ダイアン吉日の大安キチジツ

「これ。参加表明、学校に出しといて」
「えっ?!来るん?!」
「行くよ」
「古典芸能やで?落語やで?」
「わかったうえで行くねんや、枝雀の息がかかった落語やから聴きたいんや~。話し掛けへんがな心配すんな、そっと行ってとっとと帰るから出会うわけがない」

去る大安吉日、創立記念日のイベントとして古典芸能を観賞するという企画を立てたチョモの学校では、その案内を保護者にも出した。
公立高校と言えどこんなにも地域色豊かなものだったのかと、チョモが三田の高校を選んだことで私は学んだ。この高校は、外の世界へ向けての視野をバッカバッカと開かせることをするようだ。
校外授業で京都に足を延ばしてみたり、夏休みを使ってのホームステイや週末を使っての宿泊をともなう国際交流課外など、しょっちゅう参加申請書を持ち帰って来るので私はチョモの学校の教師には休暇があるのかと心配になる。休息って必要やで。しっかしまぁやりもやったり、把握できない数で次々に届く申請書や参加申込書。地域との交流行事や、“この学校ならでは”的な授業内容の説明会も多く、生徒のやっていることを『保護者とともに』理解する場を持とうという姿勢がべらぼうに強い学校なんである。
私の通った公立高校では保護者に参加を募るような行事など皆無であったし、親は我が子がドコでナニをしているかなど知る由もなかった。
高校とはかくもその学校の特色というものが濃いことであったか…。
それを知っていれば、私はもっと真剣に高校を選んだかもしれない…いや…高校に行く気がなかったなそういえば。
私、そういや高校は親に言われて強制的にイヤイヤ行ってたな。

基本的に公共交通機関を使って来校せねばならんチョモの高校は、駐車場完備である。基礎よりも応用力を発揮するタイプの私は車で学校まで行っている。さすが三田よね、土地が豊富。それはチョモの学校の外観と敷地の広さからもわかる。
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コレ、高校。大学ちゃうで。
まるで私学のような公立高校。
平屋で教室が建っているイメージを持つほどどれもこれも建物が低く、教科ごとに棟が設けられている。
体育館も食堂も講堂も図書館も独立して建っているし、いつ行っても「土地…余っとんな…」と思う。通路が長いねんね、常に。ドコに向かってもね、遠い。
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敷地内に池と森まである。

駐車場に駐車して、会場の体育館まで徒歩5分以上。
800名の全校生徒大移動の波にのまれる。
途中、通路に出ている教師に「こんにちは」と挨拶をする。
その挨拶に気付いたひとりの女子生徒が、私に「こんにちわ~」と挨拶をしたが、それ以外に生徒や教師からの挨拶はなかった。
生徒や先生が挨拶をしない校風というわけではない。
私は夏に学校を訪れた時、歩けば歩くだけ挨拶が飛ぶことにびっくりした。
すれ違う生徒全員が挨拶をするので、途中から私は「こんにちは~~~~~~~~~~~~~~~~」と息が続く限り語尾を伸ばし、すれ違う10人ばかしとの挨拶を一回の「こんにちは」でまとめた。
生徒にとってはひとりの保護者かもしらんが、私が800名の違う生徒ひとりひとりと挨拶を交わすのは正直ホネやでなぁ。

しかし今回は、紺ブレザーの制服の生徒たちにのまれた私は、ほとんどの生徒よりも背が低く、全身を黒でかためた雲隠れファッションであったために、体育館で保護者席に着くまで保護者だと気付かれることがなかった。
体育館までの通路の脇に、全校生徒のロッカールームが別館として建っている、なんせ土地が余っとるからね。
そこから上履きを持って出て来た生徒が私を保護者と気付いた以外は、誰一人気付かなかったと言ってよいだろう。
「お~見覚えのある顔やないか~こんなところで会うとは奇遇やなぁ~ココの学校に通てるんか?」
「…ホンマに来たん?保護者なんかひとりやで」
「あら…そらさびしいのぉ…。お母さんこーへんの?自分ら?」
「…あ…ハイ…来ません…」
「そっちのコも来ないの?」
「…来ません…」
「そぉなん~趣味の合う友達を作ろうおもとったのに残念やなぁ~」
話しかけない約束だったので私はズンズンカツカツと早歩きをして、聞き耳を立てつつ彼ら3名を置いてけぼりにした。
「…誰?」と友人に訊かれたチョモはイヤそうに「…オカンや」と答えていた。
計画的に会ったわけぢゃねぇよ、偶然やないか。
私が渡り廊下を歩いているのと、チョモがロッカーから出てくるタイミングが、たまたま一緒だっただけぢゃねぇか。それなのに無視をしろと?あまりにすんなりと出会ったもんで驚いて反射的に話し掛けてしまって悪かったな。めんどくせぇなぁ反抗期ってヤツは。
オマエもいつか我が子に邪険にされて知れ、この面倒臭さを。あぁ、めんどっちー・めんどっちー。
別にタイミングを見計らったわけでもないのに、こうしてこの土地バリバリ余っとる敷地内で800名の生徒の中にまぎれてんのにカチ合うなんて、縁を感じませんか。血でも繋がってんぢゃないかと思えてきませんか。まるで親子みたいですよね。そう思いません?アナタはおイヤかも知れませんけどDNAから漏れ伝わる情報は侮れませんね。行動パターンが似ちゃうんですよね、それが血だから。

