割れ名がらアッパレ

たしか6年になって半ばくらいの時期に、チョモの名札が割れた。
『名札箱』のようなモノが学級にあり、登校したら着用し下校時に取り外して帰るシステムになっている。苗字を胸元につけたまま帰っている小学生を「あぁ千徒くん!今ちみのオカンが救急車で運ばれて病院に行ったんだ、おじちゃんが送ってくから早く乗りなさいっ!」と、さも「オカンの知り合い」的な言い回しで騙くらかして、名札ひとつの情報での連れ去りを可能にしないための防犯対策である。
名札を注文してから出来上がるまで少々の時間がかかるということなので、「早めに買い替えたほうがいいのではないか」というアドバイスを担任からもらった、と言う。名札の値段、200円とか300円とか。私はたかだが200円300円であっても、理由によっては買うつもりはないので、訊いた。
「アンタが割ったん?」
「いいや?」
名札箱に入れて来てやるよ~、なんつって数名が名札をふざけて投げ合ったりなんかしているうちに落として割れた、とのことである。私は6年間使うものは最後まで使えるように作ってあると思っているのでフザけた使い方を本人がしたのなら買い替えるつもりはない。大切に使うようにも言ってある。通常の使い方をしていて壊れたのならその商品の寿命と思い買い替える。しかし団体行動の中では、こういったことはよくある。本人が通常の使い方をしていても、クラスのヤンチャがクラスメイトのモノを壊してしまうのだ。さんざん言葉で迷惑だということは言ってきた相手で、それでも何年ゆぅてもダメだったので私たちはそのヤンチャに対しては「言ってもダメなんやろね」ということでもう言うのをやめていた。だからこれには「買い替える」という選択を私はしたのである。
「とりあえず持って帰って来て。注文品が出来上がるまではくつけとくだけしとこう。」
それで瞬間接着剤で手術。
「これ、機会があったらヤンチャに見せてこう言って『全治二ヶ月。抜糸がまだやねん、ほら。』なにも反応はないとは思うけどね。」

しかし手術をした名札を見たチョモは言った。
「あ、上等・上等。十分やな。もう6年やし残りなんぼもないから、買い替えるんやめる。」
「先生が買い替えるようにゆぅてんやろ?」
「まぁな、社会見学とかそうゆうのがあるからな。」
「チョモ…確かに年々貧乏に磨きがかかってるけど、名札を買い替えられないほどは困ってないで?」
「いいねん、これで。もったいないやん、もう卒業すんのに。」
「言えてる。よく言った、それでこそ我が息子。」
だが抜糸もまだなのに縫合してある箇所がまた割れた。医療ミスだな。医師免許、もってねぇよワシ。オープンジュニアハイスクールや卒業式もあるから割れていない名札を、セメダインのはみ出していない名札を、と求める担任の声をチョモは「もったいないからイヤ」という精神でとうとう卒業するまで拒み続けた。
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保存するか…。
そしていずれ出来るであろう孫に入学のお祝いとして渡してあげよう。ほんで教えてあげよう。君の父親は小学校の6年間で決心の固さだけは培ったのだ、と。その決心ったら一度も翻ることはなかったぞ、と。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-04-14 17:58 | +開楽館+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA