オオモノ

チョモが今年初めて同じクラスになったマエショーという男児は、チョモ判定99%パーフェクトな人物である。
「頭がよくて、絵が上手、スポーツ出来て、歌うまい、カッコよくて、チョー空気読める!」
チョモはべらぼうに褒めちぎり。
「完璧やん。」
と感想を述べると、
「ただなぁ…マエショー…」
ひとつだけ、たったひとつだけ、マエショー、あかんねん、ありえへんくらい、目ぇ悪い。
…確かに。
あんなに完璧なのに、マエショー…。私が用事があって学校にいた時に、私はこちらに向かって歩いている男子生徒がマエショーやとわかっていてマエショーを見ていて、マエショーも目を細めてこっちを見ていたのでてっきりわかっているものと思いなにげに話し掛けていたのだが、私の前を通り過ぎる寸前に、
「あー…チョモのオカンやーん…」
と言って手を振った。えっ?!い、今かえ?!ずっと話し掛けていたがあれは独り言になってたか?!と思った時にはすでにマエショーは私の前を通り過ぎていた。その出来事をチョモに語り、
「…わかるで…。マエショー…あーチョモのオカンやーん、の『やーん』の『や』くらいで私の前を通過してたからな。『あー…チョモのオカンやーん』って言う『言い始め』がごっつぃ近いねん。ここでかっ?!て突っ込もおもてもそン時はマエショー…目の前にはおらんからな。」
「そやねん、そやねん。マエショーそうやねんで~。音楽室でなー?マエショーが友達と肩組んで入ってきてんやん?僕は前のとこに立ってて、後ろのドアからな?入って来た時からマエショーてのはわかってんねけど、マエショーはこーーーーやって目を細めて『誰かな~?』みたいな感じで見るから、そんなに広くない音楽室やのに、3列目くらいのとこまでマエショーが来てから手を振ってんやんかー?マエショー手ぇ振りながら目ぇほそーーーーーーくしてこっち見んねけど、どーーーも怪しいねん。誰がわからんけど手ぇ振ってるから振っとくみたいな?マエショーわかってへんわ、おもて、後で教室に帰った時に『音楽室で手ぇ振ってたけど、僕ってわかってなかったやろ?』て訊いたら案の定『あ、チョモやったん?』やで。」
「誤魔化し方が板についてんなぁ…マエショー。」
「かなり早い段階であきらめるからな、マエショー。」
「大物やな…マエショー…」

人生、二人目の大物の予感…マエショー、あいつ、オオモノ。
私、中学の時の同級生のアイちゃんに、大物感を抱いたの。そのアイちゃんも、ごっつぃ目ぇ悪かった。本人、裸眼では何も見えない、て言ってたけど、ホンマに見えてないんやなとおもたんが、シャーペンの芯を確認したのに折った時。二人で向かい合って座って、放送原稿を書いている時に、私たち二人で黙って考えながら書いていたら行き詰って、シャーペンの芯を出したり引っ込めたりしてカチカチカチカチ、やってたの。何曜日に何をやって、何曜日に何もってきて、と言いつつそれを書いていたら、アイちゃんのシャーペンの芯が7~8センチは出ている状態やって、アイちゃんはそれを見て確認しといてからに、そのまま書こうとしてパキッて折ったの、私の目の前で。ええええええええええっ?!とおもて「アイちゃん、今の、見えてないの?!」と訊いたら、「うん、見えん。」とハッキリゆった。
「すんごく、出てたよ?芯。」
「みたいやね。」
「まぢで?!」
「うん、まぢ。だから、目、悪いんだってば。」
「うん…そら知ってるけども…芯…折るって…」
「あるよね。」
「ナイわっ。」
アイちゃんは、ちょっと遠いところから彼女を認めて私が「アイちゃん、バイバーイ!」と手を振ると、「誰かはわからんけどバイバーイ!」と手を振るひとだった。いんだけどね、とりあえずバイバーイ。

総理大臣よりも、アイちゃんとマエショーは大物だ。
私の感ずる「大物」の第一条件は「目が悪い」ことである。見えないものを見えたものとして処理する能力が、彼らには備わっているのである。そして本人が「見えてなきゃいけない」なんてこれっぽっちもおもてへんトコが、オオモノ~。
[PR]
by yoyo4697ru980gw | 2008-10-19 16:21 | +開楽館+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA