ポキポキ事件

「あのハナシもっかい語ってよ、詳しく。」
「どれよ?」
「ポキポキ事件やがな。」
「ポキポキ事件?」
「傘のポキポキやがな。」
「ああ~…」

「で結局、イノッキ欠席やったん?」
「外に出た時にイノッキが来てん。」
「おぅたんやな?」
「ぉん。『あれチョモ、もう外出たん?チョモんちでちょっと休憩しよ、おもたのに。』ゆぅてたわ。」
中学生になって3日目か4日目くらいの登校時分、出発予定時間を過ぎてもウチまで来るはずのイノッキがやって来ない。
「もしかすると喘息出たかもわからんで、あのコ。弟、喘息で欠席やったしな、ありえるで。先に行けば?来たら先に行ったこと伝えとくから。」
雨が降っていたので先に出るようにアドバイス。足元が悪いと学校までの徒歩にも影響は出よう、いつもよりちょっと早く出るくらいでなければ。わかった~、と出て行ったちょうどその瞬間に玄関前で出会ったようである。休憩は出来ずにそのまま歩いて御登校。
「休憩したかったら、もうちょっとはよ来るようにゆぃ。ギリギリで休憩しよと思うな、やな。」
「あぁ、ゆぅたゆぅた。」
「登校し始めて10分くらいのもんやろ、ウチまで。早速、休憩かい…どんだけスタミナ無いねん、あのコ。」
「いやいやいや、ほんま荷物重いしなぁ…。一回ちょっと座るだけでも、だいぶ違うで。」
「喘息持ちやもんなぁ…辛そうな咳しやるわ…あのコ、バスケなんかして大丈夫かいな…。」
ちょっとも座れなかったイノッキとチョモは傘を差し、通学路ではない川沿いの道を通って学校へと歩を進めた。すると間もなく、イノッキの差している傘がグラつき始めた。「なんかグラグラしてんねん…」と言っているそばからパカパカポキポキ、壊れ始めた。
「そしたら、雨の重みに耐えかねたんやろなぁ…とうとう持ち手がポキって…な。」
雨の重みに耐えかねて折れる傘、それはもはや傘にあらず。かさばるゴミと化した。
「かっかっか。何回きーてもおもろいなそのハナシっ。で?ソレが橋のあたりやろ?ソコからは相合傘で?」
「いや?折れたの持ち手やから、こやって。」
持ち手から上の柄の部分を肩と首で挟み、ビートたけしのごとくの首ポジションを維持してイノッキは雨から我が身を守って歩いた。…入れてやれよチョモ…まぁ…教科書は波打つだろうが。「うわ~…帰りどうしょ~…」とイノッキが心配するので「先生にゆぅてみたら?」と提案。学校に着いて下駄箱付近に居た先生に「これ…傘が壊れたんです…」と相談した。なんでこうなったんや?と状況を訊く名も知らぬ先生に、差していたら壊れ始めたと事実のままにお伝えすると、さすがに先生もそんなジョーダンのようなエピソードはにわかに信じ難かったようである。そりゃそうだろう。何かしらの力を加えたような壊れ具合である、持ち手がないなんて。まさか雨が降って傘がこのように壊れたとは誰も信じるまい。いやいやいや、本当なんス、フツーに差していたんです。ただ差していた傘が歩くたびにあれよあれよとポキポキ折れて…これ以上の説明がしようのない二人がありのままを語ると、それじゃぁ傘を貸すから帰る時に職員室に取りにきなさい、と貸してもらえることになったらしい。

「ほんで、朝はそうゆう話になってたからな?職員室に借りに行ったんやけど、朝に相談したその先生がおらんかってん。やから別の先生に『傘を借りにきました』てゆぅたら『借りにきた???』ていう反応やねん。借りにきたってど~ゆ~コトよ、置き忘れてた傘を取りにきましたならわかるけど、みたいなカンジでな。まぁその先生も傘がみるみる壊れていったなんて言っても信じひんわけよ、そうこうしてたら、朝の先生が職員室に戻って来て『あ~この先生ですこの先生ですっ』てゆぅたらその朝の先生が僕たちをみて『あ~はいはい、傘やな?傘・傘…』て。もうその先生とは朝の段階で話はついてたからな。」
「何度きーてもおもろいわそのハナシっ。その信じてない先生もサ~朝の先生がハイハイ傘な~ってカンジで貸すの見て『えっ?!実際の出来事ですかいっ?!』てガッテン・ガッテン。なんか楽しいことが次々起こってんな…イノッキは『選ばれし者』てなカンジやな。う~け~りゅ~っ。」

「アンタらジョーダンのような毎日で楽しそうやな~ポキポキ事件き~たで~ウソみたいなハナシ。」
朝の我が家で一旦休憩を挟むイノッキつかまえて、感想を述べる。
「ポキポキ事件??…あ・何これ?ネタ帳??…『ごくごの先生図書館に住む』『ギジュツの先生300円』…なんやコレ。」
チクリン(PC)付近に、私は楽しい出来事の備忘録を置いている。あまりに毎日毎日『それってネタ?』というような出来事をチョモが語るので、忘れないようにメモしているのである。只今、楽しいことてんこ盛り盛り。イヤになるほど盛ってある。
「そ~と~楽しい毎日らしいやん?おかげでネタに尽きんわ。ネタがあり過ぎて文章が間に合わんから忘れんように書いてんねんソレ。国語の先生といい技術の先生といい、傘が折れるポキポキ事件といい、楽しそうで何よりやな。」
「ほっポキポキ事件…オレやんけ。」
「アンタや。」
「ちゃうねんって、ウソちゃうでホンマやで。ベロベロになってんから。なぁ?チョモ。ガーって開いて中とか見えとったもんなぁ?」
「見えとったな。」
ま、だいたいはな「傘が壊れる」ゆぅても、裂けるの見たりとかな、強風で帆が飛んでったの見たりとかな、骨の一本がバキっと折れるん見たりとかな、その程度やと思うわ。傘の柄の曲げてある鉄の部分が徐々に開いてきてポキっと折れたの見れるなんて、選ばれし者しか目にしんのちゃうか。
「聞くだにおもろいわ~っはっはっはっ」

日曜日「あ~明日からまたすることいっぱいやぁ~弁当かぁ~…」と嘆く私にイノッキは言った。
「ブログ更新せぇよ、どうせヒマなんやろ?」
「ブログ更新しとるばやいちゃうねん。ホンマに春は大人は忙しいことこのうえないねん。」
「どうせ毎日ヒマやんけ。」
オマエらが何も言わなんだら私のヒマは確保されとんねやないか。
ホンマ頼むで、ジョーダンのような日々を送ってくれるな。
動くな、語るな、選ばれるな。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-04-17 20:41 | +cool down run+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA