あったか~い

Hotと書かれている自動販売機よりも「あたたかい」のほうで買う。
あたたかいよりも「あたたか~い」のほうで買う。
あたたか~いよりも「あったか~い」で。
あったか~いよりもあっつあつ、あっつあつよりもあっちあち。
あればね、買うかも。
でも「ヤケド注意!」では買わない、3年前からあっためてそうだからね。

凍えが一番に癒えるのは「あったか~い」であろう。
それは人間にも言えることである。
祖母は「貧乏をしてても心まで貧乏になったらいかんよ」とよく言っていたが、幸いにも私自身も貧乏同志たちも明日の喰う事に困っていても今日を笑ってジョークが言えるようなひとたちだ。
貧乏と病気って似てる。
病気をしてても心まで病人ビョーニンしてたらアカンねん。

私は病気をしてから病人に対しての考え方がまるっきし変わった。
健康な状態で病人に対して意識していたことと、自分が病んでみて意識したことの差がこんなにあるとは思わなかった。
病人目線でゆぅて何が一番ヒドいって、病院の乗り物ってどれもこれも乗り心地が悪い。救急車もストレッチャーも車椅子もキャスター付きのベッドも、すんごく乗り心地が悪いの。コレ、改善されてこれなのか、改善されていないままなのか。検査の機械とか採血の器具とか、いろいろ最新になっているように見えるのに。

病人当初、私はフラフラと壁にもたれながらやっとこ歩いていたから、身体を気遣ってくれた看護婦さんや警備員さんが、病院に備え付けてある車椅子を持って来て乗せてくれたんだけど、まぁひとに押してもらう車椅子の乗り心地がこんなに悪いとは思わなかった。健康なひとが押す車椅子は、酔う。目が回る。平らに見えていたアスファルトがこんなにデコボコしていて、その振動がこんなに衝撃になるなんてね。
車椅子は動いているかどうかがわからないくらいの遅さで乗る時のみ快適な乗り物である、患者にとっては。
車椅子のフォルムもこんなに患者にキビシいものとは思わなかった、今まで。
車椅子の背もたれって直角なんだけど、しっかりと私の背中を支える直角じゃなくて、ホワンホワンした直角がなんとなく支えてんのねアレ。
右左折をする度に身体がスライドするから、嘔吐用ビニール袋を、まるで過呼吸症状が出たかはたまたシンナーでも吸っているかくらいにクチに当てたまま乗る車椅子。
私は意識はわりかしはっきりしていたので、車椅子に乗るかどうか聞いて欲しかったと思った。しかし一度も聞かれはしなかった。当然のように車椅子が差し出され、乗るという選択肢以外はなかったのである。
皆さんの親切心は重々承知しているしとてもありがたいとも感じるのだが、私は壁にぶつかりながらでも自分の足でゆっくりと歩くほうがラクだった。
私も健康な時は、壁伝いにフラフラのっそりと歩くひとは車椅子に乗せてあげるほうがラクなんじゃないかと思っていた。
そうでなくて、ゆっくりと時間がかかることそのものを待ってもらうのが一番ラクである。
先に行かれすぎても、早く歩けないので待たれて辛い。
支えてもらっても、同じ歩幅で歩けなくて辛い。
私の病人としての付き添いの理想は、壁伝いにゆっくりとのそのそ歩く私の一歩半前あたりを同じようにのそのそ歩いてもらい、ちょっとした段差の時に私から相手の肩に手をかけ、片足で立たなくて済むように支えになってもらえること。
それが、一番ありがたいサポートだと感じた。

私を看病してくれる夫から言われて私が嬉しかった言葉は『どうしてほしい?』だった。だから意識ある患者には常にどうしてほしいかを本人に是非、聞いたいただきたい。そしてこれからは、私も誰かを看病する時には同じように聞こうと思う。
何もしなくていい、という答えなら、何もしてほしくないのである。
自分の身体に最も負担にならないことは、自分の思うように自分のペースでやることで、それさえもしんどい時、患者というのは何もせずに伏せっているはずである。
自分からなかなか言い出せないことでも『どうしてほしい?』という言葉掛けがきっかけで気兼ねなく頼めることだってある。
あったか~い声掛けは患者をあったか~くするものだ。
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by yoyo4697ru980gw | 2013-12-03 23:45 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)  

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