ユングより 定年退職した おっちゃん

歴史上の人物とか偉人とかそうゆうひとはよく名言名句を残しているようで、それは書物というよりも口伝えでよくひとへ伝えられる。それは、よく偉いさんが知識で披露されるからである。偉いさんは、その言葉に感銘を受け唸った唸った~、と、なるくらいの知識があるのだし、偉いさんになるくらいなのだから偉人が言っていることの意味が理解できよう。…が、とくに役職も持たないただの暇人がそれを聞きかじったところで、唸れないという事実もご理解いただきたい。私のレベルに合ったわかりやすーい名句を言ってくれると、ちょっとは相槌も打てようというものであるのだが、「私の一生は、無意識の自己実現の物語である。BYユング~」…て、言われてもぉ…ううむわかるようなわからんようないや全然わかんない。一生が過ごしやすいのが過ごしにくいのか、どっちなんだ。

私が今の喫茶店に下っ端として皿洗いで入った当初、ひとりの老人がオーナーを訪ねていらした。まぁお久しぶりお変わりなくお元気そうで、とオーナーが挨拶をしたということは、かつての常連のお客さんであり定年退職されたひとであることが察せられた。ちょいと特殊な条件下にある我が喫茶店では「常連サンで定年退職」この2点が揃っていることだけで「それなりの人物」であることは間違いがないということが言える。
その方はとても気さくな大阪のおっちゃんであった。このおっちゃんの前に同じく定年退職されたらしい「それなりの人物」が訪ねてらした時には、そんな気さくさはなかった。知識人であられるらしいその方は、定年後の転職もそれなりであり、世間話のレベルからして高く、私には何一つ共感出来ることもなく、懸命に皿を洗い続けていた。しかし、そのおっちゃんは、皿洗いの手を止めて思わず振り返ってしまうような世間話をされたのである。

こないだや、ミナミ行ったんやがな~。自転車置く場所ものぉて、そこいらにウジャウジャ止めとんのや。どこぞワシの自転車止めるトコないもんかと探しとったら丁度、一台分スペースが空いとる。そこに置いて数分で戻ったらもう周りにはよーけ自転車が置いとって出すに出されへんねで。しゃーないから、一台一台のけてやなぁ…ワシのんを出すしかあらへんやん。ほんなら…やっぱトシやなぁ…二、三台のけたらフラフラ~バターンゆぅて、自転車と一緒にコケてもたんや。そしたら、地ベタにこ~~~~してしゃがんどった若モンが、「おっちゃん大丈夫かぁ~?!怪我はないんかぁ~?!」ゆぅてすっ飛んで来たんや。ワシぁ~感動してなぁ…。そんな、大丈夫か?なんかゆう格好しとらへんねん。髪の毛は金髪キンパツ、眉毛やら口やらに釘刺さってんねんで?アレ、どうゆうの?ぴあす、ゆぅんか?あれや。首からなんやジャ~ラジャ~ラぶら下がっとるわ、ズボンはパンツ見えて穿いてるか穿いてへんかわかれへん。そんなヤツらがやで?み~んな立って走って寄って来て、ワシが倒した自転車起こして、「気ぃつけなあかんで~」ゆぅてワシを立たせるんやがな。ありがとう、ありがとう、どうともないから大丈夫や~ゆぅて、おっちゃん嬉しかったからオマエらにジュースでもおごるわ、ゆぅてな。そしたらそいつらが、そんなんいらん、ゆぅねやがな。目の前でコケたら手ぇ貸すん当たり前のことや、と、こないゆぅねで?

私はこのひとは、一体どんな顔をしてどんな身振り手振りで、語っているのかともっっっそ見たくなって、皿を片づけるフリなんかして、見た。おっちゃん、カウンターの椅子からケツ浮かして赤い顔してね、「ウチとこの孫がかけっこで一等賞とりましてん」ていう風に話してはった。かわいぃてしゃ~ない、ってカンジ。

最近の若モンゆぅのんも、捨てたもんちゃうやろ~?それからな、ワシ、ほら。ずーーーーっと、財布に図書券入れてんねん。アイツらみたいな若モンに今度おーた時は、ありがとうゆぅてコレ、渡すねん。現金渡すんもイヤラシイ話やんか、なんかおごるわ~ゆぅても遠慮してまた逃げられる、考えた結果や、図書券やったら誰がもーても使うもんやん。金額も500円なら負担にならへん。な?

私は、このおっちゃんに感動した。
おっちゃんの財布に入った500円の図書券が、1枚ではなかったことに。
それから、「今の若モンは本を読まない」と決めつけていないことを。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-11-07 21:40 | +開楽館+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA