侮れぬDNA

ある程度の年数をかけて接点を持っていただいたかたにならわかっていただけようが、私にはもっともらしい小嘘をつく癖がある。自分自身の感覚だけでモノゆぅたら『テキトーにジョーダンぶっこきましたぁ~』とゆうノリなのであるが、それをこれから小嘘を付く段になって、これからテキトーにジョーダンぶっこきますけどね、なんつって断ってからは勿論ぶっこかない。ジョーダンが通じなくて本気に受け取られたからといって訂正を入れるわけでもないし、ジョーダンがジョーダンを呼んでデッカイ小嘘になっていってもそれは大嘘ぶっこいたコトとして処理している。しかし、それはあくまでも自分自身の感覚としてそうなだけで、実は周りがちょっと難儀しとるかもしらんな、ということを最近考えるようになったのである。進歩やな…これは進歩や。あ、でも『考えるようになった』という幅が出来ただけで、もっともらしい小嘘ってこれからもツくと思う。癖ってそうゆうもんだから。本人も周りもトドノツマリはあきらめるしかないんちゃうんかなァというのが結論である。

大人になってから学んできた常識的行動と本来は律儀であるというその性格が絶妙に御膳立てして、私の「もっともらしい小嘘」は、まるでそれが真実かのようにもっともらしく聞こえたりなんかする。ここでいまさら断言するのもナンやけど、はっきり小嘘ばっちり小嘘であるのに、何かのデータにでも基づいた真実だと勘違いされることがたまにある。それが「言い方」だということに気が付いた。そしてシチュエーションも大きなポイントである。

そもそものこの「もっともらしい小嘘」ってゆぅんが、私が計画的にいっちょウソでもこいたろかおもてこいてるわけでなくて、なんつーんかなァ、血の濁り?DNAの中に微量に混ざる「しょ~もない情報」の遺伝やねんから、ホクロみたいなもんで年々濃くなるわ毛ぇ生えるわで、ついつい触っちゃうねんやろね。その遺伝情報を強力にサポートしたのが、祖父のふぢおちゃん。私が何年、私が幾度、ふぢおちゃんの前に泣かされて来たか知れない。憎めないおひとであるが、読めたこともない。ふぢおちゃんは終始一貫してフザけた男であった。ものすごい責任感を持ってフザけることに妥協をしない男であった。アノ世でも早々にフザけ、閻魔様という最初の関門で時間稼ぎをしたためにコノ世に飛ばされ「空いてから来なさい」と言われた。アノ世が混んでいるので、今日も元気にコノ世に居ることだろう。今日も電話が鳴ればふじおちゃんは電話に最初に出るだろう。そうしてこちらに何度も同じセリフを言わせるのだ。
「も~し~もぉ~しぃ?聞こえてるぅ~??まぅ、なんやけどさぁ~?」
「ぁあ?」
「ばさんに、代わりぃや~ぁ!ばさん、おんのぉ?まぅ、やけどぉ~?」
「ぁああ??何て??」
「ばさん、よ?おんの?」
「誰て??」
「まぅ、ってばっ!ばさん、はぁっ?!」
「何を言いよるかひとっっっつもわからんで、ばさんに代わるで…ちょっと待て…ほれ、ばさん・ばさん…。んー…誰かじゃろう…」
…そら、誰かじゃろうて。一方的だな、オイ。
聞こえないなら、電話に出たらあきません。
「もしもーし?」
「あ、もしもし?」
「はーいはいはい、まぅしゃんかぁ?…ほれ、じさん、じさん、まぅじゃ、まぅ。」
クミちゃんが私と伝えるとふぢおちゃんは、おーまぅじゃったか~、とご納得。クミちゃんが、代わるんかえ?と訊けば、聞こえんからよか、と拒否。誰かわからん電話には出るくせに、孫とわかったら出らんてか…じじぃ…どげんかせんといかーんっ。
銭湯に行き「あがったらココで待っとけよ~」と言うふぢおちゃんをバカ正直に待っていたら、ふぢおちゃんはとっくに家に帰ってる。
「薬局でナントカを買ってきてくれ~」と頼まれ100円を渡されるが薬局のひとに「ナントカをください」と言うと「ナントカ」が200円する。お茶くれ~と言うのでお茶注いで持っていくと酒、呑んでる。お茶やろ?と言えば豆くれゆぅたんじゃと、きかねぇ。昼にドコドコに行くからと言い残して朝に出て行って、夕方まで帰ってこねぇ。
こんなふぢおちゃんのハタ迷惑なDNAがものの見事に脈々と混入され、私は自分の理性ではどうすることも出来ないくらい気付かないうちにテキトーな人間であることが多い。関西という土地柄がそんなテキトーを容認したこともテキトーを改められなかった一因だと言えよう。

まずシチュエーションが大事なポイント。私と二人きりで今日はぢめて会う、なんてお方は、私がどんだけ日々テキトーなのかを知らない。だから私をよく知るひとを近くに置いていると都合がよい。
「まぅちゃん、昨日どっか行っとったん?」
「あぁ、会議。」
「え?ずっと??何回か来たけど、おらんかったやん?」
「あぁ、会議が長引いてなぁ…しんどかったわ…」
「そーなんや…めっちゃ遅かったな…6時にも来たんやで?帰って来たん、その後?」
「今朝やで、帰ってきたん。」
「えっ?!」
この会話を聞いていた、私をよく知るひとは助言してくれる。
「まぅの言うこと信じらんほうがえぇで?そんな長い会議、あるわけない。もしあったとしても、そんな会議にまぅが出るわけないやんか。」
この助言者がいなければ、私はコウソにオオウソを重ねウソの上塗りをして大嘘付きの代名詞となることであろう。
『私をよく知る人を傍らに』これは最も大事なシチュエーションである。

そして『小嘘』が真実かのように聞こえる『言い方』とは『消極的に言う』ことである。
エイプリルフールなんかで「ちょいとだまくらかしたろか」と思った場合、『小嘘をつく』という同じ行動を取ることになるのだが、エイプリルフールの小嘘は簡単にバレる。それは今日がエイプリルフールだという認識が皆にあるからだと思いがちであるが、実は「積極的」についている小嘘であるからだとみた。
積極的に小ウソをついてからに、その小ウソを本当にするための裏付け的な捕捉を次々と、説明に説明を重ねてしまうのである。相手がちょっとでも疑おうものなら、「ほんま・ほんま。ほんまやねんってっ!」とウソを全面に出してしまう。だからエイプリルフールの小嘘はすぐバレる。小嘘は、積極的についてはいけない。

そして私は、我が二男ヘイポーに、消極的に小嘘をつかれマンマと騙された。
おじーちゃんちから持ち帰って来た荷物の中に、何かを二つに分けたのだろう、と思わるる物が入っていた。
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私はこの袋を見せ、横でゴロンとなって本を読んでいるヘイポーに訊いた。
「なぁ、この袋に入ってるコレ、なぁに?」
「あぁー…?」
本に夢中のヘイポーはキリのいい所まで読み進んでから答える様子で、私の手の中の袋に目もくれない。
「なぁ?何、コレ?」
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「ん?あぁ、それ?ええっと…ソレは…砂糖菓子…やったかな?」
「砂糖菓子?」
「ほら、おばーちゃん、あんまり甘い物とか食べたらアカンって言われてんやん。やからわけっこしたんちゃう?」
「甘い物制限されてたら、砂糖菓子なんて買わんやろうに…」
「もらったんちゃう?お供えとかそんなので、あるやん、よく。いろんな形してるヤツ。花とか。」
「あぁっ!あのお盆の時とかに飾る、アレ?」
「あーそうそうそう。ああいうの。砂糖菓子、やろ?」
「あーあー。そういえば、砂糖菓子って、こうゆう和紙みたいのに包んでるもんなぁ。…でも、ウチがもらっても食べるひとおーへんで?」
「まぁ…チョモのともだちとか来た時に出してみたら?キレイやし。」
「子供が好きなおやつじゃぁ…なさそうやけど…」
「わからんで。好きってひと、いるかも。」
「ま…きーてみて好きって言ったら、あげてみよっと。」
「そうしたら?」

そして、何週間かが過ぎた。
砂糖菓子の出番はなくスナック菓子ばかりを食べていた私は、ヘイポーに「砂糖菓子を食べてみないか?」と数回、持ちかけたがその都度「今はいらない。」と断られ続けた。
それから何週間とまたもすっかり忘れ去っていた砂糖菓子であるが、なんしか砂糖だから賞味期限というものがない。消費しないままでもいつまでも置けるのが砂糖である。インスタントコーヒーの粉をストックしてあるラックに一緒に入れていた砂糖菓子の、見向きもされない様を不憫に思い、ひとつくらいこの口に運んでやっても…という情が湧いた。
「…砂糖菓子…好きじゃないけど、一回…食べてみるだけ食べてみようかな…。」
そう呟いて、私は風呂上りのおやつタイムに和紙を開いた。
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…あ。
いかなごのくぎ煮だ。
砂糖菓子じゃない…ごはんのお供である。そら「今はいらない」よな…夕食後。

「ヘイポー。どこが砂糖菓子やねん。」
「…くっくっく。」
「砂糖菓子とは程遠いモンが出てきたで。」
「…うー…くっくっく。」
「…知ってたん?最初から、知ってたの?砂糖菓子じゃないって。」
小嘘をどんだけあっためんねん。
「…くっくっく。そうやったな、くっくっく。今、思い出した。」

なんて消極的につくんだ、小嘘を。しかも確認すら一切ナシで、ばかりかついた小嘘を忘れてやがった。「砂糖菓子、食べてみた?」とか訊きもせず「砂糖菓子」て小嘘を、言いっぱ。
おぬし、素質は十分なようだな。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-02-23 23:49 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA