残念パーフェクト

「今日の懇談なぁ、先生な、今回は悪いところも言います良いところも言いますが悪いところも言います、ゆぅとったで。まぅ、せいぜい覚悟することやな~」
「いらんこと言うなっ、黙っとったらイソイソ怒られに行っとったものを…」

ゆぅてぇ~♪ほんまはダイジョウビ~。だって今年の担任、ごっちゃん。2年くらいの時にも担任だった、ごっちゃん。とにかく5年もの年数チョモをみてきて、ベタ褒めしてきたごっちゃんである。ネコどころかトラ被りつづけて6年間の学校生活、ごっちゃんの前で一度たりともボロを出さなかったことを私は知っている。2年生の時の感覚でタメ口で話しかけてくるごっちゃんに、6年生になったチョモは敬語で切り返すという作戦に出、大人の階段のぼっちゃって踊り場で足なんか止めちゃったりしてる。むむ、抜かりは無い。私は、ごっちゃんにだけは、怒られない自信があるのじゃ。

お風邪をおひきになっているらしいごっちゃんは、鼻の上までの立体的なマスクをして、開口一番たぶん開口しただろう一番、こう言った。
「最近彼は、非常に明るくなって…いや、そうゆう意味ではないですよ、今まで暗かったとかそうゆうことではないんですないんです、そうゆう意味ではないです、今までも明るい子ではありましたが、最近はとくにハジけ方が見ていて気持ちいいくらいで。」
「はい、そうみたいですね。きっと吹っ切れたんちゃいます?」

去年から実はチョモ、人間関係のいざこざに片足を突っ込んでいた。チョモ本人が何かしらのトラブルを起こしてといういざこざでなく、とある男子組とある女子組からおモテになり、チョモの奪い合いが原因で彼らの中で仲違いが生じ、ちょっとばかしの責任を感じたチョモは彼らの仲直りに骨折って取り組んでいたのであるが、いかんせんチョモ自身に直接の関与があるわけでなく「チョモはオレとだけ遊んでて(ハート)」「チョモは私だけみてて(ウフ)」という焼き入れた餅の事情によりズカズカと入っていけない領域が存在し、消化不良を起こしてすっかりしんどくなっていた。私とも散々、話し合いをして「男女のモツレか?」「男女のモツレや。」「男男のモツレもあるんか?」「男男のモツレもあんねや。」「こうしたらどうや?」「もうやったがな。」「こうやってみる。」「いやそれはキワドイ、やめときやめとき。」というたいした役にも立たない知恵を出し合ってきたのだが、夏を境に「僕、自分でなんとかするわ。やからもうこの話はしたない。家におる時くらい楽しくやろうや。」と本人が希望し、私から訊くこともチョモから語ることもなくなった。訊きはしない語りはしないが、日を追うごとにチョモのため息は深くなりとうとう放課後にひとりで家にいることが多くなるほど、この問題はチョモを追い詰めているようであった。
「何ヶ月か前くらいですやろか…学校での人との関わり方にも影響は出てるやろうと思ったコトがありましてね、んで、家では一切この話はしてなかってんけども、先生に知ってもらうんがええかなぁおもた日があったんですわ。それを、チョモに隠して先生に話しに行くか、チョモに言った上で話しに行くかを私はね、迷いました。その日一日考えたんですが、私がチョモに言わずに先生に話したとして、先生が具体的に何かするにせよ、せずにいるにせよ、あの子は私が先生に話したんやな、ということは先生の態度でわかるやろ、と思いました。ソコは親子のアレですわ、私が動くやろうゆぅ雰囲気は感じ取ってたでしょうからねぇ。やから「先生に話しに行こうかとおもてるけど、どう思う?」て訊いたら「言わんでええ、僕がやる。」と言い切ったんで、やめました。先週くらいから、放課後に遊ぶ友達が聞き慣れない、あまり交流がなかったような子の名前があがりますねん。たぶん視野が広がったんや思いますわ。ああ見えて真面目に考え込むトコありますねん、あの子。ようやく吹っ切れたみたいやし、ひとつ大人になったんちゃいますやろか。」
そうですか…そんなことがあったんですか…と、何も知らなかっただろうと思っていた私に、ごっちゃんは言った。
「去年の、女子との事はね、私…聞いたことがありました。好きや嫌いやのことは、今だけじゃなくていっくらでもこれから先ありますからねぇ。確かに男子のこともね、そうゆう感じが見える時もありました。でも、学校では全く何もそうゆう問題ある所を彼は見せないので、そこまでとは知りませんでした。いつも通りの3人やったし、今もそうですしね。今日もそうでしたよ?」
「そりゃ…まぁ…あの子…ほら、学校ではガッツリ…猫被ってますやん?」
そう私が言うと、ごっちゃんがふか~く一回、頷く。

あれ???
あれ?ごっちゃん??えええ~ごっちゃぁ~ん??信じてたのに…信じてたのに…。
鼻の上まである立体マスクのためにその表情は見てとれなかったけれど、確かにごっちゃんは大きく頷いた。

「ほらウチの子学校では猫被ってますやん?ゆぅたらアンタ、ごっちゃんふか~く一回、頷いたで。」
遊びから帰宅したチョモに、残念なお知らせ。
ボロを出さずに被り続けた鋼鉄製のトラ。
劣化していたようだ。
ごっちゃんにバレてるってことは、頼みの綱がハイ、切れた。
いいひとのチョモ、終了。
あと3ヶ月だったのにね~ドンマ~イ。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-12-06 21:29 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA