第一の人生で

ヒー坊が、趣味にドップリ夢中の私に言う。
「もしまぅが定年退職したらやぁ…」
「…定年退職というのは…正社員のひとがする退職です…話しかけんといて…今…シンケン…」
わしゃ正社員ドコロかバイトを1時間で辞職したなぁ…ついこないだのことサ。1時間勤務し34時間ほど悩んで決意した辞職だから後悔はしていないが、精神的な傷が割と深くて次の仕事を探したくないほどだった。しかし趣味に没頭したから晴れ晴れと新しい出発の一歩を踏み出すことが出来るだろう。立ち直るのに二週間もかかったゼやれやれ。

私は趣味がいろいろとありすぎるのでどれも中途半端にしか会得することがないけれど、気持ちを切り替えたい時の選択肢の幅だけは豊富にあるのが多趣味の利点である。その中でも没頭系である「篆刻」の、群を抜いた切り替えの速さっちゅうたらないねぇ。しかし「篆刻」はそれをやるまでの下準備が面倒なのでなかなか重い腰があがらないのが難点である。とくに私の場合はどの趣味も、必要最低限の道具だけを揃えあとはカンでかじり始めてしまうので、極めないからいろいろなモノが足らない。道具にしたって技術にしたって足りていないと自覚しながら「あくまでも趣味だしぃ」を貫いて足らずをカンで押し切っている。
私は気持ちが腐った辞職後、一社の面接へ行ったもののどうも気持ちが切り替え難く、バドをやってみたり散歩をしたりもしてみたのだが、どれもこれも功を奏さなかった。さてどうしたものかと考えるうち「根を詰めてみるか」と思い立ち「篆刻」を選択した次第である。

こちらが必要最低限でしかも今回は「必要なのに探したけどなかったんだもん」という2~3アイテムが欠けている「篆刻 ~勘DEスターターセット~」となります。
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手始めはこんなもんでいいでしょう。新聞を一枚見開くのがポイントですよ、そこらあたりマッチロチロになりますからね、削った石粉で。一回やってみたら二度とやらないという人のほうが多いでしょうからやる前に道具を本格的に揃えるのはやめるべきです。篆刻の道具はピンをみればキリがありません、芸術ってそうゆうモンですからね。肩こりになるタイプの人は篆刻をしようと思うのがそもそも間違っているので改心してください。下書きの段階でえらい肩こりを患うことが予想されますので、手を出すのは危険です。肩こりを患っていない日本人はいないと言ってもいいくらいですから趣味にするもんちゃいますね、篆刻。私は肩こりを患っておるらしいですが「その自覚症状がない」という手遅れの末期患者なので趣味に「篆刻」を入れることが出来ました。選ばれし…者なのです…のっほっほっほ。
あ・スターターセットが整理整頓されすぎていて親しみにくいでしょう?
ちょっとグチャグチャにみましょうね。
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はいこれがその全貌です。ゴミが入っていたので広げたら1~2個ほど少なくなりました、たまには広げてみるもんですな。画像に「足が入っとるがな~っ」て思っているひと、手ぇあぁ~げて~っ♪
入っていて正解ですから、謝って。
「げめんねげめんね~♪」てあやまってぇ。
はーやーくー。
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まずは下準備として印材がいります。これがなければおハナシになりませんからね。中国産の石がやわらかくて彫りやすく安価なのでよいのですが、アタりハズれの差がビックリするほど大きいので目利きが必要です。様々な大きさ・色・形で10個ほど篆刻してみれば掴めると思います。
参考までに「一個だけ篆刻してみよっかな~」という「一回だけチャレンジャー」をお考えの方にはここで私のオススメの石を消去法でお伝えしておきます。

大きさは小か中か大かで言えば小や大でないほうがよいでしょう
色は濃いか薄いかで言えば薄くないほうがよいでしょう
形は人工的に切り揃えられている石と天然のままっぽい石で言えば天然のままは避けましょう
石の質は「なんとなく模様のようなものがあるように見える石」と「なんの変哲もない石」で言えば模様がないにこしたことはありません


一回だけチャレンジャーならば上記の基準で石を選んでください。
5個ほど篆刻すれば大きさと色の濃さは自分の好みにしてもウデでカバー出来るでしょう。
白文・朱文のどちらも納得出来る彫りを会得したなら、天然のままのような形のマーブル状の石なんかでも彫ることの出来るウデだと思います。
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印材の面を平らにするためのサンドペーパーはP1000です。彫っていてフッと吹いても石粉が飛ばなくなってきたら相当彫りが深いですから、使い古しの歯ブラシで掻き出します。出来上がった篆刻を捺しまくっているとそのうち詰まった朱肉が乾いて文字がハッキリと出なくなります。その場合は「ねりけし」を押しつけて掃除をしましょうね。小さな黒いモノは今や売っている所が近所にはなくなったカーボン紙です。こんなに小さいのに「篆刻の下準備の90%」を担っているほどの重要なアイテム。トレーシングペーパーがあると便利ですが、なければないでなんなっと代用できますんでソコは応用力をキかせてください。
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さて、これが重要な作業の最も大事な道具となります。印刀・ボールペン・油性マジック・足。印刀はもちろん彫るために絶対必要なアイテムですが、その「彫る」作業をするのに欠かせないのが「下書き」です。この「下書き」の出来が篆刻の良し悪しを決める!と、独断で言い切ってしまいましょう。「篆刻」のアジや面白味というのは出来上がった後でもなんとかなりますが「彫るか彫らないかを決める線引き」は下書きの転写で決まります。下書きをして彫り始めてしまってからではなんともなりません。図案の段階からすでに下書きは非常に大事なのです。ですからこそガッチリと固定し微々たるブレも許さない気合いで、カーボンを使い面に転写せねばならんのです。どんなに完璧な図案を作ってもカーボンによる転写がブレては元も子もありません。
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そのために必要なのが挟む力に優れた両足とほぼ直角に曲がる親指というアイテムですよ。印台という石を固定するホルダーも市販されておりますが1365円します。足と手を使えばタダです。仕上がりの良さは変わりませんからね、ローコスト・手足首肩のコリ倍増でトライ!
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私の親指がこんなに曲がるのは「金遣いが荒い」のではなく「篆刻の勲章」ですんでお間違いなく。なんせ私の篆刻歴はかれこれ27年ですから。と書くとさも27年も石を彫っていたみたいですが、石を彫っている時間だけ取り出してギュっと固めたらきっと半年もありませんね。27年前に仕方なくやることになった習字がキッカケで落款を作り、そして書を捨て「篆刻」にイきました。親にしてみたら「そっちぢゃねぇっ!」と思ったことと思います。筆を買ってもらいましたが無駄にしてすいません。しかし筆一本の値段で石なら種類いろいろよりどりでこーても10個以上は買えるんで、これでよかったと思っています。

彫る時も両足でホールド。わたくし右利きでございますが写真を撮る関係上、左利きのような仕草になっておりますことをご了承ください。
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このように第一段階を彫り上げるまでは、足の爪が伸びようが水虫をもらおうが両足でしっかりと固定して彫ってますんでね。ゆぅても「篆刻」はなんぼかかっても三日目までで仕上げます。たいがい篆刻をはじめると一気に集中するので、簡単な彫りなら半日程度で出来上がります。

今回は12文字の朱文だったので二日にわけて集中しました。
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朱文というのは印を捺した時に文字が朱くなります。文字の部分を彫り込み他を残すのが「白文」でその逆が「朱文」。文字と輪郭を残してその他の部分を削り取るので、彫る部分がより細かくより多くなります。彫っている時に数々の「ぁあっ!!」という惨事が起きますが、いちいちそんなコトなんて気にせずに続けましょう。その「ぁあっ!!」とイっちゃった部分を「アジ」にすりゃオーケーですんでね。
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アジ、だらけ。

「おぉ~…なんか満足…修正いらんかったわこれでオーケーや、楽しかった~♪」
「まぅさぁ、おばーちゃんになって第二の人生とかに、それやったら?楽しみとして」
「第二の人生で?…ヤだ」
「なんでよぉ?楽しいんやろぉ??」
「ええか?第二の人生の趣味ていうことは定年退職の頃として60か65かやねんな?そうなると老眼もだいぶススんぢゃってるし、集中力も柔軟性も衰えてるわけよ。そんな身体でこんな根を詰めた趣味なんかやりとぉないわい」
第一の人生の趣味としてならええけど、コレを第二の人生にまで持ち越す気はナイで。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-06-28 23:08 | +mender!+ | Comments(0)  

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