ナンDAY

一日というのは実にリズミカルである。体勢で見てみよう。寝てる→座る→立つ→歩く、あ~起きた。立ってる→歩く→座る、あ~メシ喰ぅなコリャコリャ。立ちあがった→歩く→またがる、チャリンコでご出勤。トントントン、と立て続けに立ったり座ったりしてるうちに朝昼晩と過ぎてゆき、最後に座っているトコから歩いて寝転がると、それがご就寝。実に、リズミカル。

そのようなもともとリズミカルな一日であるのに、もっともっとリズミカルな一日が始まるなんてことがある。「なんでぇ??」と思うようなことが立て続けに起こる時ってのは起こることになっているものなのだ。そんな一日のことを「ナンDAY」と世間は呼ぶ。

ナンDAYの幕は朝に開いた。

連休明け、ちょびっとしかしなかった洗濯物が溜まっているのを見、むーちんが出勤する直前、私に言った。
「洗濯もうそろそろやったほうが、えんちゃう?」
「…うん、やったほうがええ、おもう…。」
やったほうがええおもうんと、実際にやるんとではね、温度差あるね。なぜなら、我が家の洗濯機は屋外設置であるため、「洗濯やったほうがええな~」と思うと実際にやろうとする前にはこの季節「あ~寒いからヤだな~」という後ろ向きな考えが起こり「やらんほうが幸せ、私。」という結論が出るわけである。
全自動洗濯機ってサ、もっと進歩しないかな。ドラムなんか斜めになってくれんでええから、洗濯物を自分で取りに来て洗剤入れて勝手に回ってほしい。洗濯が終わったらべつに絡まったままでかまへんからカゴに入って居間まで歩いて来んかえ?ナショナルあたり、どう?ナショナルパナソニック超全自動洗濯機!電源を、入れる前から全自動。超全自動ならナショナル!電源が、切れた後まで全自動。コピーはもう出来てんねけど、どうすか?「洗濯機」という分類でイくかどうかは、ナショナル次第。♪見事~自立~な~んでも~ナショ~ナ~ル~♪超全自動洗濯機の商品名は「オカン」やね。オカンなみに全部やっちゃうもんね。洗濯終了の合図は音じゃなくて音声でお知らせ『アンタはやれば出来る子ぉやでぇ~!』…洗濯ト説教ガ終ワリマシタ。

めんどっちーなぁ~なんてなことを考えながら「ふん…」と、するともしないともつかない返事で濁しているとむーちんが、ガラガラガラと玄関を開けて言う。
「…まぅう??なんか…洗濯機に…ごっつい量の髪の毛が降りかかってんねけどぉ?アレ…200本はあるなぁ。」
「…えぇー…なんでぇー…??」
「いや、知らん。ほな、行ってきま。」
洗濯機を見てみると、200本ではキかん量の5センチ程度の髪の毛が、洗濯機のフタ一面に生えていた。ぅうさびぃ…という体感温度の寒風吹きすさぶ中、その風に飛ばされることもなくまんべんなく積もる髪。白銀の世界ちゃうで、漆黒の世界。ウチとこの洗濯機の上で散髪したとしか思えない散らかりよう。
「な…なんでぇ…?」
ただそれだけを呟いて私はフタの髪の毛を雑巾で払い落しフタ、オープン。そこには、長い一本の髪の毛が入っていた。我が家4名みな短髪…更に、なんでぇ?

洗濯が終わり化粧が終わり、仕入れの指示を受けて2分早めにチャリンコ走らせて3分。造園屋さんをちょいと過ぎたあたりの民家の前におばちゃん。車道を隔てて向い側の歩道におばちゃん。おふたり、世間話に花を咲かせてはる~ぅ。なんでぇ??なんで、車道を挟んでいるのだろう、なんだろうその距離間。車2台がちょいギリの感じで擦れ違う幅の車道なので、そないに隔たり感はナイ。されど世間話に花が咲いたついでにと佐々木さんトコのダンナさん(重役)の話題で盛り上がるにはちょいとアケスケ、そんな距離。話しは、止まない。私は、この車道上にまさに居る、チャリンコに乗って。そして、向かい合いハナシの尽きないおばちゃん二人の仲を裂くように、突っ切った。
ハナシが…止まない。
なんでぇ??
あれ?続いちゃうんや…会話。
アレかな~私~今日はトクベツ~透明度が高かったかな~もしかして。

「今日なぁ~2時から完全にひとりやってんな~パパさん会議で~ママさん買い物で~ユンちゃんたちは2時までで~お客さんひとっこひとりいなくてな~ほんまに完全にひとりやな~おもてやぁ~補充もないしな~しゃ~ないからホールの掃除しててんやん~」
そんな今日のナンDAY報告をしながら、折りたたみ自転車後輪に取り付けたステップにヘイポーを立たせ、私は20分少々の道のりをニケツで目的地に向かっていた。
「大掃除みたくやっちゃってな~お客さんおらんしもうその時間ってお客さんこへんしな。テーブルの下にもぐってガラス磨いてたんやんか~そしたらな~なんかな…足音が聞こえたような聞こえんような…とおもてこう…振り返ったら、お客さんやねん。私に気づいてはらへんねん。『ぁああぁあああ!!すいませんすいません、はいはいはい、はい、お食事です??お訊きしますね待ってください、はい訊きましょう訊きます。』ゆぅて慌てたわ~訊きましょう、ゆぅたはええけど手ぇ泡だらけに雑巾持ってるわバケツ持ってるわ新聞広げてるしスポンジ散乱やねん。そんな私が店番ひとりやねんで?ど~考えたって「訊けるとは思えん」みたいな感じやのにな、お客さんが『いや、大丈夫ですよ。』言やはってんでぇ??なんでぇ???いやいやソレ、どっちかゆぅて私のセリフちゃう??大丈夫ですよ、訊けますよ、作れますよ、すぐやりますよ、ちゅうなぁ…。大丈夫ですよ~ゆぅて時間稼いどく、てゆぅな。お客さんは何が大丈夫やったんやろ…私が慌ててアタフタしとるから落ち着かせようか~ゆぅて「ダイジョーブ・ダイジョーブ」とか??」
「あ~…そうやな。いいですよ~大丈夫ですからゆっくりしてください~てゆいたかったんちゃう?」
「…そうかなぁ…ウチのお客さんってな、時間がキッチリしてるからな。1分1秒を急くお客さんばっかやのに『ゆっくりどうぞ』の意味はナイ思うわ~」
それで、そのお客さんの頼んだメニューが私がひとりで作るにはちょっと時間のかかるメニューであった。本来のシェフである手慣れたオーナーが作ってもウチのメニューの中で一番時間がかかるメニューというメニュー。一瞬迷ったけど、もう十分第一印象が悪いであろうことはわかっていたので、いつもなら「すいませーん、今メインシェフが居ないものですから…。パン中心のメニューですと私、作れますんで、責任を持って愛情込め作りあげますっ!ダメすか、パン…?」と私の担当分野でプッシュするトコロを、このお客さんの第一希望を二つ返事でやり遂げる所存。…うーん…いやレシピ自体は頭に入っているのだが、なんしか連携作業で私の携わらない揚げ物の分野であるため手際がごっつい悪い。フライヤーの火を落とし、ご飯の保温を切り、ガスの元栓を閉め、全てが一時休止である我が喫茶店の午後の時間。さぁてと、時間のかかるものから手掛けて~同時進行2動作ずつの~タイミング時間差やな~とおさらいしながら、とりあえずトレイを一枚出すだけ出したら「あとは頼むな、まぅちゃん。今日、買い物がたくさんあってなぁ…ごめんやけど、よろしくな~」と出て言かはった大量の買い物をするはずのオーナーが予想を上回る早さで帰って来られた。じゃぁよろしく~ゆぅてそのまま顔を見ないままオーナーのご主人だけが戻り私が帰る時間になる、という流れになる時が多いのに、「行って、帰って来た」くらいの印象。行くまでと帰って来るの往復しただけの時間経過しかないように思うが、たくさん…買い物出来たのだろうか…こんなに早く…なんでぇ??
「あー…?お、おかえりなさい…?」
「はい、ただいま。」
「トンカツ…です?」
「はい、わかりました。」
あ…ちょっと戻った…てわけじゃないみたい…。作らはんねや…オーナー。手際よくオーナーがトンカツライスを作って万事オーケーなんであるが、やはり今日はナンDAY。
「た~くさん買い物あんね~んごめんな~頼むわ~、ゆわれたらや~…。普通に『買い物行ってくるわ~』とかの時でも私が帰る10分前とかそんな留守やで?1時間とかや~軽くかかる~って思うや~ん?それが30分…いや20分…そんなもんやで??そら、ひとりなんやな~っておもてた私にしたら、なんでぇ??て思うで。それなりの覚悟を持ってのひとりぼっちやねんからな、私はな。いや、そらソワソワしてるような行動はしひんで?しひんと隠してるけど内心はドギマギしとるわけや…こちとら小心者やねんから、な?」
そうヘイポーに「必死孤独の覚悟」がいかにして崩されたかを語っていたら、向かいからやって来たバイクに乗ったおまわりぴんに、声を掛けられた。ようだ。
「はーい、はいはいはい、止まってー、止まってねー。ソコの自転車の二人、止まって。はい、止まってねー。」
私は無視をしたわけではないのだが、おまわりぴんの口調が小さい子供に言う口調であったので、私たち親子のことではないと決めてかかっていた。しかしおまわりぴんはUターンして私たち親子の二人乗りを幅寄せして来て、言った。
「はーい、はいはい、止まってねー。」
「えっ?!私たち?!」
「はーい、自転車の二人乗りは危ないからね、アカンよ。」
「二人乗りゆぅたかて、親子やで??いっくらでも親が子ぉ乗せて自転車乗ってますやん。」
小心者の私が言うとおまわりぴんはちょっとためらいながらこう言った。
「自転車の後ろに乗せとるんはな…小学校あがる前の子供のコトやねんけども…」
しかし小心者の私はこのおまわりぴんの応対に「チビやから子供同士のニケツやおもてはったなっ失敬なっ」という感情を抱く。ぁあ、ええですよぉ、若く見てもぅてコリャ嬉しい限りですわいなぁ、就学してますけんどもぉ、ウチの子ぉは練習しても練習しても発達遅滞から運動能力は大幅に遅れをとっていてうまいことバランスがとれませんねや、そんな危ない運転技術で自転車乗らすほうが危ないんですわ、これが一番の安全な形やのにこの親子の安全にストップかけて、おまわりぴん市民の安全をどのようにお考えですか~、この親子から交通手段を奪いますか~。と、まぁソコまで言うのは小心者の私には出来ないので、こう言う。
「あ、そうすか。就学前の子供なん、アレって。そら小学生やでこのコ。でもこのコ自転車乗られへんのんに、どうしたらええの?ダイキまでまだまだ距離あんのんに、歩いていかなアカンの?明るいウチには着かへんで?自転車しかないのに、どうしたらええの?」
なぁ、どうしたらええの、おまわりぴん。自転車乗れない小学生の親は、徒歩しかアカンのか。近所で買い物済まさなアカンのか。自転車でダイキに行けたら洗剤が100円安いねんけどなぁ。交通費ゼロで100円、安いねんけど、どうしたらええの?やっぱ節約とかエコとかしようおもたらなんか目をつむらなアカンとこ、出てくるで~。そんな訴えを胸に、どうしたらええの?と言うとおまわりぴんは私のどうしたらええかには答えずにこう言う。
「この自転車は…防犯登録、してはらへんね?」
「してない、してない。だってこの自転車、粗品やもん。」
「粗品?」
「車買ってきたら、ついてきた自転車やねんもん。ほら、ここにマーチが。な?これマーチのイラストやで。マーチって車を買ったらついてきた折りたたみ自転車やから。折りたたみやから荷台もないねん。やからステップつけて乗るしかないやん。自転車、盗られたからもうこの自転車しか持ってナイねん。」
防犯登録してた盗まれた自転車、探してくれてはんの?3年くらいみつからないけど?といった圧力も、ちょっとだけ言葉に含ませてみたで、小心者やから遠回しに。
「そうか…車…買ったらついてくるんか…そうゆうのがあんねんなぁ…」
「そうやで。車のオマケやねん。」
ま、その車はヒーさんちの親戚の人が買ったんやけどね。ま、ベンツこーたらマンションついてきたよなモンちゃいますか~ナイやろけど。
「そんで、私たちはどうしたら、ええの?」
小心者、再びトライ。だって幅寄せしてまで止めたからには、私たちがどうすべきかまでちゃんと指導を入れてくんないと。市民としてルールを守り協力も惜しまんのでね。だって私は親だから、我が子が自転車に乗れなきゃ、自分の乗る自転車に乗せるで。ひとりで留守番、さすほうが心配や。
「…ほなら…気を付けて乗ってや?」
「いいの?乗っても??」
「…う…うん…仕方ないなぁ…でも、危ないから気を付けてな?」
「は~い♪気を付けて二人乗りしま~す♪」
なぁ~んDAY、いいんじゃんけ。

ダイキでの買い物も終わり、帰りにスーパーに寄る。そこで、夕食の材料を買い、その中にゴボウ。ゴボウとか白ネギとかってなが~いから、すんごく不安定。私のチャリンコのカゴから3分の2は出る。ゴボウって、シナるよね。もう暗くなっているので土のついたゴボウが、カゴから出ているのがわかりにくい。そのゴボウが、すれ違った少年を「たたっ切ってくれるわ~!」てなカンジで叩き切った。
「あ…ごめん…」
と言ったけれど、少年は何も気がついていなかった。
なんでぇ??結構、バシっとイったのに。
その後も、前を歩く3名の高校生くらいの左端の少年1名にゴボウがヒット。
「あ…ごめんごめん…」
しかし叩き切られた少年、またも気付かず。なんでぇ??これが日本刀だったら致命傷なくらい切りつけてんのに。
なんでだろう。ゴボウのシナりがうまく痛みを和らげる作用でも発揮しているのだろうか。ゴボウが見えない薄暗さと、先細ゴボウのシナりで、Wブロック!!少年たちよ、君たちには確実にゴボウが当たったぞなもし、ゴボウでたたっ切ったのは拙者でござる、面目ない。

帰宅後、買い忘れていた食材を買いに一番近いスーパーまでチャリンコを走らせる。
毎日のように行っているそのスーパーで、一度もそんなことないのにどうゆうわけか、自動ドアがゆーーーーーーーーくり開く。入って来た時は普通に開いたのに、帰る時にジッワジワ。手でこじ開けたほうが早い。ミリ単位で、開く。な、なんでぇ??いつまでも出られない。入って来るひとも、出ようとしている私も、自動ドア待ちの立ち往生。頑張れ、自動ドア。力尽きるな、自動ドア。馬力ねぇなぁ…自動ドア。おつかれやな…。

少しだけ空いている自動ドアを、手でこじ開けていいもんかどうかを迷いつつ、入りたいであろう見知らぬひとと出たい私は首をかしげる。…待つか。それが言葉を交わすこともなく互いに出した答えであった。
なんとか力を振り絞って開き切った自動ドアは、そのまま閉じる気配を見せなかったが、私のナンDAYはその自動ドアを最後に完全に閉じた。
[PR]

by yoyo4697ru980gw | 2008-11-30 02:02 | +cool down run+ | Comments(4)  

Commented by ポバヤシ。 at 2008-12-01 10:12 x
………なげぇ。
Commented by MA at 2008-12-01 11:14 x
一日は、24時間ですから。トゥエンティフォ~ですから。
Commented by ジャックバウァ~ at 2008-12-03 09:06 x
俺の名前はジャックバウァ~…
ゆうてる場合か…
仕事が終わったら仕事だぜ。
ザ・仕事人
Commented by ムコ殿 at 2008-12-03 15:36 x
無色が終わったら透明だぜ。

…いつまで働かん気や。

<< ヒト手間の深み 連音 >>