季節モノ

ここいらへんの季節モノ「いかなご」が、今年は入手困難であった。…らしい。そのうえごっつぃ、高い。…らしい。
「今年はめっちゃ高いし、ホンマにどうしようかとおもたけど…季節モノやしなぁ…おもて。定額給付金があるさかい少しだけやけど炊いたから、宮崎にも送ってあげぇ?」
むーちんのおかーさんから届く「いかなごの釘煮」は我が田舎の老人たちに大変、好評である。老人たちはひなたぼっこなどしながら茶のみ友達と茶をしばくが、宮崎ではそんな時に自家製の漬物とおいしい緑茶でおもてなしをする。その中にこの「いかなごの釘煮」をそっと忍ばせ「これはウチの孫が嫁いだ先の季節モンで今だけしかないんよー」なんかゆぅた日にゃぁ、おもてなし度は格段に上がる。客人が「このお漬物、ちょっともらっていってもええかいのぉ?」なんて一言を言おうものなら、サヨさんは種々様々なオチツキをちょっとどころではない量、包む。御自慢の自家製漬物や佃煮は「持って帰りたい」という先方の希望こそ、この上ない賛辞なのだ。事実サヨさんの朝鮮漬けは、胃を半分失った我が父タカボーが泣く泣く箸を置くほどのウマさである。朝鮮漬けは胃の中で膨張するため、胃を縫合して閉じたタカボーには酷な食べ物なんであるが、サヨさんはそれがタカボーの好物と知っているので得意になって届けてしまう。「うすーーーーーーーく、切っちゃれ(切ってくれ)。」と私は何度もリクエストされたもんだ。結局…喰いてぇのかよ。1時間もすりゃいてぇいてぇとのたうちまわるクセに。我が子の胃の状態に関係なく、今年もサヨさんは朝鮮漬けを作るだろう。それが生き甲斐だと言ってもいいほどサヨさんは、漬物と緑茶に力を注いでいる。茶を栽培し「サヨ茶」という自分の茶葉までこさえている。茶葉は遠赤外線のこだわり焙煎ですけん。
兵庫県で生まれ兵庫県で育ったむーちんは、ウチの実家での「茶と漬物のおもてなし」を受けた時「バカにされている」と感じたそうだ。我が田舎では親類縁者への挨拶を欠かすわけにはゆかない。伴侶を連れて里帰りをしたのならなおさら、三親等内親族漏れることなく三ツ指ついて御無沙汰しておりますと回らねばならぬ。そしてあっちゃこっちゃで酒を、浴びるほど呑まねばならぬ。それが、宮崎の我が親戚への礼儀でござる。呑み始めた途端、無礼講・無礼講。
「嫌われてるんやろか…オレ…」
お茶を出されて香のモノが次々、出てくる。兵庫ベースで香のモノは「箸休め」。たいがい食事の最後に口直しとしていただくのが主流である。どこへ出向いても着いた途端に茶が出され、漬物が出されやおら訊かれる「まぅのダンナはイけるクチ(酒豪)か?」。…早く帰れという意味か…そう気に病む伴侶に私は教えて差し上げた。
「最高のおもてなしです、それが。」
酒は、朝っぱらから呑む飲み物ですけん。
未だにむーちんは宮崎出身者に出会うと「あ、じゃぁアレ?お茶と漬物、出すやろ?オレ、嫁の実家でソレ出てきた時、嫌がらせされとんやとおもたわ。」とまず愚痴る。「ああー、フツーやな。」と宮崎出身者が語ると、私はすかさずこう言うことに決めている。「宮崎のうどん屋の良し悪しは漬物の味で決まるやんな?」たいがいの宮崎出身者はこれに同意する。うどん屋のテーブルに無料の漬物が置いていないようなトコロは、客の支持を得られないと言っても過言ではないだろう。店独自のあとヒくウマさの漬物が無料で置いてあってこそ、宮崎のうどん屋さんとして名を馳せることが出来るのである。漬物の味が変わったら、うどんのダシを疑ってもいいくらい。それほど、漬物の味が、商品であるうどんの価値を左右する。

今年も我が田舎の季節モノである「まぅ梅」と「サヨ茶」が届いた。お礼の電話を入れるとサヨさんが、なかなか帰って来られないかと問う。先立つものがございませんので田舎が遠ぉございますわオホホ、と答えると、皆が元気ならそれが一番と言い、加えて、不思議とよく出来ているものでお金が無くてもあなたたちには健康があるみたいね、と褒めてくれた。粗食って、ナニゲにカラダにイイ。
こちらも元気よとサヨさんは、ダレダレがドコドコに居て、ダレダレが何日に来て、とひとりひとりの名を挙げた。私より13も年下という犯罪的な年齢の、3つ上の兄の嫁が、サヨさんに包装された品を持ってやって来たそうである。会ったことはないけど電話で一度話したよと報告すると、サヨさんが兄嫁チャンの贈答品が何だったかを明かした。
「…お茶じゃとよね…まー…知らんとじゃろう…」
「あはー…ほら・ほら、嫁サン若いし。はははははー…おもしろいコやね~…。」
スミくん、なんで私がフォローせなアカンのや。
サヨさんにお茶もってくて…米屋に糠もってくようなモンやで。
毎年サヨさんが手伝い頼んで茶ぁ摘んでんのスミくんは知っとるやろ、事前にゆぅとかな。
「そんなに若いコやったらお茶の木なんて見てもわからんのやない?知らんとて。」
フォローの上塗りしといた。
セーフセーフ、年齢的に「若気の至り」でまだイけると思う。
植物全般あんま知らないひとキャラでイっといてね~しばらくは。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-05-14 11:07 | +談合料亭『千徒馬亭』+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA