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バッシングを魅せる材料に変えた沢尻エリカ
沢尻エリカが宮沢りえに近づいてきている。
いいぞ沢尻エリカ、その調子だ。
女優という仕事が楽しくて楽しくて仕方がない、というトコロまで狂うように演じてしまえ。
そして30代後半で賞を総ナメ。
それからが、沢尻エリカの真骨頂だ。
踏ん張れ、沢尻エリカ。
自分の感情にウソをつくことを決しておぼえるな、沢尻エリカ。
いいひとになろうとするな、沢尻エリカ。

「別に」発言からバッシングされまくってきた憑依女優、沢尻エリカ。
世間が沢尻エリカを嫌っても、私は信じていた。
沢尻エリカは宮沢りえのようになる、と。
バッシングそのものを、自分を魅せるための糧に出来る根性があると。

芸能界で女優として成功しようという女の根性が、そんじょそこらの女の根性と一緒なワケがないのに『清純派女優』という言葉が存在する。矛盾してるっちゅーねん。
そして世間は清純を求めて高みにアげては、理想通りの言動をせねばこれでもかと叩くのだ。
芸能界で注目されることを職業とするオンナに清純派を求めるのがそもそもの間違いやねんて。
本当に清純な女優は、無名で終わる。
清純派女優というのは、作られるものなんである。
女優として成功するなら、清純でいてはいけない。
いろんな根性と後ろ盾を付けてカンも鋭くなきゃダメだろうな。
いろんなことをクリアにし根性で乗り越えた先に、それでも自分を見失わずに、確固たる信念を貫いたオンナとなった時『清純派女優』というものが誕生する。
あくまでも『派』だけど。

根性が女々しくない宮沢りえと沢尻エリカが、私は好きだ。
『芸能界に居る』ていう自覚が、それ以外にはないっていう根性の据わりよう。
キレイな女の人の姿カタチをした侠気の持ち主。もうほぼ男。
このふたりが一般人で友達だったら、付き合うのラクやろなぁ。
ランチとかの約束して当日に「どうも気が乗らん」て理由でキャンセルしても、笑って許してくれそう。

かつて宮沢りえがマスコミで連日騒がれ、りえママが槍玉にあげられていた時代があった。
やれ娘を芸能界に売った母親だ何だとりえママの叩かれっぷりはPTAが騒ぐのに申し分のない内容で、世間はりえママを完全なる悪者にした。
そんな最中、宮沢りえがインタビューを受けている時に、ひとりの記者から自分の母親が悪く言われることについてどう思うか、という質問が宮沢りえ本人に向けられたことがあった。
正式に設けられた記者会見、という雰囲気のテレビ画面から、その質問が聞こえてきた時に私は顔を上げて宮沢りえの受け答えを待った。
雑誌を読んでいた耳に届いたその質問は、女子高校生の気をうんと引く内容だったのだ。
我が母がバッシングされているのを娘としてどう思うか、と聞かれて宮沢りえはどう答えるのか。
当時の宮沢りえはすったもんだの数々に、マスコミがいろんな場で関係のないことを根掘り葉掘り聞きたがるような状況だった。

彼女は印象的な答え方をした。
「自分の母親が悪く言われるのはイヤです。世間で言われているようなことはありませんし、私もそうゆう風に思ってないです。でも、それは私がわかっていればいいことなので」
言い回しがちょっと違うかもしれないけれど、印象的にはこのような答え方を宮沢りえはした。
母親は本当はこうゆうひとだと言うことも出来た。
報道されていることは違うと具体的に否定することも出来た。
時間をかけて何かを語っても編集の手が加わるのを宮沢りえは痛感していただろうし、だったら質問自体に無回答でもよかった。

しかし何をどう語ってもノーコメントでも、この言葉に勝る効果的な言葉は他になかったに違いない。

それは私がわかっていればいいことなので。

記者も二の句が継げなかった。
そうだろうとも。
ハタチそこそこの娘が親子関係は他人にどう言われようとも当事者である我々が分かり合っていればそれで良いと、ピシャリと言い放ったのだ。

何の噂に踊らされてなんぼほどの真相を追求したかったかは知らんが、この質問をした記者を通して、あの会見を見た茶の間の反応もその場の反応もまったくもってひとつだったと思う。結論はひとつしかなかった。

宮沢りえの周りが幼稚

そう思わせるオンナ、宮沢りえ。
と、いうことである。
宮沢りえの回答が周りの幼稚さを露呈させる。
宮沢りえのコメントが周りの騒ぎをバカバカしく見せる。
しかし、宮沢りえは決してあからさまに「幼稚」とは言わないし「バカバカしい」とも言わないし、態度にも出さない。
これを言動に出してしまうのだ、沢尻エリカは。

沢尻エリカは『根性のある流されやすい夢見がちな少女』であった。
ガッツがあったばっかりに『個性』という要求に、夢見がちな少女は応え続けてしまったのだ。
ズバ抜けて憑依するという才能を見出され変幻自在感を次から次に要求された沢尻エリカはガッツでそれをこなしていたのだが、ある日ふと我に返ってしまったのである。

夢見がちな少女は夢見がちなままなら要求にも応えるが、フワフワとした夢の中で自分がフワフワ出来ないと我に返ってしまう。
根性がある人間が我に返った時には、非情なほど情熱が冷めてしまうものである。
夢見がちな少女が芸能界に注いだ情熱と個性的であることの要求に答える情熱。
その情熱を失ってふと我に返った目から見えたマスコミは、バカバカしいまでに幼稚に騒いでいたことだろう。

「それがアナタのお仕事です」

そう優しく諭してくれる人物が、残念ながら沢尻エリカの傍にはいなかった。
りえママは、それが言えた人であっただろう。
夢を与える芸能界の華やかさ、ショービジネスの豪華さ、そういった世界の裏側には過酷さがある。
どんな仕事でも、ただ楽しいだけの仕事などありはしない。
仕事である以上、みんな何かしらに耐え、我慢して乗り越えて仕事をしている。
それが他人の目にどう見えようとも、自分がやりたいと思える仕事だからみんな辛くても我慢するのである。
その「やりたいと思える」理由が、「生活のために仕方なく」であったり「安定した職業だから」だったり「この仕事が好きだから」だったりする。
選んだ理由はそれぞれ違っても自分が選んだことなんだから、責任を持ってそれに付随することに耐えてこそ、仕事に携わる人間としての義務を果たしていると言える。義務を果たさずして権利を主張する自分勝手など、どんな世界でも許されない。
沢尻エリカは、それをした。
芸能界に生きるプロとして我慢せねばならぬことを我慢できずに、それが自分の個性なんだからと主張することだけをしたので、叩かれたのである。
これは、度を越した「若気の至り」であったが、その気付きのなさがいかにも若すぎて世間には受け入れられなかった。
どんなに若くても、働いてお金を稼ぐ社会人として通用しているのだから、この先の展開を読んだ言動をすべきなのに、それが出来ないのだから社会人として世間が認めるワケがない。
社会人としてのマナーもへったくれもない、という状況がまるでジャスティン・ビーバーのようで、痛々しい。
その痛々しさに沢尻エリカはもう気付いたが、ジャスティンはまだ気付いていないようだ。

今の沢尻エリカはその叩かれた原因をちゃんとわかっている。
バッシングが自分をどうゆう状況に追いやったかも、理解している。
それでも自分は女優をやりたい、と思っている様子だ。
その雄々しい根性に、俄然興味が湧く。
これは「清純派女優」を作れる逸材である。
沢尻エリカはただ好きだという理由だけで、いろんなことを吸収出来る女優となるに違いない。
劣化しない・錆びないカンジも、宮沢りえとそっくり。
並々ならぬ根性の持ち主なのだろう。
ふたりのこの根性はあとから付けたものではなく、生まれ持った根性なのだ。
稀にいるのだろう、男の根性を持ったキレイな女が。

沢尻エリカは性格が悪いままでも、口が悪いままでも、自分を魅せる材料に変えられる。
だからいい人になろうとしなくても、そのままでいいのだ。
どうぞそのままでいてほしい。
悪態をついてもキレイでいられる女優なんて少ないから。
自分がイヤだと思ったことを平気な顔してイヤって言える、感情に素直なところが「清純派」な「女優」を作ると思って、自分の感情を決して隠したりなんかするな、沢尻エリカ。
性格が悪いと言われ続けるだろうけど、それを痛くも痒くも思っていない沢尻エリカを、キレイだと思う人間のひとりである、私は。





by yoyo4697ru980gw | 2014-03-30 18:23 | +難℃ set key+ | Comments(0)
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