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明かシスト

「まぅ、徹夜するん?」
「ヘイポーは午前中ダイエー行くんちゃうの?それによる。」
「うん、行く。」
「じゃぁ、しない。」
「うん、わかったー。」
ヘイポーが私が今夜、徹夜をしないことを確認して眠った。

明日…いいやもう今日、この祝日は本当に久々の夜明かしアタックチャーーーーンスっ!なんである。
「明日、朝練ないから。」
「朝だけ?」
「夕練もない。」
「おっダブルか…」
「ん?明日、学校もないやん。」
「へ?てことは明日、祝日かぇ?!おーおーおーそうか・そうか。そしたら私、今夜は夜明かしするっ♪あ~~~~~何年ぶりやろう…こんな機会があるなんて…やっり~っ♪」
「ねぇ…ソレって…徹夜ってコト??」
ヘイポー、間違ってはいないが、私の「夜明かし」と「徹夜」には若干の違いがあるのだ。
「うーん…朝が来てから眠るってコトね。空が白んだのを確認してから眠るの。5時とか6時とかになってから、おやすみ。」
「明日、アレ行かなアカンやん新年会。起きれへんで?」
チョモよ、お前の若年性睡眠と私の三十路性睡眠とは、質が違うのだよ。
「起きるよ?よゆ~で5時に間に合う。あ~明るくなったなァと思って眠って昼過ぎくらいにウダラ~と起きて、卵を30個焼いて行く。」
ここんとこの夜更かしでは2時半あたりで眠っているので、私の睡眠時間は3時間半である。6時に眠ったとしても昼ごはんに間に合うくらいだ。睡眠時間を削って好きな事をしていると、時間というものはゆったりと過ぎてゆくカンジがする。この「何してもいいし、何もしなくてもいい」という時間は、朝や昼には無い時間の経過である。
しかしさすがに「徹夜」をしたいという気持ちがこの年齢では湧かなくなった。私の「徹夜」とは寝ずにそのまま次の日の「眠る時間」まで起きておくことである。これは絶対に辛いと思う。私は独身の時に「徹夜の次の日に社員旅行へと出掛ける」というハードなスケジュールを一度だけ敢行したことがあるが、この旅行が私の今までの人生で最高に辛い旅行だった。移動中のバスの中でたまらず睡眠をとっていたが、ドコの観光地をどの順番で訪れたかの記憶を未だに繋げることが出来ない。加えて新入社員の「飲み明かし」という洗礼を受けねばならぬことは免れず、一泊二日だったか二泊三日だったか「徹夜」と「ちょい寝」まぶしの旅行で、後日受け取った写真のドコにも見覚えが無い有様であった。
一方「夜明かし」は夜が明けたのを確認したら僅かでも眠る。これはカラダに優しい。優しいのだが平日にこの「夜明かし」をやろうという気は起こらない。3時くらいに「イカン・イカン」と気付いて極力眠るようにするのがオチである。だって、平日の暮らしは、大人で妻で母親でなきゃなんないのだ。休日前夜に「何もないなら夜明かしをしたいなァ」とは思っていても、本当に「何もない」ような事などたとえ祝日でもそうそう無い。休日でもチョモの部活があったり、出掛ける用事があったりなんかしてね。

嗚呼「夜明かし」。なんてステキな言葉なんだろう。「夜更かし」も響きが格別であるが、その延長「夜明かし」とキたらステキったらナイね。どんだけたっぷりゆっくり使っちゃうんだろ、時間。日の出の前に眠るアノ清々しい入眠。冬の日の出は遅い。初日の出を見た経験がおありだろうか。暗いうちに海辺などへ行きそこから日の出を拝むのであるが、初日の出はなかなかお出ましにならないではないか。空が白むなんて次元のハナシでなく、周りがはっきりくっきり見えるくらいに明るくなってもまだ出ず、「トイレ行ってこよかな?行ってる間に出たらどうしよう?」という心配もするこたぁナイほど遅い。今日は出ないんぢゃないかと思った頃にようやっとお出ましになるのが「初日の出」である。太陽ってどんだけ光ってんねやろね…出てもナイのにこんなに明るいもんかねぇ…と、私は「初日の出」を待つ間にどっと老け込むのである。待ち焦がれた「初日の出」を拝む時分には寒さのあまりに揉み手など自然にやっちゃってて、ついでなんで「ナンマイダブ…ナンマイダブ…」と心の中で唱えてしまう。40を超えたらもう「初日の出」ダケは見るな。洒落にならんくらいトシ喰う。「ワシはもう…思い残すことは何もない…」て声に出して唱えてまうで。

ヘイポーが逆チョコを買いに行くのに午前中、出掛けたいみたいだから予定はあるけど、明かしちゃおっかな~。そして空が白むのを窓から確認して、性懲りも無くあの言葉を口にするの。

白みそむれば~

ひんがしの白みそむれば物かげに照りてわびしきみじか夜の月 by牧水

白みそむれば 夜明かし完了!
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by yoyo4697ru980gw | 2010-02-11 02:42 | +開楽館+ | Comments(0)  

ささやかな余裕

どうやらフルハウスの冬の電気代・ガス代は1万円を超える見込みである。お金のことなんて二の次と電気代も考えず早朝からエアコンで温風を送っていた12月、「そら超えるわな~」と1万円を超えた電気代に納得した上で以降の電気代節約は心掛けたが、結果は「1月も超えるだろう」という予感。おまけにガス代も1万円を超えた。冬の電気・ガス料金で約2万5千円が飛ぶということだ。
今までの文化暮らしで一番高いのは「夏の電気代」であった。「金よりも快適な睡眠」が欲しい夏の夜、我が家では設定温度の節約はするものの風呂上がりから朝起きるまでエアコンガンガンで、冷え性の私だけがひとり頭から布団を被って寒さに耐えるような具合。しかしそうまでガンガン使っても、夏の電気代はMAXで8千円台。7年間で1万円を超えたことなど一度もなかった。それも超えるのは3ヶ月間である。それ以外の9ヶ月間は平均でその半額であるわけだから金よりも快適をとり、跳ね上がる電気代を考慮してその他の季節で帳尻を合わせてきた。

「文化の冬の電気代の3倍やねん…。部屋数が増えるんやから電気代が高くなることは予想してたけど…いくらなんでも3倍はなかった…夏の基準で考えても『倍になる』くらいでなら許せるって考えてたけど、正直、ホンマに倍になるなんて思ってもなかったしね…『ちょっと高くなる』くらいで思ってたのに誤算や。文化の電気代が平均3~4千円やってん。フルハウス、1万3千ナンボ…かかりすぎやろぉ…」
「12月はアレやろぉ…エアコン使いまくってたから。今月も1万超えたん?」
「いや…まだ電気代の伝票はキてないはずやけど…節約を意識したこの次月の1ヶ月間…1月25日まで節約を心掛けたのにガス台…1万…超えた…フルハウスでの暮らし…悪い意味でハリがあるわァ…毎日。」
「電気代ぢゃなくてガス代やろ?超えたの。」
「たいがいの家庭で、ガス代は電気代を下回るもんやねん。安いほうのガス代が1万円を超えてるってコトは電気代は確実に超えてるよ…ガスファンヒーター使ってるってのはあるけど、ガスだけちゃうからなガスファンヒーター…電気のコンセントも繋いでんねで?使ってんねやろなぁ電気も…ダブル・ダブル。」
「冬だけかもしらんで?この家、寒いから。夏はエアコンいらんくらい涼しいってイノッキのおばーちゃんゆぅてたんやろ?」
フルハウスの切迫した光熱費をチョモは長い目でみて総合的な評価でイくようだ。
確かに、イノッキのおばーちゃんち(豪邸)の裏に位置している我が家の日当たりが悪くて「フルハウスだけが寒い」というわけではないようだ、ということをイノッキのおばーちゃんからは聞いた。フルハウスより日照時間の長いおばーちゃんちも、めちゃめちゃ寒いようである。「でも夏はホンマに涼しいねんよココは。窓を開けといたら風通しがよくて。エアコンいらんくらい涼しいねん。」と言っていた。
「フルハウスの冬の電気代が文化の夏の電気代に匹敵すると考えても高すぎるよ…文化は電気代だけが上がったけどガス代も上がるって…いよいよ目に見えて足りないお金が3万に近くなってきた。」
今後、夏までの様子をみているばやいぢゃないぞチョモ。オマエが寒さに耐えて部屋のファンヒーターを使わなかったとしても、夏に期待通りエアコンを使わないくらい涼しかったとしても、冬の電気・ガス代が高すぎて「トントン」に出来ない状況だ。夜中に寝る間を惜しんでまでシュークリームを焼いているばやいぢゃないぞチョモ。暇さえありゃ焼きプリン作ってるばやいぢゃねぇんだチョモ。思い立って生キャラメルを40分もクツクツやってんぢゃねぇよチョモ…しかも吹きこぼしやがって…ガス代使って垂れ流し生キャラメル作るようじゃパティシエにはなれねぇぞ。ガスコンロに生キャラメル喰わしてんぢゃねぇよ。

「春になってから~…なんてゆぅてるばやいでもないなァって今日おもて、とうとうハローワークの求人を見るまで具体的に動いたよ…」
「ふぅ~ん…」
生キャラメルがうまく固まらず失敗したというチョモは、今度は成功するよう「もっと長い時間やってみよっかな…」と40分以上クツクツやることを宣言して私の神経を逆なでした。
「なんで生キャラメル作るかなァ…」
「なんやねん、まぅ…。電気代がーゆぅからシュークリームもプリンも作ってナイやろ。」
「ガス使っとるやんけ。オマエはどーなりたいねんっお菓子にまで手を出して…陸上極めるんちゃうんか~…腹筋背筋やれや…それなら金はかからんから…」
「買うより作るほうが安いねんからこれも節約や。」
「何も喰わんかったらもっと節約や。おやつぢゃなくてごはんで腹を満たせ。」
「おぉ~っほ~♪うぅ~~~~っまそっ♪」
トーストに「失敗生キャラメル」を塗り、似非パティシエご満悦。

「ネットでの職安求人って、どうも詳しいトコまで表示されへんみたいやねん。事業所名とか就業場所とかな?でも『学食のおばちゃん』っていう求人があってん。どうよ『学食のおばちゃん』ええなぁおもて。」
「それ『学食のおばちゃん』って載ってるん?」
「いや…『学食のおばちゃん』て書いてるわけぢゃないけど…『市内高校の食堂』て書いてた。てことは『学食のおばちゃん』ってコトやんか。そんなんさぁ、学食ってコトは客は学生ってコトやんか、そしたら昼食の時間以外に客が入ることはもちろん無いわけやん。てことは昼が終われば仕事も終わる。夏休み冬休み春休みがあるやん、学生。てことは仕事は無いやろ。学生おらんのに学食だけやってるなんておかしいやんか。そう考えると、めっさ条件良くないか?私の就業スタイルの希望が叶えられる職場って気がする。」
「…えんちゃう?」
「ただ、ひとつ問題があんねん。春休みがあり夏休みがあり冬休みがあるということは、しょっちゅう収入が途絶えるということやねんなァ。春と冬の休みなら、ま、2週間程度のことやんか。けど夏はまるまる1ヶ月収入ゼロってコトやねん…。夏はボンブーで殆ど外食やからなぁ…ウチの出費は夏が一番かさむのに…ソコに休みが入ると稼ぎ所はナイねんなぁ…それが時給で働くっちゅーことや…ウマくいかんもんや…」
「…ボンブーか…そうやなぁ…ソレがあるなぁ…」

ボンブーをやめよう
そうゆう選択肢がそもそも無いということが、我が家の民たちのささやかな精神的余裕である。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-01-31 00:10 | +開楽館+ | Comments(0)  

血の口調

最近チョモの口調が、すんごく実弟ターの口調に似ている。普通に会話をしている時はそうも思わないが、私のワガママに突っ込む時の口調がおっそろしくソックリだ。私がターと一緒に暮らしていた時のターの年齢にチョモが今、近いからだろうかとも思ったが、私はターの中学生・高校生時代を知らない。小学生の頃のターは私に従順だったので、ワガママに突っ込むことなどなかった。ターが小生意気になったのは大人になってからである。…グレるの、遅いな。
ずっと地元人であるターとチョモとの関わりは、赤ちゃんの時に里帰りした1ヶ月間くらいと、幼稚園の時に宮崎に住んだ約2年間、3~4年前に里帰った正月の1週間…いや2週間…、それのみである。赤ちゃんの時と幼稚園の時の記憶はまずないであろう。たま~に、私がターと電話している時にチョモが居れば電話で話すこともあるが、殆どチョモが居たことはない。

しっかし、今、ターが私に突っ込むように、チョモが私に突っ込むのである。その度に私はチョモに言うのである。
「その言い方、言う速さ、声も選んでるフレーズもタイミングもほん~~~~~~~ま、ターにそっくり。」
「そう?」
「わぁああぁあ~その返しも、めっさター。」
だ~はっはははーく~くっくく、け~けっけっけ、んがんが、はぁー…。
「はぁ~そのやる気無く終わるバカ笑いも、ソックリやな。」
「な~にゆぅとるかぁーーーーーっ!」
「わぁあああぁあ~!その言い方、その叫んでいる風にゆぅてるくせに声を殺したその口調、そやって言う言う、ターも。気持ち悪いな。」
「だ~れが気持ち悪いぢゃーーーーーっ!」
「あ~言う・言う。」
顔が老けてるね、てゆぅたら「だ~れが老けてるぢゃーーーっ!」て言う言う。

普段、全く接点が無いのにどうしてこんなに似ているのだろう。
それが血縁である証拠なのだろうか。

「ハイ、まぅちゃん・まぅちゃん。」
こないだチョモが、何を思ったのか私をそう呼んだ。普段は私のことを「まぅ」と呼び捨てである。
「うぁ…どうしたんや…き…気持ち悪い…」
私は一切、教えていない。ターが私のことを「まぅちゃん」と呼んでいたことなど。ターはお年頃になり、自分が姉のことを「おねーちゃん」と呼んでいないことに気が付いて矯正した。今では私と電話で話す時でも「おねーちゃんは?帰って来んと?」などとサラっと使いやがるが、親戚一同、ターに対して「おねーちゃん」で私が導き出せるとは思っておらず、「アンタ、まぅちゃんにきーてみね?」と言われる始末である。所詮、ぬしゃの恥ずかしい過去は消せんのだ。
「アンタ、ほんーーーま、ターが言ってるみたいやからな、やめてくれ。」
あのコはホンマ、こなしてもこなしても私のことが大好きでねぇ…。「でも、こなされても(泣かされても)まぅちゃんのこと好きじゃろう?ってきーたらアンタ、『うん♪』って…ゆぅーーーーの。んっもぅ、どんげむぜこっか~(どんだけ可愛いか~)!まぅアンタ、もうターのことはこなしなさんなよ?」て、たしか中学の時にイネさんに言われたんだけどサ、ほら私って、小さいコの嗚咽号泣が…好きじゃない??「ひっく・ひっ・ひっ・うっうふー…ぅ」てゆぅね、あの最後の振り絞る声?たまらんっ!てげむぜーっ!!
チョモと違ってターはすぐ泣くヤツだったから、こなし甲斐があってねぇ…。そしてすぐ泣くヤツだったターは必ず「か~み~さ~ま~ご~め~ん~な~さぁああぁああああぁ~い~…」と最後には神に詫びた。その恥ずかしい過去も、生涯、消せんだろう。兄と私はその最後の懺悔が行われると「デた~~~~~っ!!」ちゅぅて喜んだ。ターこなしの最終目的はソコだったのでデるまでは決して「きょうだい喧嘩」の手を緩めなかった。強情にも神を出さない日などは「もうそろそろ謝っといたほうがイイんぢゃない?」と誘導したもんだ。…ごめんよター…こんな姉で申し訳なかった。神様…ごめんなさぁあああぁい、デ・た~~~~~っ!
だからチョモの口調がターに似ていると、とてつもない復讐をされそうで怖いのだ。

私は中学生の時にヒマさえあれば「怖い話」をして遊んでいた。私が怖い話ばかりしているという噂は上級生にまで広がり、昼休みには先輩の教室に「怖い話」を携え出張までした。
その「怖い話」の中に、こんな物語があったのだ。

ある夫婦に子供が産まれたが、母親の不注意から顔に火傷を負わせてしまい、その日から母親は子供を家に閉じ込め他人の目に触れないようにした。近所の奥さんが「お子さんは何歳になられましたか?」と訊いても、母親は病気で入院しているのだと嘘をつく。子供が小学校入学の年齢になった。今までは家に閉じ込めてきたが小学校へ通わせなければならない。もう嘘をつき続けることは出来ない。そんな時、子供が「遊びに行きたい」と言う。どこへ行きたいかを訊けば「ボートに乗ってみたい」と言う。母親は湖に連れて行きボートに乗る。子供は無邪気にボートから身を乗り出して湖面の水をバシャバシャと飛ばしている。その我が子の背中を母親は押してしまう。子供は母親に湖に突き落とされ、溺死してしまうのだ。
数年後、夫婦には第二子が誕生した。何の事故も起こらず無事に育てることが出来、母親は近所の奥さんがたに我が子を自慢して歩くほどだった。子供が小学校へ入学する年齢になった。子供が言う「遊びに行かない?」。そうね、どこに行きたい?子供は答えた。「またボートに乗ろうよ。」ボートに乗ったことなんてあったかしら?と思いつつ母親は湖に行き、一緒にボートに乗った。湖面の水をバシャバシャと飛ばし遊んでいる我が子の背中を母親が微笑んで見つめていると、子供が振り返ってこう言った。
「ママ、今度は落とさないでね。」

ぎぃやぁああぁあああああっ!!
この「怖い話」は、当時の中学生の間で物議を醸した。
その後の母の反応は?
その後の母子の関係は?
第二子は産まれた時から知っていたのか?
知っていながら言わずにこの日まで暮らしてきたのか?
第二子に第一子がとり憑いているということか?
第二子はわかった上で言っているのか?
「またボートに乗ろう」って言った時にはもうアヤシイ。
湖は一緒の湖なのか?
母よ自分がしでかしたことを今の今まで忘れてたのかよっ。
なんで行っちゃうんだよ、湖に。
なんで乗っちゃうかなァ、ボートに。

この「怖い話」は「予想がつく」という流れで話しがトントントンと短い間に進んでゆくのがミソである。第二子が小学校へ入学する年齢になり「遊びに行かない?」と誘うくだりでは、第一子が小学校入学の頃に「遊びに行きたい」と言ったこととダブり、かなりイヤ~な予感がする。「ボート」と言うキーワードが出てきてそのイヤ~な予感は「これからデスヨ」の心構えに変わる。母親と第二子がボートに乗った時、聞いているほうはコワイ結末を想像するのだ。
湖から第一子が出てきて第二子を引きずり込むんじゃないか。
第二子が母親を湖に突き落とすのではないか。
ボートが転覆?二人とも溺死?
あんだけの心構えがあったにも関わらず、引きずり込まない、突き落としもしない、ボートは無事、溺死はしない。
できればそっちのほうがマシだった。呪い殺したりしてくれたほうがスッキリと怖かった。
なんしか第二子が「お兄ちゃんを突き落としたでしょ?」なんてなことを探ってきたり、「ボク知ってるの…お兄ちゃんをココで…」なんて脅迫してきたりするセリフを言うのでなくて、「ママ」と呼びかけて「今度は落とさないでね」と「お願いする」ということが絶妙に恐ろしいのだ。このようにもってキたウマさに感動すらする怖さである。じゃぁそのお願いをするために遊びに行こうって言ったのか?落とされなかったらそれでイイのか?母親は自慢の息子をどうするよ?持続性恐怖、尾を引くウマさ。
第二子が第一子と確実に「血で繋がっている」ということが強烈に恐怖を呼び起こすという作用をもたらしているのではないか。「呪われた一族」というような血塗られパターンの恐怖なのだ。「血縁関係にある」という事実は、個人ではどうすることも出来ない「サダメ」みたいなモノがあって、意識することも無く自然とそれに従い導かされたかのような不思議さを感じさせるところがある。

私の中学時代のクラスメイトで「離れても離れても最終的に戻る」という関係でずっと未だに連絡の途絶えない女子が居る。中学の時の部活が一緒になって以来、本当によく喧嘩をし仲直りをしまた喧嘩をし、という関係だった。成績のよかった彼女は先生もススめるほど進学校に行ける学力であったが、勉強と部活を両立したいという考えから、私にとっては「ココしか道が無い」という基準で受けたアホ学校を受験。就職するための下準備・私の唯一の道「商業科」ではなく、受験年の2年前に2クラスだけ新設されていた進学メインの「国際経済科」に受かった彼女とは、高校の3年間も共に同じ学校に通うことになった。
私たちは勝気な性格がよく似ていて十代の若かりし頃など、互いが「相手に合わす」ということを決してしなかったのでその都度、激しい喧嘩となり絶交。しかしどうゆうわけだか、行くところ行くところで彼女と私は偶然に出会ってしまう。むろん絶交中なので互いに避ける。避けるが二度が三度、三度が四度となれば「…もういいよ…仲直りしようよ…」…そうしようか。となる。私たちはいつだって、避けることに疲れ切って仲直りをするパターン。そんな彼女と「何回も喧嘩するんだけど結局、戻るんだよねぇ…」なんつって大人になってから話したことがあった。
私が帰郷した際にウチに寄った彼女と、そこにたまたま私の父であるタカボーが居合わせ、彼女との会話の中から大至急の確認事項が浮き彫りとなった。
「ん?オマエのかーちゃん、ダレソレか?ほならオマエのばーちゃんのナニナニがダレソレやろ?オマエ、かーちゃんに確認してみ?」
彼女が母親に電話で確認すると、「へ?じゃぁ、まぅちゃんのばーちゃんがサヨさんってコトは、まぅちゃんの父親はタカボー?!」という確認が取れ、タカボーが言う。
「オマエら親戚や。ま、だいぶ遠いけどな。」
との衝撃の事実が判明した。
「ええええええぇええぇええぇえぇえーーーーーっ?!」
私たちは二人、出会ってから十数年もの間、まさか血縁関係にあるなどとは思いもしなかった。私の田舎なんて親戚が多すぎてもう誰がどのくらい他人かなんていちいち覚えていられない。だから見知った人はすべて「親戚」ってコトになっている。血の繋がりなんてあってないようなものなのだ。しかしそんな田舎の中で彼女だけは、はっきりと「他人」と言える存在だった。それは、私も転校生で、彼女も転校生だったからだ。「もともとの地元人」ではないということが私には、彼女に対して「他人」を強く感じさせたのである。
「見て…鳥肌が立ってる…」
「やめてよ…私も鳥肌が立ってんだから…気持ち悪ぃなァ…」
“祝日サスペンス劇場~血族のオミチビキ~”トリハダモン。
だからって何が変わるでもないのだが、ちょっとした気色の悪さを味わった。避けても避けても出会ってしまったあの頃…喧嘩しても喧嘩しても…血が私たちを近づけた…逆らえん。
この感覚がいずれ年老いた時に、おばーちゃんが口にするように「こんだけ離れちょっても…やっぱ血じゃねぇ~…」と微笑ましく思えることであろうか。その日が来るのはいつだろう。

「まぅちゃん…あの時の300円…返してね?」
チョモがそう言いはしないかと、気味の悪さに恐怖を今は感じるのだが。
ター…かつあげてごめん。
神様、ごめんなさい。もう時効でしょ許してチョ。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-01-30 00:15 | +開楽館+ | Comments(0)  

ばいちゃプレイ

6年生になって自転車に乗られるようになったヘイポーが、なんと片手運転をマスター。最初の頃なんて乗るのに必死で、直進中に後ろを振り返ることはおろか、ちょいと顔を横に向けることすら出来なかった。それなので自転車に乗っている時にクラスメイトに出会い「おぅっ!ヘイポーっ!」と声を掛けられてもチラと流し目するだけで手を挙げて応えることもしなかった。それが今では「バイバーイ」と掌を顔の前で3往復ほどさせる時間、片手運転をすることが出来る上達ぶりである。
「ボク、片手運転できるようになってん。」
「ぉほ~っ進歩したなぁ~」
「やろぉ??」
「…で、もう片方の手はどうしてんの?」
「バイバイ、ってしてる。」
「…誰に?」
「知らないひとに。」
「…知らないひと?」
「うん、全く知らないひとに。なんの関係もないひとに。」
「…で…、その知らないひとは振り返してくれてるの?」
「…うぅん…バイバイってしてくれたひとはまだひとりもいないけどー、でもちょっと手をあげて『うん・うん』みたいなひとはいる。」
「男の人?女の人?若い人?年寄り?」
「バス停でバスを待ってたひとでおばーちゃん。」
自分の受け持ちの仕事である「スーパーへの水汲み」の道中でヘイポーは、自転車からの「ばいちゃプレイ」を楽しんでいるらしい。老若男女を問わず目を合わせ、やみくもに「ばいちゃプレイ」をしていたが、数をこなすうちに「好反応」を得るためのポイントを見つけたという。

基本的に「ばいちゃプレイ」をする時には、その相手は「止まっていて対面しているかそれに近い向きである人」と「自分の進行方向とは逆からこっちに向かって歩いているかゆっくりな自転車に乗っている人」が、ターゲットにロックオンされるみたい。
「なんか急いでそうなカンジ」のひとだと目が合いにくいのでダメ。会話が盛り上がっているような2人以上の人たちもダメ、目が合わないから。つまり最重要ポイントは「目が合う」ということのようだ。しかし、その目の合いようにも細かく時間設定があって、あんまり遠いうちからず~っと目が合うようなひとだと、これまた難しいそうだ。ずーっと目が合っているからすれ違いざまに「ばいちゃプレイ」をしても「へ?私?…でもさっきから目が合ってたけど何もなかったし…知ってるコじゃないわよねぇ…」と不意を突かれた的な反応になってしまって、うまくいかないのだとヘイポーは推測する。

「今日、バイバイして通り過ぎた後で『あ~バイバ~イっ!』て言ったひとがいた。ついに。ついに、ついに気付いたひとが現れた!」
「お~~~。ほんま『ついに』やね。どんなひと?」
「若い男のひと。」
「おぉ、意外。おばちゃんとかのほうが反応してくれそうやのに。」
「ボクもそう思ってたけど…なんかよさげな反応してくれるひとって、男のひとが多いで?『あっ』っていう顔をするひとはおじちゃんが多い。」
「そ~~~なんやぁ??おじちゃんなんて愛想もクソもなさそうやのに…いやぁ…こりゃ『おじちゃん』たちに悪いなぁ…『おじちゃん』のポイントをもっと高くしなアカンな。あと一息やね、続けてたらきっと手を振ってくれるんちゃう?」
「うん。やからもうちょっと頑張ってみる。」
まァ「もうちょっと頑張ってみる」のはおじちゃんのほうなんだろうけどね。「手を振ってあげるというあと一息」を踏み出すのはおじちゃんなんだし。

「まぅっ!まぅっまぅう~~~~っ!!」
薄暗い時間になって水汲みから帰って来たヘイポーが、笑いを噛み殺しながら玄関を開けるなり私を呼びに呼んだ。
「はい、何でしょ?」
「とうとうっ!!!!とうとうやでっっ!!!!!!!」
「あ・そう?!キた?バイバイ?!」
「うんっ!!」
「おじちゃん?」
「おじちゃんっっ!!」
「おぉ~~~~。記念すべきおじちゃんDAYか…。どんな風に?」
「あんな、犬を散歩さしてるおじちゃんにバイバイしてん。そしたらバイバイしながら『お~~~~元気かぁ??』って。」
「なんと…一気にハイレベルまで達したな…。ソレもう最高級ばいちゃプレイちゃう?」
「うーん、そうやと思う。バイバイしただけじゃなくて『お~~~~元気かぁ??』までやもん。めっちゃ嬉しい。」
「続けた甲斐があったねぇ。」
「うん、あった…。明日からも頑張ってみるわ。」
苦節4ヶ月半…その間には居替えもあり水汲みルートが増えもした。時間帯もまちまちのヘイポーの水汲みでは、同じターゲットにばいちゃプレイを試すというリベンジによる確率の甘さもなかっただろう。訊けば「犬の散歩おじちゃん」は初めて出会ったひとだと言う。頑張れヘイポー!今日もばいちゃプレイでばいちゃ仲間を獲得である。しかしいくら数を増やしても「ゆきずりの関係」で終わるのだろう。なんせ「ばいちゃプレイ」はバイバイしかしないのだから。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-01-19 14:09 | +開楽館+ | Comments(0)  

寒中タイプ

「年賀状、13枚も出したのに~。ぜんっぜんやなァ…」
返信すらないと、チョモが言う。
「今年は引っ越したからなぁ…『寒中見舞い』パターンやな。」
13枚に『も』を付けるんぢゃないよ…ワテ、減らした上で30プラスむーちんの会社用10枚やっちゅーねん。予定外に返信する先も出来てるしな…。
「私の知人たちって『寒中見舞い』タイプやねんやんかぁ…。こっちはさぁ…『挨拶はこちらから』の精神でメッセージも相手の現状を想像してやからさぁ…ごっつぃ頭使うねんけどさぁ…向こうは『返事』やん。いいなぁ…私も『返事』がやりたいけどさぁ…この関係性って変わりようがナイよなぁ…『私のを読んでその返事』ってパターンでずっとイくよなぁ…」
親戚、友人、知人たちのほとんどは、私の年賀が届いてそれを読んでからの返信パターンで毎年お年賀をくれる。「えぇっ?!子供ってもう中学生?!」という反応が殿堂入りである。そう、中学生。もう、中学生。
私は毎年「間に合わ~ん」と言いながらも結局は間に合わして年賀を書いている。数が多いもんだから後半「あわわわぁああぁあ」となるだけで、書くこと自体は楽しいのだ。親戚用・友人用・知人用、みたいな分類を作って真面目に書いたり大いにフザけたりしているのだが今年は、引っ越しの荷物に囲まれている現状があってとてもそのように分類できる余裕がなく、特別に配慮したのは「むーちんの会社用」のみで、あとはどのようなおかたに対しても、一種類のみをプリントアウトし手書きメッセージ、という可もなく不可もない感じで作った。親戚も友人も知人もすべていっしょくたなので、画像も真面目すぎずフザけすぎず。家族全員で2010年のポーズをキめた画像に虎を付けたが、一名「写真のポーズが2010年だったのにしばらく気付きませんでした」という返信をいただいた。…気付かれていない可能性が高い。「2」をチョモが担当し「1」をヘイポーが担当しているので、我々夫婦は「0」の担当である。そうなるとアレか…「長男はピース」してて「二男はナンバーワン」のポーズ。何故か手で筒を作りそこから覗き込む父と母。夫婦は似てくるって言うけれど…アホ丸出しやな、くらいには思っていただけただろうか。時間が無いながらも何パターンか撮って編集までしたのに…。「2010年、ね。」てわかってもらえてないんじゃ…。
ここをご覧の方々だけにでも、告ぐ。
アレは2010年のポーズだよ。
チョモが出した13枚も、私がプリントアウトしたものを使ったハズだから、告ぐ。
家族4人で2010年だ。父と母が覗き込んでいるのは望遠鏡ではない。レンズ無い、倍率ナイ。
タマちゃんから年賀状の返事が無いからタマちゃんとは絶交するってチョモが言ってるよ。
ココちゃん、ウチの住所が書いてあらへんってコトは「元旦に直接ウチのポストに入れに来たんや~!さすがココちゃん。」てチョモが言ってたよ。どんだけ律儀やねん。こないだ、ウチに来てて(まァ…姿は見てないねけど)5分で帰った日あったやろ?「ココちゃん今日は英語に行かなアカンゆぅてたんちゃん?」てチョモにきーたら「うん、やから5分しかおれんから帰ってん。」
「間に合うんかいな?近くなったんやもんな?そっか…玄関にツッカケあったけどあれココちゃんのやな?ツッカケで来るくらい近いってコト?」
「うん、走って帰れば15秒。」
「ちかっ!」
あの日に、ココちゃんちが走って15秒のトコにあることを知ったよ。ちなみにココちゃんちの車が止まってる駐車場ね。向かって右隣りの車はウチのだよ。これもついこないだ偶然ね、ココちゃんが置いてきぼりを喰らった日に、父と母と姉が出掛けようとしているタイミングで私が駐車していて発覚したんだよ。ウチでは「優しそうだ」と評判のあのマミーが「出掛けるよってメールしたら『了解しました』て返ってきたから置いて行く」って惨いことを言ってたゼ。ウチと違って帰ってくんのを待ってそうやのにな~。

さて今年、私は二名のかたに「母親を頑張っているのね!」という感想をいただいた。
私の賀状は2010年ポーズの家族の写真に虎をあしらい、手書きのメッセージは「昨年、引っ越しました。どうぞよいお年を。」が主流。この賀状のドコに「母親を頑張っている」オーラが出ていたのであろうか。「0」のポーズだけで私が「頑張っている母」を演出できているのだとしたら、もっといろんな力が表現できるような気がするが、とにかく母親を頑張ってやっているのだということが漏れたようである。…謎だ。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-01-14 00:35 | +開楽館+ | Comments(0)  

そうか2010

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

2010年かぁ…にせんじゅう…言いにくない?
『にまいま』ってゆぅたらええんちゃん?…もっと言いにくない??
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本年も、昨年に負けず劣らず無駄を踏んでいきたいが、無駄をやってるばやいでないらしいので、就職でもしてみたいと思います。怠け者が働く昨今でございますから皆さん、もっと焦ったほうがいいですよ。
ちなみに私、初詣のおみくじ『凶』でした。仕事運は「我慢の時期」。何をしたってダメだから何もしようとするなって書いてた。神に出端を挫かれた…下には下が、いるもんでしょ☆どなたさんも、焦る必要あらへんでぇ~!
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by yoyo4697ru980gw | 2010-01-01 23:12 | +開楽館+ | Comments(0)  

憎めん九助やのぅ

おばーちゃんが選んでプレゼントしてくれる「おやつ」の中に以前、入っていた「九助」というクッキー。
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どうやら、シリーズであるらしい。
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袋には「高級クッキー」と書いてあるのだが、本当に高級そうなクッキーである。
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味も高級でまことにおいしい。
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「クスケ」なのか「キュウスケ」なのか、入っているクッキーが洋風なのに和カラシのキいたネーミングである。
置屋の下足番、九助。草履、懐であっためておきやした大旦那様。…ん、ご苦労だったねぇ九助。ご苦労だったねぇクスケ…ご苦労だったねぇキュウスケ…。クスケでイくか。そのほう、呼び名はこれからクスケでまいるぞよ。
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このクスケに今回、ゼリーが入っていた。
「なぁ…『高級クッキー』って書いてるけど、どう見たってゼリーぢゃない?」
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「それさぁ…クスケの袋におばーちゃんがバラのゼリーを入れたんちゃう?」
「全部、一緒ちゃうか?種類。おばーちゃんがバラで買うゼリーって、あれやん、具が入ってるやつ。味がいろいろあるやつ。それに…これ…開けた形跡はないで??またこうやって止めるか??めんどくせぇ…。このテープって『あ・ガッチャン』みたいな特殊なテープカッターみたいなヤツに専用のテープ入れるタイプやで?そんなん持ってへんやろ…」
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「でもおじーちゃんとか、持ってそうじゃない?探せば倉庫にありそうやで?」
「ないないない、大工さんの持ち物ぢゃないもん。店やってるひとの持ちもんや。あ…農家にもあるわ。」
「おじーちゃん、野菜作ってるやん。」
「あれは趣味や。出荷はせん。」
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「だって、原材料名、見てみ?小麦粉・砂糖・ショートニングやで?思いっきりクッキーの材料やん。いっぱい入ってる順に書いてあんねやろ?3番目くらいまでがおおかたの材料やろうから、これでゼリーはでけんで。その次までいこか?マーガリン・バター・卵。これでゼリーが作れたらこの会社、お菓子作ってる場合ぢゃないで。もっと他の事やったほうがええで、その技術を使って。」
「言えてるなぁ…この材料でゼリー作る、ていう技術をゼリーに使ってることがもったいないわ。」
「やろぉ??やからクスケの袋におばーちゃんが買ってきたゼリーを入れて『あのコらにあげよ~』やんか。」
「そうは思えへんねけどなぁ…」
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…いや?違うぞ。
注意書きを見たまえ。
九助ですから、上記原料の含まれていない時もあります。
九助が…どうなの?
クスケの誕生秘話、身の上、存在意義、性格、出荷形態、何も知らないんだけど。クスケの何もかもを知っていること前提の注意書きではないか。「九助ですから」て言われてもぉー…。

あぁ~そうそうそう、あんたはんもよぉご存知の九助ですわ、下足番の。はよぅから丁稚としてたいそう働き者で、読み書きには多少の覚えしかございませんが、性格は竹を割ったように真っ直ぐで、おいしい高級クッキーを食べては「おっかぁに食べさしてやりたい」と言い言い、涙をホロと流しましてねぇ。ほん~~~まに親孝行なヤツですわ。ワテとていつまでも身ぃが動くトシやあらへんから先々のことを考えますと、九助を下足番で置いておくのも、もったいないことやなぁとはおもてますねで。クスケもウチとこに来て長いさかいにねぇ、ワテの目ぇのゆき届かんような事でも、置屋のことならみぃ~んな承知しとってやで。下足番だけやのぅてああ見えて、細かいことまで出来ますねんで。半玉よりよっぽどお客はんの好みを知っとってや。そやから頃合いをみてなぁ、番頭あたりに就かしていろいろを任そうかとも思うんやけど、ひとつだけクスケのアカンとこがありますねや。どうも、丼勘定でかなんわ。小麦粉の旦那に砂糖の女将、こないだはあれは…西洋からのお客でショートニングはん言いましたやろか?マーガリンのおねぇさんゆぅとったかいな?あ~そやそや、バターのおとぅさんや、ゆぅてやったか?こんだけのお人のお座敷やのに、クスケに任してみたら「ゼリーの間」やて。ほんまにねぇ…根はええコやねんけどねぇ…なんしか、クスケやさかいに。まぁ皆はん、気ぃのええお人やから?クスケのすることやさかいーゆぅて?大目に見てくれはってんわー。あぁ見えてごっつぃ皆から可愛がってもーてんねで?そこはそれ、ほら、九助ですから?

前の時にフザけて「キュウジョ」って呼んでたけど、ホンマに「キュウジョ」なんちゃん?
お菓子の卸問屋で端数の出たお菓子の在庫管理に頭を抱えていた。
そんな卸問屋が9社あった。
数も半端で在庫処理のためにお得に買い取ってもらうような量でのセットは作れない。
どうしたもんか。
そこへちぼりが名乗りをあげた。
「どうでしょうね個人向けに。一般家庭をターゲットにした数なら出来ん事もナイでしょう。『安定した商品ではありませんよ』ということを前提に、しかしだからこそ『良質のモノがお手頃価格で』をウリにするってのは。味を知ってもらえば不定期販売にしても、固定客はツくと考えます。やってみましょう。」
こうしてちぼりは、半端高級菓子の在庫管理に悩む9社を、救助すべくシリーズを考案しましたとさ。

「それでですねぇ…このシリーズのまぁ…あとはネーミングなんですけど…」
「この商品が消費され続けるならば…在庫管理に頭を抱える我々9社も助かりますからねぇ…」
「9社を助けるこのシリーズに…望みをかけて…」
「9社が助かる…9社を助ける…これが救助の一袋…九助??」
キュウジョか?!
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by yoyo4697ru980gw | 2009-11-06 15:36 | +開楽館+ | Comments(0)  

相思相愛かしら

今とっても気になる存在の女性がいる。手話サークル『もみじの会』のナッシーさん。もちろん私が勝手に「ナッシー」という渾名をつけて呼んでいるにすぎない。世界の人々がネス湖のネッシーに心惹かれたように、私はナッシーさんに心惹かれるのだ。ネッシーの魅力が一言で語りつくせないのと同じように、ナッシーさんの「魅力的なひと」要素は一言では語りつくせない。だって、お会いしたのはたった3回。最初に会ったのは『もみじの会』の見学に行った時である。
私はまだ、ナッシーさんのことをあんまり知らないのである。しかしたった三度、お会いしただけなのにナッシーさんは十分に魅力的なのである。

ナッシーさんはとにかく「カンジのよいひと」である。カンジのよいひとならたくさん出会ってきたが、今までのカンジのよさとはまた別のカンジのよさなのだ。「品がある」というのともちょっと違う。でも品性はとても感じる。「品がある」外見のひとにはなんとなく声が掛けにくいもんであるが、私は『もみじの会』のことでわからないことを誰かに訊こうかな~と思えば間違いなくナッシーさんを選ぶだろう。『もみじの会』の雰囲気は全体的におっとりゆったりとした感じで、どちらかといえばチャカチャカとして落ち着きのない私などは浮いてしまいそうな気がするが、それを程よいカンジにしてくれるような気さくさをお持ちなのがナッシーさんである。「気さく」というのは油断をすると「ガサツ」になってしまいがちであるが、ナッシーさんの「気さく」はかなり丁寧である。物静かに話しをされるけれど聞き取れないということがない。控えめな感じなのに存在感はしっかりとある。なんとも不思議な「カンジのよさ」なのだ。

見学に行った日、私はナッシーさんの横に座った。
「こんにちは。まぁ着ているものがステキ、手作り?」
「はい、そうです。」
「手芸が得意なんですか?」
「いいえいいえ、好きなだけです。」
先生が、新しいひとが見学に見えたので基本をやりましょう、と手話での自己紹介から始まった。みなさん、私がわかるようにと声に出しながら手話をやってくださる。ナッシーさんは、先生が高校の教師をしておられ定年前に聞こえなくなられたのだと教えてくれた。
「だから教えるのもすごく上手いの。」
そして私の住まいが先生と近いことを、手話で先生に通訳してくれた。私は手話で童謡を歌うことから始まり、それが邦楽になり洋楽になり詩になり、と完全に「遊び」の延長線上で手話に興味を持ってきたので、「会話」として使う「手話」のセンテンスは歌や詩とは違うなぁ、と感じた。きっかけはヘイポーがしゃべらないんなら手話はどうだろう、といったトコロから入ったが、なんせ「学ぶ」ということよりも「楽しむ」ことを優先してしまう性格で、遊びの域を出ないのだ。
「では千徒さん、自己紹介をどうぞ。」
と先生にフられ、サポートしてもらいながらなんとか終え、基本の指文字などをやると、先生のサインランゲージが両手の指先を自分に向け胸の位置で交互に上下。
「ハイ、ではこれから『楽しい』お楽しみの時間です。」
??みなさんが持参のカップを出され、いろいろなおやつを広げる。
「千徒さんは、コーヒーと紅茶とどっち?」
「あ…はい…では、コーヒーでお願いします。」
ナッシーさんは紙コップを出され、私の飲み物を用意してくだすった。そして自分の荷物の中からおやつを出しながら、小声でこう言うのだ。
「みんな、家にあるから持ち寄ってるだけで、用意しているわけではないからね。絶対に持って来なきゃってことは考えなくていいのよ。」
この言葉に、私はナッシーさんのお人柄を垣間見た。はじめてのことばかりを体験する人間が考えることを、ものすごくよくわかっているひとなのだ。周りの状況を把握していないのに覚えることはたんまりあるもんだから、わけがわからんくなってどーでもええことを深く気にかけ、ああでもねぇこうでもねぇと考えすぎてしまうことが新人にはよくある。時間が経ち自分の中に余裕が生まれた時になって「なんであんなどっちゃでもええことを真剣に考えとったんや…アホくさ~」と気付くのであるが、どーでもええことを考えすぎていることに気付く余裕がその時にはない。そこで一言、先輩が「で、いろいろ教えてきたけど、今は考えなくてもええってのがコレとコレとコレ、てことをまず覚えて。」と言ってくれたら、どんなにかラクだったことだろう。
ナッシーさんが「考えなくていいのよ」と言ってくれなければ、私はきっと一番最後の「おやつを持ち寄るシステム」だけが印象に残り、「持って行ったおやつを食べられないひとがいたらどうしよう」とか「たくさん持って行ったらまるで遠足ぢゃないか…」とか考えたに違いないのだ。どーでもええのに、そんなこと。

ナッシーさんのようなひとを「大人の女性」と言うのだなぁ…と私は思った。それで、我が子たちにその魅力を語っている。
「本当にねぇ~『こうゆう大人の女性になりたいわぁ』て思うようなひとやねん。ただカンジがええってだけじゃない何かがあんのよぉ。それをこれから探っていこうおもて、入会してきたサ。」
老女が醸し出す「大人の女性」の感じとはまた違う雰囲気のナッシーさん。落ち着き感が私より30倍はあるのに、トシは15歳上。決してトシを訊き出したわけではなく、ナッシーさんが『もみじの会』の会計担当で代表の連絡先としてケータイ情報を互いに赤外線で交換したのである。赤外線で交換するとプロフィールがそのままコピーされることになる。私は画像まで登録してあるので、私がメールを送ったり電話を掛けたりすると好むと好まざるとに関わらず我が子2人と私の「うっしっし画像」が受着信中ずっと表示されることになるんである。私は2日目に『もみじの会』に入会したがうっかり会費を払い忘れてしまい、すぐにその旨をナッシーさんにメールした。来週でもよいのでしょうか、と問うとナッシーさんは、来週でかまわないと返信してくれたことに加え、『もみじの会』の出席率が最近はよくなくて少なかったから私がガッカリしたんじゃないかと思ってい、しかし私たちは千徒さんの入会を大歓迎で、「とても嬉しいです」と分厚いハートが添えられていた。なんてかいらしいひとなんだ…と思いつつ、私は「来週きっちり耳ぃそろえてお払い致します!」とフザけて返信。通常はいくらなんでも「このひとフザけたひとやな」という私への認識が浸透するまではフザけてはいないメッセージをこさえ常識人を装うのだが、ナッシーさんにはなんとな~く許されるような気がしたので、のっけからフザけてみた次第だった。翌週「メールありがとうね、お子さんの写真が送られて来てて、あんなん出来るんや~おもて。」と言うナッシーさんに、画像登録をしていますから赤外線でやりとりをした人には漏れなく画像がイヤでも表示されることになっとります、という残念なお知らせ。するとナッシーさんは「私…プロフィールは娘が全部やったのよ…そのまま送ったからもぅ…生年月日まで…恥ずかしい…。千徒さんにバレちゃったわ。」と小さく笑っていた。むむむ、と帰宅後に早速チェック。それでトシ情報を得たんである。15歳も年上なのにさりげなく50%、語尾を敬語になさる。私はもちろん100%敬語であるが、ナッシーさんのさりげない5割敬語が、私のフル敬語を遠慮なくスムーズに馴れ馴れしくさせ、会話をカタくしない効果を生み出している。

そして何より「さりげない」というその「さりげなさ」のタイミングがすんごく「カンジがいい」のである。
見学の時、みなさんに持ち寄りおやつを分けていただき、私はもらった紙コップのコーヒーを飲んでその空の紙コップの中におやつのゴミを入れていた。さて楽しい時間もお開きとなり長テーブルを折りたたみ、座布団を片づけるという段になると、私は見よう見真似で片付けを手伝い始めた。我が家の折りたたみテーブルと違って「ここが折りたたむ時に押すレバーですよ~」というハッキリとしたレバーが見えなかったので力任せに折ろうとしたのだが、どうも折れない。「あのぉ…この足はどうやって折りますか?」とナッシーさんに訊くと、折りたたみの説明をしつつナッシーさんは、私のゴミをさりげなく片付けてくれるのである、こういう風に。
「それね、足の向こうっかわにね、押す所があるけどわかる?ちょっと出てる所、あるやろ?…ゴミは私、もらって捨てとくわね。」
「あぁ、すいませんありがとうございます…えっと…コレですか?コレですね?」
「そうそう、それそれ~。押しながら曲げてみて。」
「はい、曲がりました曲がりました。」
「はい、ありがとう。テーブルはあそこにお願いします。」
「はい。」
なんて「さりげない」んだろう。これが雑談中に「ゴミは私が持って帰るわ」なんて言われたら「いえいえいえいえ、自分で持って帰ります」というやりとりになる。ランチに繰り出した時のおばちゃんらがレジで「私が払うわ」「アカンアカンここは私が。」「いいからいいから」「なにゆぅてんのん私が払うて~」のアノ状態。気心の知れた相手なら「じゃぁごちそうになるわね、今度は私が。」で落ち着くからよいが、そうでない場合は「レジ前問答」は時間をかけるほどに切り替えが難しい。
あぁ…こうゆう風にさりげなくサラリと気をつかい、それでいて相手に「気をつかわせてしまったわ…」という負担をかけないような方法があったなんて。ステキなひとだなぁナッシーさん。

2回目、初めての正式な出席の日、2時間の学習を私はほぼ正座していのだが、後片付けで自分の座布団をのいて横の余っていた座布団と重ねたところで、よつんばいになった姿勢のまま足の付け根からつま先までビンっビンにシビレて動けなくなってしまった。おまけに膝をついた瞬間に右足がツってしまっていたんである。
「あ…ぁ…あ…足…足が…すいません…シビ…シビレ…い…イタイ…ぉおー…ぁはぁー…ぅうー…」
わぁーずっと正座してたぁん??と小学校のPTAで何回か顔をお見かけしたことのあるナセーさんが声を掛けてくれるも、もう返事をするだけで激痛が走りそうである。
「ぁはー…」
力無く呟いてよつんばいのまま固まる私。
「いいよ、いいよ、ゆっくりしてて。私たち片付けるから、ゆっくりね。大丈夫?」
私の座っていた座布団を1コ飛ばして右に座っていたナッシーさんが、私の分まで座布団を片付けてくれようとするのだが、いかんせん、よかれと思って重ねた座布団二枚、よつんばいの私の手と曲げた膝の間に。ぁはー…ダメ…動けません…体勢を崩したら私は生きて帰れるのか…。体勢が変えられないのを察してかナッシーさんが言う。
「引き抜くよ?イイ?取るよ?」
「ぁ…ひゃぃ…おねぎゃぃひまふ…」
「じゃ…抜きますっ!」
スッ。
「大丈夫?」
「だぃぞぉぶ…でず…」
「急がなくていいからね?ゆっくりしてて。」
意を決し足を投げ出して座った姿勢に変え、右足をソロソロとなでてドコがツっているのかを見極める。ぁはー…イタイ…もうドコかわかんねぇ…。それを見た先生が、帰り支度をしながら「どうしたん?」ナセーさんが通訳「足がシビレでしまったみたい。」ここかな?どれどれ??なんて、ユーモアたっぷりの先生は私の足を触りに近づいて来る。
「ひぇええぇえぇえぇええぇええっっっ!!!!!ぃや~~~~っ!!やーめーてーくーだーさーいーーーーーっ!!」
それをナッシーさんが脚色して通訳。
「セクハラや~~~~って、言われちゃいましたよ?」
私の緊張と失態は、あっという間に、笑いに変わった。

あぁ…引越し準備に追われていて11月は、まるまる『もみじの会』を欠席。ナッシーさんに会えないのは寂しい…。しかしその気持ちをひた隠しにして、リフォームや引っ越しなどで行けそうにないので欠席させてください、とナッシーさんにメールすると、しばらく来られないのは寂しいですが来月会えるの楽しみにしていますね♪と嬉しいお返事。いやぁ~~~~ん大胆、ナッシーさん♪
…自分の気持ちを抑えてましたが…ナッシーさんの100倍くらい私のほうが寂しいっスよぉおぉおぉおおっ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-11-05 23:48 | +開楽館+ | Comments(0)  

不運を呼ぶマント

「よしっ。明日からはマントやな。」
「さっ。今日からマントやな。」
マントに大喜びのヘイポーは前日の晩からマントにかなりの熱を上げていた。数年前、編み物をする私にヘイポーはマントを編んで欲しいと言って、私はそれをサボりながらやっているのを責められたので心を入れ替え一気に編み上げたが、ヘイポーには「マント」のイメージがあったらしい。それは私が思うに「ハリー・ポッター」ライクなマントだったのだと思う。出来上がりが「可愛らしいポンチョ」になっているメイドインマミーのヤツは「マント」でなかったようだ。90%私に対して紳士的であるヘイポーに何故にマントマントゆぅとったくせに着ぃひんのやと、い~っても~♪いつも返事はお~な~じ~♪
「そこまで寒くないから。」
紳士的である。ハッキリ言えよ「イメージと違う」って。

セールで買った既製品の「マント」はカジュアルなパーカーポンチョであるがレディスサイズであるので、ヘイポーが着るとイイ感じにマント然としている。長すぎず短すぎないその丈の具合も気に入ったのだろう、試着をしたヘイポーは鏡の前に立ち「コレ、いいねぇ。」と言ってカメハメ波を一発お見舞いした。しかし、ヘイポーの繰り出すカメハメ波は自動ドアしか開けることが出来ないレベルなので、姿見はビクともしなかった。マントを羽織った途端、魔法を使おうとするその素振りに私は、このマントがヘイポーのイメージと合致したのだということを察した。ヘイポーはマントが欲しい理由を「敵と戦うため」だと言っていた。魔法を操り魔法学校で戦うハリー・ポッターか…たぶんそうゆうマントに可愛らしさはいらなかったのだ。まァ…ニットだからねぇ…シャープさよりラブリーが勝つ素材ではあるなァ…。2990円で魔法が使えるようになるなら安いぢゃないか。…鍛えろ、魔法力。

「今日、そのマント着て行ったらみんなが『これマントなんちゃ~ん?』とかゆぅて集まってくるかもよ?その時は、魔法を出してやっつけちゃえば?カメハメ波を出さんとアカンようになんで、出しておいでぇな。ノリのいいひとなら、やられてくれるよ。再起不能やで、なんせカメハメ波やから。」
そう言って送り出したが、帰宅したヘイポーにマントの評判を訊くと、こう答えた。
「いいや?ひとりも気付いているひと、いなかった。」
まさに魔法の力が発揮されている。その魔法は『必殺・隠れ蓑』…忍者寄りだな。かなり魔法力に磨きをおかけになったようだ。

「今日さぁ…最悪な事にさぁ…」
夕食のロールキャベツを食卓に運ぶため台所に来たヘイポーが告白。
「給食の時に先生がさぁ…僕の腕にスープこぼしちゃってん。ほんと、最悪。しかも、もうひとりのひともこぼしてさぁ…。そのスープってたまごスープやってんけど、今でも袖からたまごの匂いがする…。」
「帰って来た時に着替えたらよかったのに。」
「まぁ…乾いてるからもうイイんやけどな…。マント着て行った今日に限ってこんな最悪な事が起こって…縁起でもない。」
…魔法力か…これも?普段の学校生活で寡黙なヘイポーの周りは静かすぎるほどなのに…今日に限って賑やかね。
「マントからも少したまごの匂いがするねんな…イヤやわ…」
これも魔法力か?温泉浴マント。う~ん癒される…洗えよ。
「洗うトコ出したら?洗うから。」
「いや…明日も着て行くから…。」
不運を呼ぶマントでも、お気に入り。

二日目、学校から帰宅したヘイポーは嬉しそうにこう言った。
「今日な?『それマントやな?』ってみんなが気付いてん。」
「お~。『魔法も使えるで』って出してみた?カメハメ波?」
「出さない。」
「ソコは出しとかないと。」
「あんな?実は、昨日マントに気づいてたひとがひとりおってん。誰やと思う?」
「誰って…。ヘイポーのクラスメイトは交流がないからほとんど名前を知らんやんか…それって私が『誰』って言えるひとぉ??今年クラスがはぢめて一緒ってひとの名前はわからへんで??」
「あ~…名前は知らないと思うけどー…でも違う感じでわかると思うで、まぅ。今やったらとくにわかるかな。」
「ぁあ!テンサイやな?」
「そうやね~ん。やっぱりさすが天才って感じやろ??みんながな『マントやんか~』って言ってたらな?テンサイが『昨日も着とったで。』ってゆぅてん。知ってたみたい。やっぱり天才やろ??」
学校で話しをしないがヘイポーは、学校での出来ごとは私に家で話す。最近ではクラスで『天才』と呼ばれているテンサイの話題でもちきり。勉強もスポーツも出来て物知りなのでみんなから『天才』と呼ばれているそうだ。テンサイの天才エピソードを私に語っているくらいなので、テンサイに興味津々のようである。だからといって学校でテンサイに話しかけテンサイ情報を入手しているのかといえばそうでなく、テンサイが誰かと話している内容にこっそりと聞き耳を立て、盗みをはたらいているのだ。「テンサイってナニナニやねん」「テンサイってコレコレやねんで」とテンサイの素晴らしさを語るヘイポーに、わかっていても質問する。
「…て、ゆぅことを、テンサイと、話したの?ヘイポーが?したの?会話?」
「ん~…テンサイって…ナニナニらしいねん…コレコレ…みたいやで?」
「ほら。『ナニナニらしいで~』『コレコレみたいやで~』全部コソっと盗み聞きした情報やろ?さも自分でテンサイに訊き出したみたいに話しやがったなぁ?…話せよ、そんなに興味があんなら。」
「ん~…ボク…言葉がなぁ…」
ちょっと発音が悪くて通じにくいが、家では話すぢゃん。ミズオとも話すし、ウチに来たチョモの友達とだって話すぢゃん。公園で話してる時にクラスメイトに出会っても話し続けてるぢゃん。なぜ学校に入った途端、黙るんだ??授業の中でなら声を出すのに。国語で本を読めと言われれば読み、スピーチ原稿を読めと言われれば読み、発表をしろと言われれば発表をする。時間はちょっとかかるが以前のように「待っても待っても言わない」ということはなく、こなせているようだという報告は担任の先生から聞いている。しっかし6年間、頑なに私語を慎んだねぇ…。「おしゃべり」だけをカットとするというそのヘイポーの基準は何なんだろう。クラスメイトのおしゃべりに聞き耳は立てるのに。

「テンサイがみんなにマントのことゆっちゃって、マントが知れ渡ってしまってん…困ったことに。」
ヘイポーがマントを着ているとテンサイが言いふらしたことで、「ホンマにマントやんか~」とチャチャ入れに来るヤツ、続出。穏やかな学校生活を切望しているヘイポーにとって、『マントやな~っ!ポン・ポンっ』みたいなコミュニケーションはとっても不運。「魔女みたい…て。」失敬だな、気分はハリー・ポッターぢゃい。出すのはカメハメ波。
「オープンスクールの日そのテンサイとやらを見てみよっと。当てるから言わないでね。」
「うん、わかると思う、見ただけで。」
「見ただけで?顔も天才なん?」
「うん、天才。」
すごい天才がいたもんだな。天才の顔してるテンサイ。眼鏡をかけてるんだろうか。

体育の授業を一時間みて、テンサイを選ぶ。勉強もスポーツも出来るっつったって、勉強が出来るのは参観ごときでは探れない。高飛びの練習をしている2組の面々から、顔が天才のスポーツマンをピックアップ。二名、該当。授業が終わって教室へ戻るヘイポーに探りを入れる。
「テンサイってさ、背ぇ高いやろ?」
「高いって…ひとりしかいないやんか…」
「一番ぢゃないよ。小さいか大きいかで分けたら、大きいほうやんな?」
「あ~…そうそうそう、そうやな。」
ん、一歩近づいたな。

しかし正解は第一の男でも第二の男でもなく、眼中に無い男であった。
「え…あのコ…?今、はぢめて見た。」
本名が全くわからないテンサイの、勉強の出来もスポーツの出来も何一つ私は探れなかった。そして今やもう、天才って顔をしているテンサイの顔も、すでに忘れてしまったほどだ。
忘れさせることにかけても天才だぜ、テンサイ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-28 22:42 | +開楽館+ | Comments(2)  

走れ、糖分摂取のために。

「さっき、おにぎりもらって食べたからお腹そこまでは空いてないで~。」
イカれた満腹中枢をお持ちのチョモが珍しく空腹を訴えない。午前中までで授業が終わり15時から部活だと言うので、中学校前のガストでゆっくりと昼食を摂って、トイレで着替えてそのまま学校へ戻ったチョモ。夕方、部活の終わり頃に先輩がおにぎりを食べていたので「センパ~イひとくち~!」の「ち~」と同時に、食べてよいともわるいとも言わせずパクリと喰いついたら、先輩あきれて1個くれた。
「それがさぁ、手作りのおにぎりでぇ~。しかもたった今、作った!みたいなおにぎりでぇ~。海苔、パリパリやね~ん。シャケと梅、ダブルダブル、具がタブル。」
「アンタ、こないだおにぎりの具をダブルにしてたら喰い合わせが悪かったゆぅてたやん。」
「アレは悪かってん。思ってんけど海苔が決め手やな。シャケと梅は海苔で絶妙。」
「う~ん…研究の余地ありやな…」
「うんま・うっま~♪ちゅうて喰ぅとったら『おにぎりをこんなにうまそうに食べるひと、はぢめて見た。』て先輩に言われた。」
オマエはその先輩にキヨシさんと呼んでもらえ。そしてハラが減ったらその先輩に言え。
「ボクは・おむすびをひとつ・もらいないさい・と言われたんだなー。」
先輩が遠慮してもちぎり絵の礼は忘れんなよ。

「んで明日、部活から帰って来たらすぐ出掛けるから。」
「どこに?」
「サーティワン。」
「おっ!リンゲン、約束守るんやな?」
こないだのルートン、一年のリレーで「一位になったらアイスをおごっちゃる」という褒美制にしてそのやる気を煽ったリンゲン。今年の一年は鍛えればそこそこイける素質を持った生徒がそこそこ居るのに、やる気がなくてそこそこサボるのだ。ケツが割れても休まないチョモと、チョモに抜かれるわけにはいかないキディは練習にやる気を出しているが、残りのリレーメンバー二人がアヤシイ。
先輩の情報ではリンゲンの「アイスをおごっちゃる」は常套句で、その約束が守られることは少ないと言う。『おごるってゆぅたのにぃ~まだ食べてない…』と、タダで食べられるモノに執着するチョモがスネていると「アレ、ゆぅだけやで。」と先輩が経験談を語った。リンゲンの「アイスおごっちゃる」は3回に1回、事実になる。
しかし、今回のリレーは予選で大会新記録を出し決勝でその大会新記録を更新。奢らんわけにはいかん結果を出したアレ中一年リレーチーム。
「やっと守んねん。ほんでリンゲンの『カニ食べる』も、守られるらしいで。『全国イったらカニ食べよう』ゆぅてほんまにカニ食べに行ったらしいねん、2年前。いいな~カニ食べたい。しかも食べ放題に行ったらしいねん、食べ放題やで?カニ。全国かぁ…県イって…近畿イって…全国やろぉ…リレーならイけるかなぁ…」
今後の目標、カニ。

こないだのルートンでチョモは、100の決勝を走った後で他校の生徒と話しをしていた。知らないひとに話しかけるような性格ではないのに…と本人を直撃すると、「あぁ、ドコドコ中のダレダレな。」と言う。前回のルートンで負けていた生徒に勝ったので「練習したん?」と話しかけられたと言う。みんな、自分と競っているタイムの相手は互いにチェックしているのか。そして負けたらその健闘を讃え、そうやって交友が広がるものらしい。ふぅん…そうか…。
「練習したん?」
「うん、こないだは負けてたからな。ところで、こうゆうのどう?負けたほうが勝ったほうに何か奢る、ソコのコンビニで。今回は僕が勝ったから何にしよっかな~・おぉ~チョコレート・チョコレート。やっぱ糖分、摂らないとな。ありがとう、こうやって切磋琢磨して互いのレベルを上げていこうゼ♪」
「よしっ!次こそは勝つっ!!」
商談成立か。

突然チョモが今、身寄りのない身におかれたと考えてみよう。不慮の事故かなんかで、私は息絶え絶えにチョモにこう言い残そう。
「チョモ…ともかく速く走れ…」
御臨終

天涯孤独なチョモはもう中学生なので、どうにかこうにか自炊をして細々と暮らすだろう。日々の食生活は粗食であろう。しかしお前には陸上がある。試合でともかく速く走るのだ。そしてリンゲンにアイスやカニを食べさせてもらい、競っている他校の生徒に勝って次々と商談を持ちかけるのだ。
試合の褒美でオマエの食生活は潤うことだろう。次の試合の褒美を励みに日々の粗食に耐えるのだ、俄然やる気も出るだろう。タイムを落とすことが即ち食のレベルを落とすことであるから中途半端なマネが出来るはずはない。
チョモよ、食うために走れ。
糖分は速く走ってゲットだぞ。
ちなみに上白糖の底値は今、98円ですんで。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-19 09:29 | +開楽館+ | Comments(0)