どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ

正義の女まぅは、走った。

ケツに挿した麻薬の効果が薄れ若干の痛みが現れ、めまいが残る身体で立ち上がると危うく昨夜のジャガビーが出そうになった木曜日。

妻の身体を心配して胃に優しいうどんを買って来てくれると言う夫むーに、ボヤ~ンとした意識の中で見ていたCMを指差して私は叫んだ。
「コレ!これ買って来てコレ!これが食べたい、ジャガビー!」
「お菓子かよっ!もっと栄養のあるもんを食べな」
「ジャガビー…ジャガビー…」
「じゃがりこみたいなヤツなん?」
「じゃがポックリみたいなヤツ」
「アカンっ!うどん食べとけっ!」
私は、自分の体の要求は無視しないタイプだ。
そして、私のストーカーであるむーは私の要求を無視できない男だ。
お菓子の中で一際たっかい!と嘆き悲しんでむーはジャガビーを買って来た。特売日ではなかったようだ。私は98円で買ってんだけどな。
高いったって200円で釣りがくるやないの。それでストーキングするほど愛してる妻が癒えるなら安いもんじゃないか。ちぃせぇ男だな。

ひー坊が驚くほど早寝だった水曜日の私は、木曜日の翌朝もぐっすり眠っていたようで、気が付いたら家に誰もいなかった。
眠っていたのに起こされて、何かの紙にサインをしろとチョモに言われ、世帯主の名前を記入したことは覚えている。
絶不調だから翌朝に弁当は作らないし起きもしないとあれほど言ったが、サインをしないとは言わなかったので起こされたようだ。
頭イイんだか悪いんだかよアイツはよー。
悲惨な病状だということを自ら察して親の承諾のサインみたいなモンはむーに書いてもらうくらいの機転をキかせりゃイイのにな、父親に頼めよサインくらい。朝ごはん食べた時に目の前に居たろう?ひー坊でさえ、眠っている私を起こさずに勝手に朝ごはん食べて静かに学校に行ってるってのによぉ…ナニ考えてんだおめぇはよぉ…ママねぇ昨日、ケツから麻薬入れたのよ、やんなっちゃうわね、もぅ。

午前中授業しかなかったひー坊の帰りを待って、私は力を振り絞り食事に行こうと決意した。めまいが残っているので調理をしたくない。だが私は食べねばならぬ、闘病生活の先輩おたきサンに真っ先に言われたのである、どんな状態であれ食事をしろと。医者とケンカをしてでも自分の食べたいと思うものを食べよと。そうでないと病気と戦えないと教わった。
だから私は食べに行く。母のド根性を見せてやるのだ息子たちに。
実は出かけたくもないが、食材を買わねば我が家の食べ盛りが飢える。
生きる基本は食べること。
ひー坊が一緒なら私の介護と荷物持ちくらいするだろう。
行こうぞ、コヤモへ。
つるさくのうどんしか、食べたくないし、今。
うどんを食べて元気になって、食材買って、夕食を作ったんねん。
一日眠ったオカンは多少のめまいや吐き気や痛みがあっても、とりあえず夫子供に食わせることを考えるもんなんだ、どうよ、オカンは素晴らしいだろう?

コヤモのつるさくでお馴染みのかけうどんを食べ終わると、私の介護と荷物持ちをさせられてキレたひー坊が、私の食器を下げるなりさっさと私を置いてフードコートを立ち去った。
私はそんな早足の息子を追いかける体力もなかったので、そろりそろりと歩き、じんわりとフードコートを後にした。
テディベア屋を通り過ぎるところで私は、見覚えのある顔とすれ違った。

「ん?あのひとって誰だっけ?ママ友だっけな?仕事関係だったかな?」

そう思いながらエスカレーターを下り、1階の無料水汲みの前まで来て私はその女性が誰かを思い出した。
下平さんだ!
思ったが早いか私は我が息子ですら追えない体力だったのにも関わらず、走った。
正義の女まぅは激怒した。そして、走った。
この無責任を許してはおけぬと、ここで会ったが百年目、絶対に下平さん(仮名)と話さねば!とエスカレーターを駆け上がり、フードコートに3分以内に戻り、下平さんの姿を探し回った。…痛い…脾臓には激痛が走った。
彼女は窓の向こうに駐車場が見えるカウンター席でラーメンをすすっている。横にケータイを出して。

私は彼女の真後ろ10mもない位置から、彼女のケータイを鳴らした。
ラーメンをすすっている彼女はしばらく電話に反応しない。
5歩進んで私はコール音を鳴らし続けながら彼女の背中に話しかけた。
「気付いてぇへんのんか?鳴ってるやんけ」
聞こえたのか彼女は二つ折りガラケーを開いた。
「お、気付いたな。出ろよ」
3歩さらに近づいて、脅す。
彼女はガラケーを閉じ、ラーメンをすすった。
「フザけんなよコラ」
私はそのまま彼女の腕を掴んで言った。
「悪いことは出来ひんもんやなぁ下平さん。後ろからかけてんねん、電話。今、見たやんな?私からって見たやろ?私からの電話ってわからなかったわけ?」
「わかりました」
「じゃ、出ぇへんかった理由から聞くわ」
「よぉ出らんかってん…なんか申し訳なくて」
「それは私に負い目があるからちゃうの?」
「うん、ある」
「自分で私に対して負い目があるってわかってんねやろ?」
「わかってます」
「今の電話には出るべきやったわ。突然辞めた時にでも私から電話もメールもしたやん。何かあったんちゃうか、て心配してる内容やったん、見たやろ?あの時は出られへんでも返信出来んでも、今はちゃうやん、出れる状況やんけ。ラーメンがのびるだけのハナシやん。出先やからまたかけ直します、ゆぅて出ることくらい出来るやんか、ココ。出ぇへん理由ゆぅてよ、なんで?」
「おっしゃる通りです。本当に合わす顔がない、申し訳ないと思ってます」
「無責任すぎるよ、下平さん。アナタのやってることは」

下平さんは、私の保険の担当者だった。
私が契約している保険屋の営業はペアで動いているので、担当は下平さんともうひとりいるのだが、もうひとりの担当者である波来さん(仮名)にも何の連絡もなく下平さんは突然に会社を辞めた。

毎年、私はこの保険会社で子供達の写真をカレンダーにするというサービスに写真を預けている。それは子供達が小学生の時から続くもので、このカレンダーと原本の写真を持ったまま下平さんは音信不通になってしまったのである。
突然に辞めたという連絡を波来さんから受け、私は下平さんにすぐに電話もし、メールもした。それは下平さんがそんな無責任なことをするはずがない人だと思ったからであったし、メールの内容も何かあったのかと心配する内容だった。しかし下平さんからは折り返しの電話も、メールの返信もついぞなかった。

そのことについても下平さんと話し、いろんなことを告げる中での彼女の受け答えでその本心も、私は見えた。下平さんという人を信用した私が、下平さんの人間性を見抜けなかったというだけのことだと思おう。
私は、まったく何も響いていないのだろうことが表情にも出ている彼女に、最後にこれだけは言おうと決めた。
私自身が人間性を失わないために。

「私ね、いま病気でね、昨日は麻薬を入れててまだ体調が万全じゃないのよ。でも下平さんを見つけてここまで戻って来た。その私がね、アナタが私からの電話を無視したことを見た時のショックと言ったらないよね、私が今どれだけ腹立ってるかわかる?私、大病をして気付いたいろんな事があんねん、だから年下の私が生意気に言うこととちゃうかもしらんけど、私は言っていくことに決めたのね。健康も大事やけどどう生きるかってのも大切やねん。だから言うけど、下平さん、私に対してだけじゃなくて誰に対しても、負い目を感じるような事をしてたらアカンで。結局、したことは自分に返ってくんで?後ろめたさを感じるような生き方をしたらアカン。堂々とおれるような対応をいつもしとかなアカンのよ。お互いそうゆう風に生きて行こう、恥じるような生き方だけはしなや。それを言うために今日、会えてよかったと思うことにするから」

この無理のおかげで翌日もほぼ寝たきりの私は15時過ぎから夕食作り。
近所のスーパーに買い物に行くのにいつもは自転車で行くが、車を使ってもしんどかった。
ナムルを作っては休み、米を砥いでは休み、ヒーヒーハーハー言いもってガスファンヒーターで脾臓を温め、シップを貼り、麻薬を飲んで凌ぐ。
次に病院に行くのは年明けであるが、この状況が続くと苦しいので火曜日になんとか年内予約を取り強い薬を処方してもらうことにしようと思う。

過去最低の年末年始になる予感がするが、金曜日には二人の友人に救われた。

夕食の買い物をしていると冷凍食品の前でケータイが鳴った。
珍しいことに、学生時代の友人コベである。彼女がフルタイムで働くようになってからなかなか電話をする時間がなくなっていたので急用かと思い店内で電話に出ると、家に電話しても出ないしLINEの返事はないし、もしかして死んでんぢゃないかと思って、安否確認にケータイを鳴らしたと言う。

もう一人は10歳年上の友人、昔の職場の先輩で、仕事の大変さを共に分かち合ってきた絆で固くその関係が続いてきたナラヒーさん。
私が弱音を吐ける頼れる姉であり、愚痴を言い合える仲間であり、笑ってフザけて楽しむ同士でもある。それぞれに環境が変わってからも会っていて、これから毎年、忘年会をしようと約束したのが去年の暮れだった。
春に会って、その後、私はぶっ倒れ、これまでの間、何度となくメールをしようかしまいか、迷った。
元気な時に会って以来メールもせず、また会ってもいない私。
このまま元気なままで、元気にやっていると思っているだろうナラヒーさんに、わざわざ病気のことをメールしても心配させるだけじゃなかろうか。おおかた、元気なんだから、私は。死ぬ病気じゃないし。
しかし、思い切って言ってみようという気になって、言ってみた。
驚いていたけれどナラヒーさんは、「知らなかったとはいえ力になってあげられなくてゴメンね、でもこれからは何でもゆぅといで」と言ってくれた。

遠くから私の安否をわざわざ確認してくれる友がいて、力になると言って支えてくれる友がいる。
大丈夫、痛いのなんて今に始まったことじゃないんだから。
私は、友人たちに恥じるような生き方を決してしないように努めます。
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by yoyo4697ru980gw | 2013-12-21 12:29 | +in the sky?+ | Comments(0)
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