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女子の法則

ミズオにメール。

まだ学校おわらへんの?

学年閉鎖やでー

すぐさま電話。

「ドコおるん?」
『家~』
「手伝って欲しいことあんねん。」
『何ぃ?』
「今、新しい家おんねん。ひとりで木を切ってんねん。来てよ。」
も~遅い~ひとりで寂しいやんか~はよ来てよ~、と急かして急かしてミズオを呼び出す。ミズオ、住所だけでは辿り着けず。
『まぅちゃんちってドコなん?』
「ドコにおんのよ?」
『え~公園の横。』
「行き過ぎや。表まで出るから戻って。」
『え~…ココらへんぢゃナイん…?』
「おっ!みっけた。おお~い、ココ・ココ。」
顔を見ながら生電話。

「まぅちゃ~~~ん、ブログみた~。行きたかったよ流星群、なんで誘ってくれへんのよ。」
「誘うつもりはあってんで。あの日、誘おうって言っててんから。一悶着あったんや、チョモはずっと誘おうって言い張って。アイツなら来るからって言ってさ。でも、アンタが私を裏切って女子の法則を適用したからな。それまでに一回でもウチに来れば許しとったけど、こーへんかったから、腹立ってたしさ、誘うのやめた。」
「女子の法則なんて使ってナイよ!」
「使った。アンタあの電話した日、あの日よ、ウチに来て入らずにそのまま帰ったやろ?女子の法則やんけ、何も言わんと帰りやがって。」
問題の日の夕方、ヘイポーが手伝いの水汲みに出掛ける際、ちょっと薄暗い時間だったので私は台所に立ってその窓から「ゆっくりでええから気をつけて行きや~」とヘイポーを見送った。それと入れ違いに、制服姿のミズオが自転車に乗ってウチに向かっているのが見えたが、すぐに入ってくると思い私は声をかけなかったのだ。しかし、ミズオはいつまでも入ってこない。おかしいなぁとは感じたが、てっきりヘイポーの後ろ姿を見て追って行ったのだと思っていた。そして二人で帰ってくるもんだと。しかし、ヘイポーはひとりで帰って来た。「あれ?ミズオは??」と訊くと、会っていないし見ていないと言う。ヘイポーが出て行ってすぐにミズオが見えたけど入って来ないからてっきり二人で一緒に…。
「アイツ…女子の法則やで。さっきミズオからの不在着信あったから折り返して『何やった?』ってきーたら『まぅちゃんのイヤホンあるやん?あれドコで買った?』とかぬかしよったわ。ヘンやとおもてん、そんなん電話して今すぐに確認するようなコトちゃうやん。探り入れたんやで、ミズオが来たことに私が気付いてるかどうかの確認。アイツ…私にまで女子の法則を使ってきやがった…そんな浅い付き合いぢゃないのに…絶対…許さん…とっちめてやる。」
「ミズオ、なんか用事を思い出したんちゃう?それか、まぅの見間違いとか。」
「あの体型は絶対ミズオやから。アーリなら見間違うかもしらんで?会ってない時間が長いからや。でもミズオはナイな。それになんか用事を思い出したにしても玄関の前まで来てんねんから『寄るつもりで来たけど、用事思い出したから帰るわ~』くらい言うべきやろっ。アレは女子の法則や…。私のキライな女子の法則を出したんや…。ヒドイよな?」
「う~ん…ヒドイなぁ…。」
「とっちめてやる。」
その、とっちめてやる目的でミズオ、呼び出し。新しい家の、木の処分の手伝い。

「…てゆぅてな?私、あの時、台所に立ってたから。」
「知ってる。でも気付いてないなら…て思ってな…帰った。ごめん。」
「どーせ友達からメールでも入ってそっちに行ったんやで、てゆぅててん。」
「いやいや、メールは来てない。ホンマ。でもあの日、来たんやけどミズのテンションが低くてなぁ…やっぱりなぁ…とおもて帰ってん。」
「じゃぁ、ガラガラって開けて『来たけど、なんか気分ぢゃないからやっぱ帰るわ。』て正直に言えよっ!言えへん関係とちゃうやろっ!女子の法則やないかっ!」
その日、ミズオは学年閉鎖になった。その連絡はメールで知らされることになっていたのだが、メールがないので友達に「学校あるよな?」という確認を取り、あるんやろうなぁ…ということで1時間かけ市外の学校まで行くと授業が始まらず結局、学年閉鎖。
「近くのコたちはええやろけどさぁ…ミズなんて1時間もかけて学校行ってるのにな…行ってから学年閉鎖でまた1時間かけて帰ってさぁ…なんでわかってたら自宅待機とかにしてくれへんねやろーて思って…」
そんなテンションだったので、テンションが常に高い我が家に溶け込む気分ではなかったらしい。…じゃぁ、そう言えよ正直に。てトコが私の立腹の原因である。ミズオが私の誘いを数々断ったことを「断りやがって」とはゆぅてきた。しかし私は断った理由が正直だったのでまた次もそのまた次も誘ったんぢゃないのか。電話を折り返した時に「さっきまぅちゃんちに行ったんやけど~なんかやっぱ帰りたくなって~」と言えないような薄っぺらい付き合いをしてきたつもりは、私にはない。だから私は正直に自分の気持ちをミズオに言う。アンタに女子の法則を使わすような私なのだとしたら、ミズオは私の悪いトコロをちゃんと私に言ってくれないと。それで私たちの付き合いが切れるようなモンではないと、私は信じているのに。

ちょっと前に観た中国かどっかのドラマの中に、こんなセリフが出てきた。

一番タチが悪いのは、何も知らずにひとの恋路を邪魔するヤツなの。悪気がないから責められない。本人は責められるようなことはやってないと思ってる。だからタチが悪いのよ。

悪いことをやっている自覚があってひとの恋路を邪魔していた女が吐いたセリフなもんだから、“おめぇのやってたコトもそうは変わらねぇぞ!”とは思ったが考え方としては、同感である。
「恋路を」と限定した場合は同感ぢゃないけど。恋愛に関してならどんだけ悪質に邪魔をされようが、うまくいくのかいかないのかは当事者たち次第なので「そうだ・そうだ」と思う気持ちはないが、この「恋路を邪魔する」を「いぢめる」に置き換えた時、私は「その通りっ!」と叫ばずにはいられない。

一番タチが悪いのは、何も知らずにひとをいぢめるヤツなの。悪気がないから責められない。本人は責められるようなことはやってないと思ってる。だからタチが悪いのよ。

いぢめてるヤツに「いぢめている」という自覚がないのだ。「からかい合ってる」「フザけ合ってる」と思っている。しかし実は自分が一方的に「からかって」一方的に「フザけてる」としたら、どうだろう?相手のほうは、からかい合ってる気も、フザけ合ってる気も、ない。しかしそれを言ったり態度に表したりはせず、「からかい合ってるフリ」「フザけ合ってるフリ」を続ける。もちろんそれをなんの疑いも無く「からかい合ってる」と思っているほうは、いぢめているなんて感覚はない。…あぁ…自分でキーボード打ってて、耳と指先が痛いわ…私、絶交状を突き付けられたことが二度三度…。
フリをしているほうは、「からかい合ってる」中での言葉に傷つき「フザけ合ってる」中での接し方が心の負担となっているのだ。かといって、悪気があってやっていることではないってことはわかるので、責めるべき「誰」がいるわけではない。それでも一緒にいるとブルー。だから仲間として中にいるのはどうもイヤ。「そのノリが楽しめない」という気持ちである。

こういう場合、私たちの世代では「絶交状」なるものを交付した。紙に書かれている場合もあれば直接「関わりたくない」と言われることもあるのでわかりやすい。しかし平成の昨今ではこの「絶交状」というものが廃れたようである。
「なぁ…まぅつぁ~ん…ちょっと人生相談を…」
「おたくらは私をいくつやおもてんねや?わしゃ人生の相談に乗るほど生きちゃおらんぞ。」
「あー…まー…意見として、意見として。」
一時期、我が家が「女子のたまり場」になっていた時期がある。いつの時代もそうであるが、男子よりは女子のほうが精神的成熟が早い。人間関係のイザコザを抱えているのも圧倒的に女子である。その人間関係の中でウチに集うのはナニの因果か「我慢しているほう」「言い出せずにいるほう」に偏る。あぁそうさ、あたしゃ我慢し続けられずに言い出しちゃって孤立するタイプさ…神様ってイヂワルね。相手側の気持ちってのを知る機会をくれるんだね…トホホ。

彼女たちは友達の「どーも合わない」と思っている箇所に対して「そりゃぁちょっと合わねぇなぁ…別の人とどーぞ。」と本人に言わずにズルズルと親友関係を保ち、時にツルむのが苦痛になっている様子である。
「アンタのそうゆうトコロがイヤや、て、言えば?」
「えー…だってぇ…イヤってぇ…」
「実際、イヤなわけやろ?」
「うん…」
「じゃぁ、言えば?」
「そんなん…言えるわけないし…」
「じゃぁグチらんと我慢せぇよ。」
「えーーー…」
「なんやねんなっ」
「だって向こうは…親友やって思ってるみたいやから…」
「あんなぁ…ホンマに親友やったらな?『アンタのココがイヤや』ゆぅたくらいで縁が切れるコトはないねん。こうゆう内容の話し合いができんような友達はその程度の友達やろ。これくらいのことで切れる縁やったら、早めに切っといたほうがえんちゃう?」
「だってぇ…」
だってじゃねぇよっ。人生相談なんつって他人に相談してる段階ではもう自分の心は決まっとんねん。自分が取るべき行動に対する賛成意見の「あと一押し」が欲しいだけやねん。自分の思うよぉに、したらええがな。
「私ねぇ、数々の友達と縁が切れてきたけど、どんなに自分の汚いトコを見せても縁が切れないってひとが、ひとりいるよ。たったひとりやで。でもそのひとりが、どんだけ私を支えてきてくれたことか。」
「うーん…それはわかるんやけど…」
「わかるんやったら、ハッキリ言うことやね。アンタが変わらんかったら何も変わらんで。」
「えー…なんかそれとなく…それとなくは言ってみてんけど…わかってくれてないっていうか…伝わってないっていうか…」
「…一生やっとれ。」
孤立するかもっていう覚悟をしてバシっと言うからこそ意義があんねやないか。まァ…実際、バシっと言ってしまった時にはしばらく孤立することは避けられないんだけどネ。

これを私は「女子の法則」と呼んでいて、それを最近の「女子」の中に多く見る。言いたいことを言いたいようにバシっと言わない。言うとしたら、遠まわしに。あぁ~マックスめんどくせぇ~!女子の私が言うのもナンだが、女子ってめんどくせぇ~!!わかるけど、わかるけどめんどくせぇ~…女子にはどうしてグループみたいなモンがあるのだろう…ほんでなんでそのグループからハジかれることがいけないことなんだろうか…永遠の謎やね。一緒にトイレに行こうという誘いを断ったというダケでシカトこかれる、というようなジョーダンのような制度が女子界には確かに存在するんである。めんど~。私はどうもこの制度では「和を乱す」タイプでずっときている。さびしがり屋サンだけども、やっぱ行きたくない時にトイレには行きたくないし、カラオケって気分じゃナイときにカラオケには行きたくない。でもそれを正直に「行きたくない」と言うことは女子界(とくに女子学生界)ではタブーである。「行きたくない」理由が「行きたくない気分」ではいけない。

ミズオの女子の法則の発作が起きたのがちょっと前の出来事である。
「ミズオ最近よくウチ来るやん。」
「ミズオは今な、女子の法則中やからな。」
「女子の法則、ちゃうしなっ!」
「じゃぁアンタさ?アーリが今『あそぼ~』って誘って来たら正直に言うか??どうせ『今日は用事がある』とかの理由にすんねやろ?」
状況を知らないチョモに、私が説明。
「ミズオ今な?誰とも遊びたくない気分らしいねん。それで家に居るかまぅちゃんちか~て選択やねん。やから今はアーリからでも誘われたくはないねんて。ほんじゃぁさ、もしアーリが今さ誘って来たらやで?そのまま正直に言えばイイぢゃん?『今、誰とも遊びたくない気分やねん、やから悪いけどー。』とかさ?そうゆう自分の気持ちを正直に言えるんが友達や思わへん?でもさ、そやってゆったらさ、アーリの性格上さ『なにそれ~(怒)あっそ、じゃぁええわ(怒)』てなるやん?それを知ってるから自分の気持ちを言わん、てことやろ?思いっきり『女子の法則』やんけ、なぁ??」
ウン、ウン。チョモは大きく頷いた。チョモもまた『女子の法則』の被害者なのである。とある女子からメールで「嫌いな人とかいる?」と訊かれ、答えたくなかったチョモは話題を変えた。彼女はチョモのアドレスを本人から訊かずにチョモのアドレスを知っている人から訊き出した。チョモに何も確認せずに勝手に教えてしまったキューにはイエローカードを出しておいた。
それからも彼女からは『女子の法則』的な「遠まわしな訊き方」のメールが届き、いくらか経ってまたも「嫌いな人とか、いないやんなぁ?」とのメールが届いたので、私はこの女子に対し「不愉快だ」とチョモに訴えた。「携帯は親との共有」であることは、アドレスを教えた相手にはちゃんと伝えるようにチョモに言ってあり、メール内容はチェックするので秘密にしたい内容なら直接会って話すように、とも言っている。
「チョモ、この子はそれを訊いてどうしたいわけ?嫌いな人がいるかどうかを訊かれた相手がどんな気持ちになるか、ていうのを考えていないとしか思えへんわ、私。もしチョモに嫌いな人がいたとしようや、返事するのに嫌いな人のことを考えなきゃいけないわけやんか。好きな人のことなら考えたいけど、嫌いな人のことなんて考えたくないやろ誰だって。どうしてそんな事を訊くの?どうして嫌いな人がいるかを知りたがるの?チョモの何を知りたいの?何か知りたいことがあるとしてもメールじゃなくて本人に会って訊けよ、て私は思う。毎日、学校に行ってんねから。接点は無いけど仲良くなりたい、ていう気持ちやからキューにアドレス訊いてメールもしてくるんやと思うねん。それは嬉しいことやで?でも話題がナイならナイなりの会話の礼義ってあるやんか。チョモに嫌いな人がおったとしても、嫌いな人がおるかどうかなんて訊くべきぢゃないし、アンタも答えるようなことちゃう。黙って嫌っとけ。アンタ、これどうにかして。この質問はもう目にしたくない。とっても不愉快です、二度とイヤ。」
女子の法則を目にし耳にすると、私はとっても不愉快である。心が狭いんだろうか。私だって女子の法則を使わないわけではない、他の理由を持ってきて断ることだってある。しかし女子の法則を使った時の後味はすこぶる悪い。だから印象が悪くなろうが結局は断んねんから正直に断っていきたい。どのみち「自分の後味」か「相手への印象」かの違いなダケで悪いモンは悪いねから。

ちゅうわけで、私たちの関係に『女子の法則』は適用しないことを希望する。
私たちは本音でイこうぜ、ミズオ。
11月2日、木の処分のラストスパートあるで。
ビバ!学級閉鎖!!
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-31 01:28 | +ミルニング+ | Comments(0)  

レッツ トライ

「音楽のグループ分けが、1コあがって~ん♪」
音痴のチョモがルンルンと言い放った。音楽の先生Mr.Xはプロ意識の高い教師である。いや…音楽のプロだって言ってたような気がする…そもそも音楽の先生はみんなプロじゃないとなれないのかな?一番最初の授業参観が音楽だったのでその時に授業を見たが「プロ意識が高い」感じがした。もっと言えばプロ「根性」が高いと感じた。なんせ校歌をハモらしちゃったくらいなのだから。二部混声の校歌なんてはぢめて聴いたサ。つまりMr.Xは、校歌にハモリのパートを作ってしまったのだ。
そんな作曲家Mr.Xが頭を抱えている7組は、とくに男子が音痴揃い。その筆頭がチョモなのだと思っていたらド音痴のチョモが「たまらなく音痴」と表現する人物がおられる。同じ陸上部のケンケンである。彼の音痴はチョモが嘆き悲しむほどのレベルだそうだ。ケンケン…ちみに残念な報告がある…チョモに「音痴」と言われているなら、それはもう「ズレてる」とかのレベルぢゃないと思う。チョモの音痴が既に「耳障り」のレベルだから。

学習発表会のため毎日、歌の練習が課せられている現在、当然Mr.Xによる歌唱指導はいつもより厳しい。それに備え、チョモは個人的にデンタクことココちゃんに密かなる猛特訓を受けてきた。電車オタクの友人として小学生の時からの顔馴染みであるココちゃんは中学になって同じクラスになった。学校の各クラスには「ピアノが弾ける」という生徒が配置されるようになっているが、ココちゃんは7組の「ピアノが弾ける生徒」である。しかもココちゃんは、単に「ピアノが弾ける」というだけではない。『ミルフィーユ』に似たおいしそうなネーミングの音楽関係の教育を受けており、ナミの音楽の知識ではない知識を磨いているんである。音階だってドイツ語かなんかで当てちゃうからサ。ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハーか?中学生の知識として披露したことがプロ根性の癪に障ったのだろう、参観の時の授業では日本語で答えろとMr.Xに釘を刺されていた。…ま・そのヘンちょっとした変わりモンなんでいろいろな誤解もされるが、知識を深く学習してやまない純粋なコである。…趣味が純粋な中学生の域を超えちゃって電車でひとり遠出をしてしまうほどらしい…と個性的ではあるが、電車を愛せばこその行動であると、その愛し方が純粋なればこそであると、私は思っている。このようにココちゃんは、チョモが自分発信では入っていきにくい世界への、数々の刺激を与えてくれる存在なんである。

何にでも頑張るイイ子ちゃんのチョモが頑張っても頑張ってもウダツが上がらない教科、それが音楽である。音感というものは多分に「センス」って気がする。親が音痴だったら子も音痴、というような遺伝はないと思うが、少なからず環境的な影響は受けると思う。音楽的センスが乏しいと聴く音に偏りが生じると思うのだ。音楽家の家庭に生まれない限りまんべんなく様々な音を聴く環境なんてナイと思う。音楽に興味のない親に育てられれば、音楽を聴く機会ってのは自然と減るもんなんじゃないだろうか。音楽を聴かねば、耳も育たないのではなかろうか。補聴器のハナシを聞いて感じたことがひとつある、人間の耳は自然に雑音を「聞かなかったこと」にしていることである。補聴器は雑音だろうが何だろうが同じように音を拾うそうで、とあるひとのお母さんが老いて補聴器をつけた際、そのお母さんの年代のひとというのは和服を着ていたので、着物の襟の合わさっている部分がこすれる音がうるさいと補聴器に慣れるまで時間がかかったというのである。私たちの耳は意識していなくても、布がこすれあう音などのボリュームや会話のボリューム、車の通り過ぎる音のボリュームなどを、同時に耳にしてもバランスよく調節しているようなのだ。しかし補聴器はボリュームをひとつに合わせればどの音も同じボリュームで拾ってしまう。耳とは「聞き取る」ということに関してこんなにも「必要」「必要じゃない」を区別して音を拾っているようなのだ。
音階を聴き分ける耳ってのは音楽的なセンスがモノをゆうような気がする。センスがなければ、いくら好きでいくら音楽に触れても細かく正確に音階は掴めないのではないか。何か特別な指導を受けてトレーニングするならそのセンスとやらも矯正することは可能だろうが、普通に生活していてたいした指導も受けずに「自然に音痴がなおった」なんてことにはならないようだ、チョモを見ている限りでは。どころかチョモの音痴は年々、奇妙に悪化している。バラードがラップに聴こえたりCMソングが演歌に聴こえたりするのだ。私が「残念やなぁ…」と漏らすと「ズレてる?!なんかおかしい?!」とチョモは訊いてくるが、私は最終的に「残念だ」としか言えない。何にでも頑張るイイ子ちゃんのチョモは出来ないことを克服することにもその頑張りを見せるので、「何が残念か」という追及の手を緩めず私にその答えを求めてくるが、私はこう言うことしか出来ない「違~うっ!」。それを事細かに説明すれば今度はむーちんが私に言う「オマエが違うねん。他の人はわかんねん。オマエが思うほどズレてぇへんわっ!オマエそ~やって自慢するけどな?オマエ自分の言う事を正当化すんなよっ!」…とにかくどっちにしろ正解ではナイようだ、この千徒家の人間に求めたってサ。

それでかチョモはその克服先をココちゃんに求めた。しかし実は私、チョモの音痴をずっと好ましく思ってきたのである。
「音痴をどうにかしたいよぉぉおお~っ!」
と素直にチョモが言う度に、それが可愛らしくて可愛らしくてしゃ~なかったのだ。チョモの音痴以外は常に親の正道で過大評価し、期待もし、厳しくもして応えるようにケツを叩いてきたからね。頑張っても頑張ってもどうにもならぬ音痴こそ、チョモの欠点であり逃げ道であり、「あぁ…チョモにもダメなトコあるのね…きゃわいい。」とホっとするトコロでもあったのだ。親の贔屓目を差し引いても、チョモは頑張っていろいろなことにトライし、頑張った分だけ結果を出してゆく。アホなことばっかしているが実は勉強もしていて学年のトップグループの一員なのだ。陸上でも何かしらの試合の枠を勝ち取ってくる、素行に関しても先生の評価は上々、口は悪いがネコをかぶっているだけあって周りからの評判は悪くない、ちょっとした家事なら出来るくらいの手伝いはしているし「千徒くんは何でも出来るねんね~」という「自慢の長男」のポジションを欲しいままにしてきたチョモである。ゆえにとても「可愛げ」というものがないのだ。しかし一見「可愛げ」が欠けているようでいてその実、黙っていてはわからないのだが「足が臭い」のと「音痴」という「可愛げ」を持っているチョモ。さすがに現在、足の臭さには可愛げがなくなり、残された唯一の「可愛げ」が「音痴」ということになった。それをずっと「可愛げ」のまま大切にしたい親心も「自慢の息子」度もあげたい慾もあって、私の心はいま、複雑である。
私だってチョモが、「うまい」「音痴」「ド音痴」の三段階にグループ分けされた7組の「ド音痴」グループから一歩前進して「音痴」になったことを心から喜んであげたいよ。あんなに「音痴」を気にしていたんだから。ココちゃんの指導のお陰で「ド音痴」を克服し、「今日、ココちゃんに『合ってたっ!』ってはぢめて言われて~ん♪」という報告があれば「その調子で『うまい』のグループに!」と応援してやりたい。こんなに苦手を克服しようとココちゃんにまで協力をお願いして努力をし続けているのだから、そりゃぁ褒めてもやりたいよ。でも私は「音痴のチョモ」が好きだ。「帰宅してから風呂でもトイレでも歌の練習をしているチョモ…でも音痴。」この可愛らしさが、私が音楽の習い事を二度やって泣いて苦しんで捨ててきたこの可愛らしさが、どんなに私を羨ましがらせているかを知っているだろうかチョモよ。たいしてウマくもならずかろうじて音痴を克服したくらいの効果しか得なかった私の…結局やめて中途半端に終わった許せる音痴ぶり…あれから以降の私の生き方ってな~んか中途半端なクセがついたな。そんな中途半端なことならいっそ克服しないまま「可愛げ」でもってイったほうがよかったなぁ。

毎日の練習で力をつけた7組はMr.Xに「今日が発表会やったら7組が優勝っ!」とまで言わしめた。入学当初は「音痴がおるなぁ…」と言われひとりずつ歌わされたらしい7組男子。「お歌のレベル」が上手い・普通・音痴でグループを作れずに、うまい・音痴・ド音痴だった7組。声変わり最中で音域に欠けのあった男子を大目に見てもMr.Xは7組の歌唱力にピアノを壊してまで憤慨した。この7組の上達ぶり…やればできるコぉやで。テストの平均点が一番低いとか、ヨソのクラスのオカンからは7組は荒れてるとか聞いてるけど、頑張る生徒たちだゼっ7組!

さて、本日は発表会。
合唱コンクールはココちゃんの伴奏で。
入るタイミングの難しい弾き方をしているらしいココちゃんは、授業でひとりひとり「入るタイミングが合っているか」のテストの時、チョモの番がくると、明らかに弾き方を変えるとバレてしまうので「わかるよな?な?わかるよな?ほら、な?」という二人だけに通じる具合で弾いてくれたらしい。
「ほんでアンタ…合ったわけ?それで不合格やったら、ココちゃんのそのファインプレーが水の泡やしな…」
「ふぉっふぉっふぉ…『おっっっ!今かっ?!』てトコで入って、合ってたしなっ!」
「よくやった…よくやった…恩を仇で返さなくてホンマによかった…。」
7組のために伴奏をするココちゃんは今日、チョモの入りのタイミングのために弾くわけにはいかないだろう。
それでもチョモがばっちし入れた暁には、私も素直にチョモの頑張りを褒めようと思う。
d0137326_9171878.jpg

優勝、するといいね。Have a good time 7組。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-30 09:22 | +ミルニング+ | Comments(0)  

渇き

「昨日の夜さぁはよぅにチョモが私のベッドで寝てやがったのよ…。」
私のベッドに寝転んでTVを観ていたチョモはそのままスコンと眠った。まだ21時にもなっていなかったのではないか。寝入りばなに起こすのは体に悪いからとむーちんが言うので、私は自分が眠る時に「自分のトコで寝ぇや~?」と優しく声を掛けたのだ。しかし、トロンと目を開けたチョモは足元のタオルケットを取るや寝返りひとつの動く気配をも見せずにすぐさま目を閉じるという態度を取ったので、私はカチンとキた。
「次に私が来た時にココにおったら許さんからなっ」
と言い、チョモの眉間を素早く叩き続けた、ヤツが目を開けるまで。レモンでも丸かじりしたかというような酸っぱい顔でチョモが目を開けたのを確認して、私は歯磨きのため洗面所へと移動。戻ったらベッドはカラになっていた。よっしゃ。

翌朝、早起きをしたチョモがむーちんとの会話で「昨日は自分で起きたんか~?」みたいなことを話しており、その返事でチョモが「まぅがサ~『のかんかったらど~なるかわかってるやろぉなぁあ~??』とかぬかしとったわぃ…」と、私の口調を厭味たっぷりに真似たのだが、その聞き捨てならん口調に私は正しく再現したのだ。
「違うで。『次に私が来た時にココにおったら許さんからなっ』て言って、こうやで。」
バチバチバチバチバチ~。
「わかったか?アンタ、こんな顔して目ぇ開けたで、覚えてるか??」

チョモが朝練へと行った後で私は、チョモに確認した事と同じ話しをするため、昨晩チョモが私のベッドで寝やがってそれで眠る前に起こしたがカチンとクる態度だったので制裁を加えたことを説明した。
「それでな?戻ったらチョモは上のベッドに移動しててん。その時にな、私ちょっとだけ喉が渇いてたんやけど、歯磨き直後の飲食ってさ、もったいないカンジするやん?たとえ水ひとくちでもさぁ。やから、まぁそこまで渇いてるってわけぢゃないし、えっか~っておもてそのまま寝てんやんか。もっと渇いたら目が覚めるやろうしさ。そしたら夢の中で私、かなり喉がカラカラになったのよ。もうダメってくらい。そんで起きて、起きるゆぅても夢の中でやで?冷蔵庫を開けたら、水がないのよ。水だけぢゃなくて冷蔵庫の液体っちゅう液体が何もかも消えてるの。しゃ~ないから水道水でええわおもて蛇口ひねったら断水よ。もうサ、私の喉、とにかく何か液体を通さないといけない限界がキてるわけ。家の中にあったのがさぁ、しょうゆとソースだけ。しかも卓上タイプだけ。チョモはしょうゆとソースを混ぜてチビチビやるって言ってたけど、ほんまチビチビじゃダメな渇きやねん。グビグビで喉を通過しないと絶対アカンのよ。でも卓上タイプやからグビグビのチャンスは一回しかないのよ。この場面でしょうゆとソースなんやけど、ヘイポーならどっち飲む?」
「しょうゆ。」
「だよね?私も『しょうゆやな』って思ってる。」
「わかるよ。しょうゆはアッサリやもんな。」
「そうやねん、ソースだとこってりやねん。ソースは濃いよね。どっちでもグビグビの後で絶対に喉は渇くのわかってんねけどな。のどこしで選んだらしょうゆやろ?」
「しょうゆやな。」
「やっぱりか~…。でも夢の中では私、どっちも選ばなかったの。『あ~~~ココにお酢があれば絶対、お酢やのに~~~~~っ!くぅ~~~~っ!!』て思う、てゆう夢だったから。」

眉間を叩き続けた末のチョモのあの顔…お酢か??
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-28 23:19 | +cool down run+ | Comments(2)  

不運を呼ぶマント

「よしっ。明日からはマントやな。」
「さっ。今日からマントやな。」
マントに大喜びのヘイポーは前日の晩からマントにかなりの熱を上げていた。数年前、編み物をする私にヘイポーはマントを編んで欲しいと言って、私はそれをサボりながらやっているのを責められたので心を入れ替え一気に編み上げたが、ヘイポーには「マント」のイメージがあったらしい。それは私が思うに「ハリー・ポッター」ライクなマントだったのだと思う。出来上がりが「可愛らしいポンチョ」になっているメイドインマミーのヤツは「マント」でなかったようだ。90%私に対して紳士的であるヘイポーに何故にマントマントゆぅとったくせに着ぃひんのやと、い~っても~♪いつも返事はお~な~じ~♪
「そこまで寒くないから。」
紳士的である。ハッキリ言えよ「イメージと違う」って。

セールで買った既製品の「マント」はカジュアルなパーカーポンチョであるがレディスサイズであるので、ヘイポーが着るとイイ感じにマント然としている。長すぎず短すぎないその丈の具合も気に入ったのだろう、試着をしたヘイポーは鏡の前に立ち「コレ、いいねぇ。」と言ってカメハメ波を一発お見舞いした。しかし、ヘイポーの繰り出すカメハメ波は自動ドアしか開けることが出来ないレベルなので、姿見はビクともしなかった。マントを羽織った途端、魔法を使おうとするその素振りに私は、このマントがヘイポーのイメージと合致したのだということを察した。ヘイポーはマントが欲しい理由を「敵と戦うため」だと言っていた。魔法を操り魔法学校で戦うハリー・ポッターか…たぶんそうゆうマントに可愛らしさはいらなかったのだ。まァ…ニットだからねぇ…シャープさよりラブリーが勝つ素材ではあるなァ…。2990円で魔法が使えるようになるなら安いぢゃないか。…鍛えろ、魔法力。

「今日、そのマント着て行ったらみんなが『これマントなんちゃ~ん?』とかゆぅて集まってくるかもよ?その時は、魔法を出してやっつけちゃえば?カメハメ波を出さんとアカンようになんで、出しておいでぇな。ノリのいいひとなら、やられてくれるよ。再起不能やで、なんせカメハメ波やから。」
そう言って送り出したが、帰宅したヘイポーにマントの評判を訊くと、こう答えた。
「いいや?ひとりも気付いているひと、いなかった。」
まさに魔法の力が発揮されている。その魔法は『必殺・隠れ蓑』…忍者寄りだな。かなり魔法力に磨きをおかけになったようだ。

「今日さぁ…最悪な事にさぁ…」
夕食のロールキャベツを食卓に運ぶため台所に来たヘイポーが告白。
「給食の時に先生がさぁ…僕の腕にスープこぼしちゃってん。ほんと、最悪。しかも、もうひとりのひともこぼしてさぁ…。そのスープってたまごスープやってんけど、今でも袖からたまごの匂いがする…。」
「帰って来た時に着替えたらよかったのに。」
「まぁ…乾いてるからもうイイんやけどな…。マント着て行った今日に限ってこんな最悪な事が起こって…縁起でもない。」
…魔法力か…これも?普段の学校生活で寡黙なヘイポーの周りは静かすぎるほどなのに…今日に限って賑やかね。
「マントからも少したまごの匂いがするねんな…イヤやわ…」
これも魔法力か?温泉浴マント。う~ん癒される…洗えよ。
「洗うトコ出したら?洗うから。」
「いや…明日も着て行くから…。」
不運を呼ぶマントでも、お気に入り。

二日目、学校から帰宅したヘイポーは嬉しそうにこう言った。
「今日な?『それマントやな?』ってみんなが気付いてん。」
「お~。『魔法も使えるで』って出してみた?カメハメ波?」
「出さない。」
「ソコは出しとかないと。」
「あんな?実は、昨日マントに気づいてたひとがひとりおってん。誰やと思う?」
「誰って…。ヘイポーのクラスメイトは交流がないからほとんど名前を知らんやんか…それって私が『誰』って言えるひとぉ??今年クラスがはぢめて一緒ってひとの名前はわからへんで??」
「あ~…名前は知らないと思うけどー…でも違う感じでわかると思うで、まぅ。今やったらとくにわかるかな。」
「ぁあ!テンサイやな?」
「そうやね~ん。やっぱりさすが天才って感じやろ??みんながな『マントやんか~』って言ってたらな?テンサイが『昨日も着とったで。』ってゆぅてん。知ってたみたい。やっぱり天才やろ??」
学校で話しをしないがヘイポーは、学校での出来ごとは私に家で話す。最近ではクラスで『天才』と呼ばれているテンサイの話題でもちきり。勉強もスポーツも出来て物知りなのでみんなから『天才』と呼ばれているそうだ。テンサイの天才エピソードを私に語っているくらいなので、テンサイに興味津々のようである。だからといって学校でテンサイに話しかけテンサイ情報を入手しているのかといえばそうでなく、テンサイが誰かと話している内容にこっそりと聞き耳を立て、盗みをはたらいているのだ。「テンサイってナニナニやねん」「テンサイってコレコレやねんで」とテンサイの素晴らしさを語るヘイポーに、わかっていても質問する。
「…て、ゆぅことを、テンサイと、話したの?ヘイポーが?したの?会話?」
「ん~…テンサイって…ナニナニらしいねん…コレコレ…みたいやで?」
「ほら。『ナニナニらしいで~』『コレコレみたいやで~』全部コソっと盗み聞きした情報やろ?さも自分でテンサイに訊き出したみたいに話しやがったなぁ?…話せよ、そんなに興味があんなら。」
「ん~…ボク…言葉がなぁ…」
ちょっと発音が悪くて通じにくいが、家では話すぢゃん。ミズオとも話すし、ウチに来たチョモの友達とだって話すぢゃん。公園で話してる時にクラスメイトに出会っても話し続けてるぢゃん。なぜ学校に入った途端、黙るんだ??授業の中でなら声を出すのに。国語で本を読めと言われれば読み、スピーチ原稿を読めと言われれば読み、発表をしろと言われれば発表をする。時間はちょっとかかるが以前のように「待っても待っても言わない」ということはなく、こなせているようだという報告は担任の先生から聞いている。しっかし6年間、頑なに私語を慎んだねぇ…。「おしゃべり」だけをカットとするというそのヘイポーの基準は何なんだろう。クラスメイトのおしゃべりに聞き耳は立てるのに。

「テンサイがみんなにマントのことゆっちゃって、マントが知れ渡ってしまってん…困ったことに。」
ヘイポーがマントを着ているとテンサイが言いふらしたことで、「ホンマにマントやんか~」とチャチャ入れに来るヤツ、続出。穏やかな学校生活を切望しているヘイポーにとって、『マントやな~っ!ポン・ポンっ』みたいなコミュニケーションはとっても不運。「魔女みたい…て。」失敬だな、気分はハリー・ポッターぢゃい。出すのはカメハメ波。
「オープンスクールの日そのテンサイとやらを見てみよっと。当てるから言わないでね。」
「うん、わかると思う、見ただけで。」
「見ただけで?顔も天才なん?」
「うん、天才。」
すごい天才がいたもんだな。天才の顔してるテンサイ。眼鏡をかけてるんだろうか。

体育の授業を一時間みて、テンサイを選ぶ。勉強もスポーツも出来るっつったって、勉強が出来るのは参観ごときでは探れない。高飛びの練習をしている2組の面々から、顔が天才のスポーツマンをピックアップ。二名、該当。授業が終わって教室へ戻るヘイポーに探りを入れる。
「テンサイってさ、背ぇ高いやろ?」
「高いって…ひとりしかいないやんか…」
「一番ぢゃないよ。小さいか大きいかで分けたら、大きいほうやんな?」
「あ~…そうそうそう、そうやな。」
ん、一歩近づいたな。

しかし正解は第一の男でも第二の男でもなく、眼中に無い男であった。
「え…あのコ…?今、はぢめて見た。」
本名が全くわからないテンサイの、勉強の出来もスポーツの出来も何一つ私は探れなかった。そして今やもう、天才って顔をしているテンサイの顔も、すでに忘れてしまったほどだ。
忘れさせることにかけても天才だぜ、テンサイ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-28 22:42 | +開楽館+ | Comments(2)  

オリオンならば

「今日、頑張って11時過ぎまで起きてるんならみれるみたいやで?オリオン座流星群。」
「毎日ほとんど11時過ぎまで起きてるから、みようと思えばあとは行動だけやな。特別がんばるコトはないで、私はな。」
「どうする?みてみる??」
「アンタら次第やんか。流星群って…しし座かと思ってた。」
「今回はオリオン座みたいやで?」
「今回は?」
「毎年みれるわけやからなぁ…星座は変わるんちゃう?毎年。」
「へ?流星群って毎年やってんの?」
「うん…たしか毎年。…『やってる』ってアトラクションかよ、やな。この時季に流れるだけのハナシやろし。」
「はぁ…毎年なん?流れるねぇ~そんなに恒例で流れてたとは知らなんだ。しし座って言われたらわからんけどオリオン座なら確実にわかるなぁ私。みてみるか…アンタ、明日は朝練ないん?」
「それが、あんのよなぁ…。でも、今日が一番よくみえる日らしいねん。」
「なんで今日やねんやろ…タイミング悪いなぁ。明日、私たまたま仕事やねんけど。体調は万全にしときたいなぁハンパなく忙しい3時間やねんから。」
「でも、ホンマみるなら今日が一番イイらしいで?みえる時は1時間に50個とからしいからなぁ。平均で20個やて。それで考えても3分に1回は流れるわけやん?願い事3回やろぉ??練習しとこ。何にしようかな。」
「50個も?…願い放題やんけ。50個分違う事を言ってもどれか一つくらいなら叶いそうよな、50も流れたら。」
それに後半10個くらいはもう願う事もなくなってしょ~もないこと言いそうぢゃん、叶うかどうかのレベルも低くなりそうだよねそうなると。「明日、寝坊しませんように。」だと、夜更かししてるから叶わないだろうけどサ。
2年で全国標準記録突破!2年で全国標準記録突破!2年で全国標準記録突破!
「具体的に願ってるヒマはないと思うで。流れるの速いやろしな。もっと短く言わないと。イイ感じ・イイ感じ・イイ感じ!
「漠然すぎるやろっ」
「何に対しての願いでもイイ感じになれば、そんでええわけやんか。何でもイイ感じになりゃぁええやないか。3回も言うんやで?流れてる間にやで、しかも?…単語やな。」
「単語か…ケツ痛いんよなぁ…これが治ることやなぁ。今はまだ試合がひとつ残ってるから痛くても練習休めへんけど、今度の試合が終わったらホンマ休んで安静にして完全に治したいわ…。」
ケツ!ケツ!ケツ!言えんぢゃん、3回。ま、ケツをどうしてほしいってことを言ってないからなァ…ケツ・ケツ・ケツゆぅてケツが3つに割れる可能性もあるな。そういう意味じゃなくてっ!て突っ込んでも、もう遅いよな。」
治癒!治癒!治癒!おぉ…言えるな。」
ま、ドコを治癒してほしいとは言ってないからな。勝手に優先順位をつけて治癒してくれたとしたら、選ばれるのは真っ先に脳ミソだろう。
「ボク…頑張って起きといてみてみようかな…」
ヘイポーはみる気を出してキた。
「シート敷いて寝転がってみとくんがラクみたいやで?やってみる?おやつとかあったかい飲み物とか持って若に行く?」
「いいね~」
う~ん、楽しくなってきた。ヘイポーと私は「アレ持って行く」「コレは?」と相談している間に楽しくなっていき、22時過ぎにはすっかり準備が整った。

「なぁ…もう行ってシート広げてゴロゴロしときたい、行こうよ。」
「さっきチラっと外出たけど、寒いで?」
「毛布持って行くからヘーキやろ。」
ヘイポーはマントも着たし、
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私はジャンパー着たし、おやつもえだ豆も飲み物も持ったしすぐに行けるのに、チョモだけが台所でいつまでも何かしている。
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「もう行こうゼぇ~…はよぉ~…」
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「あんな?10時に東からオリオン座があがってくねん。まだ20分しか経ってないやろ?まだオリオン座、出始めやで?まだ早い。11時過ぎてからで十分。」
「でもこんだけ暗いんやからひとつくらい流れてるって。」
「そりゃ19時とかでも流れてんねで?けどピークじゃない。どうせならピークにみればええやん。」
「…そんなにバカバカ流れてて、流れ星のありがたみってあるんやろか…」
「みるんは『流星群』やで?ひとつチョロっと流れてドコが『群』やねん。」
「…群か…。群れてる流れ星って…ちょっとヤンチーやな。オラオラ・シュンシュン!てカンジかな。星のイキりやな。…ところで、何してんの?」
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「ん?ホットココア作ってる。」
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「手間のかかる飲み物こさえんなよっ!待ちくたびれとんねんコッチはっ!ヘイポー…コイツ、私たちが待ってんのに一からココア作ってやがる…」
「もぉ~…ホンマ遅いわ…」
「…なぁ?ココアだとさ…すましやがって。」
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すましてる飲み物、ホットココア。
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この家で確実であろう時計、チクリンの時間が23時に近づいた21日の夜、私たちは近所の公園『若』へとオリオン座流星群観察へと出発した。シートを広げ、おやつも広げる。残業帰り風のサラリーマンが若を自転車で通り過ぎる時、立ちこぎの一番高い位置に止まったままでツツーと進む間、思いっきり首を伸ばして私たちのベースキャンプを視察。
「…ガン見で見下されたな。」
「…生活感を出し過ぎたか。」
だってあまりに寒かったから、毛布二枚、取りに帰って毛布サンド寝袋風になっちゃった。それでも寒いもん。
シート敷いて寝転がってみようという流星群観測に本気のひとはきっと六甲山とかに登ってるんだろうね。
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このように寝ころび
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このように準備万端で
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みようとする場所が
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マンション舐めの空であるというテキトーさ。
ド真ん中にポツンと貸し切り。近所の住人の一戸建てから聞こえるヒソヒソ声。
「隣の公園にシート敷いてはんで…?」
「…流星群やろか?」
丸聞こえ。
「…ウワサされてんで?」
チョモが報告。…顔見知りだろうから、明日からはしばらく引き籠っとくよ。ちょっと場所が近すぎたな…今さら移動もせんが。
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「オリオン座って、ドレやろう?どんなカタチ??」
「4つチョンチョンチョンチョン、中に3つテンテンテン。大きさは自分が思ってるよりはるかに大きいと思って見ないと、視界からはみ出てるで。」
「そんなに?」
「そんなに。」
「僕が思うに…4つのウチの一つがアレちゃうかなぁ?で…こっちの右の…あの輝いてるのがもう一つで…下のは雲に隠れてんちゃうかなぁ…」
「…と、思うような星座なら、オリオン座と違う。『アレがオリオン座ちゃうかなぁ…』ていうようなビミョーな星座ぢゃないねん、オリオン座だけは。『アレがオリオン座!』ってハッキリ言えるで。誰の目にもハッキリクッキリわかるのがオリオン座やから、私がオリオン座を見つけられんねん。オリオン座探しなら任せてよ、バシっと『アレ!』って言えるから。『ええっとー…オリオン座はー…』って迷ったことなんて一度もないから。」
「それほど?」
「はい、それほど。」
それほどわかる星、オリオン座。

「あった!あれがオリオン座やで、あれ・アレ。わかる?大きくチョンチョンチョンチョン・テンテンテン。へぇ…じゃぁあっちが東なんや…。」
「わかってなかったんか…東。」
だって私、東西南北がわかってなきゃなんないという必要性を感じるような生活してこなかったし。
「ぁあ~わかる。ほんまわかるなぁ、オリオン座って。」
「な?わかった??迷わないって、ゆぅた意味?アレとアレとアレで~…えーアレ?どれ?これ?ってならへんやろ?絶対に。」
「ならんな。」
「あのヘン、みといたらええってコトやな。…しっかし…横向きってシンドイなぁ…仰向けがイイから上みとこっかな。」
「意味ナイやんけっ」
「流れたら呼んでよ、横向くから。」
しばし待つも、なかなか流れん星。

「なぁ…来年もやってるんやろ?来年みーひん??だって私、明日は仕事やねん…」
「そうやな…来年もあるもんな…明日、朝練あるしなぁ…」
気弱になっているチョモと私に、ヘイポーが喝を入れる。
「そやってな『来年みよう』ってゆぅて来年もまた『来年にしよう』ってゆぅねん。ずっとゆぅて結局、あきらめるんやろ?」
「…ありえる。ありえるわ…てゆぅか、今日みーひんかったらもう次はないと思う、その通り。やっぱ今日あきらめんと、ねばろう。」
「そうやで。」
「ヘイポー、ええことゆぅた。」
「そうやろ?」
「ところで、アンタ何お願いすんの?」
「ボクは何も?」
「へ?バンバン流れるからひとつくらいお願いしたら?そのウチのどれかはうっかり叶いそうやで?」
「ボクはみるだけ。」
「みるだけ?」
「そう。コレみるのって自己満足やから。」
ええことも言うが、いらんことも言うヤツだな。

「あっ!流れた!みた?!」
「えっ?!そっちで?!真上やん。どこがオリオン座流星群やねん、オリオン座アッチやで?」
「この広い空でみれば『オリオン座の近く』てコトになるんぢゃないの?『近く』の範囲がでけぇな。田舎のお隣サン感覚やで。ちょっとお隣サンに行ってくるわ~、て徒歩30分。」
「見逃した…こんなにねばってたのに…」

私たちは2時間も寒空の下で仰向けになり、結果的に2個のオリオン座流星群を観察。2個では流星群とは言えないとチョモは残念がった。星空にバカバカ流れるものだと信じ星を眺めていた私たちは、目がおかしくなってきてこんな会話もした。

「あそこに小さい星が無数にあるやん?あれが流星群なんぢゃないかなぁ?なんか流れていってるように見えへん?」
「動いてるように見えるっちゃー見えるよなぁ…でもあんなにジワジワと流れるかぁ??あんなにゆっくり流れてんだったら、願い事、文章で3回言えるよ。アレなら、日時の指定も出来んで願い事。『11月19日は私の誕生日なんですがー、今年は家を買ってお金がないのでどうやら祝えないみたいでー、だから誕生日の午前中にサプライズ的な何かがあると非常に楽しい誕生日になるんですがー、そこんとこよろしく。』事情まで説明出来て、余裕で3回、言えるけど。それぢゃぁ流れてねぇだろ、星。」

「わ~、あれ?!あれが流れ星?!すんげぇチカチカしてんぢゃん。…あれぇ…ドコまで流れるつもりやろ…まだ流れてる…えらい流れて…伸びるねぇ…。」
「…飛行機やろ。」
「…さすが伊丹。…まぎらわしいんぢゃっ!」
「…わかるやろっ!!」
「…こんな夜中に、飛ぶか??」
「あの小ささならだいぶ遠くを飛行中やで。」
…国際線か。ファーストクラス用の最高級の酒なんか振舞われて今ごろ夢の中か…。庶民はえだ豆で小腹を満たして公園のド真ん中だゼ。さっき足を伸ばしてタンブラーこかしてコーヒーこぼして、慌てた。何してんだ、私。

流星群の流れ星は、そんなあやふやな流れ方、してなかった。
ピカーンと強烈な光を放ち、スっと流れる。
アレがオリオン座かなぁー…なんて言えないオリオン座を上回る、アレが流星群かなぁー…なんて言えない流れ星、それが流星群。群れてなかったけど。もうみたから、自己的に満足。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-25 22:20 | +朝臣寺+ | Comments(0)  

どの工程を便利にするか

たしかに
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ここまでは「あら便利」と思う
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しかし
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混ぜにくい
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-24 12:12 | +in the sky?+ | Comments(0)  

シブチン自由研究

「柿渋作りをしよう。」
「やればええやん。」
「手が2本ほど足らんねん。来年の夏休みの自由研究は保証すんで?撮った写真はあんたが使えるように消さずに保存しとくから。一緒に作業すれば工程は頭に入るやろ?レポートってのはその手順を書いたらええわけやん。なんやったらその後の変化も写真に残してもええで。1年がかりの自由研究となれば堂々と『研究』て言えるだけの価値はあるね。資料は完ペキで労力は半分。条件はイイと思うけど?」
「よしっ!やんでっはよっ!」
「え?!今?!今からって意味じゃないんやけど…昼からすれば…」
「ほらっ!今するって決めたら、今っ!!今じゃないともうやらへんっ!!」
「ええぇー…今はちょっとすることあんだけどなぁ…」
「僕だってすることあんねから。今じゃないともうせへんで。」
急にやる気を出してんぢゃねぇよ…。

私は2年間の「仕事は絶対やりません」期間で、自分が興味のあることは片っ端からやりまくりたいと思っている。今までだって趣味と呼べることは数々、手を出しては来たが、それでも手を出さなかったことのほうが多いのだ。「これにまで手を出してしまうとさすがに疎か度が基準値を超える」という自覚が一応はあって、針が振り切れるのは防ごうという気持ちでセーブはしていたのである。それが仕事という時間的な拘束から解放された今、もう何でもやっちゃえるような気分になってしまっているのである。何に興味を抱いても「今だったらやれる」と思えて仕方がない。ひとつのことに没頭すれば2年でモノになるかもしんないのに、アレもコレもと欲張って自己満足で終わるタイプだな、私。しかしだな、「なんでもやっちゃえるような気分」の時にホンマに「なんでもやっちゃった」て、これってのちの財産と言えるのではないだろうか。「やっちゃってる」今は財産と呼べるような程度のモノになっていないかもしれないが、後々「やったことがある」という事実が違う機会に私を助けないとも限らない。その機会がないと誰が言えよう。「経験」というものが視野を広げるきっかけになることもあるにはあるではないか。その経験は興味を持つことからスタートするのである。興味を持ったらまず行動、ひとを巻き込んででも即行動。

「ネットで調べたんやけどな?柿渋って、完成に1年はかかるみたい。」
「へ?!じゃぁ、今日作っても出来あがるんは1年後??」
「うーん…『熟成』みたいなコトやと思う。その進み具合によりけり。柿渋染ってのをすぐにやることも出来るけど、私の望む『深み』みたいなもんを求めるなら、2年後と考えて正解や思うわ。」
「なげぇー…」
「でも作業自体は今日ダケのコトやん。あとは待つだけやから。ひとつ問題なのは、柿渋液が出来てそれが熟成する時に『独特の匂いを放つ』ってコトやねんな…。それが『我慢出来るひとは出来る』みたいな表現やねん。まァ自然のものしか使ってないわけやから、化学薬品的な匂いになるわけじゃないってコトはわかるやん?でも私は『柿』があまり好きではないし、食べることも滅多にない。それでもし柿渋の熟成の匂いを『我慢出来ないひと』の部類に入った場合がなぁ…。熟成は進むわ匂いは我慢出来んわ部屋は狭いわ、となれば逃げ場は無く地獄の2年間、ということになるやんな。それが気がかりなコトなんだけど。」
「作ってみて、熟成してる時に『もう無理っ!』ておもたら、捨てるしかナイんちゃう?」
「それも考えたけど、それぢゃぁ一生懸命おじーちゃんちで柿を収穫してくれたヘイポーに申し訳ない。食べられもしない渋柿をこんなにたくさん集めてくれたんやもん。『渋柿ばっかりやったら可哀想やから甘柿も入れといたで』って。何個か甘柿も入ってるらしい…余計なコトしやがって。渋が必要やから『渋柿を集めて来て』って頼んだのに甘いの混じってんねて。しかもドレが甘いのかわからんのや…非常に困るぞ…。熟れてるのが甘柿やろうとは思うけど…。柿渋作りに使うから渋柿って説明したのに『柿渋』を知らんかったらしいねん。」
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「あいつ…『柿渋って何?』ってきーたらよかったのになァ…訊きもせず?」
「訊きもせず。」
おじーちゃんと渋柿をもいでいて「なんでママは渋柿が欲しいって?」と訊くおじーちゃんに「何か作るらしい」と説明。おじーちゃんが「あぁ、じゃぁ干し柿にするんやろ。干し柿は時間がかかるからすぐには食べられへんねんで?ほんなら、甘柿も入れといたらえんちゃうか?甘柿ならそのまま食べられるから。」と提案したので「そうやな。甘柿も取って入れといてあげような。」と入れといてあげたらしい。ソコで「柿渋を作るらしいよ?」と「柿渋」というキーワードが出ていたら、おじーちゃんだって「柿渋を作るんかぁ…じゃぁ渋の強い熟れてない渋柿が要るんやな?よっしゃ。」とカタイカタイ渋柿をチョイスしてくれたろうにねぇ。オマエが知らなくてもおじーちゃんなら知ってたのにねぇ…「柿渋」って単語さえ出てりゃぁな。
「ところで『柿渋』ってナニ??」
オマエもかっ!
「だいたいは話しの流れでつかんでるものと思ってたけど、オマエはひょっとしてアホか?」
「ジョーダンやがな、ジョーダン。」
「…ったく…。」
「ジュースやろ?」
罰ゲームか。オマエは出来たてホヤホヤを飲み干すか?渋いぞ。
「柿渋は自然塗料です。だけに留まらず、漢方薬として塗り薬として、その用途は様々でございますが~私が柿渋を作る目的は、番台に塗ってみたいから。この番台に一番合うと思う塗料が柿渋に思えるのよ。作った時の量の3分の1になると考えても十分、余ると思うから、レポートにその用途について調べた項目をつける、そんでアンタはこれでうちわでも作って『柿渋作品』として提出すればもうカンペキなわけ。番傘あるやろ?紙の傘。あれにたしか柿渋が使われてた思うで。布とか紙とかの補強剤として使われてんねん、柿渋って。防水・防腐・防虫効果アリ。番台にとってこれ以上の塗料は無いと思う。白木用のワックスも考えたけど、たぶん相性が悪いし金もかかるやん?柿渋なら手間こそかかるが、タダやからな。」
「…はぁ…よ~するにウチが貧乏ってことやんけ、それ。」
ネガティブシンキングだな、チョモ。「経験の回数を積むことにチャレンジしやすい境遇」という言い方にしろ。「自らやることに適した環境」でもいいぞ。経験の時間を惜しむでない。
「…はぁ…しくだい…あんのに…」
これもしくだいを片付けてんだよ、来年の夏の。
「とっととヤれよ。」
「…はぁ~もぉ~…」

「シブ、落ちひんやろから手袋したほうがええで。」
「コレ、甘柿かなぁ?熟れてるの。」
「切って、舐めて、確かめてみて?」
「はぁ?舐めるん??」
「じゃぁ他にどやって確かめんねん?」
「まぅが確かめぇや。」
「ヤだよ、シブいから。」
「甘柿やったらシブくないやん。」
「なおさらヤだよ、甘柿は好きぢゃないのに。アンタ食べられるんやからイイぢゃん。」
「あー…まぁ…甘柿ならなぁ…」
ペロ・ペロ。
「シブっ!!か~っ…シブっ!!!」
「どんなシブさ?」
「耐えられんっ!」
「そんなに?これだけオレンジ色してんのにそんなにシブいの?」
「かぁ~っ!!シブシブシブシブっ!!まぅも舐めてみたらわかるわっ!!!」
甘いのと渋いのと、どっちになら耐えられるか…後者だな。甘いと思って甘柿を食べての後悔と、渋いと思って渋柿を食べての後悔、どっちの後悔が私にとってアキラメのつく後悔であろう…後者か。ペロ・ペロ。
「どぅわぁ~~~っ!シっっっブっ!!」
「な?」
「キョーーーーレツにシブいなっ!さすが未熟ってカンジのシブさ。オレンジ色のくせして見せかけかよ…ぁあ~シブっ!!」
身震いのするシブさ。舐めなきゃよかった…この後悔、アキラメつかねぇ…。
「もう甘柿の確認せんでええで。この色でこんだけシブかったらもう十分な渋がとれる。全て砕くから種取りやって。」

皮ごと切って、種を取り除く。
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「おっ!なんかコレ、甘柿っぽいカンジすんで?」
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ペロ・ペロ。
「だぁ~っ!シブいぃ~~~~~っ!!」
「全部が十分シブいってゆぅたやろ…アホちゃうか。」
「だってぇ…切ってみたら甘柿っぽかってんもん…」
「渋いってば。たとえ甘柿でも熟れてぇへん。」

しかし何度ゆぅても、つい魔が差して舐めてしまうチョモ。
「か~っ!!シっブっ!!」
「…だからよ…何で確かめんねん…」
「だってぇ…切ってみたらおいしそうなカンジが…」
「何回ダマされとんねん…渋いって気付けよそろそろ…」

「うぉーーーーっシブいっっっ!!」
「またか…」
「これは甘柿やと…シブシブシブシブっ…」
「アホか。」

「はぁーーーー…シブーーーーい…」
「もうオマエ全部、舐めろよ…。言うけど、全部、シブいから。わかった?」

「おっ?コレは甘いんちゃうか??…シブっ!!!!!ホンマに甘柿、入ってんのかよもぉぉおおぉおおぉおお!!」
「全部、シブい柿。甘柿っていう種類のシブい柿なら入ってるけど。」

「まぅ!!コレは今度こそ甘柿かもっ!!」
「やめとけ。シブいで。」
「いやいやいや?ほら、このカンジ!これは甘いんちゃう?!」
「わからんヤツやな、舐めてみれば?100%シブいから。」
「…いくで?…ホンマ、いくで??」
「いけよ。」
「がぁああああ!!シブっっっ!!」
「わかってたけど。」
「なんか…舌がおかしくなってきた…」
耐水性が出てうがいごときではシブが取れなくなったんだろ。防水・防腐・防虫加工がされたんぢゃないか?
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シブだらけの柿を水とともにミキサーでガ~~~。
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それを布巾で絞ってビンにためる。
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和紙でフタをして暗所で2年。
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深みのある自然塗料『柿渋』のシブさは舐めて確認できやしないだろうが、チョモならしつこく舐めそうだ。
自由研究のタイトルは『シブチン自由研究』でどうだろうか。
『シブチン』とは関西弁では単なる『ケチ』という意味ではない。金を出すべきところでも決して出さないという『ドケチ』のことである。相当しつこいケチなのだ。
レポートの最後に柿渋のシブさは舐めて確認したと特筆すべきだな。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-24 00:55 | +mender!+ | Comments(0)  

貸出カード

私が小学生の頃の学校の図書室の貸出方式は「手書き申告制」であった。たしか市の図書館でも同じようなやりかただったように思う。今ではバーコードでピっとやって、貸出カードを持っているのは人間のほうだけだが、手書き申告制の貸出カードは、本も裏表紙の内側にカードを持っていて、本のカードに自分の名前と年月日などを書く、自分のカードには本の名前と年月日を書く。二つをセットにして「日付の箱」みたいなものに入れると、そのカードは私が本を返却するまで仲睦まじくクリップで留められたまま借りた日付の箱の中で眠っているのである。本の裏表紙のカード入れには年月日だけを書く欄があって、最後に書かれてある日付が自分の借りた日付なので、これを目安に「そろそろ返す日が近づいている」ということを知るようになっていたと思う。これが、読みたい本があるというわけではないのだけど…とヒマ潰しで図書室に行った時「これにしよう」と思うポイントになることもあった。カード入れの最後の年月日を見てあまりに古いと「3年も誰にも読まれてないのか…読もう。」と思ったり、最後に借りられた日付になんか心当たりがあると思って借りると、身内の誕生日だったりした。

この手作業の貸出カードには「この本を借りた」という歴代の氏名が当然、早い順から書かれてあるわけだが、私はそのカードに見知った名前をみつけたことはあまりなかった。なぜなら、私がひとつの小学校に居たのが長くても2年間だけだからである。転校生というのは当たり前だけれど、転校初日には友達がいない。昼休みには「図書室どこ?」と訊いて、しばらくの期間は図書室に逃げ込んでいた。何から逃げるって質問から逃げるんである。休み時間ごとに転校生はいろいろと質問されるもので、初日の給食準備の頃ともなれば「転校生見物ツアー」が激安パックで出発時間とあいなり、担任は「自分のクラスに戻りなさーい」と廊下でUターンさせる事態となる。小学校入学から「転校生」で始まった私の小学生時代は、とにかく図書室に潜伏することが基本中の基本であったわけだ。
給食を食べ終わる頃に図書室を訊いて「図書室まで連れてってあげる~」となっても、当時の図書室の中は「私語厳禁」というルールがあり、ここで何かの質問をされる心配はなかったのである。

その「手書き申告制」のカードの時に、クラスメイトの中でもまだ顔と名前を覚えていない女の子に「この本、読んだよね?」と訊かれたことがあった。本のカードに私の名前が書いてあったと言う。私が先に読んだのでカードに名前があり、彼女が借りる時に「転校生の名前だ」と気付いたらしい。ずーっと話しかけようと思っていたが何て話しかけようかなぁと思っていて、そしたら自分が借りようとした本に転校生の名前があった、そこで読んでから本のことを話題に話し掛けてみようと思いついた、と言った。そんなことを考えなくても…というようなことを言ったと思うが、彼女はクラスで質問攻めにあっている私を遠巻きに見ながらその表情に「困っている感」を察し、「だって図書室に逃げてたじゃん」と見抜いていた。私は、6年生で最後の転校をしたその時「質問攻め」経験を4回も繰り返しており、血液型を言い誕生日を告げ観ているTV番組を挙げ家の場所を説明するのが、いいかげん億劫になっていた。とくに「勉強がどのくらい出来るか」と「スポーツがどのくらい出来るか」というのが当時の小学生の「転校生調査対象」としてクラスメイトからいちばん厳しくチェックされる項目であった。これにはある程度のデータというものが必要で、身辺調査は一日やそこらでは終わらない。逃げたくも、なるでしょーが。

彼女は予定通り「本の話題」で会話を進めた。私は読んだその本の内容が思い出せず「どんなハナシだったっけ~」と訊いた。彼女が登場人物を次々に登場させて物語るうちに私も思い出して「そやった・そやった~」となったのだが、本の内容説明が完了すると、彼女がこう訊いた。
「どのひとが一番、好き?」
登場人物の中で、どのひとが好きか。ううーーーん…と登場人物の性格などを思い出して私は登場人物の名前ではなく、容姿で答えたのだ。
「やっぱあのおじぃさんかなぁ…ちょっと太ってて緑のズボンの。」
「緑のズボンて?」
私は彼女に「ほら、ドコドコの場面で出てきた…」とおじぃさんが言ったセリフやその活躍について説明した。すると彼女はその登場人物を「ダレダレのおじぃさんで名前はダレソレ、ナニナニをドレドレしてた人でしょ?」と当ててキた。「そ~そ~そ~そ~!」とビンゴ~に喜んだ私に、彼女はその後の私の読書人生を変えてしまう衝撃的な発言をしたのである。
「ダレソレおじぃさんって、緑のズボンはいてるて書いてた?」
「書いてたかどうかは忘れたけど…絵では緑のズボンだよね?」
「絵…あった?」
「…へ?!…絵ならいっぱい…。」
彼女が今日、返却する予定であるその本をパラパラめくって、私は愕然としたのを覚えている。挿絵など、いっぱいどころかひとつもなかったのだ。私には「ウソぉ~ん?!」という気持ちしかなく、返却期限がまだあったので彼女からその本を一日ほど又借りしたが、その本にはおじぃさんが小太りであることも緑のズボンを穿いていることも書かれてはいなかった。おじぃさんの容姿について触れている文章は一切ない。私は、勝手におじぃさんをメタボ体型にし緑色のズボンを穿かせていた上に、本の挿絵でそれを見たと信じて疑わなかったんである。

当時、私はこの事実にかなりのショックを受けた。今まで私が読んできた数々の物語、挿絵で見てきた主人公たちは、もしかして絵で見たわけではないんぢゃないか。シンデレラが着ていたパフスリーブの水色のドレス、人魚姫の裸の上半身に首からさがる真珠のネックレス、太陽に照らされて男が脱いだ焦げ茶色の外套、落ちこぼれの魔女のボロボロの黒いマントとボサボサの長い髪。最後に咲いた花壇のチューリップはピンクだったのに…それらはすべて、挿絵では見ていないのではないか。
この衝撃の体験は、その後の私の読書を大きく変えた。
「知る」ということが、想像の産物を「消す」ことになったのだ。私は、文だけで書かれた物語の登場人物をそれ以降、具体的に想像しなくなったのである。「おばぁさん」が出てくれば普遍的な「おばぁさん」が出てくるだけである。おばぁさんの腰が曲がっていると書かれていなければ、私の中の「おばぁさん」の腰は、勝手には曲がらなくなった。主人公の性格がどんなによくてもキレイな話し方をしても、文章に「絶世の美女」であるという容姿の記述がない限り、主人公の外見はだいたい「まぁまぁ」である。女性がタバコに火をつけた時だけ、とくに書いていなくても女性の指と爪は長くなる。その爪が真っ赤に塗られているかいないかが唯一、あれほど勝手につけてきた「色」が残る部分だと思う。赤い爪の女の性格は、極めて悪いのが相場だ。

「知って」しまっては「想像の自由」が制限されるのだ。場合によっては「かき消される」ことにもなる。
このことが裏付けられる出来事がのちに、もう一度あった。「ちびまる子ちゃん」のTVアニメ化である。私は先にコミックで「ちびまる子ちゃん」を読んでいた。りぼん・なかよし・少コミ・別マ、は部室に持ち込まれる少女マンガ誌の代表格であり、「ヒマ潰しのコミック」を読んでいた少女たちは、高校受験を意識し始める頃くらいから「息抜きのティーンズハート」へと心変わりする。少女はそうやって大人になってゆくんであるが、これがどーしてライトノベルを読みながら「ちびまる子ちゃん」も読んぢゃってたの、私。
その時、知らず知らずのうちに「まる子」のアテレコを想像でやっていたようである。アニメの「まる子」の声を聴いた時、「うぉおぉおおおぉおお~まる子の声がちが~~~~~うっ!」とショックを受けた。「ちが~~~~~うっ」と思うということは、「声」を与えていたのだ、コミックの中の「まる子」に。私はまたも勝手なことを…。見てもいない挿絵を見、聴きもしていない声を聴く、私…アブネーかも~。
この「まる子事件」には続きがあるのだが、アニメの「まる子」の声をひとたび聴いてしまってからというもの、今までコミックの「まる子」にお供えしていた「私のまる子の声」が跡形もなく消えてしまったんである。「こんな声ではない」という感覚は覚えているのだが、どんな声だったのか…と思い起こしても「その声を思い出す」ということが不可能なのである。これにはただただ驚いた。コミックを読んだ時に今まで「まる子」が発していた声、それが全てアニメの「TARAKO」の声へと摩り替わっているのである。「いや違う…前に読んだ時のまる子はこの声じゃなかった…」そう思うのに、じゃぁ前の声に戻してセリフを言わせることが出来るかっつったら、完全に無理なんである。友蔵も泣くほどの「ワシのまる子やー…」現象である。

さて、あなたが見ている挿絵、聴いている声は、想像の産物ではないですか?
アヤシイかなぁ~と思うような身に覚えがあるのなら、「想像の産物かどうか」と確認することは、是非とも怠りましょう。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-23 22:02 | +ミルニング+ | Comments(0)  

チマリ~ノ

出掛けていて帰宅したら玄関横のロッカーの上に黒豆が届いていた。
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16時に来たという書き置き。実家から届いた『丹波の黒豆』である。早速、お礼の電話を入れる。「宮崎にも送ってあげぇ~」「はいどうもありがとうございます~」と電話が終わり箱ごと、とりあえず、玄関のタタキに入れる。とりあえず、写メを撮る。とりあえず、メールする。

枝つきのまま送ったら、怒るよね?

キツいってサ…。だーよーねー。
えだまめの中ではやっぱ黒豆が最高だよね。ふっくらもちもち大きくて。しか~し、旬な味はおいしいだけに面倒なのだ。
「さぁ…やるか…。」
ただでさえ狭いダイドコに、箱ごと入れて新聞敷いてアグラをかいて座り込むと、もう何人たりとも入れない。ダイドコにハサミの音がこだまする。パチン・パチン・パチン…。
「はぁ~~~~~~あきてきた…。ヘイポー♪ヘイポーヘイポー、ちょっときて~♪」
「何?」
「きっとヘイポーに向いてるよ、キングオブチマチマ。」
「何よ?キングオブチマチマって…」
「チマチマ作業の中の最高のチマチマ、キングオブチマチマ作業をご提供。アンタならこれにやりがいを感じることが出来ると思う。」
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これを
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この状態にする
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ヘイポーが。

しかもこれだけでは終わらないのが、旬をおいしくいただくコツである。
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最高の味わいにするためのひと手間。
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こうすることで、塩で茹でた時に「黒豆のえだまめ」が最高の味を醸し出すのだ。

「あ~…なんか…あきてきた…」
「ちょっとぉ…アンタがあきたら誰がすんのよ…アンタしか適任者はおらんのやから…」
「ほら、みて。ダブル豆しば、作ってみた。」
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「こら、遊ぶな。」
「遊びながらやるのが楽しくなるコツやで。」
知っとるわい、でも今はそんな余裕はないの。だってもう眠りたいから。
「ここに置いとこ~っと。」
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「ソレって捨ててんぢゃないの?」
「いや?置いてる。」
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豆しば、ゴミ扱い。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-21 16:08 | +mender!+ | Comments(0)  

アキナイマチ

最近じわじわと実感しているが私は、伊丹というマチが好きだ。今まで住んできたマチも嫌いだと思ったことはないが、好きだと思えるほど長く居ついたことがなかった。7年という歳月が伊丹の悪いところもひっくるめて「好き」と思えるに足る時間なのかもしれない。傘や自転車や鉢植えなどが見事に盗まれるが、人々は程よく穏やかで程よく干渉しせず程よく、奇妙。定期的に変質者が現れ「お触れ書きかっ」といった古風な文面の注意を促す文書がポストインされる。手配りでインされる宣伝チラシは、まるで「突っ込んで」と言っているような手書き調。マチをフラつくと誤字・脱字を気にしない大らかな看板が立ちそびえ、水道局は「通り抜けできます」とわざわざ敷地内を通り抜け出来る事を道しるべ付きの看板で教えてくれる。マチの所々に「何かの間違いじゃないのか…」と思わせるポイントがある「ジョーダンのマチ伊丹」。不思議なマチなので7年経っても飽きないのだ。

運動会延期の代休、月曜日。ヘイポーと夕方までゆったりブラつこうかということで朝昼食のモーニングでえらいゆったりガストに居座ったあと、これといって目的もなく「買いそびれ」ているチョモの「部屋着のようなパジャマのような服」を、セール中のイオンモールで探す。なかなかサイズが見つからないので「買いそびれ」ているのである。ジャージでいんぢゃねぇかと思いジャージをみると、吊ってあるジャージに大ぶりの鈴が付いている。リンリンリ~ン。
「ナイキのジャージって、鈴のおまけ付きなん?…いらんけど。」
なんて言いながらサイズを探していると、アディダスのジャージに鈴は付いていない。
「お~…考えたなぁ…鈴ならタグなんかよりずっとコストダウン出来てしかも効果的なカンジするもんなァ。…アディダスは不人気か。…ちゃっかり選り好みすんのか…。」
万引き防止の鈴であるらしい。アイデア勝ち。タグつけて出入り口にセンサー置いて、どんくらい費用がかかるかは知らないけど、鈴って100円でも5~6個は入ってるし、大量購入するならもっとお得に買えると思う。それにセンサーを通過すると鳴るんぢゃなくて、もう商品に触れた時から鳴ってるもんね。番犬が家の前通り過ぎただけでワンワン吠えると泥棒だって入る気なくすのと同じ心理で、パクろうかと思う気を殺ぐなコリャ。うまいなァ~ってか天才だなァ。最新防犯設備よりよっぽど安くてよっぽどキくんぢゃないかな~。「万引きするのを防ぐ」ぢゃ遅いもんね、テキはそれぢゃぁもう「万引きする気」を持っちゃってる。だから「鈴」ってのは気が利いてる。「万引きする気」を持たせなかったら実行のしようがないからね。腐った根性は根から断つ、鈴で。勇気リンリン♪アンパ~~~~ンチっ!腐った根性と言えばたった今、ウチにイタズラ電話がかかってきた。鳴って立ち上がってディスプレイを見ると非通知であったので勧誘か何かだと取らずにいたら、あきらめずに鳴り続ける。取ってみればかなりの雑音の中から男が蚊の鳴く声で「あのぅ…あの…」と言っている。せっかく集中してリズムよくタイピングしとったのにこの張合いもクソもない態度よ、私の楽しいリズムを邪魔しさらしたなこの野郎…とほんのちょっとだけキレて「もしもしぃ~?」と顎をしゃくらせて喰いついた。
「あのぅ…ボクぅ…ちょっと…聞いてほしんですけど…」
聞いて欲しいなら番号を通知しろ卑怯者め。通知したところで私の対応にブレはないが。
「ぁあ?もしもしぃ?どちらにおかけですかぁ?」
「あ…あのぅ…あの聞いてほしいん…」
「ぅあ?ど・ち・ら・に・お・か・け・で・す・かぁ?
「そのぉ…」
「ど・ち・ら・に・お・か・け・で・す・かぁあ?」
「き…きぃて…ほしい…」
「はぁ?ど・ち・ら・に・お・か・け・で・す・かぁ?
てめぇダレのナニの時間を妨げてると思ってんだよ許さねぇぞ。
「あ…あの…き…きぃ…」
「ぁあ?ど・ち・ら・に・お・か・け・で・す・かああああ?どの番号のダレにかけとんやぁ、ゆ・う・と・ん・ね・ん?ぅあ?」
「あの…番号は…適当に押した番号に…かけているんで…」
「アホかオマエはっ!
 テキトーなことすなっ!!」

切ボタン、プチ。
テキトーな番号にかけて話しを聞いてもらおうなんざ腐った根性、アンパ~~~~ンチ!電話リンリンリリン、アホパ~~~~ンチ!!

メンズのSサイズというなかなか無いサイズを求め、私たちはショピデに移動。する間に、関係車両以外の車が入れない「やや歩行者天国」の歩道に、ボーっとしてると時々チャリに轢かれそうになるやや地獄の歩行者天国に、青空の下プラスチックケースを重ねて置いてあるテーブルの横で、折りたたみ椅子に腰かけたニィチャンが、無言で何かを売っている。
「何かを…売ってるんだろうねぇ…」
とヘイポーと呟き合いながら歩を進め顔だけをニィチャンのほうに向けると、無言のニィチャンがやおら小声で叩き売り。
「ね、5つで500円でね。お得ですよ、通常1個130円カラなんでね。どれでも500円、ね。抹茶・チョコ・スィートポテト…ね。」
ね・ね・ね、てね。話しかけている風だけど誰も聞いちゃいない。
「なぁ…誰に言ってるんだと思う?周りにかな?それとも、私たちに説明してると思う?」
「僕たちかなぁ…?」
まぁまぁの幅がある道の向こう端とこっち端の位置関係なんだから、ニィチャン私たちに売る気ならまず何売ってるかを言わなきゃツカミに失敗だし、声、聞こえねぇ~…。私たちはニィチャンを半分通り過ぎてからノボリに気がついた。
「おっヘイポー!白いタイヤキやん。おやつ、白いタイヤキでよくない?」
「あぁ~行ってみよっか~」
威勢のないニィチャンは、5個セットになっているいろいろな味の白いタイヤキの、どれが値段的に一番お得なセットかを説明。「どの味が好きか」という所に売り上げの極意を見ていないようである。単価の高い味のセットが一番トクなので「これ、イきましょか。」とやっと聞こえる声で推す。
「黒あん・白あん、いらない。抹茶・チョコ・スィートポテト、のセットはないの?」
だって食べられなかったらいくら単価が高くても、得ぢゃなくてそれは酷。
「ないですねぇ…」
「あぁじゃぁ、さっきのでいいや。スィートポテト3つとチョコのやつにします。」
「あっはい!コレですね!ありがとうございますっ!!」
無いなら買わないと思ったのか、買うと申し出た私にニィチャン、驚く。
「こ、こちらですね、はい!ありがとうございます、助かりますっ!!」
えっ?!助かります?!いえいえいいえ、おやつ買ったダケでワタクシ、人助けをした覚えは…。ニィチャンは、私たちの背中にまで「ありがとうございます!」を浴びせるほど、助かったようであった。タイヤキ…海に逃げ出すトコだったのか。おなかのチョコレートが重いけど海は広いぜ心が、は・ず・む♪伊丹からだと2時間ばかしかかるで、海。
「…助かります!…て…言い過ぎぢゃない??」
ヘイポーは率直な感想を述べた。
「…なにもそこまでぢゃ…ナイよなぁ…??」
おやつにタイヤキ、というのが好きなヘイポーは月曜日の10%OFFを狙ってタイヤキを買うことがあるが、そこで「助かります」と言われたことはなく、逆に心の中で言っている「いつもは100円だけど月曜日は90円で助かります」と。なにもそこまでぢゃないので声にはしていないが。
「あのニィチャン、あの売上だけで喰うていってんのかなぁ…。『500円あれば夕食代は確保できた…助かります。』の、助かります??これ1パック売ったことが、そんなに助かることだったのかなぁ…。」
原価分差し引いていくら残ると言うのだ。商売っつぅのはキビシーのぅ。
「やっとひとつ売れたんちゃう…?…でも…大袈裟ぢゃない?めっちゃ。」
「確かに『助かります』は大袈裟よなぁ…むっさ。」

ショピデに向かった目的のひとつは『メイト』。ここは、『ファッション界の激安王ヘイワ堂』や『地域で一番安い店と言われ続けるためにオンセンド』のようなキャッチコピーのある店頭せり売り方式採用の店を「衣料品」にだけ絞ってちょっと「アパレル感」を出した店である。ヘイワ堂やオンセンドのようなせせこましさは無いが、リアルクローズユニクロやファストファッションH&Mほどの規模も無い。『アウトレット呉服店』とでも分類しようか「まずまず」つーか「ベター」つーか、個人的には「やれやれ」な店なんである。まァ安くてそれなりの質でまずまずの買い物が出来るのではあるが、接客が「やれやれ」。伊丹に住み着いて7年、メイトでの買い物は度重なるが、その接客の「やれやれ」加減はちっとも変わらない。従業員のおっちゃんを含む数居るおばちゃま販売レディたちも「褒めちぎり営業」の姿勢をしつこいまでに貫くのである。横に付く速さは宝石店のスタッフもビックリの音速。その速さの単位はもはや「秒」ではない。違う売り場に居る段階で既に「こちらのレディス衣料もね、ごらんくださいね、お寄りくださいね。」と誘ってくるのであるから、もうグイグイ。トイレに行くのに歩いていて目が合ってしまったら「いらっしゃいませ」と言われてしまうのだ。いらっしゃってねぇーよ、出しに行く途中だっつーの。とにかく『メイト』の従業員一同、片時もそっとしといてはくれないのだ。商品を手に取らないうちから商品の素晴らしさを売り込み、反応をせずにサイズや値段やドコ製かをチェックしていると、矢継ぎ早にフレーズトーク。「ジャケットですか?」「値段ですか?」「色ですか?」「サイズですか?」「普段のサイズは何を?」「ウエストは?」「身長は?」「コレですか?」「アレですか?」「ドレですか?」「取りましょうか?」「出しましょうか?」「鏡はこちらです」「こちらはジーンズです」「ワンピースもありますよ」「この値段ではなかなかありませんよ」…わしゃ、どれにどんだけ答えたらええねや?
ひとたび試着でもしようものなら、とにかく褒めちぎり。
「まぁ似合ってますよ」「カッコいい」「スタイルいいわ」「とてもオシャレ~」「これも似合ってますよ細いから」「それも似合いますねぇ足が長いから」「どっちでも合うわキレイだから」「あれも着てみます?」「イイですね似合ってますよ個性的」「この色も似合ってますステキだわ」「何を着ても似合いそうね」…わしゃマネキンか。ヘイポーと一緒だった今回はこの褒めちぎりに新たなフレーズが追加された。「お子さん?お母さんには見えないわ」いやいやいやヘイポーを連れていて母親に見えなかったら私は重大な罪を犯している、それは誘拐だ。朝、家主さんに「何年生になったんや?」と声を掛けられ「6年…」と答えた発音に難のあるヘイポーは「そうか~3年か~」と半分減らされていた。「運動会なぁ~ワシ、老人会のやつで見に行っとったんやでぇ~。」と言う家主さんに「ウチのコ6年生なんで、最後に組体操やってました。」とさりげなく12才アピールをしておいた。ヘイポーと私の見た目の年齢差は「友達」を超えている、親子でなければ誘拐でもしてなきゃ連れて歩けんぞな。

ベストオブメイトスタッフであるおっちゃんは、いつ行っても私のコトが記憶にござらんようで、私がこの激安さを見て驚きを隠せないはぢめての客だとでも言いたげに「安いで、しょ?」とか「イイで、しょ?」ゆぅて独自のイントネーションでもってメイトブランドを絶賛するのである。そのイントネーションが実演販売のひとに近い言い方であることも商品が安いことも、私は行く前から心得ていて、隠せる驚きがもう尽きているくらいなのだ。
「メイトなぁ…安くてええし買う気もあんねけど…しつけぇんだよなぁ…営業が。」
とても言葉は悪いが、本当に「しつけぇ」のだ。そのしつこさに、きっと悪気はない。それはわかるのだが、自分ひとりで吟味したい時に、半歩動けば「ステキで、しょ?」半身ひねれば「安いで、しょ?」右肩下げれば「それもイイで、しょ?」と言われてみたんさい?しつけぇよ、たいがいに。落ち着かねぇよ。アクビをしたら「眠いで、しょ?」とか言いかねない。
「いらっしゃいスタイル抜群だねこんにちは~」からはぢまるおっちゃんのマシンガンフレーズトークは、心も悪意もこもってはいないが配慮も遠慮もないノイズである。「着てみて着てみてまァかわいい」「羽織って羽織って似合ってる」「色もイイでしょ安いでしょ」「そちらも安いよトクねお得」フレーズのレパートリーは数限りなし。手に取る商品が変わる度に合いの手も入れる。「イイね~」「あ~イイねぇ~」「それもイイね~」「う~んイイね~」「あれもイイよ~」脱がせるカメラマンばりの「イイ」の入れ方。なんせ脱がせて試着させるのが目的だから。「足みぢかいからやめときな」とか「着ているあなたが不良品」とかのフレーズを言われているわけではないので、気ぃを悪くするでもないのだが、とにかく「いちいち合いの手を入れいでも…しつけぇよぉ…」と精神的に通常の買い物の5倍は疲れるのだ。メイト界に足を踏み入れる者は、強靭な精神力と右から左へと抜ける風通しのよい耳が要る。

ショピデのエスカレーターを降りてゆくと、フロアでバルーンパフォーマーを見かけた。小学生らしき児童2名を相手に風船で作った剣で格闘したのだろう、和解を求めてか話し合いの最中。私たちは下りのエスカレーター前でその模様を見てからエスカレーターで下りつつ様子をうかがった。示談になり児童は散る。するとバルーンパフォーマー、ヘイポーに向かって「風船あげるよ~ぉ♪」。パフォーマーが振りかざしたバルーンソードはクネクネにくびれ鋭さは無く戦い敗れた感があったので、自動ドアをカメハメ波で開けるという技が使えるヘイポーは「えー…」と「欲しくない声」がつい漏れてしまった。いつもチョモのおさがりで新品にありつけないヘイポーに私はついさっき、2~3年前からヘイポー御所望の「マント」を買ってあげたばかりである。ワゴンセールで2990円。
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白黒をはっきりさせないグレーな魔法が炸裂すること請け合い。バルーンソードなんてなくったって、きっと空も飛べるはず。しかしこの「いらない」のサイン「えー…」を、「欲しいのに…エスカレーターが自動的に僕を階下へ運んでる…」と残念の「えー…」に受け取ったパフォーマーは、こう叫んだ。
「戻っておいで♪」
これには私が「えーーーーっ?!」と言った。だって下ったすぐ左に出口があるのに、わざわざ半周して上りのエスカレーターまで戻れって?!
「戻れって…あのニィチャン戻れって言ったよ…ヘイポー…私たちこれから自転車に乗って帰らなきゃなんないのに…戻れってヒドいよ…戻っておいでって…そんなこと求められても困っちゃうよ…」
ゆっくり帰るから30分もかかるのにヒドいよ…。
「まぅ、戻らなくてええで。僕、そんな戻ってまで欲しいと思うような小さい子供ぢゃないから。」
そうだよな、見た目で判断して失礼なニィチャンだよね。小さいけど、半年もすりゃぁ中学生やっちゅーねん、風船が欲しい年齢ぢゃないよなヘイポー!…マント買ったらウキャウキャ喜んでたけどねぇ、ちみ。
「それにあの風船、戻る価値はない。」
オマエが失礼だな。
私はもっと大人の見方が出来るぞ。平日で子供も大勢は集まらないような昼間に次々と新しい作品を作り出すような無駄なコストはかけてらんないの。売上促進のためのパフォーマンスなんだから、夕食の買い物に来たオカンにくっついてる幼児に向けてのパフォーマンスに力を入れたいんだからな、クビれソード一本で3時間は凌ぐのサ。…あ…失礼かな私…つい…大人の本音が…。
「そうやな…戻らんとこな。材料があれば自分で作れるわけだしね。」
「え?まぅ、作れるん?」
「作ってやっただろー、小さい時に。いぬ~とか、ライオン~とか、ウサギ~とか。3本くらい割りながら作ったぢゃん。今さら作る気はないけど作り方なら知ってるよ…」
「作れるんやー…」
覚えてねぇのか…ちょっとした大道芸人みたいなコトは一通りやったぞ、コインも消せる。どうだ、オマエのカメハメ波よりスゲェだろぉ??米に絵だって描けるゼ。ライスドラゴンボール作ってあげようか?7粒集めたらデンプンがとれるゾ。

ちょっと出歩いただけで、こんなにも不思議に出くわすマチ。
…あきねぇなぁ。
「もぅ…ちょいと歩けばネタ増えて…書くこと山ほどたまっちゃうぢゃん…もぅ…イヤんなっちゃ~う。」
「まぅ…書かんかったらええねん、イヤやったら。」
「そんなもったいないこと出来るかっ!イヤぢゃない。ほんとはイヤぢゃないの、ウソついた。イヤぢゃないのにイヤってゆっちゃったー。あぁもったいない・もったいない。」
ナニがもったいないんだろう一体…。

ちょいと歩けばソコここで オモロ~アキナイマチ伊丹 誰かが書かなきゃもったいない 書けよカケカケ誰か書け 脚色せずともママいける 私はおヒマな伊丹市民 コレが書かずにいらりょうか ベベン

…あきねぇなぁ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-21 11:12 | +朝臣寺+ | Comments(0)