エグる

「14日一緒に大阪、行かへん?」
珍しく、いつもいつも私の誘いを塾があるからと断る受験生ミズオからのお誘いである。
どうやらすべり止めの私立に受かり、もう塾はお役御免となったようで辞めたらしい。大阪で行きたいところがあるから、そこに付き合って欲しいという。じゃぁ最初にソコに付き合うからランチは私たちの希望に合わして、ということで約束成立。しかし、その約束が成立した途端、天気が雨続き。14日が雨やったら中止してまた違う日に行こう、と変更を申し込むと「ダメーーーーーっ!!14日じゃないとダメっ!!別の日はダメなのーーーっ!!」とダダをこねやがる。なしてだ?と問えば、「だぁ~かぁ~らぁ~…」と…なんか何回もしてんだね、私にその説明を。…あんま興味がなかったから聞き流しちゃってたけど、今回も、たいして本腰入れて聞いてなかったので、忘れたなぁ…。
予想、こんなかな。
ええっとー、ミズオは年会費とかそうゆうのを払ってエグバカという組織に入ったようだ。ファンクラブか何かかな。そのエグバカになった人が行ける店があって、そのひとの召使いが3名までその店には入れる、店は期間限定のショップ、みたいな。そこにはそこでしか買えないようなグッズがあって、べらぼうに高い、みたいな。で、ソコに売ってる何かが欲しい、と。もしかすると、ちょっと待たなアカンかも…並んでくれる??

「は?ヤだ。」
「えー…3時間とかやったら諦めるけど…1時間とかなら、いい?」
何を理由にその1時間をOK基準にしたんだ。
「並んでまで??そんなにエグバカって多いん??」
「いや…わからん…整理券もらって、何時に来なさい、みたいな時間があって、その間はちょっとご飯食べたり…?」
「ナニサマや…。別に『さっさと入れろ』とかな?ヤカラ言うつもりはないで?エグザイルが人気やってことも聞くしなぁ…でもさぁ…何のために高い金はろてるわけぇ?何のためのパスよ??カッコよかったら何でもアリかってハナシやで。」
私、ミズオが私のために年会費五千円払ったら、約束してる卒業式おめでとう花束のブロッコリーにカリフラワーもお付けしちゃう。もちろん、手作りドレッシングは2つ付けさしていただくわ。冷蔵庫保存1ヶ月可で原価50円くらいのモンやから、アナタのためにまだまだ年会費を還元できましてよ。ウチで夕食1週間食べ続けても、まだまだ余るで年会費。すんげぇお得な『まぅアホ』。会員になってみないか。会員特典として初年度の年会費を無料にしてロードサービスも無料でお付けしよっかな。生活習慣病にかかったら以後の年会費はいただきません。

エグバカショップ(勝手に命名)に行くまでにお腹が空いてどこかに寄って買い食いしたいという半吉に、食べた後で整理券もらって何時に来いてコトになったら束縛されてヤだからまずはエグバカミズオから解放されようぜぃ、と強制的に提案却下。
ショップの前で黒服のおにーさんにカードを作るための入会手続を指示されるミズオ。私にも分厚い紙が渡される。…どうして?
「…まぅちゃん、会員、なる?」
「いや?ならない。」
このショップに入るにはカードが必要で、そのカードを作るためには紙に必要事項を書き署名するとのこと。
「これ書かないと中に入れない、ということですか?」
「いいえ、書いていただいた方の付き添いとして入っていただくことは出来ます。」
「じゃぁ、このコの付き添いで。」
そう言うとおにーさんは道のはじっこで書くように指示し、違うスタッフの所へ去って行った。…ペンは貸していただけないようだ。…ペンあるの?…ない。…んじゃ、借りなきゃね。「すいません、ペンを。」…年会費無料のショッピングモールのポイントカード入会手続でも、何も言わなくったってペンは貸してくれるのに。
「ミズオ…悪いけど…あんたが恋い焦がれているエグザイルの魅力が…私には伝わってけぇへんわ…。」
直接的にエグザイルがどうのこうのということじゃないんだけどサ…私は…誰かに携わる周りのひとたちはその携わっている「本人」に感化されるもんやとおもてるのよ…。ワーキャーゆぅてカッコいがってるミズオをまるで監視するかのように傍でみているショップの黒服のおにーさんおねーさんがたに私は…よい心象を描けない…。私…ミズオのように『カッコよければそれでいいの(ハート)』という年頃はとうに過ぎてしまったの…。付き添いで来ているだけの私たちは、どうも邪魔な客のようだね。熱狂的なファンだけが要るのか…エグザイル。そうだよな…何も買わないヤツは客じゃぁ、ないよな。
「じゃぁ…ミズオ…私ら、あっこの角っこんトコで待ってるから。」
待ってる間に壁の写真を見てみたりして、半吉と会話する。
「これやろ?ミズオが好きなひと。」
「あぁ…そうやな…。確かに男前やな…。」
「…カッコいいから好きゆぅてんの?」
「この人が笑うだけでええねやろな、もう。たぶん鼻血だしてもカッコええねで、好きやから。」
「…わからんなぁ…」
「…アンタは男やからな。」
「まぅはこのひと好きって思う?」
「今、私の心は夏八木サンに向いてるの。」
「誰それ。」
「夏八木さんって言うと思うねん…俳優の。おじーちゃんの役とかしてんの。年上が好き。すてき。」
「年上すぎるやろっ」
若いほうなんだけどな。長いこと泉重千代サンに惚れてた。泉重千代翁も年上好きなのよ。趣味は合うんだけど…好きになってはもらえないんだわ…はぁ…失恋。その失恋の傷を癒してくれたのが森繁久彌翁…ストライクゾーン広すぎて競争率が高そうで…あきらめるしかなかったの…はぁ…また失恋。夏八木さん…年下が好みかしら。結婚してて12才と11才の男児がおる33才の九州で生まれた女が好みって、言わないかしら。
写真集みたいな本を広げて「カッコイ~・カッコイ~、な?カッコええやろ??」と惚れまくるミズオに半吉は言った「ミズオが言うそのカッコよさが…いまいちボクに伝わってけぇへんねけど…」…そうか…おまえもか。「…うん、ボクにも。」…そうか…ヘイポー…おまえもか。私ら家族は、どうも目ぇが肥えてぇへんみたいやな…。

ミズオのエグバカツアー(勝手に命名)は後半まぅアホツアーと化した。10分歩いてはたこ焼きを食べ、ロコモコを食べ、焼きそばを食べる。20分歩いてはパンを食べる。夕食に石焼ビビンバを食べて、歩きながらおやつを探す。
「デザート。…て~き~な?どっかここいらにミニたい焼きいろんな味バージョンの店があったと…」
「あっ!知ってる!」
「なぁ?!あるよなぁ?!チョコなら食べられるから、チョコにしよ。んじゃ、そこ行こ。」
「アカン…まぅちゃんとおると…太る。」
「大丈夫やすでに肥えとる。」
「アカン…お金なくなる。」
「だから歩いてんじゃん。帰りは230円で帰れるで。270円やったかな。」
「マビで?」
「マビ。目的地は大阪駅や。あ、パン食べたい。」
「さっき、食べたよな?な?さっき食べませんでしたか??」
「食べたな。でも食べたんさっきやで?もう1個は入るな私。」
「いや…絶対…太る…。」
「大丈夫やで、食べた以上のカロリーは消費してるはずやから。」
「マビで?」
「当然。…てかミズオあんたの年頃はなぁ…何も食べいでも太るんやからおやつ減らしても無駄やで。あきらめたら?あ~パン屋さんあった~っ♪」
「あ~ミズこれにしよっかな~」
案ずるよりあきらめるが易し。
太るとかお金なくなるとかなんとかゆぅといて、ミズオは甘くて大きなパンをチョイス。デカっ!練乳だとっ?!エグっ!エグエグエグエグ、エグっザイルっ!結局、食べるんじゃんかよ。エグバカミズオよ、これだけは言っておく。
おみゃ~サンが太るのは私とおるからやのぉて、自分に甘いからだ。
今後おみゃ~サンが自分に甘い状況を作る度に私はちみを戒めてあげよう。
「エグるんじゃねぇよ。」
ググる、みたいでカッコよぐね?
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by yoyo4697ru980gw | 2009-02-16 19:02 | +朝臣寺+ | Comments(0)  

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