指ですくう

コース料理のデザートでクリームブリュレが出てきた。あまりのおいしさにスプーンでスミに残るクリームブリュレを掻き集め、味わった。同席の友人たちが会話をしている隙をツいて、欲望を抑えきれず指を器に突っ込みまるでゴムベラかのようにクリームブリュレを寄せ集めて舐めていると、それに気付いた友人が「やめさないよ、はしたない。」と注意した。友人の目を盗みながら素早く指をすべらせもう舐める余地がないというほど舐め終えると、ウエイターが皿を下げにきた。ほどなくして彼女の前に件のクリームブリュレが運ばれて来た。もうデザートは先ほどいただきました、と告げるとウエイターはこう言った。「こちらは店からのサービスです。大変にお気に召されたようでしたので。」友人の目を盗んで舐めている所を従業員にしかと見られていたのである。なんと粋なお店であろう。コース料理を出すくらいなのだから、それなりのお店であるはずだ。マナーを守ることなど基本のキであろう。はしたなくはない食べ方をしてシェフを呼び「デザートが大変おいしゅうございましたわ。」かなんかって言うのが礼儀だったりするようなトコかもしんない。そんな高級店が、指を突っ込んで舐めくりまわす客の行動を、最高の称賛と受け取ったのである。料理人にとってそれは確かに無言の称賛である、舐めまくってしまうほどおいしいということなのだから。マナーは大切であるが、あまりの素晴らしさに一滴さえ一粒さえ残したくないと思えば、この行動はルール違反ではないと思う。それがルール違反ではないことを、もう一皿サービスするという行為で認めたこのお店の、心意気が最高級ではないか。

さて、私は高級店でコース料理を食べる余裕はないが、ちょっとばかしの無理を承知でコスメをしこたま買っている。
d0137326_13233845.jpg

なけなしの金をチープなコスメ研究につぎ込んできた。安価でありながら文句なしというコスメを厳選することこそ、女に生まれてヨカった~っ!とひたれる喜びだとかたく信じている。それほどにチープコスメに心血を注ぎこよなく愛してきた。
接客業を辞めてからというものだんだんと薄汚れてきているが、たまにメイクを施して年上の女性と会ったりなどすると「やっぱ千徒さんはわっかいなぁ~ノーメイクでいけんねや~んっ♪」と言われて小さく反抗する「…いや…30分かけてして来ましたけど。」
中学校の保護者など年齢層が高いのでカバー力もそれなりに高いゆえ、私も負けじとフルメイクで出陣する。行きしに剥がれ落ちても知らんぞとばかりに層にしたメイクで到着すると、特殊メイクでもしているのかと見紛うほどのキングオブフルメイクに出くわすのである。海外コスメの香りが漂っている御婦人がひとりふたりまたひとり。帰宅して速やかにオイルクレンジングをしながら私は思うのだ「…メイクって…なんなんだろう…」コスメに対する情熱が一時的に萎えたりなんかする。
だからというわけでもないのだが最近は基礎化粧品に全力投球中である。メイクは毎日やらないけれど、洗顔・整肌・保湿なら毎日やる。ならば基礎化粧品を究めよう。

安価であるとは具体的な金額でゆぅたら、1アイテム1000円以下である。3段階あって、0円~500円(0円が存在するのはいただきモノだから。季節の変わり目に大阪あたりをブラつくと試供品で2週間のUVくらいは蓄え可能)ならば誰の許可も必要無くチープコスメ殿堂入りという価格。500円を超え1000円未満である場合、これは質と量を兼ね備え、使い心地と優秀さの評価が高ければチープコスメと呼んでいいだろう。まれに1000円を超える場合がある。上限は2300円である。2300円を超えた時点で、それはもうどんだけ優秀な成分が配合されていようがチープではない。ただ金をかけただけ。そりゃ金さえかけりゃぁ海の底のミネラルでも何でも入れられるわい。美容とは金をかけることではない、心掛けである。美容クリームが8000円だとぉ??…この心掛けが必要だ。金銭感覚の「安い」の脳内底値を値上げしてはならぬのだ、絶対に。風呂上りに塗って翌朝流すクリームに8000円は、高いぞ絶対に。朝から私の喉を大量に流れている2リットルのインスタントコーヒーなら21本も買えるから。これさえ飲んでたら一食くらい抜けるから。「たいした金もかけずにキレイね、いつも~。」言われ方は悪いけど、これこそ真の美しさであるぞ諸賢よ。

基礎化粧品の中でどう転んでも高価なアイテムがある。それが「美容液」と「保湿ジェル」なるものである。ま、どっちかひとつでいんだけど、どっちも同じくらい高価である。スポイド付きの青色のビンに入った美容液が1万円を超えていたりなんかして、これ何年モノですか?と訊こうかと思うほど。テスターを指先にチョコンと乗せるとタラ~と流れゆく美白エッセンス、ちぃせぇチューブで9000円。これ似てるからスジャータポーションミルクでも塗っとったらえんちゃうか?ベタつくか?アカンか?なんせ「褐色の恋人」やからな、美白はせんか。
もうちょっと頑張ってぇなコスメ企業。こうしょう、詰め替えタイプのみ販売してパッケージも業務的にしよう。遮光瓶は各自用意で。一回使い切りタイプビニール包装で防腐剤入れんとこ、その分、安くしよ。ミキサー車かなんかで顧客の家まわって、保存容器に注いでいったら…あ・コレは高くなりそやな。…もうちょっと安くしてくれななぁ…ちふれよ、期待できるのはおたくですわよ。もうちょいイけるよ、おたくさんは。続けて買えるような価格にして。『続けることが、きれいの、きほん』なんやろ~消費者は『いつも「キレイ」に、まっすぐ。』やで~。

いただいていた保湿ジェルが昨晩、底を尽きた。
「1回分にしては多いけどもう1回分はないな」というような時だけの贅沢が、指ですくう行為である。
この、いただきモノだから価格はわからないがきっと100円や200円ではなかろう保湿ジェルを、今夜は顔だけでなく首にも、ほんで腕にも、きゃっきゃっきゃ足にも塗っちゃうもんねぇ~。指でこれでもかといつまでも絡め取り贅を尽くす。
d0137326_13235534.jpg

目を盗みながら舐めくりまわして味わったクリームブリュレに匹敵するほどのまるで舐めたような空容器は、無言の称賛である。
どこかの企業よ、この悪食さながらの執着心をしかと見てはくれまいか。これほどまでのお気に召しようを認めてはくれまいか。私が、貰わないかぎり手を出さない美容液を1本サービスしてはくれまいか。私はモニターとして、細かな採点レポートを提出する所存である。
[PR]
by yoyo4697ru980gw | 2009-04-27 13:30 | +談合料亭『千徒馬亭』+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA