4年前、入院している時に飽きるほど見た最上階からの駐車場。
入院患者の誰かが、この見える範囲内の駐車場に『黄色の車が3台あればいいコトが起きる』という都市伝説をこさえ、することもないから早朝から夜中まで探すんだけど、黄色だと思ったら黄緑だったりオレンジだったりして、2台までは揃うんだけど3台目がなかなか。
だから何もいいコトは起こらなかった。
つーか入院するほど病状が悪化してるんだから、そもそもいいコトが起きてないんだけどね。
本日も、黄色の車は1台でした。
「こないだの精密検査の結果ですけれどもね、とくに悪化しているということはありません」
「それはそれは。良くなっていってます?」
「とくに良くもなっていません」
「少しも?」
「まったく」
「治ってないんだ」
「治ってはないですね」
「そうなんだ」
「4年前、退院する時に撮ったCTの画像がこちらで、今回の画像がこちらなんですけど、一緒です。現状維持ですね」
言い切ったな。
こんなに言い切られることってあるんだ。
入院してステロイドで腫れてる脾臓がちょっとシャープになって、普通の生活が出来るレベルにまで質が向上したから退院することになって、それでその時からまったく変わってないんだって。
サルコイドーシスの7割ってほっといたら自然に良くなっていくねんで、5年ほどで。
一度悪化してるから時間がかかるとしても、まったく一緒ってどんだけ頑固やねん。
「引き続き経過観察でいいですかね」
「そうですね」
「診察前に血液検査だけまたやっといてくださいね」
「へーい」
まったく変わらない、ということを調べる血液検査ね。
「どうもお待たせしました、どう?」
「つらかったから精密検査したけど、良くも悪くもなってないんやて」
「悪化による痛みじゃないってことがわかっただけでも安心やね。でも原因がわからない痛みに出す薬があるわけじゃないからなァ」
「どうせ増やしても一緒でしょ?夜だけ痛まないようにしてくれる?」
「そういう薬はないからなァ」
「やっぱりな」
「痩せたね」
「みんなが痩せたって言うから痩せたんやろね。眠れないのは悪循環やな、食欲も出へんし」
「リリカで眠れなかった?」
「眠気はくるけど、痛みのほうが勝つねん」
「リリカの眠気は副作用やからなァ。眠れるまでいかんのかなァ」
「眠れたらちょっとは違うんやろな、てのは思うよ。でも朝起きれへんほどの眠剤使ってまで眠ろうとは思わないかな」
「アルコールは?」
「飲まへん」
「飲まないの?!」
そんなに驚きの事実、ゆってないけど。
「本当に?全然?」
「全然。」
「ちょっとも?」
「一滴も。」
なに疑ってんだ、オニマツ。
オニマツに限らずだけど、見た目で飲んでると判断するのはやめい。
「お酒、飲まないよ。」
「あぁ、そう・・・」
なんだその含みのある余韻、疑ってるなオニマツ。
「それじゃ、うつの症状とかに使う薬を試してみる?かなり眠気の強い薬やからそれで眠れるかもわからんしね。痛みを取るために処方する時もあるし、幅広く使えて副作用もそんなにきつくない薬やから試してみてもいいと思うよ」
薬を減らすどころか増えるという残念な結果やな、悪化してないのに。
「ココ、痛い?」
「痛いイタい痛いイタい痛~~~~~いっ!!!」
「ちょっと漢方の種類変えとこか」
「ココは?」
「痛くない」
「ココは?」
「そんなに」
「ココ!」
「いた~~~~~~~~~~いっ!!!」
「何かあった?」
「なんもな~~~~いっ!!!」
「ストレス感じることなかった?」
「ないっ!イタイいたいイタイ痛い・・・」
「心配事とかは?」
「あ、あったね。心配するような事は」
「結構強めに?」
「そうだね。強い強い」
「それだね」
本当か?
私の痛みの原因は心配事なのか?
だったら私、もっともっと痛くないとおかしいぞ。
現段階で心配なひとが10人を超えているのに。
結構それぞれ強めに心配だけど。
漢方薬の数も減らず、しかも診察がどこもかしこも遅れていて、特定疾患用の更新手続き書類の受付も混んでるし、なかなかの疲れっぷりで一日を過ごしたから今夜はぐっすりかもね。
22時に飲んだウツ錠が私に安眠をくれるわ~と思ってかれこれ1時間過ぎてるけど、ホンマに眠気が強いのかコレ。
眠気に打ち勝ってるやん。
「ええ漢方もーたやん」
「コレええ漢方なん?」
「読めるやん、イレイトウ。短いやん、前のなんてもう読まれへんかったやん」
漢方は読みやすいとええ漢方という基準らしい、ヒー坊の中では。
私の中では、飲みやすいのがええ漢方。
ベンゾジアゼピンが睡眠と痛みとを幅広くカバーしてくれたら、飲みにくい漢方なんてやめてやる。
眠気こ~い眠気こいこいこ~い・・・