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前科一犯

我が職場は身分証が要る。それは、しかるべき手続きを経て取得する写真付きのパスである。これには更新する時期というのがありその時期にあたったので先月、私はパスの更新を行った。
私が、仕事上で「なんだかなぁ」と思っていたのは、警備のひとにパスを見せると5回に4回は顔をじっくり確認されることであった。それほど、パスの写真の自分と今の自分が違うということであろう。時には本当にまじまじと照合されることもあり、そういう朝を迎えた日にはオーナーに、
「私…ブラックリストにでも…載ってんちゃいますやろか…」
と言って気落ちした。オーナーは、見せてごらん?と私のパスを見、大笑いで答えた。
「べ~つじんっ!これは別人やわ~っ」
常連のお客さんも言わはった。
「うう~ん、詐欺やなこれは。」

そう、心当たりはいっぱいあるのだ。
私、ナキヒーの担任に銀行の前でお会いして「せんせ~いっ」て近づいて行ったら「へ?」と言われ、3年も付き合いのある知人にかかりつけでおぅて「こんばんは。もしかして、インフルエンザ?」と声を掛けたら「ええっと…すいません、誰でしたっけ?」と言われ、自転車で走っていたら友人とすれ違ったんで「お~っ!バイバ~イっ!」と挨拶したら何も返って来ず、おかしいな、と思って何回か互いに振り返りつつ、友人がかなり行って道を曲がる手前で「えぇ~?まぅちゃぁああぁあああん??」と叫ぶので、もう既に右に曲がって姿の見えない友人に「今かよぉおぉぉおおおおおおおっ!!」と突っ込んだ。そのくらい、音声アリ表情アリですら気付いてもらえない、印象の薄い人間なんである。指名手配犯になっても見つからんのちゃうか、くらいに思えてきた。やや無表情のパスの写真で、気付いてもらおうというのが甘いんだろうな。

しかし私は今回の写真撮影では「別人撤回会議」をオーナーと開いていた。前もって「明日、写真を撮りますからね。」とオーナーが言い、「今度のパスでは別人にならないように、いつものまぅちゃんのイメージで。お化粧もね。」とアドバイス。その時々でメイクや髪型を変える私は何度か「今日のこのメイク、いつもの私っぽいですか?」「この髪型、いつもの私っぽいですか?」とオーナーにお伺いを立て、「今日のはアカンわ、まぅちゃんぽくないわ。」「今日のは普通、普通よ、まぅちゃんぽいわ。」と参考データを集め、マスターによる写真撮影を無事に「素の私」で撮り終えた。そして、その写真を確認することなく、書類関係の仲介を一手に引き受けているマスターが私のパスの更新と新規申請せねばならぬパスとをまとめて三人分、手続きした。

そして先週のことである。ランチ時が一段落した隙をついて私が賄いの昼食を食べていると、パスを一枚手に持って担当の方が現れた。面識がある人で、私が一人で店番をしている時などに「マスターいます?」「今、ちょっと仕入れに行ってるんです。なんでしたでしょう?私でわかることなら…」「いやいや、じゃぁまた出直します。」というくらいの会話も交わしたことのある人物ではあったので、私は「こんにちは。」と挨拶をし、サンドイッチを飲み下しながら軽く会釈も交わした。視線も合わし、挨拶もし、会釈もし、相当の本人確認めいたことはやりながら、担当の方はパスを片手にマスターへと歩み寄った。私は、担当の人が持っているのがパスだと一目でわかったけれど、私ではない他の二人のうちのどっちかのパスが出来上がったのだと解釈した。「はい、はい。」とパスを受け取ったマスターは、その場から「まぅちゃん?前のパスは返却やねんけど、今、ある?」と私に聞いた。その時、パスを手に入店した担当の方は「…ぁはっ?!」という奇妙な声を漏らして半歩後退りをした。その反応から、私はとてもイヤ~な予感がした。

新しいパスを受け取り私は、店のチーズトーストのチーズより素早く、トロけた。
しまった…こんなにバッサリ…いくんじゃなかった…。写真撮影を行ったのはショートになる前の出来事であった。「どう?今度は?」とスキップくらいの軽やかさで新しいパスの写真を見に来たオーナーは重い口調で感想を言った。
「まぅちゃん…また…別人…」
私、これからも不審者扱いだわ、毎朝。
もう、入院。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-31 21:54 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)

チン坊主

「今日の夕食はブルーギルの唐揚げやでっ!!」
と息巻いて宣言し、ほんまに釣り上げたブルーギルを食卓に並べてビックリさしたんねんと意気込んでチンに行った手前、どうしてもこの噴飯モノのジョークをかっ飛ばしたかったのであるが、なんせこの寒さときたら。
そんな私の釣果を見透かしてか、「楽しい?釣れとる?」とイッサン(旧洋々サン:「ようようさん」では長いので「おおイずみ」からの渾名でイッサンに改名)はメールで探りを入れてくる。ここはどういったカエシでゆこうか。「困ったことに釣れて釣れて釣れちゃってだはは。唐揚げのみならずお造りもどうかね石ちゃん」と大嘘ぶっこくか「残念ながら本日の夕食、我が大日本帝國の危機でございます」と日の丸夕食を匂わせるか。ううむ、くだらない問題だ。すぐには返信せずに瀕死の演出でいった「釣れない…さむい…帰る…」帰る余力が残っとるやないか。一応、もう一度トライ。
「も~ウソエサつけてもっかい沈めるか~。イチャ、アレつけてぇ。ルアー、ルアー。ルアー千切って。」
「え?千切るん?ルアー?」
「赤色の、もうないん?」
「何、千切る気?」
「ルアー。」
「ルアーって、コレやで?」
「かたっ!」
ルアーって、ウソエサはウソエサだけど、カタイほうのウソエサのことなんや。絶対にいないような配色でずんぐりむっくりした魚の形の。これを小魚と間違ってパクっといくわけね。大物、目、悪いな。私、記憶力、悪いな。
「ウニョウニョしてるやつ、あれ、ナニ?」
「ワーム。」
「アーム?」
「アーム…て…」
「…ワーム…ワームねワーム…もう…なんかめんどくっさ~むいぃ~…」
と、私はすっかり釣る気も失せてしまった。♪さむいさむいからかえりたぁ~い♪という「即効曲第一番変ホ長調~寒さぶり返した春の訪れ~」を繰り返し繰り返し13分も歌っていたら、また一本、釣竿の下準備を終えたイチャがとうとう釣りを始めてしまった。ち、つまんね。ブラブラしてこよっと…と聞こえよがしにデカい声でひとりごちると、イチャは、ブルーギルの唐揚げはどうしたっ!と私を叱咤激励。「旬じゃない。」と対抗。「イッサンに夕食釣れたか?て言われてるやろっ!」とさっきまた届いたメールをイチャは反芻。「麻婆豆腐が釣れたことにする。」と予定通りの献立を発表。あったま~るぞ~、はふはふゆぅて、マーボー豆腐。

私は有り余っている体力を消耗すべく、その場をウロついた。

そして大量のどんぐりを発見した。どんぐり丼が50人前は作れそうなほどのどんぐりである。その50人の内「食べたいっ!」と言うグルメが何人いるかリサーチしたいところだ。こんなんじゃどんぐり、コロコロは出来ないね。
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その昔何かの本で読んだことがある。泥棒業界では、庭にツバキが植えてある家は好まれない。「好まれない」という表現を使った時、好まれなかった側では、あ~あ…という気持になるものだが、ここでは多いに喜ばしいことである。是非、好まれたくはない。好まれない理由とは、ツバキの花はポトっと落ちるから。ハラハラと花ビラが一枚また一枚と落ちゆくのではなく、クビからボットリ落ちるから。クビが落ちる、ゆぅて縁起でもないから、なそうな。お縄になっては元も子もないというわけで、ツバキが植えてある家は狙わない。悠長なこと言っていられる切羽詰っていない泥棒がいたもんだ、と私は感動した。無道生業で、縁起もへったくれもなかろうに。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-31 21:12 | +ミルニング+ | Comments(0)

活かせるモノはトコトン

ショートという髪型の同士ならおわかりいただけることだろうが、ショートの寝癖っつーのは強情である。就寝中に打ったかもしんない寝返りの副作用で「ロッケンロぅ~っベイベ~っ」といった髪型になっていることもしばしば。とくに逆立った後頭部つむじ近辺の寝癖は我が強くて、引っ張ろうが捻ろうがどうしょうがこうしょうがああしょうが紅生姜。ソエモンにしては目立ちすぎる紅生姜の如く、主張しやがってけつかる。休日はそのままでも支障はないが、こと平日となると接客業ゆえ身なりを小奇麗にしとかねば、あきまへん。それなので私は致し方なく、後頭部の逆立ちをボリュームという「セット」に見せかけている。

女性であり50代である我が職場のオーナーは、私が勤め始めた当初(当時私29)から、「まぅちゃんの…その…それは…何てゆぅん?」と、いろいろな私の身なりについてお訊きあそばした。バッシュの靴紐をレースにしていれば「それは、そうやって売ってるん?」とかTシャツの中にシャツを着ていれば「それは、そうやって着るもんなん?」。「それは…下着じゃぁ、ないねんね?」「キャミソールです、たぶん下着では…ないです。」このような感じで。ほんで最終的には「やっぱり、30近くも歳の差があると…理解出来ないことが多いわ…」と落ち着くのが常である。
化粧や髪型についてもオーナーには見始めのことがいっぱいあるらしく、「それはどうやってやってるの?」といった質問が度々ある。もう髪を切ったのでこれといってアレンジも出来なくなり、どうにもやれない髪型だからと私は油断していたな。オーナーにまだまだ訊かれる要素があったのだ。
「まぅちゃんその、後ろのボリュームを出すのは…何でやってるの?」
「…な、何で??ですか??」
「ムースとか…そうゆうの?」
私は正直に答えた次第だ。
「あ、そうですね。ヘアガムとかワックス使ってます。寝癖を最大限に活かして固定してるんスけどね。」
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-31 17:35 | +cool down run+ | Comments(0)

やれるもんだなぁ

昨日の夕方に「30%ウチの子」てなことになっている近所の中学生、みずおが「ききたいことあんね~ん」とやって来て、な~にきかれたんだったかそれはもう記憶にはないけど、なんしか彼女とインターネットの話題になった。(彼女がやってる)「ホムペに来てる??」「いや?行ってない。つーかやぁ…携帯モードちゅうの?アレ、ようわからんねん。」てな世代間温度差をかなり感じ、「まぅちゃんのも、ようわからん」「でしょうな。」と、私たちは【もう互いにわからんでええやん協定】を結んだ。ホムペにしろブログにしろ、ドコのを使ってるかみたいなことで、ソコ此処での「クセ」みたいなもんが、たぶんあるんだな。携帯電話の機種によってクセが違うのと似たような感じで。おおかたの機能が一緒でも、操作するボタンや画面操作の仕様が違うとかね、そんな「慣れればしまい」の違いなんだろうけど、ドコまでいったら「使いこなした」って段階なんや?と考えるともうキリがないわけで、「何かひとつ」の追求だけで手一杯ってのが私なんだろな、ということで決着した。

みずおは、いつものように私の持ち物を勝手にアレコレ探り(時にはバッグの中を漁り財布の中身までチェックしてはそのあまりの所持金の少なさに鯛を一匹、くれる)【ビオレ毛穴すっきりパック こばな小町 華の香】を見つけ、豆知識を披露。
「まぅちゃんコレあかんねんでっ!コレやったらもっと鼻の穴、広がるねんでっ!!」
「はぁ?広がるん、鼻の穴のほうかいっ。なんの合併症やねんっ。」
「あ~はっは…間違った間違った。毛穴毛穴。毛穴がもっと広がるらしい、ってことやん、うふ~きゃっきゃっきゃっ~」
箸が転んでも犬が屁ぇこいてもおかしい年頃のみずおは、「あ~もう~ムカつくぅ~も~」とクサってるか、「うふ~きゃっきゃっきゃっ~」と落第した悪魔のように笑っているかのどっちかだ。
「まぁ…間違いじゃぁ、ないけどな?それ、香りすんねんやんかぁ?やからやってる間は、鼻の穴広げて『しだれ桜って、こんな香りするかぁ?』とか思うしな。広げるもんなぁ、何回か。いや…ずっと広げてんなぁ。」
「じゃぁ、広がるの鼻の穴で、ええやん。」
「ええよ。」
正解者には、赤く熟れたイッパチ農園の無農薬イチゴあきひめ一粒、プレゼント。
「あま~い」とみずおはパクっと完食。

そして私は今しがた、このエキサイトのブログの設定のメニュー管理で、「何かひとつ」を追求してみるかと思いついた。やるからには、どうでもいいことに手を出すべきである。「メモ帳」だな。「メモ」というくらいだから「走り書き」程度のもんだという認識である。A3サイズを「メモ帳」とは呼ばんだろうからな。B5で既に「ノート」だ。この「メモ帳」、どんだけ書けんの?てコトを追求。カテゴリひとつ分、まるまる入れたろか。結果、ご覧の通り、入ったねぇ。ひとつまるまる入るもんだなぁ。おかげでカテゴリがひとつ減ったな…にぎやかしを失った…。
はぁ~追求したなぁ~あ~したした。もう満足。「たくさん書ける」それでいいや。んで、「タイトル」が長すぎると入らない。予想12文字以下。あ~もう満足。結構、結構。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-29 12:02 | +ミルニング+ | Comments(0)

ハリ、ウッ、ド~。

このところ寒の戻りがヒドくって、脳炎長としては頭を抱える事態が続いています。蒔いてしまった種は、発芽するのでしょうか。

毎年毎年、種を植えるものの、徒長してもて成長が遅いことを理由に育て上げたためしのない「ちりめん青しそ」。
プランターにひとつあれば、ひつこいくらいにワサワサ生えると評判の「ちりめん青しそ」。
イッパチ農園では、一枚も生えてんの、見たことありません。
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種を蒔いて、発芽して、収穫の兆しが見えるほど成長するまでのその期間、学の無い脳炎長には識別が難しいのです。ですもんで、見た目で何かがハッキリとわかるまでは、「春菊」とか「ほうれん草」とか書いておくのが一番ですな。そして、楽しむためには渾名をつけるのが一番ですがな。

種を蒔いているプランターを一箇所に集め、それぞれに渾名を授けました。統一性をもたせるといいね。種類が増えても名付けやすいしね。ここを、イッパチ農園の【ハリウッド】と呼ぶことにしましょう。ネイティブな発音は「はぁ~るぃっう~~~~~っどぅっ」です。リピートアフターミー「針、打~つ、どっ!」。待ち針は正確な箇所に打ちましょう。とくに和裁では待ち針の打ち方が重要です。

あのスターたちの夢の共演。ギャラ、なし。

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小松中尾(本名:小松菜)

小松と中尾、くっつけてひとつにしました。小松は政夫氏、中尾はもちろん彬氏。口癖は「なが~~~~い目で見てやったらいぃ~んだよぉ」。間に気をつけて言わないとあきませんよ、この口癖。自主練習は一日3回までにしましょう。

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森三中(本名:チマサンチュ)

他の農園でどう言っているかはわかりませんが、イッパチ農園では「ガサ蒔き」という蒔き方をしている、森三中。種の袋をガサっと開封、そのまま逆さにガサっと全部蒔く、そんな蒔き方です。
森三中というトリオの皆さんはアレですねん、TVへの露出の仕方が、どうもこの頃、間引かれておられます。3人のうちひとり、歌っていたり。3人のうちひとり、ドラマ出ていたり。
ガサ蒔きをしたイッパチ農園の森三中もまた、間引きが目的です。次々に間引いて、スプラウトのうちから間引き菜としてその天寿を全うします。味噌汁の実に、なっていたり。

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トマトミ秀吉(本名:ミニトマト)

偉人、登場。人参のような色の、トマトミ秀吉。真っ赤にはならないよな感じのする色合いでパッケージに描かれていた、トマトミ秀吉。農園を始めるでっ!と知らせたら近所の中学生がくれた種、トマトミ秀吉。持つべきものは、友達お人よし。

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オクラほまれ(本名:オクラ)

人ではなくて、米っぽい渾名にはなってしまいましたが、最初は「オクラホマミクサ」でした。「曲」と「米」と天秤にかけた時、農作物であるからして「米」のほうが若干ウエイトが重く、だったらと分銅1個、ピンセットで更に乗っけてガツンと重みを増して決定的にしておきました。イッパチ産「オクラほまれ」は、粒が不揃いです。

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ビー(本名:みつば)

寒いと育つらしい、みつば。春に早蒔きするとトウ立ちの恐れがあるって書いてあるから、恐れずにトウ立ち、さそおもて。君は、みつばのトウが立っちゃってるトコロを、見たことが、ありますか。脳炎長が、みせてあげましょう。
ビーは「ミツバチ」です。働き者だぞ、トウ立っちゃってるけど。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-29 00:12 | +knowing+ | Comments(0)

チン

アクティブライフの遊び場のひとつ「チン」には、突然行きたくなるものだ。そして「チン」は、ずっとずっと居ても、よい。ちゅ~か、たっぷり居たほうが、よい。だってやること「釣り」だから。

私のチンでの「釣り」は「ロマン」ではない、「合わせ」である。カエシの無い針で、ブルーギルの一本釣り。まづめに合わせてばっこばっこ、釣る。ルアーの千切ったやつを付けて池に垂らし、パクついてくる極小のブルーギルをシュンと合わせて次々アてる。アてたブルーギルはその場で、大物狙いの少年たちが生きたエサとしてもってく仕組みになっている。キャッチアンドリユース。この小物狙いの釣りの素晴らしさは、既によそでくどくど書いたのでここでは省除。チンにはライギョもコイもカメもブラックバスもフナもあと何いたかな…いろいろいるけど、私は絶対に目の前の極小ブルーギルしか狙わない。チンに集う小中学生の釣り方「投げ釣り」とやらに、イチャとナキヒーも鞍替えしたもんで、ちっともアタらない。30回に1回のアタりで大物より、百発百中の小物である。まづめどきを過ぎるとアタりもないわけで、その時間になれば私は釣らない。次のまづめを読書でもしながら待つのだ。十中八九、アタってなきゃね釣りは。

「うむ…そろそろ、チンや…」
ガサゴソと押入れを掻き回し、私は頂き物の【ペン型コンパクト釣竿】をイチャに差し出した。
「明日、チン行こ。これ、私が仕事行ってる間に作っといて。」
「そうかぁ…もうチンの時期かぁっ!!」
イチャ、ノリノリ。
「明日行くんか??雨やぞ??」
我が家の天気予報士、洋々サン、残酷な報告。
「え~…じゃぁ、やめる。」
「…夕方からやろうけど。」
「じゃ、行く。」
翌朝、曇り空であったが私は決めた。行くと決めたらオラ行くど~っ。ちゅうわけで、出勤した途端にオーナーに申告。
「あのぅ…すいません。今日、13時半に帰らしてもらっても…いいですか?」
オーナーは大きく頷いた。
「はい、いいです。いいのよ、まぅちゃん気ぃつかわんくても。春休みはもう覚悟してますから、大丈夫よ。」
私の「遊びたい盛り」が毎年しょっちゅうあることを知っているオーナーは、欠勤ではなく早引けでなんとか遊ぼうと一応の遠慮をしている我が勤務態度に、いつでも快く時間をくれる。時折「ほんまは休みたいんやろうになぁ…かわいそうに…休ましてあげたいねけど…どうにもならん現実があるのんよ…わかって…」と、ナミダちょちょ切れ呟きを、しなさる。我が職場、ギッリギリカッツカツの人数でまわしている現状により、ひとりでも欠けると残された者の負担が大きいんである。最低でも13時までは働かんことにゃ。しかも只今、新人パートのユンちゃん(年上だけど)が勤務し始めて1ヶ月少々という大事な時期である。なんとか続けてもらわねばならぬ。しかし間が悪いことに、前日まで2~3日あんなに暇だった店が、こんな日に限って朝から大忙し。途中、私が立つレジの後ろを通り過ぎたオーナーが呟く…「どうしたんやろ…今日は異常事態やわ…」13時半を迎えても、パン系のオーダーが相次ぐ。あぅ~ん…私…パン系の調理、担当…。するとオーナー叫んで、
「わ~時間、時間。もう13時半~。帰って~まぅちゃん帰って~もうあとはほっといてかえってぇえええぇぇっぇええ!」
と、パニくる。
「パンだけ切って、帰りますっ!すんませんっ!!」
潔く、サンドイッチのパン、シャキーンと、切って、帰る。後は野となれヤマイダレ。疲れるわ…きっとオーナーくたくただわ…。

帰ると、ちゃあんとイチャが私のコンパクト竿を用意してくれていた。はうはず氏にこないだもろたコンパクト竿。ペン型なのでスーツのポケットに入る。ペンと見せかけて、というカモフラージュが出来るってことだな?
ちなみに、スーツを着ない私がジーンズのポケットでカモフラージュするとこんな感じ。
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不自然にデカいペンだ。
隠し切れてない感じがするのは私だけか。
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ちなみにこうしてしまうと、もうまるで隠す気なんてナイね。

チンに着いたが、驚いたことに寒い。体感気温5度。この寒さじゃぁ魚も省エネだろうて…しかもワーム千切ったやつ付けてさ…こんな味もないエサじゃぁな…と語らいながらも、とりあえずは釣り糸を垂れてみる。私たちは「釣り禁止」の看板の前が定位置である。モラルもへったくれもないのだ。ここを「のほほん場」と呼んでいる。場所取りの争いから逃れて「のほほん」と釣りが出来るからである。「のほほん場」に腰を据えようというひとで私以外は、おおかた老人である。そして、老人は午前中に腰を据え、私が来る夕まづめ頃に道具を片付け始めるというリズムで釣りを楽しむ。交代がうまくいくパターンで私たちアンチモラリストは「のほほん場」を共用しているのだ。
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「寒いよぉ…寒いよぉおおぉおお…」と言いながらもずっと垂れる。
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工夫もする。
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サグってもみる。
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すると私は水の中で真実を発見した。
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釣れねぇはずだ。
魚の死骸が、頭部を少し喰われているのみである。
食欲、ねぇんだ、まだ。
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ほんなら、とイチャに竿を渡してとっとと釣りを諦める。
引きの無い釣りは、釣りじゃぁ、ねぇっ。
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今はとにかく体をあっためるこったな。

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ナキヒー、おまえもか。

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ハト、おまえもか?
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-28 17:38 | +ミルニング+ | Comments(0)
私たちのアクティブライフが復活した。「体を動かして遊ぶ」というだけのことであるが。寒いと「屋外で元気に遊ぶ」ということがおっくうである。だって、寒いもん。だから、ハゲ引きをしたり将棋をしたりなんかして屋内でのスローライフ、極力省エネで燃費良く過ごしていた。しかし季節もよぉござんす。気温10℃を超える日々の到来。さぁ、我がテリトリーの数々へと歩を踏み出そうぞな。

我が家の、遊びとしてのバドミントン歴は7年を超えた。幼稚園という集団生活を始めたイチャにバドミントンの仕込みも始めて、はや7年。イチャは、私の「圧力スマッシュ」や「消え失せるサーブ」を打ち返すまでに腕を上げた。しかし、私のレシーブは東洋の魔女の回転レシーブに匹敵するのだ(遊びのレベルでのみ通用)!!そんなリベロまぅを打ち負かすべく、クラブでバドミントンを選択してイチャは技術を磨いた。冬の間なまらせた腕は「グダグダのラリー10回続けばええとこ」まで落ちていたので、我々は根性を入れなおしなんとか立て直した。半日もかかった。

さて、私たちがバドのコートとして使用しているのが、バラ公園の芝生が生えた多目的広場である。球技は禁止だけれどバドはオーケー。まだ芝生は枯れているけれど、青々とすれば休日などにはシートを広げてお弁当を食べている家族がいたり、歩き始めの小さいお子ちゃまがピョコピョコ歩いていたりなんかする。
去年、私たちにはここで「バド仲間」が出来た。私たち親子3人、ナキヒーは芝生広場の外周をクルクル散歩、イチャと私がバド対決をしていると、ひとりきりでバドリフティングをする御老体が現れ、
「ボク?おじさんと、バドミントンをやってくれないかなぁ?」
とイチャに低姿勢な挑戦を叩きつけてきたんである。イチャは、たいがいフザけた性格で誰とでも打ち解けるタイプの子供であるのだが、対「大人」となると、挨拶に留める変わったクセがある。その時も、「あ…は、はぁ…」と言いながら私の所へやって来て、「ま…まぅ…どう…する?」という態度を取った。おみゃぁ~はマザコンやなぁ、ハッキリと。おぉ~イヤだ…。
「その挑戦っ受けてたちやしょうっ!!」
イチャの代返をすると、内心そう思っていたイチャは小声で、「いっちょ、やったるかっ、ふっ、ギャフンとい~わしたんでっ、ふっ」と図に乗っていた。

15分後、イチャはギャフンと言っていた。
はぁはぁ言いながら「ちょっときゅーけいっ!!おっちゃん、ちょいきゅーけいっ!!」とタイムをとり、ベンチでコーヒーを飲んでいた私に「…はぁ…あのおっちゃん…あなどれん…強い…なんで取んねん…ミスると思わせて取んねん…アカン…このままじゃアカン…麦茶休憩や…」

御老体は、地面スレスレでシャトルを拾ってしまうのである。「今度こそキマったぜっ!」と油断していると「あ~ら~らっ…」と言い言い、ミスったと思いきやすくい上げて拾う。攻撃を全くやらないパーフェクトなそのリベロぶり。守備に徹す。キマったと余裕ぶっこいていた攻撃派のコチラは意表を衝かれ、足を掬われるわけである。勝ったと確信した上でスワ惜敗か…とシャトルを追っかけて行き取り損ねて惨敗するのだから、くやしさは倍。

その「おっちゃん」とだけ呼んでいたおっちゃんに、秋にバッタリ、別のところでお会いした。おっちゃんは、警備員としてそこに居て、私はイチャと、「なぁ…?あの警備員さん…なんか…知ってるような…気が…」「う~ん…僕も見覚えがあるような…」「あれ?バドのおっちゃん、ちゃう?」「あ~!似てる…」「声、掛けてみようや。」「…なんて?」「ええっと…おっちゃん、て、誰?何さん?」と言い合い、言葉に詰まった。
私たちはこの時、おっちゃんの本名も、素性も、何も知らないことを知ったのである。
幸い、じーっとおっちゃんを見ていた私たちにおっちゃんが気付き、「あれ?お~?なんでこんなトコで?」「やっぱ、おっちゃんやんね?」と、互いを合致させることが出来た。

「ずいぶん、久しぶりやないけぇ?」
「そやねん。寒いから家に居ててん。おっちゃんは?」
「おじさんは、日課やからねぇ。雨の日でも毎日、来てるよぉ。毎日おいでな?毎日。」
今年もおっちゃんと再会。
そして、また別の挑戦者も現れた。
「あのぉ…ごめんな、一回、おにーちゃんと打たせてくれんかな?」
「ええよ~。」
イチャは、おっちゃんたちにモテモテである。
しかし、おっちゃんたちの名前はいつだって知らない。
バドミントンが私たちのアクティブライフの無線LAN。
匿名で繋がってる。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-26 23:14 | +ミルニング+ | Comments(4)

急いては事を仕損ずる

お二人の写真なんですが、何枚か追加してプロフィールに載せて貰いました
http://(以下削除)ここからメールを送って貰えれば返信で帰ってくるはずですから確認してくださいね!

個人的な紹介ですから、もう少しずつ期間が少なくなって来てるので早めにメールしてくださいね。
美鈴さんは電話で話したがってるみたいですし、貴方さえよければ番号交換して掛けてあげてくださいね
紹介の期限がせまってます。。出来るだけ急いでくださいね。


補足、このメールの件名 写真を追加して頂ましたよ Fromのトコロが "会お?"

うぅ~ん、まっっっったくなん~~~~~にも、みえてこない。

「お二人の写真」の中の二人の中に、私は入っているのか、いないのか?私は写真提供をどこにもした覚えはないからなぁ…まぁでもブログなんかでチラチラ貼ったりもしてるからなぁ…勝手に使おうおもたら使えるんかもわからんけどぉ…その写真なんですがー…何枚追加しても出会い系の雰囲気醸し出すのは至難の業やと思うけどなぁ…。

う~む…なんだろなぁ…この…違和感。最初から最後まで違和感違和感。要所要所に「ん?」と思う違和感。ひっかからずに読める文ではないのだ。それに「ひっかけたろ」という計算がちょっとばかし桁が外れて入っている感じ。足し算を割っちゃった、みたいな。第三者を入れたところに誤算が発生。私を男と仮定し美鈴さんと男の私を当事者として、このメールを送信した第三者、どっちでいきたいのかなぁ、丁寧でいきたいのか、フレンドリーでいきたいのか。それをまずはハッキリささんと、もうごっちゃごちゃ。

ほんで要するにやね、その美鈴さんとやらは【会お?】という気持なんかいなぁ、【もう少しずつ期間が少なくなって来てるので早めにメール】してほしんかいなぁ、【電話で話したがってるみたい】なんかいのぉ。

紹介の期限がせまってます。。出来るだけ急いでくださいね。

とにかくアナタ、落ち着きなはれや。いろいろ、チョイチョイうまくつながってなかったり、句点がね、ズレてたりすっからてにゃわんのぉ~。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-26 20:57 | +丁猫犬堂+ | Comments(0)

ぶつかんでぇ~!

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ぴちょんくぅ~んっ!

アカンでそのまま行ったら~っ!

微妙に方向転換、しとかんと~っ!!
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-25 09:06 | +in the sky?+ | Comments(2)

訪問販売員問答

怪しい・怪しくない、という問題はコッチへ置いといて私は、「訪問販売」の訪問員の人たちの根性と話術にはすんばらしいモンがあると思っている。だから、押し売り・勧誘・訪問販売の類の人たちが我が家に訪ねて来ようものなら、出来る限りその話に乗りその技術の会得へと当たってきた。経験を積んだ訪問員は見くびれない。こちらの購買意欲がちっともないことを見抜く。見抜いたらデキる訪問員ほどサッサと切り上げる。落とせる客を落としに行ったほうが稼ぎになるからである。こちとら趣味、そちとら商売。私だって必死でこの出遭いには取り組まねばならぬのだ。失敗に終わったことなんかそりゃそりゃ、多々ある。なるべく「買おうか買うまいかを迷って気持ち的に七:三」といった印象を与えなくてはならない。「あと一押しで揺らぎ域」と思わせることによって、訪問員はその小出しにしている話術の引き出しを御開帳するんである。とにかく「訪問員は年増に限る」というのが今までのやりとりで得た教訓である。あくまでも「その話術に関して」「その畳み掛けに関して」「そのもっていきかたに関して」の部分であるが。素晴らしいったらありゃしない。これでもかこれでもかといろんな「納得させ方法」が飛び出る飛び出る。それは誰かが継承してもいんじゃないかと思うくらい、既に芸の域。見事。

しかし、残念なことにここ最近、我が家に訪問してくる訪問員の年齢が、私の年齢を超えることがなくなってしまった。どうゆうわけだか、20代がメインなのである。そして20代の訪問員に明らかに不足しているのが「経験」という踏んだ場数の量である。どうも「訪問販売員マニュアル」というようなものがあるのではないかと思えてならない。それは♪ピンポ~ン♪と訪問をしようとする家の呼び鈴を鳴らすところから懇切丁寧にシチュエーション設定と会話の流れがお勉強出来るテキストになっているように思えてならない。彼らは、そのテキスト(もしくは先輩からのレクチャー)で事前に研修か何かをし、実践と相成りました、てな状況で我が家に訪れることになっている。と、思うのは、我が家の呼び鈴が電池切れで鳴らなかったらいつまでもいつまでもペコペコ鳴らない呼び鈴を押しているのだ。とっくに玄関を開けた私と対面をしているというのに。んなやつぁ~おらんでっとヒビキさんなら言うと思うけど、おりまっせ。彼のマニュアルでは♪ピンポ~ン♪「は~い」という流れがあり、そのテキストには【家の人の姿又は気配が玄関付近にあれば、玄関越しに「お忙しい時間に申し訳ありませんこんにちは~」と声を掛けると印象がよくなる可能性がある。玄関を開ける前に言うのがベスト。】かなんかって書いてあるんだな。しかし我が家の呼び鈴は鳴らなかった。ピンポ~ンと鳴らず、ジジー…ジー…と微かに残った電池のカスでもって呼び鈴が反応したので私は訪問者があることを知ったわけで、とくに「は~い」というような元気な返事もしなかった。クリアでないガラスの引き戸の玄関に、人の姿が映っているのを確認し、静かに引き戸を引いただけのことである。しかしこれは彼の流れに反していた。この訪問員たらヒドくって、一応説明だけでもと乗ったはいいが、意思の疎通ができねぇったらありゃしねぇ。

訪問員「…そう思いませんか?」
  私「私は思いません。」
訪問員「そうなんですよ、皆さんそう思われてるんですよね。」
  私「はい?」

訪問員「…こうゆうことって、あまりやらないでしょう?」
  私「いいえ、やります。私めんどくさいこと好きなんでやりますよ。」
訪問員「そうなんですよね、わかっててもやらない方、多いんですよ。」
  私「へ?」

彼は自分の設定した相槌とは違う反応を私がしていることに、全く気付いていないのだろう。先にすすめることにしか意識は働いていないようであった。私は訪問員とのやりとりを自分から積極的に切り上げるようなことはあまりやらないのだが、さすがに彼には無理を感じた。しかし、一縷の望みを抱いて私は彼に言ってみたのだ。

「あのぅ、すんません。さっきから、アナタとワタシの会話ね、全くかみ合ってないんですけど、一回、振り返ってみませんか?」
すると彼は振り返った。…後ろを。おい~っ、コントだろ、これ。私は泣く泣く切り上げた。
「…これから出掛けなアカンのんですわ、すいませんけど玄関、閉めます…。さいなら。」
さいならっ、さいならっ、さいならっ。

この、推定年齢23歳の青年訪問員を最後に、私は訪問販売を体よく門前払いしてきていた。「は~い」と元気よく出て行ってもこちらから「はい、何でしょう?」と言わないことには会話が始まらなかったり、「は~い」と返事をしてから出て行こうとしたらケータイに電話がかかってきたもんで「ごめんごめん、来客みたいやから折り返すわ、ごめんな~」とだけ言って切り、玄関を開けたらばもう隣の家に移動して勧誘を始めていたりと、トライする前から「だみだこりゃ」な訪問員との出遭いが続いていたため、この青年23歳訪問員が決め手となり、若年訪問員が中年になった頃に再トライ開始、と考え冷却期間を設ける運びとなったのである。

そして土曜日、若年訪問員はやって来た。平均的な数字を出そう。一ヶ月で訪問販売員は2回来る、勧誘電話は3回鳴る。
14時に、おじいちゃんが我が子二人をかっさらいに来ることになっていた。あ、ちがうちがう。おじいちゃんちにお泊りに行くから迎えに来てくれることになっていた。「14時までに帰って来る~」と言ってイチャはどっかへ行き、「おじ~ちゃん、早く来るかも~」とナキヒーは時々玄関のほうへ行っては、戻り、行き、戻り、行き、戻るとみせかけて行き、戻る、とそんな奇怪な動きを見せて待っていた。
そんな状況の我が家へ13時過ぎに、彼らはやって来た。
「おじ~ちゃん、来た~!」と、ナキヒーは玄関へ向かった。が、ナキヒーは素早くターンして私に言った。
「ちゃう。おじ~ちゃん、ちゃう。」
玄関に映った人の姿は二つあった。おじいちゃんは、一人。私が玄関を開けると「あ~こんにちは…」と元気でもなく病気でもない、健康そうにも見えずかといって不健康な印象もない、積極的でなくやる気がみえず、しかし決してイヤイヤでもなく投げやりな感じもない、実に不思議な雰囲気の20代前半にみえる青年が二人、立っていて、そのうちのひとりが一歩、前へ出た。私は、根拠はないのだが「いかんっ」と思った。とても複雑な「いかんっ」である。説明は出来ないが、とにかく、いかん。門前払いで免除してもらおう、と決意したところへ、一歩前へ進んだ彼が言った。

「ええっと…。学生さんですか???」

おっっっと~っ!その手法を知っておいでか?!

説明しよう。
この彼の「ええっと、学生さんですか?」という「まずは」の一言のことを【学生ですかツカミ】と言う。勝手にネーミングしたけど。これは年増男性の訪問員が使って効果的な「門前払い防止法」である。アレンジの中には「今日は学校は?お休み?(昼間限定セリフ)」「お母さん、いるかな?」という言い回しもあるので覚えておこう。これは中間と期末に出すよ。
訪問販売というジャンルは、いかに「内容部分」の説明を出来るかにかかっている。挨拶だけで門前払いをされては、宣伝にすらならない無駄足を踏む結果となるわけである。ということは、挨拶の次のセリフによって、話を聞いてもらえるように誘導する必要があるんだな。訪問販売には不利が最初からある。バッチリ、怪しい。訪問された側の人間の警戒心を取り除く必要がある。お宅訪問をするわけだから、圧倒的に主婦がターゲットである。家庭の雑事に追われ、時に育児に疲れ、時におやつを食べたためにちょいと肉付きがよくなり、なんだか最近…肌にハリが…、と思っている主婦が、警戒心をも吹き飛ばされるほど言われて嬉しくなる魔法の言葉とはなんだろう、SO!「お若いっ」。しかしそれを単刀直入に「若いですねぇ」と言ったらどうなる。新婚家庭の髪の毛クルックル巻いた幼妻が中年の訪問員に言われたらどうなる「…だってぇ~ぶっちゃけ?若いですも~ん、みたいなー。」と、こうなる。32の私でも中年訪問員がそう言ったらこう言う。「そ、そうですねぇ…あなたよりかは若干、若いかもしれません…」。
だから「学生かな?」という言葉で誘導するわけであるが、それが中年男性訪問員が使って効果絶大なのは、まず上から目線で「今日は学校は?」とか「お母さん、いる?」と問うておいて、「…いや、社会人です。」やら「…私がお母さんです。」やらの返事をした後すかさず「お~っと、これはこれは、失礼いたしました。奥様でらっしゃいましたか、そりゃどうも失礼しました。いやいやお若いから、まったく…ははははは。そうですかぁ~…」と、いきなり「対等」まで位を押し上げるトコロにあるのだ。「こんなに若い人が奥さんだなんて思わなかったもんで、ついうっかり。」といううっかりハチベェな態度でもって、ポ~ンと後頭部をひとつ、叩いたりなんかする中年男性訪問員。そこを言葉じゃなくてジェスチャーで伝えるポイントこそが中年男性訪問員の引き出しであるのだ。あからさまだが悪い気はしない、そこがネックのハマらせテクニックである。
しかしこの手法が誰にでも通用するかというとそういうわけにもゆかない。だって、50がらみの主婦に「学生ですか?」なんてゆぅてごらんなさい。「アンタ、目ぇ悪いんけ?」と、こうなる。この手法を実践するには、年齢の目利きが必要なのである。それが容易でないのは、女とは簡単にサバを読むことが出来るからである。化粧や服装で5才6才など、朝飯前のおならっぷ~、くらい簡単なことよ、かっかっか、てなモンなのだ。そのサバ読んぢゃってる女を見、瞬時に年齢を判断出来る能力を有し、それが微妙なセンを突いていることが何よりも肝心。だから、この手法が使える相手というのは限られた年齢の主婦なのだ。婚姻年数7年以上の29歳~35歳の主婦は間違いなくストライクゾーン。それを、一目会ったその時に、外見で判断出来れば、訪問営業としてかなりの素質があると言っても過言ではない。言うまでも無いが、経験がモノをいう分野の能力である。
青年よ、その若さでこの手法をどう操るおつもりか。私は、答えた。

「いえいえ、私は母親ですねん。」


青年1「あぁ…そ、そうですかぁ…。わ、若いですねぇ…学生かと思いました…」
青年2「…お~…」

ちょいと勢いがなくなった開口二番手セリフは、見事セオリーから逸脱した。青年二人組には役割分担があるとみえ、一歩前に出たほうが「進行役」出なかったほうが「特殊効果」。さて、若い世代へとバトンタッチした訪問営業の、お手並み拝見といきましょう。以下、青年訪問員お二方を「進行クン」と「特効クン」と記す。

進行クン「僕たち、こういったショップをやっています…」
特効クン(胸の前で合掌・きもーち乙女チック)
進行クンは、ラミネートされた宣伝用見本を私に示した。特効クンはあくまでも一歩引いたポジションで、進行クンのアクションによるリアクション担当である。あまり口は挟まずジェスチャー。表情ではなく手をよく使う。

彼らが紹介しに来たのは、創作物である。どういった創作物かといったら、自分よがりなタイプである。要するに「ポエム」ってやつね。告白しよう、書いちゃうなぁ~あ・た・しぃ「ポエム」ね、日本語で「詩」。恋とかしちゃったら見境もなく書いちゃうタイプなんだよなぁ~あ・た・しぃゴンベンにテラね、「詩」。ひとりよがりもええとこのよがりまくりやねんよねぇ~「ポエム」。
しかし文学としての「詩集」はたくさんある。その言葉は時に私の心を打つ。何が私の心に響くんかゆぅたら、そりゃ、詩人の苦悩とか深手とか。陰な部分。そこを陰なままに終わらさないところ。
私は進行クンの提示した見本を眺めた。イラストとポエムのポストカード。価格の部分は進行クンが隠している。ジャジャ~ン、これが、な、なんと400円!てゆう演出でいくらしい。1000円で買うよ、私のココロにまでその言葉が響けばね。しかし思うのだ、人間の感じ方とは人それぞれだ。感動するツボもきっと違う。同じ人間でも今と10年後では感じ方もきっと変わる。そして今の私は、「この詩、いいでしょ?」「感動しました!買います!」と、全く、ならない…。
見本の詩が、響いていていないのを感じてか進行クンはもっていきかたを変えた。
「今、あまり葉書とか手紙とか…ん~…書かないと思うんですけど…ん~…どうでしょう?手紙とか、書いたりします?」
「はい、書きます。」
即答。
私の即答に、特効クンは仰け反って驚いた。仰け反るほど驚くことかな…でも、そうみたい。進行クンまで、
「あっ!本当ですか?!珍しいですね~っ!!」
とかなりの驚きよう。
「どういう時に書いたりするんですか?」
「書きたいなと思ったときですよ。」
即答。
書きたくない時に書いたりはせんでしょうが。

しばしの沈黙の後、進行クン、がんばる。
「ん~…そうですねぇ…こういったポストカードなんですけどぉ…」
ポケットフォトアルバムを渡される私。100枚は入るだろうそのポケットには、自作の作品たちが所狭しと…10枚…くらい。こんなにゆったりと収納してどうするっ!ウソでもいいから50枚は入れなさいんかっ。どんだけ創作意欲を欠いとんねんっ。量産出来るアピール、しとかんとっ。…それとも…90枚…売れたのかな…。売れ残りの中から、珠玉の一枚を…どう…見つけたら…。私にはそのような眼力がないと思うのだけど…。

「ん~…メッセージなんかをね…ちょっと添えると…残るものなのでね…」
と進行クン。確かに、残るけど。ええっと…買ったメッセージが…?知らない人が書いたメッセージが…?。
「ん~…ん~…たとえば、どういった感じで、書いたり…してますか?」
ん~…というのを挟むのが進行クンの癖。
「たとえば…。そうですねぇ…。たとえば贈り物にメッセージを添えます。あとは近況報告の手紙だったり、旅先からの葉書だったり。」
(特効クン、おぉっ!というリアクション)
「普通、電話とかメールとか…そうゆう感じなんですけどねぇ…」
なにかい、電話やメールというツールのみ使ってなきゃいかんのかい。そりゃすまない…筆、とっちゃって。
「もちろん、電話やらメールやら使いますよ?業務連絡的な事やったら電話で事足りますからね。でも、書けば筆跡なんかも加わりますからねぇ…それぞれ使い分けたらえんちゃいます?おじーちゃんおばーちゃんにメール送ったってみらんでしょうから。手紙の良さも、わかる年齢ではありますし。」

時間稼ぎの術もなくなり、特効クンはモジモジし始め、進行クンは相変わらず「ん~…」と挟みながら【大好き】がテーマのポエムとか【愛】がテーマのポエムを朗読した。挙句の果てには「この中でどれが好きですか?」とご質問。思わず「こ、この中で?!ですか?!」と逆にご質問。「好きなもの…て、ない…ですかね…?」もう、半泣き。「いや…あのですねぇ…そう急にこの中から選べと言われてもですねぇ…私の心の状態にもよりますし…」私、もらい泣き。ん~…ん~…と、完全に言葉を失くした進行クンに私は、もうこれ以上は互いに苦しいだけだと、ココロをオニにしてトドメを刺した。

「それで、これはどういった目的なんでしょう?宣伝をしに来たんですか?それとも売りに来ましたか?」
「はいっ。両方ですっ!」
進行クンが我が意を得たり!といった反応をみせると、特効クンはキヲツケっ!
「そうですか。それなら、ほかをあたったほうがいいと思います。私、自分でメッセージを書くような人間ですから。誰かが作ったメッセージを添えるより、自分で書いたメッセージを添えるほうが、ヘタでもよっぽど伝わると思いません?」
「…ぁあ…。そ…うですねぇ…。」
と、反応したのは特効クン。売らなきゃ、なんないんじゃないのか??納得…しちゃってよいのか??しかし、進行クンまで納得してしまった。
「そうですね…。ん~…自分でメッセージを書くことはとってもいいことなんで、これからも続けてあげてくださいねっ。」
進行クンは、私を励ましてくれた。

…これからも続けてあげてくださいね。
…ん~…、一体誰のために。
誰に頼まれたわけでもなく、自分が好きだからやってるダケ…なんだが。
お願いやめてっ!と言われてもやめないくらい…なんだが。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-24 22:06 | +in the sky?+ | Comments(4)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA