付き合い大沢

私は学生の頃なんとなく女子的付き合いの流れに逆らえず、一時的に大沢樹生に手を出したことがある。その事を大沢樹生は知らないが。
そして二十何年の時を経て今、私は学生の時より興味を持って大沢に付き合っている。その事もまた、大沢樹生は知らない。

当時の女子中高生にとって「興味がない」と言う事など許されないアイドルグループ光GENJI。女子がキャーキャー言う相手、光GENJI。
『光GENJIの中で誰が好きか』という質問が当たり前に交わされる時まさに中学生であり高校生であった私には「キャーキャー言ってなきゃなんない」強迫観念みたいなものすらあった。『光GENJI』が好きか嫌いかとは聞かれないのである。好きなことが当たり前でその中で誰が一番か、ということで話はすすんでゆく。

高校生になり出席番号の席順でしばらくを過ごすことになった最初、出席番号並びでなにかとペアになることの多かったシノブは、わかりやすい光GENJIファンであった。
初対面の彼女は共通の話題として光GENJIの誰が好きかと問い、私は軽い気持ちで大沢樹生だと答えた。
これまでの質問でも使ったテである、付き合い大沢樹生。
大沢樹生という人物は光GENJIの中で一番、キャーキャー言わなくても許されるキャラだった。

シノブは自覚のある『異常なまでの光GENJIファン』であり、あまりの異常さに周りが引くほどであったが、その引かれている自分をも自覚して楽しんでいるような性格の持ち主であった。
シノブはありとあらゆる芸能雑誌を買い漁っていたので、あっという間に私の下敷きを大沢樹生で埋め尽くし楽しんだ。
私の「付き合い大沢樹生」をシノブがサポートするカタチで、光GENJIを介した友情はエスカレートし、とうとうシノブは、阿蘇キャンプに向かうバスの中で、芸能オーディションを一緒に受けようと誘ってきた。
はっきりと「付き合い大沢樹生」は危険だと、私は感じた。
ここまでの温度差はもう埋められないと思い、シノブとは距離を置き、その後は「付き合い大沢樹生」のテを使うのもやめた。
それからの私は付き合いで芸能界に手を出したりなんかしない正直者である。

シノブとの友情が光GENJIを介していなかったら、あんなにあからさまに距離を置くこともなかったと思う。
ただ、ガラスの十代で私も若かったし、シノブもまた若かった。
光GENJIが異常に好きだというだけで、芸能オーディションを受けようという発想になる十代の女の子の夢見がちな感情は、十分、理解出来る。
しかしそれを友人と共有するという女子感覚があることを、私は知らなかった。
それを学ばせてくれたのが、付き合いで手を出した大沢樹生だったと言えよう。
もちろん、大沢樹生はその事を知らないが。

ジャニーズ史上最も社会現象と化したアイドルグループ『光GENJI』
そのメンバーである大沢樹生が、喜多嶋舞と結婚したあたりから漂っていた、違和感。
その正体がずっとわからなかった。
わからないまま、でも変わらぬ違和感はアリアリで、これまでの大沢樹生の数々の報道を目にしてきたことはした。そしてこの度のDNA鑑定の一件で、私は大沢樹生への違和感の正体を突き止めた。

バブル時代に女たちが欲しがったティファニーのオープンハート。
それと同じような「クセ」が、大沢樹生から長らく抜けないのである。
『光GENJI』病とでも言い換えたらいいだろうか。
シノブが異常に好きすぎてその度を越したために、私が気付くきっかけとなった『光GENJI』病に、大沢樹生自身が罹っている。
私が光GENJIにキャーキャー言っておかなきゃいけないんだという強迫観念にかられたように、私には大沢樹生が未だに「なんでもかんでも桁外れ」の『光GENJI』に翻弄されてしまっているように見える。いちいちセンセーショナルでなければならないのだ、取り上げられ方が。それも、前の話題よりも今の話題が、今の話題よりもこの先の話題のほうが、より衝撃的でなければならないかのような。
それが、大沢樹生の「違和感」である。

ここに1本の試験管があるとしよう。
この細い細い試験管は『光GENJI』という液体で満たされていて、そこにメンバー
7名が投入され『光GENJI』は流れ出た、ジャージャーとね。
中でメンバーの誰かが、やれ手を振ったやれ足を上げたやれ微笑んだ、飛んだ跳ねたと動く度に、中の液体は流れ出てその度に大騒ぎになった。
しかし大沢樹生が入っている試験管は長細い。
液体『光GENJI』が半分量になれば当然どんなに動いても、ジャージャーと流れ出ることはなくなる。
そこで、よりいっそう暴れなければならなくなった。
そんな状況下で大沢樹生は『光GENJI』を脱退する。
その時、なぜだか『光GENJI』を脱退しなかったメンバーが、その試験管から出て行ったのである。大沢樹生のほうが試験管に残ってしまった。
いよいよ大沢樹生は暴れなくてはいけなくなった。
液体『光GENJI』は試験管の中に3分の1ほど残っていたのだ。
大沢樹生がヒタヒタになるくらいの『光GENJI』が入った試験管。
運動神経抜群だった大沢樹生がある日バランスを崩すと、立てかけてあっただけの試験管がはずみでコトンと横になる…。
じんわりと漏れ出る『光GENJI』液。
ジャージャーと流れ出なくともじんわりと漏れ出る一滴が、センセーショナルでさえあればよかった。
その最初の一報が、喜多嶋舞とのできちゃった結婚だったのかもしれない。
漏れ出る『光GENJI』液の滴は、どんどん少量になる。
もっと、センセーショナルでなければ…。
これが違和感の正体。

「ティファニーのオープンハートそういやバブル時代に流行ったよね~」
と懐かしむアイテムになっているオープンハートと同じ温度で、今や世間も『光GENJI』を懐かしむ時代である事を、マスコミが大沢樹生に知らせてあげるべきではないだろうか。騒ぎ立てるだけじゃなくて。

息子との父子関係について記者会見を開き、それに答える大沢樹生。
親子ではない事を認めておいて、息子に向けた言葉は「俺の子だったらアメリカで成功しろや」である。
このひとの言う「成功」とはいったい何なのだろうか。
何か大きな事を成し遂げることを「成功」と言っているのなら、16歳にして息子はだいぶ大きな事を既に成し遂げていると思う。
両親を含めこんなにも周りの大人たちを、許しているではないか。
手本となるべき大人たちがちっとも出来ずにいることを、16歳の少年がしている。
彼は、試験管がガラス製である事をわかっている16歳なのだろう。
その事が、同じ16歳の息子を持つ母親としてとても切ない。
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by yoyo4697ru980gw | 2014-02-14 23:48 | +難℃ set key+ | Comments(0)  

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