ずこー

今やメジャー級のゲーセンではその姿を滅多に見ることはないが、現在もあることはある。
あるところにしかないけど。
ドコにって問われても困るけど、最新のプリクラを揃えてるようなゲーセンに無いことは確か。
片田舎の子供だましのゲームコーナーみたいなトコならある。
あるけど、そのゲーム機はたいそう人気がない。
人気がないのになんで置いてあるかといったら、人気のあるゲーム機におこちゃまたちが群がった時の時間潰しとしての需要である。
ゲーセンのおこちゃまたちは「長蛇の列」というのを作らない。
5人目あたりから列がいがんできてドコが最後尾だかわかんなくなるので、並びようがなくなるからだ。
ゲームをしているおこちゃまをおこちゃまたちは観戦する。
だから列は2人目から既にいがんでしまうのだ。

そんな他人が楽しんでいる様でさえポカンと口半開きで凝視してしまうような子供の興味力を持ってしても、私の知るこのゲーム機はギャラリーが少ないという、致命的な欠陥を持っている。
ドコでみつけても、本当にあきれるほど人気がない。

そんなこのゲームが、私は好きだ。
好きだけど、何がおもろいのかはやり始めた当初から全然わからないし、このゲームをするのにお金を払いたくないなぁ、という気分で遊んでいる。
この興味深いわけのわからなさが、好き。
コインゲームなのでコインを投入してゲームを始めるが、コインゲームには「もう1回」「あと1回」と加速がついてゲームにハマるというシステムが組み込まれている。
しかしこのゲームに限っては、ない。
100円分のコインを買って、きっちり100円分でやめられる。
やった感もまだやりたい感も一切残らない、手切れの良いゲーム機なのだ。
こんなに後腐れのないゲームを私はこのゲーム機以外には知らない。
私の知る限り、このゲーム機の内容を知らずにコインを投入して思わず遊んでしまったおこちゃま、というのを観察すると、99%たった1回でやめている。
ゲーセンでコインを大量にアてたおこちゃまが、成金のごとくコインを浪費しているのを見るが、そんなミンクかチンチラのコートを肩にひっかけていてもおかしくないような散財に匹敵する大量コインの無駄使いをするおこちゃまでさえ、たった1枚のコインで終わらせる『ジャン・ケン・ポン、ずこー』の効果音。
恐るべしジャンケンマシン。
こんなにも誰もハマらないゲームなのに、私は30年以上もダラダラとハマっている。
ずっと「このゲームにお金払うなんてどーかしてるなァ」という変わらない気持ちでお金を払い、じゃんけんに負け続けてコインがなくなれば勝つまでやってみるかと思ったりする。
しかしその時に時間がなければ、やめる。
どうしても続けたい!という気持ちになった事は一度もない。
しかしこのマシンを見つけて「やらんでえっか」という気持ちになった事も、一度もない。
やってみて確認するのである。
「やっぱこのゲームってジャンケンしかせんなァ…何か楽しいのかわからん」
30年以上もあるところにはあるマシンとして君臨しているのに、何が楽しいのかさっぱりわからないゲームなんて、ジャンケンマンくらいではなかろうか。


「まぅが好きってゆぅてたゲーム、ココあるで?」
私は前々からこのただジャンケンをするだけのゲームを好きだとヒー坊に訴え、このゲーム機を見つけたら必ずヒー坊にこのゲームをさしたげる、という約束を交わしていた。
100円払うだけあって、サザエさんのエンディングよりは躍動感のあるじゃんけんが繰り広げられる。
大人数でじゃんけんをした時の「あいこ」相当のテンションで、マシンが言う。『あ~~~いこ~~~でっっっ!』パーにしようかなグーかな『しょっ!ずこー』…若干イラっとする。
こっちが負けた時の残念な結果が『ずこー』という言葉で知らされる。
しかもコンピュータ制御の『ずこー』だから負けた途端に『ずこー』と言うことになっている。
初っ端で負ければ『ジャン・ケン・ポン!ずこー』がワンフレーズである。
とてもリズム良く負ける。
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この昭和フレグランスを醸す「ジャンケンマンマックスアタック」はこれで進化版のマシンである。
元祖のジャンケンマシンは「ジャンケンマンフィーバー」といって、もっと「町工場の一角で作られてる感」がヒドい。
表現方法が悪いが、私はこの昭和初期版ジャンケンマンフィーバーのほうを愛している。
ジャンケンマンフィーバーがどれほど愛すべきマシンなのかを知りたい御仁は、『フィーバー』でブログ内検索のほどを。

「なかなか地味な作業よな…」
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そう、このマシンは座るでも立つでもない「中腰」という姿勢が要求される地味さなのだ。
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「すっごく面白くないってコトもないけど全く楽しくないってコトもないやろぉ?でも、何が楽しいのかはわかんない」
「…確かに」
「でも、コインなくなるまで続けろ、て言われても苦痛ではないやろ?」
「…確かにな」
「かといって『このゲームを続けたい!』て気持ちにまではならんやろ?」
「…うん、ならん」
このゲームをやる人間はきっと同じ気持ちなんだと思う。
なんとなく手を出し、なんとなくやめる。
なんとなく魔が差すのだ。
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ジャン・ケン・ポン、ずこー。
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by yoyo4697ru980gw | 2014-02-23 02:08 | +朝臣寺+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA