舞妓十三年計画

私には実行していない計画が山ほどあって、中でもかなり容易い事柄なのにかれこれ13年近くも実行に移していないという体たらくなことがある。それが「舞妓体験」。10代最後くらいで「舞妓に変身しちゃうもんねぇ~」と宣言してからいっこうに変身しないまま今日まで「舞妓になろうと…思ってはいるんだけど今だに…」と言い続けているのである。もはや舞妓に変身することを許されない年齢の問題まで出てきた。いや…舞妓体験自体に年齢制限があるわけではないのだが、自分の中で「舞妓じゃぁ…ねぇだろ…つーか芸妓もあぶねぇ…」といったブレーキが、ここ数年かかってきているのである。ギリギリ20代で勤め始めた今の喫茶店のオーナーにも、ついこないだ「まぅちゃん…はよ舞妓に…ならな…」と急かされた。私はもう三十路のミチミチウンチ垂れてるもんで「…そうなんですよ…。全ての準備はオーケーなんすけどねぇ…。」と返事をした。私が「舞妓貯金」を始めた当初、舞妓体験は3万円程度であった。その3万円なんてとっくに貯まっているのである。貯めている間に舞妓体験なんてメジャーな観光になってしまい、今では舞妓になって写真撮るだけならキャンペーンにより1万円以下で体験できるまで格安。3回、舞妓になれるんどすえ。「ほんならはよ、舞妓になっておいでんかっ。」とオーナー。「…ごもっともですね。…準備完了でございますね。」

そう、全ての準備は整っているのである。「はよ舞妓にならな」と度々言われたのでここんとこ髪を切るのは我慢もした。どうせなら日本髪を自分の髪で結おうと思って。いきつけの美容院のオーナー(シオさん)の「一回伸ばしてみ?」に賛成して伸ばし始めたものの、私は何回か切ろうとした。しかし前もってシオさんに「私、絶対切るって言うに決まってんねん。そん時はとめて。絶対とめて。」と言ってあったからなのか、洋々さんが大泉スタイルにするのについて行った時などに「ついでに私のカットも出来たりします?」と訊くと「無理やね。」と断られた。シオさん、約束を守る男。

そして先週、またオーナーに急かされたんである。「まぅちゃん…髪、伸びたなぁ…」「…そうなんですよ…もう、切りたぁて切りたぁて。」「ほなはよ京都行って、舞妓になっておいで。」「…そこですわ…。」
私は「舞妓体験アリ地獄」へと落ちてしまっているんである。
地獄の種類は二つ。
私は行き当たりばったりな遊びを楽しむため、予約をして「この日に何をする」というような「先々の計画」的舞妓体験になかなか踏み切れていないのだろうと自分で思っている。束縛地獄は、とっても、きょわ~い。日曜日に舞妓体験の予約入れておきながら、土曜日の夜に「なんか、明日…舞妓って気分じゃないなぁ」って…そんなとんでもないことを自分が考えない、って自信はまったく、ない。
そしてこれが一番の地獄なのだけれど、「舞妓体験、一回きりで満足だろうから、やるからには一回でトコトン楽しむコースでやっとこ!」といった欲なんである。欲望のアリ地獄へと、ハマってしまったのだ。「いやいや、もちょっと待てば、宿泊も出来てこんなんも出来てあんなんも出来る、もっと楽しめるコースが出来るってば!」と、もう本来の目的からはだいぶ外れた所に楽しみを求めてしまっているのである。あぁ、アリ地獄太夫。その地獄にハマっている私はとうとう、髪を伸ばすことがめんどっちくなってしまった。

「どのくらい、切る?」
というシオさんの問いに、
「ベリーショート。」
と答えると、
「思い切りのいい性格やな~」
「バッサリ、いくで。」
「はい、じゃ、ショート。」
と、ショートスタイルの見本帳みたいな冊子を手渡された。コレとコレとコレをミックスしたような髪型で、とシオさんに伝えると、たいがいショートという髪型でやっていた私を知っているシオさんはしみじみと言った。
「でも、よくここまで頑張って伸ばしたやん…偉いやんか…」
「ほんまはここまで伸ばしたんやから、日本髪をな、結ってな、舞妓体験をな…」
と、13年も計画ばっか立ててきた舞妓体験についての以上の地獄を語ったんである。

「ほなら、ここでゆぅたら?約束したらええねん、今年の夏、行き。じゃないと、キリないで?」
「でも…もっと楽しめるプランが…お得なコースが…」
「またっ!そんなんゆぅてたら、どこまでもいくで~【舞妓で宿泊観光コース】?」
「とうとう?【舞妓で東京ディズニーシー】?」
「どこまで行くねんっ」
「舞妓姿でどこまでも~、やで。」
「もう今年・今年っ。今年、行くしかないで。写真、持ってきてな?そうゆう約束あったら、行くって。」
「…ぅう~ん…」
「ほらっ、またっ。」

そのやりとりの間にも、躊躇なくシオさんはバッサリと私の髪の毛をショートへと刈り上げていった。地毛が10センチあれば「半かつら」いけるんだったなぁ…。

ハナモゲスト新曲鼻歌、ちょっとイっとくか。
元歌【結婚しようよ(吉田拓郎)】の歌詞を抜粋して引用しながら、
ハナモゲスト【決心しようよ(吉原遊郭)】おいでやす~

僕の髪が 肩までのびて(ボーイッシュな髪が 肩までのびて)
君と同じに なったら(急に女々しく なったら)
約束通り 街の教会で(八坂通り 町屋は京都で)
結婚しようよ ンンン(決心しようよ ぅうん…)


古いギターを ボロンとならそう(古い下駄を カラコロならそう)
白いチャペルが 見えたら(赤い襦袢が 見えたら)
仲間を呼んで 花をもらおう(花魁と呼んで 花名刺もつくろう)
結婚しようよ ンンン(決心しようよ ぅうん…)


雨があがって 雲の切れ間に(年齢あがって クマある切れ目に)
お日さまさんが 見えたら(サンローランの コンシーラー)
ひざっこぞうを たたいてみるよ(いよいよ白塗りを タタいてみるか)
結婚しようよ ンンン(決心ソコかよ…ん…んん…)
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by yoyo4697ru980gw | 2008-03-22 01:46 | +ハナモゲスト ゲリライブ+ | Comments(0)  

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