会場間もなくはザワついてなかなか席に着きそうもない生徒たち。
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チョモの予想は外れ、保護者は私ひとりではなさそうだ。
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しかし、そう多くもなさそうだ。
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高校説明会の時に司会進行をしていた先生がオネェ口調だったことに私は大変感銘を受け、この学校は3年間飽きんかもしらんと思ったものだが、この日もあのオネェ口調の司会進行で始まった。
いつもは口うるさく壇上で小言を言っているのだが、今日は記念行事で楽しく過ごして欲しいから小言を言いません、と宣言したものの、生徒たちは私語をやめない。
それを壇上の先生はこう表現して窘めた。
「800人のカラスがおるね。ほ~ら、すぐしゃべる!チャイっっ!」
やはり最高だ。
マイクを使って、怒る。
小言は言わない、だって今日は楽しむ日だから。
でもいつものようにピーチクパーチクとカラス達はダベリング。
チャイっっ!!!

チャイって~~~~~~!
マイクつこて『チャイっっ』って~~~~~!!
勿論、会場内はザワつく。
先生はそのザワつきをまた窘める。
「ほら。チャイで騒ぐなっ!」
知っててか。
知っててゆぅんか。
この先生は愉しみ方を知っている。
楽しんで欲しいから小言は言わないと言って小言を言った。
けれどもこの小言の言い方は、生徒たちの楽しい気分を台無しにはしなかっただろう。
指導者にとって『叱る』という行為は必ず必要となる。
指導対象者が男なのか女なのか、年齢がいくつか、性格がどうか、ということで指導者の『叱る』ことの意味合いも違ってくるが、どんな場合でも共通して言えることは、叱られた人のテンションは下がる。
楽しい気分を台無しにすることなく叱れるということは、指導者として高いレベルにいると私は思う。
しかし、そうゆう教師は得てして生徒にナメられているものである。
10代のペーペーにはこの叱る技術の高さがわっかんねぇんだろうな。
おやぢギャグでダジャレる教師や、何かっちゅうと同じエピソードでウケを狙う教師と一緒に思えんだろうな。
ちみたち、チャイ先生は違うぞ。
何が違うということはハッキリとは言えんが、そしてまた、尊敬すべき教師だという意味ともちょっと違うが、チャイ先生は『叱る』こと限定ですんばらしい指導が出来るということは確かだ。
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ダイアン吉日の落語が始まるまでの場繋ぎとしてフリートークをしていたチャイ先生は、「せっかく僕が話しをしているんだからこっちを見てよ、悲しくなるから」と言ってまたもや会場を湧かせ、底冷えのする広い広い体育館を前座としてきっちりあっためた。

イエローサブマリンの出囃子で登場した、ダイアン吉日。
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女性だとは思っていなかった。
落語家と聞いて私は男性を想像していた。
以前に寄席チケットが当たって落語を観に行った時、その時の出演者だった桂あやめ女史が、女性落語家は現在9名であるから今、弟子入りをすると漏れなくトップ10に入れると言っていた。『よし、落語家になるか!』とすぐに思ったが、帰宅した私は女性落語家としてトップ10に入りたいという希望はとくにないということを思い出し、現在に至る。
私の認識の中では、女性落語家は非常に少ない。
ましてや英語落語をするという外国人落語家。
外国人落語家と言えばヘンなガイジンのパイオニア、快楽亭ブラック(初代)で、男性である。
古典芸能でそもそもまさかの外国人なのに、まさかまさかの女性である。
しっかしガイジンが揶揄する日本人の島国気質って笑えるね。
落語を英語でやっちゃう枝雀が作った笑えるネタだけども、ガイジンであるダイアン吉日が演じると日本人より諷刺度が高くなるという視的効果。
それほど、ハッキリしたガイジンの外見をしているダイアン吉日女史。
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日本人の外見でいくら巧くこれを演じても、こうはならないと思うな。
日本人をよう知っとってやで。
ちょいちょい、日本人のアクションを挟んでクる。
すご~い!ゆぅて、顎の下あたりで指先だけの高速拍手、するね?
となたさんも、女性はとくにしますやろ?
ダイアン吉日、目の付けドコロがsharp DE show!
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by yoyo4697ru980gw | 2012-11-25 01:11 | +朝臣寺+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA