アンケートと偽って

「電話勧誘で訪問販売する日のアポを取る」という一風変わった「信頼性」を匂わす営業法を取り入れたのが、某下着会社。「ぁいぁい、いつでもいいっスよ来てください♪」ゆぅて、来てもらう。
「アポ取り」の電話勧誘スタッフと「訪販」の営業スタッフとが、異なるらしい。会社内部によって部署が違うといったコトだろうか。

さて、これは受け取り方で違ってくるとは思うが、まずこの会社、大々的にウソをついている。しかしこの「ウソ」、「あなたはそうゆう風に受け取ったかもしれないけれど…」という言い訳がちゃんと出来る感じでつかれた「ウソ」である。基本的なところは「本当」で固めているので逃げの「ウソ」にうまいことフィルターがかけられている、という印象を受けた。私が世間を何も知らない生娘だったら、すっかり買ってしまっているくらいのウマさ。…アブナイ。その全貌を明らかにしてゆこう。生娘よ、ダマされてはイケナイ。

まず電話がかかってくる。電話口のアポ取り部署の女性(以下:アポさん)は年の頃予想40代前半。百貨店のインフォメーションにいる帽子被ったひとみたいな発音で、こう言う。
「わたくしども『シタギィ(仮名)』と言いまして下着を作っている会社なんですが、今回は下着に関する簡単なアンケートにお答えいただきたいと思ってお電話させていただいております。」
ここでそそくさと「いらん」ゆぅて電話を切るのか、「で?」と乗るのかを見極めているようだ。早口でハキハキと言った後で、十分な間を取った。私はもちろん「へぇへぇ、はいはい、ほんでほんで?」と、とても乗り気のカモである。
アポさんの電話の内容のポイントは、箇条書きにして以下の3点。

1.下着購入時におけるクセ
2.下着に関する客のニーズ
3.アンケートへの協力依頼

「下着購入におけるクセ」の段階では、質問攻めである。試着はするか、セット購入をするか、何にこだわるか、といった質問をしてゆく。
「下着に関する客のニーズ」の段階では、とにかく、聞く姿勢に徹す。
「アンケートへの協力依頼」でアポ取り。
どうだろう。実にうまい心理作戦と計画立てたサグリ法で組み立てられた「アポ取り」だとは思わんか。あたしゃ、感激した。これ、ずんげぇ、完璧。流れがね。押し付けがましくならない感じでスムーズに流すことが可能な三本柱であると思う。もちろん、その1→2→3と流す切り替えの話術はいるけれど、マニュアルで流れを踏まえていれば、世間話に臨機応変な相槌が打てる程度で、よい方向に持ってイけると思う。アポ取りの「3」までイけた客からアポが取れなかったことはまずなかろう。「アンケートに協力していただいたかたに、お礼というかたちで、これはわたくしどもの気持ちとして〇〇をプレゼントさしていただいております。」「じゃぁ、協力しません。」…ならんな。オーケーオーケー来てちょんまげ。

「1」により、客の購入意思の揺らぎポイントを探りながら、褒めちぎって気持ちよくさせる。「試着はしますか?」「はい、します。」「それは素晴らしいです!」。もし「いいえ、しません。」と言ったら、きっとアポさんは試着しない理由を問うだろう。「めんどくさいから。」と答えたら「あ~わかりますぅ~」と言うだろう。さんざん共感して「でも、試着はして買ったほうがいいですよ。この機会にご自分のちゃんとしたサイズを測ってみませんか?キチンとしたサイズを知るだけでも、意識って変わるもんなんですよぉ。」といった持っていきかたをするであろう。数ある質問の中でどれかひとつでも「それは素晴らしい!」と言える質問を用意済みとみた。この質問攻めにより、要所要所で褒めちぎり、ちょいとした下着マメ知識なども伝授し、今度は「どんな下着があったらいいと思います?」とか「下着のココをもっとこうして欲しいというような希望はありますか?」とかいうニーズを聞きまくる。とにかく、出だしの問いかけを行ったらひたすら相槌を打ち打ち、聞く。絶対に否定はしない。なんと気持のよいことか。「ふむふむ、うんうん」と一方的にこちらのニーズだけを聞いてくれるのだ。「ほんとにそうですよね~」とか言いながら。そうやって電話口のカモを気持ちよくさせつつ、アポさんのこれからの采配が決まってゆく。「アポ取り」と「営業」の仕事では「アポ取り」のほうが「本社の人間」くらいの格付けがあるようである。フリーな感じで「お題」だけを出しその場で考えを伝えることが出来る人物であるか否か、美意識の高い人物であるか否か、キレイになることにどれほどの金額が出せるのか。それらの判断はアポさんが行い、派遣する営業のランクを決めるようである。電話で掴んだカモを落とせる営業を送りこむのである。電話口の会話から、アポさんは私のことを疑っていた。冷やかしっぽいと。私はよく訪問販売や勧誘の営業の人たちに「冷やかしか?」と訊かれる。「はい、冷やかしです。」と答える冷やかしが、おるかいな。冷やかしてるつもりはないのよ、知りたいと思っているだけ。本当に怪しくないって確信出来る訪問販売や勧誘って、あるのかと思って。これっぽっちも「怪しい」と感じないお宅訪問があるのかと思って。2008年現在、一社も、無い。頭ごなしに怪しいと決め付けて拒否するのもどうかなぁ、と考えたりするんで、まずは「知ろう」と思うわけである。知った上で買いたいと思わせることが出来なかったのは、それはソチラの責任でおま。だからアポさんも、多少はサグリを入れて来る。そう思った根拠は2つ。

1つ、アポ取りだけの電話だということを明かすのが早かった。どうだろう、私がもし生娘で何も疑わないようなら、アポ取りだけの電話だということを伝えるのは一番最後に持ってきてもよいではないか。一番最後に持って来ても「え?この電話がアンケートなんじゃないの?」ということを疑わないんだから。アポさんは私との会話で見破ったのだ。いろいろと質問攻めしといてからに、これはアンケートとちゃうんけ~っ!と、私が突っ込むような人柄であることを。営業をやっていたアポさんは営業成績がすこぶる良く本社でスタッフをまわすことになったとみた。営業の経験もあるから、客にピッタリの営業スタッフを見繕うことが出来るんである。それを電話口の会話だけで見抜くとは相当の営業成績だったに違いない。新人の頃から本社偉いサンが期待するほどのね。
1つ、いちいち一足早く解説する。私が疑問に思うような箇所になると、「変わってるでしょ?と言うのも…」といちいち解説を挟んでくるんである。こんな変わった方法でアンケート依頼をする、と言うのも、今の時代は女性も働いているのが普通だから事前にアポを取る、という解説。プレゼントをこんな変わったものにしている、と言うのも、それはわたくしどもが何よりも健康を重視しているから、という解説。他にも、クセのある客から疑問符が飛び出そうな箇所にはいちいち解説を挟んでいた。私は思う。「ぜんぜん怪しい者じゃありません」というヒトほど、ばっちり怪しい。

私はものすごく美意識の高いカモになるため、下着購入の一番のポイントは試着した時のフィット感だと言った。質の良いものは高くても長持ちするから安いのを何枚か買うのと結局は一緒だんべー、ってゆぅてみた。ほんで、一足お先の解説には、いちいち「ほ~なるほど~考えてますね~なるほどね~そうですよね~」と時代に合わせているのね♪という理解をほのめかした次第である。しかし、それでも私に灰汁の濃さを感じ取ったのかアポさんは、アンケート協力依頼の目的を「今後の製品作りの参考にするために意見を伺いたいと思っています」といった方向に持っていった。私、そんなに「美には一家言お持ちのあなた様には」口調だったかしら。シマッタ…ソコまでイったら、やり過ぎだ…。今後が、やりにくぅてしゃ~ないわ。

以上で「アポ取り」段階は終了。ここまでが仕事のアポさん。さぁどのスタッフを送り込んでくるか。

後日やって来た訪問販売営業スタッフ(以下:ホーハンさん)。年の頃はアポさんと同じく40代前半。もらった名刺の肩書きは「主任」。ぁあ…私…まだまだヒヨっ子なのね…。でもアポさんは正しい選択をしている。ピッタリな人選だった。この主任のホーハンさん、しゃべくり系の営業をやるタイプのひとであるようだ。私このテのタイプに一番、弱いの。ついノリで買っちゃいそうに、なるのよね。ま、買わないけど。買わないと決めている客を「買っちゃいそう」にならすって、スゴいことだと思う。やっぱ訪問販売って、どの業種よりもクチうまいわ~。対決して欲しいくらい。訪問販売営業VSシンスケVSジュンジ。王座決定戦。島田さんトコのシンスケさんは「MC業界」より、高田さんトコのジュンジさんは「え~かげん業界」よりのエントリーです。丁々発止やね。
しかし、アポさんの人選にひとつミスがあったのは、しゃべくり系はしゃべくり系でも、私が弱いのは「人情系」なんである。楽しいしゃべくりで時の経つのを忘れさせるようなひとにこそ「ほろり」とキちゃう。しかしこのホーハンさん、逆タイプのマシンガントーク。まぁ軽快にありとあらゆる欠点を出してきて、けなすけなす。「ハゲ散らかしてるおっさん、おるやん?」「どこが胸かハラがわからんようなオバチャン、おるやん?」なんて、序の口序の口といった感じ。「あ~おるおる」「な?そんなんになりたないやろ?」といった方法で誘導する営業法であるらしい。まったく「ほろり」とせず。しかし、ソレは出さない。必死で「私、キレイになりたいのっ!」オーラ、出しまくる。

この会社の「ウソ」は、アンケートなんて一切、ないこと。今後の製品作りの参考にするようなアンケートでは、決してないということ。
要は、矯正下着一式39万円を、今この場で買わせるのが目的。ホーハンさんのケータイには上司と思われる人からの連絡が、頻繁に入る。訪問販売にやってきた営業の人たちのケータイは、どこの会社でも、頻繁に鳴る。たぶん、訪問販売業界では短時間で落とせないカモは見切りをつけるよう、安全策が取られているのである。カモに「しつこいな」と思わせてしまったら、口コミで「ドコドコの訪問販売の人はしつこいしつこい」とあっつー間に広がってしまい、近辺での営業に支障が出るから。予想、30分だな。30分経って契約成立の連絡が入らないようなら、上司がストップかけちゃうの。だからここが私の勝負ドコロでもある。上司の頻繁ケータイ引き上げアドバイスを無視してでも、私を「もう少しで落ちるカモ」だと、たった今会話しているホーハンさんに、認識させねばならないのである。私は、商品の説明をするホーハンさんに、「で、値段は?」と何回も訊いた。とにかく知りたいのは値段だ、というアピールをしまくった。この作戦が功を奏し、ホーハンさんは値段を明かさないジらし作戦で、上司の電話を「ほんっっまウチの会社、うるさいねん電話。よぉ鳴らすねん。」と邪険にし、私を落とす方向でトライする決意をしてくれた。5回に1回くらいは上司の電話に出ちゃうけど、「今、説明中です、はい。」と返事をしたトコロをみると、隠語で「もう少しネバれば、落ちますから。」という意思伝達だな。前にも、違う会社の訪問販売の営業のひとが同じような電話の受け答え、してた。

ウソとマコトを散りばめて、ホーハンさんの説明は軽快にススむ。
特殊な繊維で作っており、それは特許を取っているそうだ。それは確かなことであろう。そこは本当だと思う。「だから高価」というフィルターを堂々とかけているようだ。ウチにしかありません、というブランド力と言おうか。しかし私は数々の訪問販売が「この紋所が目に入らぬか~!」と掲げる「特許取得」にブランド性を感じない人間である。商品に自信があればこそ「特許」を取らないというやりかたを企業はする、と思っている。それは「特許」って、「誰からも真似されない」ために取るもんだと思っているからだ。20年とかそんなくらいの特許の有効期限みたいなんが過ぎれば製造法などの情報を公開しなきゃなんないのが「特許」というシステムではなかったか。これが合ってるハナシなら、「どうせゆくゆくこの製造法は簡単に真似されちゃう」という程度のモンは「特許」を取って真似されないよう事前の策を講じるのがよかろう、といくらアホな私でも察しがつく。ほんで特許が切れて公開した後でゾクゾクばったもんが出て、格安で類似品を手に入れるウハウハな庶民パラダイスが来たらええやん。しかし「特許」を取らないとなればずっと製造法とかは公開しなくてイイもんね。ずっと秘密にできるやん。「どう頑張ったって、ウチの味は出せん。そないに簡単に真似出来るようには作っておらんのじゃ。」というのが特許を取っていない理由じゃなかったら、他にどんな理由があるゆぅねん。他に何の理由があってコカコーラは特許を取らんのじゃ。製法を明かさんのじゃ。特許がなかったら保護もされないからいろんなコーラが出てはいるけど、コカコーラの味を出せてるコーラがあるという噂は、聞かんのじゃ。コカコーラはコラコーラにしか、作れんのじゃ。その自信があるからこそ、コカコーラは特許、取らんのじゃ。秘密にしといたらさえ絶対に真似されないって自信があるのじゃ。きっとそうじゃ。どうしよう、ずっと秘密にしすぎちゃって、とうとうコカコーラの製法を知ってるひとがいなくなっちゃったら。私、年に2回くらいムショーにコカコーラが飲みたくなるんじゃ。困っちゃうよぉ、コカさん。…コカコーラの「コカ」て人の名前かな?まさか「コカイン」と一緒の「コカ」かな。そもそも薬だったらしいからなぁ…。麻酔系か…。…あ、ちがうちがう。コカコーラのコカさんの全貌じゃなくて、明らかにするんはホーハンさんのほうだった。

ホーハンさんは言う。
「どうしょう?やる?やらない?」
何をやるか、やらないか、と訊いているのかと言うと、この矯正下着39万円を買うためのローンを組む?組まない?ということである。私は、「買う気マンマン♪この商品すんごく気に入った♪」という主婦を演じていたからである。もちろん、「美意識は非常に高い32歳」である。ホーハンさんは「35歳でもう一回、ガコーンで落ちる老化が来るよ。」と美意識の高い32歳を脅した。これも本当だろう。しかし、35歳きっかりで来るかどうかは、人によると思う。不摂生で偏食の32歳は、既にガコーンとキてる。年々、ガコガコ、キてるのをヒシヒシと痛感しとる。「えーーーーー!!35でぇーーー?!まだ、あんのぉ?!うそーーーーん。」私のキャラ設定の今回のテーマ『美意識高い主婦、でもかなりバカ』。
「来るよ。」
ホーハンさんはぴしゃりと言った。そして「老廃物」やら「代謝」やら「ホルモン」やら「セルライト」やらの語句を使って、老化のメカニズムを説明。「へぇ~」「ふぅ~ん」「きーたことな~い」「知らなーい」と返事をしていたら、しまいにゃ「ほんっっっまに…本とか、全然読んでないやろ??」と呆れていた。「活字って疲れるしぃー。何の目的で本とか読むのぉ?」と質問したら、言葉を失ってしまったホーハンさん。私もウソついて、ごめんな。こないだ、読んぢゃったな…活字。ほらあれ、ディースター。時給は平均800円だね。

どうも、この場で契約を取って来なければホーハンさんの売上げの歩合給にカウントはされないようである。私にやるかやらないかの意思表示を求める。イエスと言うと思っている誘導の仕方である。
「それってぇ、今日、答えなアカンのぉ?」
「そんなことは、ないねんで?でも、いろいろ厳しくなっててね、無理やりすすめたらアカンとかしつこく何回も来たらアカンっていうのがあんねん、今。やから、私が来ることはもうないしね。ホンマに、今日一回だけ。」
「そうなん?私、デッカイ買い物とかする時ぃ、ローンとか組まないのね~。分割手数料のかからない買い方するからぁ、1回かぁ~2回か~3回までかなぁ~。まず買いたいモノあったらお金を貯め始めんねーん、ほんで貯めてる間に欲しくなくなったら買わんしぃ、お金貯まってそれでも欲しい時だけ、買ってんねーん。そやって実際買ったんは、今まで2コしかなーい。やからぁ、今日、即決するってことはまずないな。今この場で買う買わないを答えるってことは、絶対にナイ。買うなら、後で会社に電話するわ『買います』って。あなたの名前言ってあなたから買うってゆぅたら、ええねやろ?」
美意識の高いかなりバカな主婦、最後の最後でホーハンさんを返り討ち。
ホーハンさんは「いらん思ったら電話せんでええで」と言い去って行った。
捨て台詞も決まって、本性現したり。
フリーダイアルに苦情の電話なんて、しないってば。

おことわり
 ここに登場した某下着会社とのやりとりは事実でありますが、それによって私が受けた印象は全くもって私個人の受け取り方であり、この某下着会社が私が解釈した通りの企業だということではありません。矯正下着39万円がべらぼうに高いと思うかどうかは、その人の経済状況により個人差があります。安いっ!と思った美意識の高いアナタには、ココの矯正下着がオススメです。だって、今まで見てきた矯正下着の中で一番、フツーの下着っぽかったから。やる?やらない?キョーセーはしないよ?
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by yoyo4697ru980gw | 2008-07-22 23:50 | +in the sky?+ | Comments(0)  

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