伸びるびるびるノビルびる

春の初め、橋の上を通った時チョモが私に言った。
「おっ?!もうそろそろえんちゃん?!」
「あっそやなぁ…ほんじゃ午後に収穫に来よか~っ!」
「収穫?なんの??」
「伸びるびるびるノビルびる。」
一緒にいたイノッキは私との付き合いがまだ浅いので、冬の終わりに目をつけた、自生している野蒜を春に掘り起こして収穫し、ノビル味噌を作るというプロジェクト「伸びるびるびるノビルびる」を、知らない。
「は?なんなん、チョモ?チョモのオカン、なんてゆぅてんの??」
「伸びるびるびるノビルびる、やがな。」
「なんなん、それ。」
「知らんの?野蒜?食べられる野草。」
「…あぁ、ノビル、な。知ってるけど…なんでそんな言い方やねん?」
喰いついているのは、タダ食材「野蒜」じゃなくてその言い方のようだ。説明が、いるか?たかが言い方じゃねぇか。それよりもちみ、興味を「タダ食材」の方に向けないとよい収穫技術は身に付かないぞ?働かざる者喰うべからずじゃ。
「伸びるびるびるノビルびる、は、タダで食べられるんやで?興味が、湧くだろう?収穫しよう。」
「いや…おばーちゃんちにあるから…収穫したことならあるけど…」
「じゃぁ、収穫せぇよ。」
「…なんでオレが千徒家のタダ食材を収穫せなアカンねん…タダ働きやんけ。」
「ごもっともやなぁ…。ノビル味噌、作るねん。出来たら味見さしたるからよっ、しようや収穫。おもろいで。たぶん。」
「…まぁ…べつにええけどなぁ…収穫するんは…」
「いや?下処理までやけどな、するのは。」
「どんだけひとを使うねんっ」
「おおいに収穫しようじゃないか。おいしいみたいやぞ、ノビル味噌。箸がススんで止まらん、て書いてた。」
「何に書いとってん?」
「つくれぽ。」
「ほんまにな?『つくれぽ』ってアテになるねんって!『つくれぽ』がなかったらたいしておいしくないねけど『つくれぽ』が7件とかあればめちゃめちゃおいしいで。僕たちが調べたヤツでは『つくれぽ』ないのが基本やもんな?あってもまぁ2~3件。生キャラメルな?あれ『つくれぽ』7件やで。」
クックパッド検索担当、チョモが情報を捕捉。
「めちゃめちゃ調べてるやんっ収穫する気マンマンやな。」
わてら、かれこれ冬からずっと、ノビル様のことお慕い申しておりますの、ホホ。

収穫に行った野蒜の…埋まっている土が固いのなんのって。
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持って行ったスコップが全て折れるほど。

「ここの土…良質やなぁ…欲しいなぁ…」
「なにすんねん、土。」
「いや…ウチ、裏にイッパチ農園ちゅうのがあって一か八かで野菜をなぁ…育ててるんやけど…」
付き合いの浅いイノッキは、我が家のイッパチ農園を、知らない。
「ケト土っぽいなぁ…ちょっと前にあんなに欲しかったのに…ココにあったんか…」
「ケト土?」
「趣味が『マン盆栽』ていう時期があってなぁ…苔玉作るのにケト土っていう土が必要やったんや…ま、もうその趣味はないからいらんか。」
付き合いの浅いイノッキは、我が家の玄関横にある盆栽がマン盆栽であることにも気付いていないであろう。よ~く見たら、Nゲージフィギュアがいろんなおイタをやらかしているんだがな。

折れたスコップで一所懸命に掘るヘイポー。
一心不乱に掘っているが、かきだしている土が全てイノッキに降り注ぐ。
「うわっ!なんか降ってきたっ!うわー…もぅ…やめてやヘイポー君…」
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「ヘイポー、イノッキに土がかかってんで、謝り。土を飛ばさんように掘り。」
私はヘイポーにイノッキへ謝罪するよう言った。
「くっくっく、あ、ろめんろめん。ちょあらんおーにてゆぅれおら?おのウロップおわれてんれれ?ちゅち、あらいねんあら…。おうらってらんあっておってぅんやわら!」
「まぁ…それもわからんでもないけどやなぁ…とにかく土をイノッキの方に飛ばさんようにやりや?」
「ああった…ちゅちろあんよーにうるけど…もいかいららああるかも…」
「やってさ、イノッキ。」
「…なんて??…ちょっと…、ヘイポー君、なんてゆぅてんの???」
付き合いの浅いイノッキは、言語発達が遅れ気味のヘイポー語を聴き取る通称『ヘイポー耳』が出来ていないようだ。
「わからんかぁ?」
「わからんわっ!っちょっと~っ!!二人で盛りあがらんとってぇや~。」
「今の会話、盛り上がってないから、ひとつも。」
「…そうなん?」
では、会話の再現を。

「くっくっく、あ、ごめんごめん。飛ばさんようにてゆぅけどな?このスコップ壊れてんねで?土、固いねんから…。僕だってがんばって掘ってるんやから!」
「まぁ…それもわからんでもないけどやなぁ…とにかく土をイノッキの方に飛ばさんようにやりや?」
「わかった…土飛ばんよーにするけど…もしかしたらかかるかも…」
「やってさ、イノッキ。」

盛りあがってないの。
文句、垂れてるだけ。

大量収穫した野蒜を、ノビル味噌にすべく、下処理。
3人が定員の我が台所で、新聞紙を広げて、下処理。
選別作業が私、球根の包丁処理チョモ、葉の包丁処理イノッキ、この流れ作業でイこか。
「包丁、使ったこと、ある?」
「あるよ。」
「チョモから見てどう?イノッキ。ハガネを扱えるだけの腕、ある?」
「ん~…どうやろなぁ…。まぁ…最初やからステンレスやろ…みんなステンレスから始めてるわけやし。」
「そうやな。んじゃ、イノッキはステンレス。」
「なんか違うん?」
「切れ味が、全然違う。ハガネ使ったらステンレスの切れなさがよぅわかる。でもハガネは絶対に刃を横滑りさしたらアカンねん。やから、最初はステンレスやねん。それで横滑りさすようなクセがあるなら、ハガネは無理。ハガネは包丁の背で横に払うなら、ええねん。」
「わかった。じゃぁオレ、ステンレスでも背でやるわ。」
「そやな。そやって練習したらええな。見とくわ。包丁の扱い方見てハガネを持たすかどうかを見極める。」
「よしっ!ちょっとその前に、一回だけチョモのハガネで切らして。どんだけ切れるか。」
ザク。
「おぉ~っ!」
「な?切れるやろ??」
「まぁなぁ…」
ジャク。
「あっ、やっぱハガネって切れるなぁ…。」
イノッキはステンレスの包丁で切ってみて初めてハガネの切れ味の良さを実感。私はイノッキの包丁使いを見てご報告。
「ま…2年やな。2年、ウチに通いぃな。そしたら、ハガネ。」
「2年かよっ…なげぇ…」
「毎日、ウチに来るわけちゃうやんか。来たら毎回、包丁使うわけでもないし。」
「そうやで、短いほうやで2年。ミズオなんか6年以上も通ってんのにまだステンレスやで?イノッキよりウチに来て色々やってるけど、まだ基本的に皿洗いしか任せられへんねんから。」
「ほんまやで、アイツは長過ぎる。最近ようやく監視付きでハガネやで。チョモなんてハガネ持つのに1ヶ月もかかってないからな?」
「チョモ…家庭的やな…」
「なんやねん、こないだからその『家庭的やな』ていうのは。褒め言葉じゃ、ないで?」
「いやいや、褒めてんねで・褒めてんねで。」
「褒めてんねやったら『器用やな』てゆぃいや。男に『家庭的やな』は…ちょっとなぁ…」
社会的に使えねぇ男、てカンジ、するよな。

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そろそろ『ノビル味噌』はええ塩梅やでイノッキ。
はよ食べに来な、なくなんで。
『めんつゆノビル』はあと一息ってトコかな。
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Commented by イノッキ at 2009-04-25 20:38 x
じゃぁそろそろ食べにいくわー
Commented by MA at 2009-04-25 22:26 x
あ・そぉ?
んじゃ今夜のうちに全部食べとくぜ。
Commented by みず at 2009-04-26 01:21 x
なんでッ~(>_<)?!
みずはまだハガネ
ぢゃないん?!
くそぅ大分
成長したのに・・・
Commented by MA at 2009-04-26 13:28 x
監視の目がなくなってこそ、ハガネ職人といふものだよ、ミヅヲくん。

さっきローチョンでミズマーが立ち読みしとったぞ。
車の中から手ぇ振ったのに、本に夢中で気付かはらへんかったわ。
たぶん、ミズマーのやろうと思われるサドルを覆っていた傘が、風に飛ばされてウチの6年前の新車に当たったので、慰謝料としてタイ一匹、請求します。
by yoyo4697ru980gw | 2009-04-25 19:33 | +knowing+ | Comments(4)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA