地元で踊りのイベントがあって、普段着で行ってきた。
夏の櫓で10年以上踊っていることもそうだし、地元でもあるし、イベント会場にいるひとの中には顔見知りも多いんだけど、なんしか夏の派手な私しか見ていないひとたちなので、普段着だと気付いてもらえない。
声を掛けてもちっとも気付いてもらえないのだ。
腕をつかんで「気付いてないやんな?」て言わないと。
夏にあれほどいろんな櫓で「おいちゃんな~アンタのファンやで~!」つって飲み物を買ってくれたおいちゃんの目の前に5分以上立っていたけど、全然目が合わなかった。
ホンマにファンか、おいちゃん?という恨みを込めまくっておいちゃんの目の前で手をヒラヒラさせたら30秒くらいの時差があってやっと気付いてもらえたが、第一声は「別人やな・・・わからんわ」であった。テンションひくっ
そんなわけで、会場をウロチョロしたけどたったひとりにしか気付いてもらえなかった私は、心を新たにしてボンブー道に精進致します、という低姿勢で参加したんだけど、踊り始めたら「誰かとおもったわ~」ゆぅて、急に存在感が増し増しました。
踊り子は、顔じゃなくて踊りなのね。
結局みんな、踊りしか見てないんかい。
知らない人に「夏に短い浴衣で踊ってる人ですよね?」と声をかけられて「え~~~~誰~~~ドコでおーたひと?ごめーん顔で思い出されへ~~~ん」と返事。
おまえもやないかい。
結局、私もでしたね。
でも踊ってもわからなかったんだよね、もっとヒドいやんけ。
ごめんね、夏に会ってるのに。
「子供が小っちゃいからここ2年くらいは櫓に行ってないんで」とご本人にフォローしていただくも「おねーさんのことは、踊りを見てすぐわかりました!」と付け足され、フォローが水の泡と化す。
言いわけをするなら、マスクしてるからわからなかったのかな~。
でもマスク取ってとは決して言わない、わかんない自信があるから。
その人が属しているであろうグループのことも聞いたんだけど、私は一匹狼でどこにも属していないので、グループだったり会だったりお教室だったり、ということで派閥別に踊り子を見たりはしない。
一個人として、踊り子としてのその人を知っているかどうか。
私はそこにしか基準がない。
「ごめんな、グループとかそうゆう区別で認識せーへんねん私」
よくよく考えたら、私は自分自身をカテゴライズする基準がない。
大きな区別でよければ、女・既婚くらいのふるいにはかけられるけど、まだだいぶ目が粗いか。
宮崎生まれ、でも宮崎育ちと言うには関西で育った時間のほうが長くなってしまったし、たまに宮崎人に会って「宮崎のどこ?」と詳細を問われることがあるんだけど、ドコと言われても・・・私はドコなのだろう。
宮崎で育っている間、2年に1回は引っ越していたのだから答えようがない。
なので「実家は日向にあります」と答えているが、その日向にある実家には住んだことがない。
だって私が関西に出てからオトンと弟が引っ越した家なんだもの。
私には、自分について「こうです」と言える背景がほとんどないことにいま気が付いた。
遅いな、気付くのが。
なんてフラフラと浮き草のように生きてきたことだろう。
状況に身を任せて生きてもとりあえず43年は無事にいけるみたい。
43年無事にいけたらあと43年もいけそう。
それ以上は生きてないかもしんないしな。
寒の戻りで今日、風がキンキンに冷えていた。
風が鋭すぎて頬が切れるんじゃないかと思ったけど、切れないよね風では。
季節の変わり目の風の温度変化ってすごく好き、身体には障るけど。
「年寄りになってさ、もう働くこともなくなって、いよいよ隠居生活となった時には寒いの堪えるから宮崎で暮らすのもアリやな。2月の寒さでアレやからな」
「それな。寒くはないよな」
「ただ、盆踊りがな・・・今の櫓みてたらさ、80でもバリバリ毎晩踊るやん。いけんねやな、ておもたら隠居て何歳やねん」
「おばーちゃんなんて70過ぎてからめっちゃ働いてるもんな。むちゃくちゃ元気やん」
「それな。50までにはサルコイドーシスも治ってるつもりやから・・・あとは元気しか取り柄がなくなるし、盆踊りない土地に行ってもなァ」
隠居生活に思いを馳せる43歳。
早いか、思いを馳せるのが。
私は最近、何者でもない透明マントを着ている状態なの。
踊り子として行動したら踊り子として踊り関係者の目に留まり、パートさんとして行動したら会社のひとたちの目に留まる。
私を知らない誰かにとってはまったく見えないの、だって透明マント着てるからね。
視界の邪魔にならない代わりに、見ようと思って見ないと見えないの。
だって透明マント、着てるから。
見ようと思って見てほしい。
だって見えないから。
確かにインパクトはある。
でも、この
マークが目印だと言われても、思い出せるかな、てトコね。
ゼロから詳細を思い出せはしないんじゃないかな、雰囲気なら漠然と思い出せるけど。
いやぁ、目印としては思い出せないんじゃないかなコレ。