しくだい

私はここ2年ほど、イッサンからの「温泉」の誘いを8割強、断ってきた。性懲りも無く「温泉行かへん?」てゆーんだ、イッサンたら。だから「温泉に行こうぜぃ」と、た~くの主人が言い出したらどこの温泉に行くかを訊いて、その場所が「温泉」しかない場所だったら「いってらっしゃい。」と返事し、「温泉」もあってショッピングも出来るような場所だったら「んじゃ、行こか。」と返事。『本屋で立ち読みなどをし、ちょっとしたショッピングを楽しみ、いろいろな商品をみたりなどして、最終的に温泉に入る』という行動を私がしても、イッサンの入浴時間はお釣りがくるほど長~居っ!

「長居・長居・なが~いっ!」と訴え続けた甲斐あって、今でこそ平均3時間半に短縮されたが、油断すると日本直販も驚愕の「5時間6時間なんて当たり前!今なら同じサウナをもう6回お付けして、お時間ナ・ナント!7時間半!7時間半の超長居!!」。
お祭りの帰りに温泉に行こうか~と誘われて軽~い気持で「そだね~」なんつってお風呂の用意をして行った、そのお祭りの帰り。時間は21時を少々まわっていたかと記憶する。「浴衣で御入浴のお客様に入浴券プレゼント」というイベントに私の足運びはスキップになっていた。ラッキー・クッキー・チャイコフスキー。男湯と女湯がそれぞれの道程を得る分岐点でイッサンが「んじゃぁ2時な。」と男湯の暖簾の向こうに消えた時には、今の今まで軽やかなスキップしてたあたしゃぁ、暖簾の前でしばらく動けなかったぜ。に、に、に、に、にじぃ~?しょ、しょ、しょ、正気かぁ~??という言葉を飲み込んで振り返った私の目には、イッサンの姿かたちはおろか残像さえ、なかったね。あたしゃよぉ、その夜、真夏なのにガンガン効いた冷房で体が冷え切ったサ。TVの前のマガジンラックの雑誌は週刊文春まで片っ端から読みふけったし、アンパンマンの絵本にまで手を出したサ。てんどんまんがなんか困ったことになってたぞー。こちとら、もっと大変な目に遭ったがなー。
浴衣を着ていたのは私なのに、プレゼントされた入浴券を使ってイッサンが後日、長居したことは言うまでもない。
そして私はほんっと久々に、仕方なしにしゃ~なしにイッサンの長居の湯へと付き合った。
全ては私に課された「しくだい」の資料集めのためである。

イッサンはよく職を変えるので、その職務を把握するのが追いつかない。だから「どんなことしてんの?」なんてもう聞かないしイッサンも言わない。どんな仕事内容かは知らないけれど、私はイッサンの今の職場で、時々イッサンのゴーストライターをしている。「まぅにしくだいがあんねん~」とイッサンが言ったら、それは報告書か研修後の作文か提案書か何かであるのだ。勿論、本社に提出する真剣にまぢめなやつ。大袈裟に言うとイッサンの首をかけての、しくだい。クビになられちゃぁおマンマくぅてかれへんので、一番苦手とする大真面目モードで取り組むこと毎度毎度、頭を抱えている次第である。
「今度は何よぉ~…レポート?会議のまとめ??」
簡単だったしくだいをふたつ、挙げてみた。
「コラム。」
「は?コラム??」
出版業界でもナイのに、なしてコラム。
「なんでもイイねん。とにかくコラム。」
「なんでもイイゆぅたかてー」
「ど~んなんでも、ええねん。」
「ど~んなんでも、ホンマにええのんか??『私』に書かすつもり??アレやで?言っとくけど。」
「ええ・ええ。ええねん。」
ええ・ええ、ゆぅてるけど、コレやで?コレ~。ドレやねん。
このコラムのしくだいが課されるちょい前に、コラム的なオムニバス本を私は読んでいた。前もって本が届くことは言ってあったので、「あ~届いたん?」「うん。」みたいなイッサンと私の会話があり、その時に「まぅは、まぅの名前で書いたんか?」と問うので「ふっふっふ。仮名を使わせていただきやした。だから、わからんでしょうな。」と判別不可能だぞ・どうだどうだ、と攻撃した。すると、イッサンがこう言った。
「最初の2行で、当てる自信がある。」
なぬ?そんじゃぁ当ててもらおやないの。と挑戦状を叩き付けたところ、200人近い筆者の中からざっと見で偽名のヨメ、的中。
「な、な、なんで?!」
と判別可能要素を問うと、
「わかるに決まっとるやないかい。この…フザけた感じ。」
…書き出し2行にして随分とフザけてたみたーい。心持ち真面目にもってったんだけどなー。
この私のおフザけを知り尽くしたイッサンが、私にコラムを書けと言うことは、そりゃ、そのイロでもってってイイってコトだろぉ??
「なんでもいいコラムってゆぅ、そうゆうのは漠然としすぎてんね~。何かテーマでも決めたら?」
と提案すると、
「んじゃ、テーマ『温泉』。はい、温泉~。決定~。」
と即決。
ちゅ~わけで、ネタを拾うために、温泉に付き合い長居をしたわけである。
長居してわかったこと。
…やることなくなるね。
話し相手がいるならそれなりに過ごすこともできようが、ひとりじゃなァ。

露天風呂がある。真ん中に、金泉の岩風呂。人気を反映してか、露天風呂の中で一番デカい。
ひとつ気付いたことであるが、老いも若きもこの金泉岩風呂に、すんなり入ってすんなりつかり、さほど場所移動をしないんである。なぜにゆえにホワーイ。ひとりでも、ふたりでも、さんにんでも、すんなり入ってすんなりつかり、滅多なことで場所移動をしないのだ。だって、金泉岩風呂やでっ?!探るだろうっ?!えぇっ?!探らいでかっ、バシっとポジション。
岩風呂とゆうのは、岩で出来ている。ぐるっと一周、岩で囲まれている。だから、岩風呂ってゆーんだろな。おんなじ大きさちゃうやんかー、デカい岩もありゃ小さいの、平ぺったいの凸凹と、そりゃ岩も岩肌十色でね、様々な個性が光ってる。みなさんなんでそないにすんなり『バシっとポジション』がみつかってんのかな??私、この温泉には数回来ているけれど、未だに自分の背中にフィットする岩を見つけられてないんだけど。
岩に寄りかかってつかっておこうと考えれば、そりゃ背中から尻底にかけてのフィット感を求めるのが、人情ってモンよ。いや、あっしはねダンナぁ、何も入浴中の先人に向かって「あ、すんまへん、ちょっとソコ、よろしいか?一回よろしいか?どんだけそぐうが、みるだけですんで一回すんまへーん」言うて、そんなんしてまで求めるなんざゆぅてしまへんえ?ジリジリ横移動しとったら、横に座ってた人が「なんや、ヘンなひと、来たっ」て表情で、ひとりまたひとり、居なくなってるからズレてったダケだで。テレパシー、信じよかな。
金泉なもんで、湯の中の岩の具合がわからへんねんって。あるやん?平ぺったいから一回あっこに寄りかかってみよかーおもて背もたれにしてみたら、湯船の中の岩がゴッワ~てなっとって、尾テイ骨ガッコーン、みたいな時ね。バシっとフィットするポジションを見つけるんも、なかなかやでー。ドコならフィットするかと半周くらいジリジリジワジワ移動したら「ここらで妥協」のポジションが2~3ヵ所出てきて、それで賄っとくか、みたいなことでね。
いやぁ~、でも長居でヒマなもんだから、一周しちゃったぜダンナぁ。
あっし、上等のポジション見つけちゃったぜダンナぁ。
ええ資料を拾ったなーおもて、ダンナのイッサンにネタ披露したぜ。

「こんなに骨折って『バシっとポジション』を探し出したわたくしの横では、すんなり入ってすんなりつかったおばはんが二人、ドコの接骨院が名医かを語り合い盛り上がっておりました。わたくしの折った骨、接いでくれ~…て、どう?」

「おばはんは、男湯にすんなり入ってこれへんけどなぁ。」


…問題が山積みだ。


…てっとり早く、テーマ、変えるか。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-05-19 00:41 | +in much guy+ | Comments(2)  

Commented by s_h_i_g_e_y_a_n at 2008-05-23 00:56
つ混浴
Commented by MA at 2008-05-23 08:36 x
自宅風呂

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