どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ

ゆすったら

中学進学にあたりIQテストを受け発達指数を出しその結果しかるべき訓練を受けることになったジナーは、特別支援教育センターでお会いした医師にこう言われた。
「この子は、周囲の人の理解を得るのは難しいやろねぇ」
私はこの医師の言葉にふか~く頷いた。おっさるとーりでやんすよ、ダンナ。
「こんなことが出来るのに、なんでこんなんが出来ひんねや?て、なるやろ?」
「なります」
ホンマに、おっさる、とーーーーーーーーりでありんすよ、ダンナはん。

今後のジナーの教育カリキュラム的な考え方として「苦手なことを克服させる」のではなく「得意なことを伸ばしてゆく」ことにすればよいと言う。出来ない事を出来るようにさせようとそっちにばかり気を取られがちであるが、出来ないことをしようとするには失敗が付きものである。失敗は自信を奪う。自信を失くせばやる気を起こさせるのに時間がかかり、どうでもいいような細かいつまづきまでが苦痛に感じられるのだ。この負の連鎖は、持っている能力そのものをダメにしてしまう。
得意なことをやらせ、まずは自信を持たせて「思いっきりやること」の楽しさを教えるんである。楽しいとやる気も出る。やればやるほど器用になる、器用になればもっと高度なことが出来るようになる、高度なことが出来ればそれは自信になる、得意なことをもっともっと伸ばすことで、目には見えていないが全体的な成長のレベルが引き上げられているのである。それにより、精神的にタフにもなるのだ。そうなると失敗を恐れる気持ちが薄れる。2回目、3回目のチャレンジで出来れば上々と思える心が育つのだ。しかしこの大きな大きなプラスの変化は目に見えない。目に見えない成長を大人たちはカウントしない悪いクセがある。

春休みのジナーの発達相談は、卒業前から「行ってみひん?」と持ちかけていた。急に診てもらうことを持ちかけてうまくいったためしが今までないので、十分な時間を与えて説得した次第だ。最初は乗り気でなかったジナーだが、12才ともなればプライドだって高くなる。テストや訓練の意味も理解でき、受けることのメリットだってわかる。そして何よりジナーには「中学生になったら話すようになりたい」という明確な目標があり、それなりの「やる気」も今回はあったのだ。これをチャンスとみた私は、タイミングよく専門機関の情報を入手し、実は着々と地味に動いていたのである。
神戸まで通うので、朝早めに家を出てファミレスのモーニングをゆ~っくり食べて気分を盛ったりなんかする。気乗りしていなかったジナーも「14時に着けばいいからサ~、朝ごはんを抜いて早めにギャスト行ってお得なモーニング食べてゆ~っくり長居してサ~♪」と提案すると「いいねぇ~♪」とすっかり喰い物にツられていた。ふ…子供よのぉ…。

「ボク、これにしよっかな。」
「へぇっ?!」
「アカンの?」
「いい~や?アカンってことはないけど、こんなにガッツリ食べられるの?これ、ハンバーグもあって卵もあってこれもこれも、しかもごはんでしかもスープとドリンク、あるで?」
「うん、食べられんで?だって朝ごはん、食べてないやん。」
「そりゃ…食べてないけど…まァ…食べられるならそれにしたら?残してもムリやで私、残飯係。」
「大丈夫やで?全部、食べるで?」
「へぇ~…、随分としっかり食べるようになったねぇ?」
「ボクだって、成長してるんやから。いつまでも小さいと思ったら大間違いやで?」
「はぁ~…それはそれは。」

ジナーが注文したガッツリモーニングには、調味料までついてきた。私のごく軽いモーニングには何もつかなかったが、固形物が喉を通り難くて食べるのに時間がかかる。もともと朝の食欲はなく、コーヒー500㏄で起床後3時間はモつ。
出発時間まで余裕があるのでゆっくりと食べていられるが、あまり好きな食べ物ではないスクランブルエッグが喉を通らない。味を、変えてみるか。私は目の前のジナーの付属品である調味料に手を出した。
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「あれ?ジナー、これサ…。どっちかゆってたっけ?」
「ゆってたような気もするなぁ…」
「きーてなかった。ソースって?しょうゆって?」
「いや、ボクも忘れた。あんまりきーてなかった。」
「私が思うに、九州だったらこのメニューでは100%しょうゆが付いてくるんだけど、ここは関西やからなぁ…ウスターソースっていう可能性も高い。私、関西で冷や奴をウスターソースで食べたこと何回かあんねん。すんげぇ、マズいよ?テーブルに置いてるんは九州なら100%しょうゆやねんけど、関西はソースやねん。ほんでしょうゆが必要なメニューにだけしょうゆが付いてくる、っていうシステムやねん。けどしょうゆを付けて持って来るのを関西人はよぉ忘れんねんな?やから疑いもなくテーブルのソースをかけたことが二度三度。キャベツにしょうゆのつもりでソースかけたこともあるけど、キャベツはまだ喰えるで。しかし豆腐は喰えんな、ソースでは。ん~…じゃぁわざわざ付いてきたってことは、しょうゆかな?あ~…でも関西人は卵にソースかけるしなぁ…」
私が、ソースかしょうゆかで迷っているとジナーが言った。
「そうゆう時はな?ゆすったらええねん。」
「ゆするって、これを?」
「ゆすってみ?」
「ゆするったって…こんなにいっぱいいっぱい入ってんねで?」
「んもう…こやってやったらええねん…」
ゆするジナー。2回ほど円を描くようにしてゆすった。
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「ええーっ?!今ので何がわかったの?!ねぇなんでしょうゆ?ホンマにしょうゆ?ソースかもよ?」
「しょうゆやって。食べたらわかるやろ?しょうゆがいいんやろ?かけてみ?しょうゆやから。」
「ヤだよヤだよもしソースだったらなおさら喉を通らへんくなるやんか!」
「しょーゆ、なのっ!」
「その自信はどっから出てんのよっ?!今のでしょうゆだと断言できる理由をゆってよ。」
「まぁ…いろいろみるところはあるんやけどぉ…今のはトロミをみた。」
「トロミ?!ウスターにトロミなんてないよね?ウスターてシャバシャバしたソースぢゃん。」
「まぁ…そうやけど…しょうゆよりかはトロミがあるやん。」
「それって、目で見てわかるトロミとちゃうんちゃん?」
「いや、わかるわかる。かけてみ、ってば。しょうゆやから。」
「んー…」
一番後ろの席から黒板の字が見えない視力のジナーなのに、ゆすった液体のトロミは見えるようだ。
しかも、そのトロミ判定の決め手になる覗き幅はたぶん、これだけ。
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私も、ゆすってみた。
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こんだけじゃ、ムリ。
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私は掌に液体を一滴、慎重に落として舐めた。
ジナーがしょうゆだと力説する黒い液体を。
「あ…しょうゆ、や。」
「な?」
これか…これなのか…ジナーの得意分野。伸ばすか?今日は2回の円を描いてゆすったが、これを強化して、まるでマジシャンが伏せた紙コップに赤いスポンジの玉を滑り込ませるようにしてクイっとゆする。見た目にもかっちょエエ。ジナーはスマートにこれをやるだろう、得意だから。スっと手を伸ばしクイっとゆすって、ジナーは言う。
「ソース。」
本日みましたのは、トロミと沈殿物になっております。
目の前の瓶の黒い液体が、ソースかしょうゆかわからなくなった時に呼んでいただければ幸いです。

クイっ「しょうゆ。」
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クイっ「ソース。」
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当たる確率は高いんだが、需要がねぇなぁ…。
ジナーどうするよ?これ、伸ばす?
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by yoyo4697ru980gw | 2010-04-13 17:39 | +mender!+ | Comments(0)
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