実家でコツコツ

一度コッチに来て荷物整理をしたほうがええで。そう言われてむーちんの実家へ行ってきた。伊丹に越して独立した私たちは同居していたむーちんの実家に、殆どの荷物を置いて来たのである。「こんなんいるんかいな、とは思うけど、まァあんたらのモンやし勝手に捨てるわけにもいかんから一回、見てみぃ?」と、明日なら夕方からの仕事だけやしワタシ居てるから一緒にやろか?という電話が前日にかかってきたので行くことにしたのだが、翌朝には大変なことが起きた。
寒の戻りである。ぶり返しやがった、寒さ。刺すような風がビュ~ビュ~吹いている。
「行きたくねぇ…すんげぇ行きたくねぇ…おじーちゃんち寒いの知ってんねん…ぁあー行きたくないーーー今日ぜったい家ン中、突風が吹いてる…」
おかーさんぜっっったい荷物整理してる間、窓あけてるもん。
「もー…タバコ一本だけ吸わして、ゆぅから待ったやないかっ!はよ行くで?」
「やだよぉやだょお…ホンマ行きたないわ~私、知ってんねん、寒いねん。」

40分、車を飛ばして行くとソコは雪国だった。雪国ばりに寒いやないか。焦げてもおかしくないくらいの距離でファンヒーターの前に座っていると、おかーさんが「はい、これがおいしいで。」とチョコレートをくれる。私の脳裏に寒さのあまり二文字が浮かぶ…遭難。死にたくねぇ…死にたくねぇ…。
「よしっ!やろっ!」
と一度は立ち上がったものの、
「あーははは~…さぶい…さぶいわ…」
また遭難。
おかーさんが入学式の時くらいにイイカンジになるんちゃうかサクラ、と孫に言う。
「こっちはまだ三分咲きくらいやけど、伊丹はあったかいからもう咲いてるんちゃう?桜。」
「散ってますよ。」
「ええっ?!いくらなんでも散ってることはないでぇ…まぅちゃん…。」
ガーデニングが趣味のおかーさんは、私が花を植えても植えても確実に枯らすのを「水さえやってれば枯れたりはしひんねけど…」と不思議がるのであるが、ホンマにね、枯れへん程度に水をやっているのに私の花は枯れるのです。嫌われてるんじゃないかな、花に。
「ええーっ?アレって散ってるんじゃないの??枝にちょこっとしかついてないのに。昨日かその前かもいっぱいの人が花見BBQやってて、花は殆ど散っててもええんやな~もっと早くに花見に来たらよかったのに~て…おもてたんやけど…。」
「咲いてないだけちゃうか?咲き始めてちょっとしかなかったんやろ??」
「あ、そうなんですか?」
「そうやでー…散りはせんやろまだ…」
「そうか…いや?いやいやいやいや、やっぱアレ、散ってるわ。なぁ、平次?スポセのなんかな?」
「あー…そうやな、散ってなくなって少し残ってるわ、スポセな。」
「そうそうそう!2月の終わりか3月の初めに枝にいっぱい咲いてて、アレ満開やったもんな?こんなに寒いのにもう咲いてる~って言ったもんなぁ?去年もたしかそんくらいに、え~もう咲いてるん?て言ったよな?たしか。あっこのは寒くても咲くタイプなんやろか?」
「桜はたいがいソメイヨシノや思うけどなぁ…」
「まぅが桜と思ってるだけで、もしかして梅かも。」
「…いくらなんでも梅の花と桜の花の違いくらいは私でもわかるゆぅねん…」

電気ストーブをそばに置いて荷物の整理をしている間に、おかーさんがバナナケーキを焼いてくれる。
段ボールを開けてみて「いらなさそうだな」と思うものはそのまま「はい、ゴミ。」と階下へ持って行くようヘイポーに指示。
玄関の外でゴミの分別をしているおかーさんが私を呼ぶ、まぅちゃ~ん!
「はい?」
「アンタ、中身の確認もせんと捨てたらアカンで~っ!これ、ホンマに要らんのかぁ?」
「へ?あぁ…6年間もここに置いてたけど一回も思い出したことないし、要りません。」
「あぁ…そうか…?」
ほなら会社のダレソレさんに…と、おかーさんは私が捨てた物の中から未使用品を中心に選って、テキパキとゴミ分別。おかーさんのゴミ分別のほうが早く終わるので、二階にちょくちょく、私の取捨選別の様子を見に来はる。
「うーん…コレ…もしかしたら使うかもしらんなぁ…」
「6年間も使ってナイんやから、もう使うことあらへんって。捨てぇ?」
「…ええー…でもぉ~…」
「6年間、忘れてたやろぉ?」
「あ・そうスね。」
捨て。
「わ~『思ひ出』出てきたで~♪わ~懐かし~。そうそう、こやって幼稚園の時、毎日毎日アンタらの様子を先生に報告しててんやん。」
パラパラパラパラ~
私は、我が子のその日の行動が3~5行で報告されている、先生とのやりとりを繰った。
「アンタはホンマ…こんな時分から勝手にB級ミュージカルをこさえてたみたいやな…『今日は帰って来てからずっと♪しかけんし~ん・しかけんし~ん♪という自作の歌を歌っていました。明日も歯科検診があると思っているようです。』歯科検診がどんだけ楽しかってんや…アホやろ。」

とりあえず一部屋を片付けて休憩をしていると、休憩なのに本気でチャンバラをやる二人。
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弁慶VS牛若丸
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そんなコトに燃えてっからスギィに「原始人」なんて命名されてんだな。

「とりあえずオモチャはいらないからリサイクルショップに処分しよう。」
箱に入ったラジコンは、ほぼ未使用品である。
誕生日やクリスマスやゆぅたらむーは平次やヘイポーに『幼稚園の男児』が喜びそうな物を与えたもんだよ。
ヒーローのフィギュアとかな、プラレールの電車なんて名前が言えるヤツはすべて買ってあげるほどの太っ腹。目に入れても痛くなかったんだろうよ、幼稚園の時期の我が子と言うのはかわいぃてかわいぃてしゃ~ないからな。
「ほら~チキ~(当時の平次の呼び名)なんかカッコイイやつ、出てきたで?悪いヤツも出てきたな?もっと近くに見に行くやろ?」
「むー…二人ともヒーローモノのTVとか、興味ないみたいやで?ナントカ戦隊・ナントカブルー・ナントカレッド、とか、そうゆうの知らんと思う…」
「そんなことあるかいっ、子供っちゅ~のはこうゆうショーで本気で泣いたりするもんや、悪役が怖くてな。ヒーローを応援すんねやないか。ほらほら、チキ~!カッコイイ!!な?」
「パパ?」
「ピピ?」
「あんな…パパ、ぼくアッチ行かへん。」
「ヒーローやぞ?」
「あのヒーロー、中にオッサンが入ってんねん。」
「…オマエ…よぉ知ってんなぁ…」
「こないだまぅとオアシス行った時、キューピーちゃんが来ててバイバイ~てしてたけど、キューピーちゃん足に毛ぇ生えとった。」
「… …。…まぢで?まぅ?」
「…ぁあ…。確かにそうやったな…。タイミング悪くてな、あの時は。カメラを持ってる時に偶然な、出会ったんや。チキは中身が人間でしかもオッサンみたいやから写真は撮りたくないって言ってたんやけど、キューピーちゃんが乗り気で…『写真を撮ったらアイスを買いに行こうか』ってモノでツったんや…。それからどうもなぁ…着ぐるみ系に対する疑念が生まれたっちゅーかなんちゅーか…」
「そうか…」
それからだな、むーちんが「子供は」という固定観念をかなぐり捨てたのは。私たち夫婦は我が子から「子供はリアルに触れるとファンタジーから離れる」ということを教えてもらった。昔の、幼稚園児くらいの平次の写真を見てむーちんが呟いたことがあった。
「この頃、本気で自分の子供が世界一カワイイと思ってたんやけどなぁ…今みると…すんげぇブサイクやな…」
私、何かの本で読んだことがあるわ。子供って目を離したらイカンような時期に、特殊なフェロモンを出すんだって。そのフェロモンは親に作用するフェロモンで、親が自分の子を溺愛するように仕組まれてるんだってサ。かわいぃてかわいぃてしゃ~ないように見えるらしいよ。私だってカワイイと感じてた。…今なら言える…完全に侵されてた、フェロモンに。

かわいぃてかわいぃてしゃ~ないから買い与えたラジコンに、全く興味を示さなかったチキ。私がリサイクルショップへ処分するために出して来たら、平次となったチキが喰いつく。
「おっ何コレ♪遊んでみよっと。」
プレゼントされたことも、覚えてねぇのかよ。触りもせへんかったクセに。
「リチウム電池、ある?」
「ある。」
触りもせへんかったから、サラであるサ。
「30分の充電で5分かよっ、5分動かすのに30分もかかるんかっ。」
パッケージ開けるのに6年もかけといてよぉ言うわ。
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「う~け~りゅ~っ。このラジコン、ゆぅこと聞かんな。」
おやつ持って帰るか?ケチャップ持って帰るか?ダシ、あんの?カレーいるか?と救援物資を見繕うおばーちゃんを、狙う平次。
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「うっわ!意外と早いなコレ。」
「ほらトモ君、これとこれも荷物に入れて。」
「あ・踏んだ踏んだ、乗り上げた。おばーちゃん、足、轢かれたで?」
「はいはい、もぅトシいったら感覚がにぶぅてなぁ…轢かれたかどうかもわからんわ。」
「ええーーーーーっ?!痛くないん?!」
「はいはい、もう痛いかどうかもわからん。」
「轢き放題やな~」
オマエはなぁ…スポンサーは大事にせぇよ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-04-03 00:22 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA