ドミノンチスト

図書館で借りたい本を選んでいるとヘイポーがそばにやってきて言う。
「4人でドミノ作って倒すからまぅの部分、作ってほしいねんけど。」
「3人でやりなよ。」
「もう作り始めてんねん。まぅのトコを空けてるからな?来てな?んじゃ、2階に行ってるから。な?来てな?」
「はいはい、わかった~。すぐには行かへんで?本、借りてからやで?」
「うん、わかった。もう僕たち、作ってるから。」

…ドミノねぇ…。ドミノ。もうひとつのほうのドミノをやったことがある。あのカタカタカタ~と倒すドミノは、実のところ頭を使うゲームである。アレにはサイコロのように数字が書いてある。点が書かれてあって1とか2とか3とか。たしか6まである。二つに分かれていて、1と3だったり、6と6だったり、4と0だったりする。これを自分の持っているドミノの中から順番に同じ数字で繋げて場に出してゆき数字の合計が5の倍数だと得点になる、というゲームである。いろいろとルールがあって、一直線に並べていたドミノが途中そのルールにのっとると枝分かれしていくことになる。自分の持っているドミノの最後の一枚を出せた人がいた時点でゲームセットだが、他の人のアがりを阻止するためには枝分かれ部分を止めるということも必要になってくる。自分のための道を残しつつ、道をせき止めるのは難しい。アがったその時に手に持っていたドミノの合計点でペナルティーが課せられたり、高得点がもらえたりもするので、誰かがアがりそうになってきた時に自分の手に残っているドミノの合計点調整もしなければならない。アがる時まで気の抜けないゲームなのである。出すこと自体は単純なのだけれど、出す順番やタイミングを考えながら、しかし得点獲得のために5の倍数にしたい気持ちも捨てられず、早くアがれたハズなのに気が付けば手持ちのドミノが「自分だけむちゃむちゃ持ってる」コトになったりして、捨てるだけの「得点無し」で場に出していかねばならず、そのために相手に高得点をトらせてしまったりして、泣く羽目になるのだ。ドミノってこうゆう遊びが出来たんだ~、と、このことを教えてくれたのはヘイポー。ヘイポーがポケットゲームドミノという手軽な暇つぶしを見つけてきて、そのルール解説で知った。『ドミノ倒し』のドミノしか知らなかったので新鮮だった。しかし、今ヘイポーに誘われているのは倒すほうの『ドミノ』であるらしい。

…ドミノねぇ…。ドミノ。私は今『ドミノ倒し』をする脳ではない、という気持ちをさてどうしてくれよう。
『ドミノ倒し』はね『登山』と並ぶ、世界三大『無』動作なのだ、私の中では。残りのひとつは『流れ作業』だと思っているのだが、実際に経験したことはない。聞いたことならある。例えばむこ~からなんかの基盤みたいな部品が回転寿司のようにズラズラと列をなして流れてくる。目の前を通過する時に、基盤の決められた位置にさらなる部品を「イ」て入れるのだって。もちろん、全部の基盤に入れるのが仕事内容なのだから、「イ」「イ」「イ」…(エンドレス)と次々と入れていく。
「あー…あ・あ・あ・あ・あーーーっ!!!!」て言ってる時には、「部品が不足している基盤」が20個ほど目の前を通過してるんだって。そんなスピードで流れてる。イ・イ・イ・イ・イ・イ・イ・イ・イ・イっライライライラ~~~っ!!!!て、ならないのかと訊いたトコロ、ならないんだって、慣れるんだって。
私は、じ~っとしている時や散歩の時にはたいてい深く深く考え事をしている。その内容はいつもくだらないが、話しかけられたことにも気がつかないくらい、物思いに耽っているのだ。絶えず何かしらどうでもいいことを考えていて、時々ニタニタしていたりつい思っているコトが口に出ていたりなんかする。そしてそれは、周りからはどんなにくだらなく見えようとも、私にとっちゃとても貴重な時間なんである。
ところがこの「世界三大『無』動作」と定義する動作には「考え事が出来ない脳」へと誘う魔力があるのだ。夢中になりすぎるあまり他のことを考えられなくしてしまうのだ。キライぢゃないよ、キライぢゃない…しかし時と場合を選ぶのだ。「無駄に考えたい」という気持の時に「世界三大『無』動作」でトランス状態に陥ったなら、副作用に苦しまねばならぬのだ。私は、無心で夢中になって『無』動作を行ったばやい、必ずと言っていいほどしばらくは自分の身の回りのことや真剣にやらねばならぬ事柄がすべて「ど~でもイイぢゃ~んっ」と思えてしまうのである。諸賢よ、経験はござらんか。もうこの世の終わりというほど悩み抜いている時に、例えば大自然を前にする。広くて深い海でもいいし、青い空のみが見える山頂でもいい、どこまでも続く地平線でも。頻繁には見られないけれども、オーロラとか皆既月食とかでも。自然の営みを目の当たりにしてはた、とお思いになったことはござらんか、「あぁなんてちっぽけなことを」。私は何度、思ったことか。しかも雄大な大自然など必要ないほどカンタンに私は思っちゃってるんである。建物の間に夕日が沈むってだけで、波がこっちに来て引くってだけで、「あーどうでもいい~こんなちっぽけなこと、どーでもいい~」。…あんなに…あんなに落ち込んでいたのに…なんで浅い悩みっぷり…。
人間「どーでもいい~」なんて思ってしまったら、そのひとこそ「どーでもいい~」のである。「どーでもいい~」とおもてる人間はどもならんので、ある。無心になる人間ほど、精神的鍛練が出来ておらねばならぬのだ。心ここにあらずで無の境地なんて、ただ単にイっちゃってるダ・ケ・だ・か・ら~っ。

私は、本を借りようとしているのだ。本を、読むつもりだ。夕食も作るつもりだし、作ったんだから食べるつもりだよ。明日の弁当のことを考え、記入・提出する書類もぎょうさん。イっちゃいたく~ないんだよね~っ。
しかし情に厚い私は、期待に応えるイイ子ちゃんである。ドミノンチストになるとゆうこと…それは私にとってはロマンチストになるよりもタチが悪かったりすんだよね~っ。しかし母性にブ厚い私は、我が子の頼みを受け入れるエエ母親である。早々に本選びを切り上げて二階へと向かった。だってナサケに厚っくるしい私は、けっこう夢中になるタイプなんだから。

私の担当箇所だけ空いている場所に、ドミノを勝手に取って並べようとするとイノッキが「黒はアカンでっ!」と言いくさる。担当箇所は色別でこさえていくらしく、黒×白モノトーンがイノッキゾーン、
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青×赤原色がチョモゾーン、
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黄色サンサンがヘイポーゾーンでもうお決まり。
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私はオレンジレンヂッティのドミノだけが使用を許され、余っている緑や余っている白などを「恵んでください」と乞うて使えということである。
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…ゲスケット(ゲスト×助っ人)に不利な条件を押しつけるヤツらだな。ま、イイけどさ、技術でカバーすっから。器用なのよ私ったら意外と、それに遊びには凝るタイプ。
「時間差でコッチとコッチに広がりを…」
と考えていると、まだぁ??と催促される。作り始めたのがおせぇーんだから猶予が要るだろうがっと主張すると、おっせーからもうひとつゾーンを追加すると言って、「緑はコッチで使うから。」と私の物乞い緑ドミノを取り上げられた。
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どこまでゲスケットに対して不利な条件ゆぅてくんねんっ。並べようにも数がなかったらススまんっつーの。

「もういいや、コレで。」
上から見物するために、イスの上に立つ。

現場監督の手による「引き抜き式」と
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チェック。
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ゲスケットが「考え事も出来ない」という副作用に耐えながらこんなに頑張ったのに、おいしいトコロは全て主催者側がもってく。
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「おお~っ!イった~っ!!」と湧く。
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そして「パタ」と流れは止まった。
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…ゲスケット、凍り付く。
「ちょっとー、まぅ、何してくれてんのー?」
「…おかしいな、遠心力も計算に入れたハズだが…」
計算方法は知らないけどね。
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枝分かれ部分が倒れないのはいいが、接続部分が倒れないのはマズいよな。次に繋がらないとな。
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「スターターが再びスタートさせる」というあってはならぬ展開に。
全力を尽くして、後遺症まで負った。
もう、どーでもイイちゃ~ん♪
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by yoyo4697ru980gw | 2009-06-16 11:25 | +朝臣寺+ | Comments(0)  

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