になってちゃんと返って来るけぇ、休み時間を使ってちゃ~んと最後まで仕上げてくんれろ。おっかぁの待ち時間に、締切はねぇだで。
by yoyo4697ru980gw | 2009-01-27 15:11 | +談合料亭『千徒馬亭』+ | Comments(0)
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