見ながらチャリに

部活動をサボらず真面目に取り組んでいる数少ない陸上部のひとりであるチョモは1年の下積み時代に「来ても来なくてもどっちでもイイ」という日程の部活動にも喜んで行っていた。学校にあるトレーニンググッズを使い、学校でしか出来ないトレーニングをしたいと言って。
伸び悩んでいた身長も順調に伸びる頃合いだったようで春の身体測定ですでに、156センチなのに158センチと嘘をこいてる私を抜いた。
「とうとう抜いたか…」と沈む私に「オレで158.4センチやで?そこまで差ぁないからやぁ、157はあるんちゃう、まぅ?あると思うけどなぁ?」と気を遣ってくれたが、その言い方が大変ムカっ腹が立ちますわねー。
私がこの2センチをどれほどの根性でカモフラージュしてきたかわかっとんのかワレ~実測156だろうが157だろうがどっちゃでもええね~ん、ホンマは4センチのヒール履いてて160まで到達さしてんのに「158ですぅ~」ゆぅて「そうな~ん?160はあるとおもた~」っていう小技をつことんのやぞ~!「もっとあるとおもたけど低いんや~??」という反応の「低い」の最低ラインを「158」に底上げしているという根本的な詐欺を働いとるんぢゃっ!コレ「詐欺の基礎固め」ていう技で全国レベル。

誰がどう見ても「陸上一筋」であるチョモは目出度く「2年生の時代」を迎えた陸上部でキャプテンというポジションにトップ当選。実情は部員による投票で決まる「部長決め」で、みんなに「チョモでよくね?」と押しつけられたんだけどね。全国大会優勝(ハードル)を果たした先輩「なかぢぃ」にくっついて、放課後のリンゲン氏による特別練習に行きたいが、なんせ「雇われ店長」だから…ちゃうちゃう…「押しつられ部長」だから学校の部活動をまとめなきゃなんない。
「学校の部活に出るとリンゲン氏のが間に合わへんねん、17時半からやねんけど。」
と言って18時に帰宅。お前は既に…大遅刻。リンゲン氏に「千徒は毎日遅刻やなぁ?」と言われ続ける日々を重ねた。いまや「千徒はやっぱり遅刻やなぁ?」「今日も遅刻やなぁ~千徒は~」と色々なバリエーションで遅刻を責められるほど、痛くも痒くもなくなった。もともと遅刻を軽視する性格をしているので、コレで遅刻がクセになったら困る。時間を守る人間の信頼度が高いのはどの世界でも一緒だから、最低限時間厳守。

そこでチョモの時間感覚が世の中の時間とどれほどズレているかを知るため、最近はチョモがどこかへ遊びに行くなり特別な練習に行くなりする時に、帰宅予定時間を訊く。大幅にズレていることもないが、予定時間を意識して合わせた風でもない。30分単位で区切って申告させようか…と考えていた折「某企業グランドで陸上選手指導の練習に行く」というような特別練習の日があった。朝から出て行き弁当はいらないと言うので帰宅時間を問うと「昼くらい」というアバウトな設定だった。出向き参加型の練習なので学校の部活動などとは違い、タイムスケジュールが組み難いのか、帰宅時間を大まかな朝・昼・晩で区切ってきやがった。

その日、夕方には実家に行く予定だったので残された家族はチョモの申告を信じて「昼」を今か今かと待っていた。
私は、休日の洗濯をサボろうと思っていたが、あまりにチョモが帰宅しないので洗濯をしてしまった。むーちんも「チョモおっそいなぁ…」と何度もつぶやき待っている。私は出来上がった洗濯物を干すため、2階のベランダへ移動。間取りの関係上、洗濯物を干すベランダへはチョモの部屋経由である。出掛ける時にカーテンと窓を開けておけとあれほど言っているのに、換気もしなければロクに掃除もしやしねぇ…えっらそうに私には掃除をしろとかホコリがどうのとか言いやがって…小汚い部屋を経由したらそのような不満がフツフツと湧いてきたので、電気のリモコンのCHを横にポチっとズラしておいた。CHを変えたのでたった今、チョモの部屋の電気のリモコンはご臨終。どのボタンを押したって電気つかないから。CHをプチと変えなきゃなんないことに気付けばいいけど~。

鬱憤を晴らした私がベランダで洗濯物を干していると、田んぼを挟んでむこ~の通りに、アレ中の目立つジャージを着た中学生の姿を認めた。こちら方向に進んでい、背格好もじつに我が子のようだ。この時間だし、じつに帰宅途中の我が子っぽい。あ・左折した、我が家ルートじゃないか、我が子だろう?

しかし見えている間中の約2分ほど、その中学生はずーーーーーーっと左手に持った物体を凝視して自転車を片手運転しているのだ。周りの景色や前方を気にする様子は一切無く、とにかく左手に持った物体ばかり見ていて、田んぼを挟んで向こうの通りである公園外壁に沿った直線、見えている区間でどのくらいの距離だろうか…100mはあんのかな…その間ずーーーーーっと左手の物体を「ためつすがめつ」といったカンジ。あたかも「ケータイをいらう中学生」。いやもうそれしか考えられん。だって個人用のケータイを持っている中学生の共通の行動として、しょっちゅうしょっちゅうケータイを開くのだ。メールの受信音が鳴ったわけでも着信があったわけでもないのに、とにかく画面を見てボタン操作をやっている。人との会話の途中でもそれは突然始まる。その左手の物体は小さくて確認できはしないがケータイである雰囲気がたっぷりとあった。「食い入るように見ている様」と「ちょっといらってる感」と「手から放すつもりのなさ」が揃えば、ケータイ以外の何物でもないのだろう。

だから私はこの「ケータイをいらってる」の一点のみで、我が子でないと判断したのだ。
背格好、自転車に乗っている時の姿勢、自転車のこぎ方、どれをとっても我が子チョモだという自信はあれど、我が子はケータイなどいらわない。
ケータイを持たせていないチョモがケータイをいらっているわけがない。

しかし判断は覆され、我が子チョモが帰宅し部屋へと上がって来た。
「…あ…チョモやった?今の?ソコの道、帰ってきたの、チョモ?」
「オレ・オレ」
「そうやと…おもててんけどさぁ…公園の前からずーーーーっと、ケータイいらってんねん、アレ中のジャージ着てチャリを片手運転で。ケータイなんか持たしてないから絶対チョモちゃうおもてんけど、あれ、何か持ってえらい脇目も振らんと見入ってたん、アンタ?」
「あ…オレ・オレ」
ものすご~くニタニタしながらチョモが答える。
「なんやねんアンタ…気持ち悪いねんっっ!」
気持ち悪いほど絡みつくようなニタりを放つチョモは「ケータイいらうわけないからチョモじゃないっておもてんけど…」と言う私を見ながら、どっかにエロ本でも隠してんのかというようなニタニタを繰り出して「オレ、オレ・オレ」と詐欺もビックリの「オレ」主張。
「アンタあれ…そんなに一所懸命、なに見とったん?」
「ドングリ。」
ニッタリ・ニッタリ・ニタニタニタ。
「ヌフフフ~…ど~んぐりぃ…」
ニタ~・ニタ~。
「怖っ!こわい怖いコワイっ!気持ち悪いんぢゃワレっ!!」
ドングリから何故そないにまで目を離せなかったかの理由はあえて訊かない。
今後も一切、興味はないから自分から誰にもその理由を話すな。
ただ、一方的にこれだけは言っておく。
中学生にもなってドングリに心を奪われるな。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-11-25 00:50 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA