貧乏小学校 金持ち倒産

小学校は金持ちだ。
という認識はないだろうか。私には、ある。私は学校4校を渡り歩いた小学生時代を経験したが、どの学校にも「各クラス」に1つ必ずTVがあったし、「各教室」に当然のようにOHPの設備があった。視聴覚室には、無駄に機能性の高い機械が飾ってあったり机に「はいYESの人、1番をスイッチ、オンっ!」みたいなボタンが3個くらいは付いていたと記憶する。音楽室には「そんなに演奏出来るヤツいねぇよ」ってくらいアコーディオンばっかり置いてあったし、シンバルなんて吹奏楽チーム作ってもたいがい1個あれば足るのに、予備だけでも5つはあった。シンバルが鳴らなくなったという惨事は聞いたことがない。そもそも演奏中に叩く回数も少ないからあんまり壊れない楽器であると思う。
このような感じで、小学校には「そんなに要らんやろっ」てくらいモノがある印象があるのだ。余るほど用意できる羽振りのよさが小学校にはある。イコール「小学校って~お金もち~ぃ」。

そんな物資の不足を感じさせない「小学校」という団体の、そのひとつである我が子たちの「可否小学校」(限りなく実名に近い仮名)。どうも、不足している。チョモの話によると、かなり切迫した不足状況である。PTAの収支報告書は常に黒字であるのに。何かわけあって赤貧なのだろうか。浪費学校というほど次々に無駄遣いをしている事実も噂には聞かんのだが。全学年4クラス以上だからPTA会費徴収の人数不足という要因もなかろう。私が厚生部長に大当たりした年に「ベルマーク収集強化のための実践活動」に努めそれなりの成果を得たので、ベルマーク点数による物品購入が以前よりも短い期間で出来るようになったハズである。節約せずとも繰越金とかで足りないモノを買える財力は持っているのじゃなかろうか。

現在の小学校では5年生から授業に「家庭科」という分野がお目見えするようだ。…遅い…と、ゆとりのない教育を受けたであろう私は思うのだが、小5で初めてガスをつけるという生徒が半数以上いるってんだから驚きである。我が家のガスをつけるのにまだ2回は失敗するナキヒーが、前日にこう報告。
「明日な?調理、あんねん。」
「お~っ!何、作るん?覚えてきて作ってな?」
「え~…それは…」
「チョモだって作ってるやろっ!」
「ちがうちがう…もう、やってる!明日、調理で、お茶を飲むねんっ!」
「…ナマのお茶の葉を…遠赤外線処理とか…そうゆこと、するん?」
「え~…お湯を沸かして、あったかいお茶を、飲むのっ!」
「…あ、水道水をろ過とかしておいしいお湯をわかすん?」
「え~…だから、普通に…水を沸かしてお湯にしてあったかいお茶を飲む。」
「だけ?!」
「うん。」
「なんで、わざわざ?」
だって、我が家で「あったかいお茶」を淹れるのは、ナキヒーの仕事である。それくらいしか、出来ないからである。急須に3人が飲める量の茶葉とお湯を注ぎ、湯飲みに注ぎ分けるだけのことしか出来ないからである。

「そんなん…あったかいお茶飲むのんなんか…調理て言えへんやろうに…なぁ、チョモ?」
と5年生を自動的に終えたチョモに同意を求めると、彼は言った。
「ぁあ、最初はそうやで?一番最初はお茶飲むねん。」
…そうか。
「…なんか…そんなトコロから調理の学習が始まってるんやったら、チキンライスが作れるようになるんは大人になってからちゃう?」
「…チキンライスとか込み入ったメニューは、作らんやろー。だって家庭科って調理だけとちゃうしなー。裁縫も家庭科でやるし。」
家庭内調理事情に於いて「チキンライス『で』いいや」ていう扱いになるけど、チキンライス。
そして、可否小学校家庭科学習の知られざる世界は、チョモによってその門が開かれた。

可否小学校の家庭科の、調理に入る前にはエプロンを作ることから始める。そこで裁縫を学んでから調理に突入という流れのようだ。
そして、手縫いの技術を色々駆使し、最終的に直線をミシンで縫うことでミシンという機械の操作を学ぶ。
ミシンは各班に一台ずつ与えられ、5人~6人が代わる代わる一台のミシンで縫製。がしかし、家庭科室へ行くと黒板にこう書いてある。

ミシン1 返しぬい ×
ミシン2 下糸がからまる
ミシン3 返しぬい ×
ミシン4 糸ちょうせつ ×
ミシン5 下糸がからまる
ミシン6 返しぬい× 下糸がからまる


まともなミシンはないようだ。この不備だらけのミシンの中から「何なら妥協出来るのか」ということでミシンを選ぶわけであるが、当然のことながら「返し縫いの出来ないミシン」に人気が集中する。

「だってや~、まぁ…返し縫いが出来ひんだけなら、こう…めんどっちーけど…エプロンのほうを返したらいいわけやん?糸調節が出来ひんのは、もうカケやねん。縫えるんやったら糸を調節せんでもいけるんかなぁ~と思って選ぶと、コントローラーをソーーーーーッと踏めば縫えるけど、踏み込んだら縫えてないってゆー、そうゆう感じのミシンやったりすんねん。もぉ、手で縫ったほうが早いくらい遅いねん。やから、「返しぬい×」を皆、選ぶやん?でも、その黒板に書いてるヤツも、前の授業の時はそうでした、て意味やから、その後で下糸がからまるようになってても書いてないねん。やから最悪な時はな?返し縫いも出来ひんわ、下糸はからまるわ、コントローラーはイカれてる、みたいなミシンに進化してる時、あるねん。」
「それはもう…ミシンじゃぁ、ないなぁ…」
「もしやぁ、家にミシンとか無い人おってやぁ、これをミシンやと勘違いした人とかいたら、オカンは大変やなぁ~って思ってちょっと株は上がるよな?」
「それはええことやな。雑巾、渡しながら『ゆうべ…徹夜で縫っといたから…もって行きなさい…』ゆぅたら株は一部上場やな。」

結局、チョモは我が家のミシンで縫いたいと、下糸がからまった縫い目のまま持ち帰り、仕上げをした。そして一応、裁縫の総仕上げ「アイロンがけ」を学んだ。まだ一度も使っていないし、洗濯もしていないが、アイロンをかけてとりあえず折り目を伸ばしてきた。そしてその日、私にこう訊いた。
「まぅ…アイロン台って、高いん?」
「アイロン台よりアイロン本体の方が高いに決まってるやろ。」
「だいたい、いくらくらい?」
「ピンからキリまであるけど、スチームアイロン用で底値、870円。もう更新してんちゃう?1000円以下なことは間違いないっ。」
自分が使うものの底値がバシっと頭に入っている私は、きっぱりと断言。
「…安いのに…なんで学校…買い替えへんねやろ…。」
「…そんなに、ワヤ?」
「うん…ほとんど焦げとる。」
「それ見て先生は?「焦げてるね」て言わへんの?」
「…言わへんねん…僕は絶対、焦げとるって思うけど…先生にとったら焦げてへんのかも…」
「…そうやな…人にはそれぞれ許容範囲ってのがあるからなぁ…」
「…きょよーはんいって?」
「許せると思う度合い。」
「誰も許さへんで。アイロン台にエプロン乗せるん、みんなイヤがっとったし。」
どんなアイロン台だ。

私は念のため「調理」でサラダを作ったチョモに、不備があるのかどうかの確認をとった。
「まさか、ガスが漏れてるとか…ザルの底が抜けてるとか…ないよな?ガスコンロも…一箇所しか火が出ないとか黒板に書いてんちゃん?」
「いや…それはナイ。ちゃんとガスはつくけど…」
「けど??」
「かなり汚い。」
帰るまでが遠足です!の先生のセリフに加えて「後始末までが調理です!」…言ってみよ~うっ!

これが、チョモが学年末に持ち帰ったミシン学習の記録である。
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チェックには全て問題なく丸がついているが私は裏事情を知っているので、ここに「事実はホンマはこうかもしれない」といった具合で、可否小学校のミシンの取り扱いを脚色してゆこう。

1 安全に運んだミシンは下糸がからみますか ◎
2 割れてグラグラするふたを決められた場所に置くと安定が悪いですか ◎
3 中で線が切れてしまって接続が悪くなったコードを絶縁テープでイイ感じにしましたが、
  電源につなぐ時にはやや斜めに差し込みましたか ◎
4 針ぼうを、からだの正面にしてこしかけると、針の先が丸みを帯び、
  心なしか錆びていることに気付きましたか ◎
5 コントローラーをふむと、やけにアソビが多いと思った人 ◎
6 速度を調節しようが針には何ら影響が出ないまでに、連動していないという事実を、
  早い段階で理解することが出来ましたか ◎
7 同じ速度でふみ続けるより、手で縫ったほうがラクだと察知しましたか ◎

家庭科で学ぶことは、深い。
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by yoyo4697ru980gw | 2008-04-26 22:37 | +in the sky?+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA