淡白宣言24

グルメリポーターが「見た目より味が淡白ですね~」と感想を述べたらそれは「味が薄い」という意味らしい。

グルメでもリポーターでもない私に、出勤早々オーナーが言う。
「今年の風邪は長いみたいよ、気をつけような、まぅちゃん?」
「…ぁの…もう…既に…私…」
「ぃやー…まぅちゃんもうひいてるやーん…夕べ、寒かったからなぁ…」
「…はい…油断しました…」
前日の夜からどうも鼻通りが悪く、何を食べても食感だけの食事を2~3食、摂るには摂ってみたけれど、味が薄いかどうかすらわからない。淡白なのかアッサリなのかコッテリなのか美味なのか、わからない。
「この焦げたかき揚げ、私、食べる。どうせ…味わからんのやから。」
「そうやな、まぅ、食べ。どうせ味わからんのやし。」
「はい、まぅ、これもちょっとココ焦げてる。まぅが食べ、どうせ味わからんから。」
…いくらなんでも…病んでる母に辛い仕打ちやな…。普段、あたしゃぁおやつとか分け与えてるほうや思うねけど?こんな時こそ、優しくせんか~いっ。
「あぁー…昨日のご飯が…たしか冷蔵庫に残ってたなぁ…」
「温めて食べたらええねん、まぅが。どうせ味わからんねやろ?」
「…そうやな、どうせわからんしな。」
温めなおした見るからにマズそうなご飯を、食べてみるがさっぱり味がわからない。昨日のノリ弁の残りのちょっとのごはん、見た目マズそう。
「ちょっと、食べさして。」
とチョモが一口食べて、年貢でも納めるかのように私に上納。
「マズいのがわからんって、幸せやな。味のわからんまぅが食べんかったら、誰も食べへんわ。」
…ひどい言われよう。
黙々と、どうせ味のわからん私が食べずして誰が食べるかという、マズいものだらけの夕食を食べ、唯一まともな献立と思える味噌汁をすすったその時、私の鼻の通りが一瞬だけ通常に戻ったのである。
「うっっっわ、マズっ!ニガっ!!なんやコレ、このごはんおっそろしくマズいな?!かき揚げ、にっが!こんなん喰えたモンちゃうで。これが食べられてた自分が怖い…今…味噌汁すすった後に、一瞬…鼻がキいた。…鼻って…大事やな…。」
「…すごいな。その一瞬でいろんな味が一気にわかるんやな…。よぉ喰えるなぁ…ておもたけど、まぁ味わからんみたいやしいいかと思って。」
「いくらなんでも…健康被害を考えてソコは止めて欲しいわ…味がわからんゆぅたかて…あんまりやで…エサに近い…」
「いや…味覚って、人それぞれやん…?」
ううーん…「おいしさ」は人それぞれやろけど「マズさ」はたいがい共通しとるおもうで。

鼻のつまりが極限に達したとも言える翌日、とうとうダウン。
前日に我が家に遊びに来ていたノロとチィに「しんどぃよぅ~。働いてくれよぅ~。」と涙ながらに訴えて夕食準備を手伝ってもらったのであるが、「明日も遊びに来てい~ぃ?」と言うので「たぶん私寝込んでるから来んほうがええで。感染るで。」と脅した。…のが、冗談のつもりだったのに、本気で寝込んでしまった…面目ない…。「ホンマに悪化したから来たら感染る…て…伝えて…」と息絶え絶えにチョモに言伝て、ふかぁ~く、眠る。休ませてください、とオーナーにメールを打って、返事も待たずに、ふかぁ~く、眠る。チョモが帰宅するまで、ふかぁ~く、眠る。一に睡眠、二に栄養、それでもダメなら諦めるか~、三日経てば医者に運んでもらえるかな~これが私の風邪の流れ。
チョモはノロとチィにちゃんと伝えたようであったがそれでも、彼女らは「まぅちゃぁあぁあぁ~ん?」とやって来て、チョモに「来たら感染るでってゆぅたやん、今日は来んほうがええゆぅたやろ?ほら、帰り・帰り。」と冷たくあしらわれていた。それでもメげす「入ってい~ぃ?」「ココまでやで、コレ以上入ったら、感染るからな?知らんで?」「まぅちゃん、ドコで寝てるん?」「あっこ。」「まぅちゃーん…大丈夫…?」「…ダメ…」「まぅ…ちゃん…死んでるなぁ…」というやりとり。台所の、昨夜からの洗い物てんこもりを「よしっ!洗うかっ!!」と率先して片づけてくれ、冷蔵庫の食材で夕食の献立を提案「卵あるやん、ウィンナーと一緒に焼けばいいやん?」「質素やな…」「味噌汁、コレは?」「インスタントかよっ」。
とにかく何とか台所回りを落ち着かせたらしい彼女らは「帰るね?」と言って私の様子を見にやってくる…。渾身の力で…手を振る…。声がもう出なくなっているがユサユサ…手を…振る…。
「まぅちゃん…もうダメやな…」。
とうぶん…あきまへん…。…と、病人モードに突入していたのだが、どうゆうわけだか翌朝、元気100倍、鼻のつまり3倍、声のかすれ2倍。集中的に口鼻周辺悪化、驚異的にそれ以外回復。10分前には職場にも着き、早引けることもなく職務を全う、午後からの小一時間なんてひとりで店番。担当の自家製ソース、山ほど作った。「シェイク・シェイ~ク♪シェイク・シェイ~ク♪」と言いながら撹拌していたがなんかアホらしくなって黙ってシェイク、保存した。テーブル、ピカピカに磨いた。「ぅわ~っ!めっちゃキレ~イっ!!」と言ったが、予想通り誰からの何の反応もなかった…ま…ひとりやしな…。ちょっと熱とか上がってるかもしんないな、病人ハイに入っちゃってるとかな。

「…より一層…何の味もわからんなぁ…」
ミキサはそう呟いた。
前日、病床に伏している間、ほぼ家事全般をやり遂げたケベンとピラに感謝の意を表明するため、将棋に取り組む彼らに夕食下準備の手伝いを乞うことをしなかったが、「はよ、対局、終われ。はよ、ツめ。」という波動は衛星通信に切り替えて強烈に送っていたことは認めよう。栄養を摂るための食事としてありとあらゆる野菜を入れ込んだ大統領のミネストローネ。煮込む段階までジャク・バウアーめっさせわしない。鍋振りのケベンは刺し包丁のケベンへと既に昇格したが、本日「煮込みのケベン」。味見の匙加減も、託す。
「味、どう?」
「これで、ウマいんちゃう?」
「そう…?色で見る限りでは薄い印象やけど、ウマいならいっか。」
洗い物を片付ける、ミキサ・バウアー。
洗ったモノを拭く、ミキサ・バウバウアー。
「…薄味と言やぁ、薄いって気もするなぁ…。」
ケベン、後でクるタイプ。
「えらい時間かかったなぁ…味見…。」
オンチは音楽に対してだけかとおもてたけど、味に対しても同様だったケベン・味馬鹿ア~。
「…味の素…足す?」
狂ってる…一体どうしたらいいんだぁあぁあ~!!。ケベンはヴォーカリストとして致命的ともいえる「欠けている音が何か」というトコロがバシっとわかっていないようであるが、「欠けている味が何か」もわからないようである。サブヴォーカルのピラもエコーヴォーカルのミキサも、何かの音を欠いて活動にあたってはいるが、ミキサは十年を超える感覚で答えた。
「…味の素ってな、『うま味調味料』ゆぅねん。『うまみ』が入ってるわけやん?ちゅ~ことは、甘くなる思うけどなァ。たいがい新鮮な魚とかな、高級な肉とかな、喰うたグルメリポーターはまず最初に『あま~い』て、言うやん?てことは『うまみ』ゆぅんは『あまい』わけや。…んで、このミネストローネに足らんのは、酸味としょっぱ味やと思うな。ケチャップと塩やろう。でなけりゃ、コンソメとコショウの可能性が高い。」
「…あ、ついでやから、味の素も足しとく?」
ケベン、お前に言っておきたい、ことがある。
このシチュエーションでアげてしまったことを、


…ほんとうにすまないとおもっているクソ~っ!!


元歌:関白宣言

「淡白宣言」

お前に味を みてもらう前に
言っておきたい事がある
かなりキビシー話になるが
耳の穴かっぽじって聴いておけ

味を先にみてはいけない
味見の後にまたみてもいけない
一度で上手く探れ
うま味は具で出る
味の素にはもう構うでない

忘れてくれるな
淡白というのは
しょっぱさ控え目
塩分さほどないってことを

お前にはお前にしか
できない事もあるから
それ以外は口出しせず
黙って味の素置いてこい

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by yoyo4697ru980gw | 2008-11-14 23:44 | +ハナモゲスト ゲリライブ+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA