ウイルス・ノロ

「まぅの体調不良の原因、わかったで。」
「なに?」
「ノロウイルス。」
「…へ?」
私の身体はウイルスに侵されているというのか?してそれを第2類医薬品2錠で散らしてるっつーのか?

先日からたぶん私は風邪をひいている。病院に行っていないのではっきりとしたことはわからないが、風邪ひき始めの朝はどうも不調だった。それでもチョナーに持たせる弁当を作らねばならぬので作ったわけであるが、なんとしたことか私は卵の殻をリズムよくコツコツっとやったかとおもたら中身をダイレクトにゴミ箱へ捨てた。
「なぬ…?」
私は自分の両手に大事に大事に優しく握っている真っ二つに割れた殻をしばらく凝視した。そして「とうとうボケたか…」と自覚したんである。卵の中身を捨てて殻を使おうとしている自分。ボウルに殻を入れシャカシャカと撹拌こそまだしてはいないが、この宙に浮いた状態の両手の殻をどうしてくれよう。「手が覚えた感覚」がバカになっている。無意識で出来ていたことが出来ないとなれば、もうこれはボケ以外の何ものでもなかろう。ええっと…長男の名前はなんだっけ…チョナー…二男の名前はジナー…そうだ、長男と二男だからチョナーとジナーに渾名を改名したんだった…あれ?意外に物覚えよろしいぢゃないか。

「社員旅行、ドコにしようか?」
「むーの行きたいトコ行けば?」
「海外はどうも飛行機がなぁ…」
国内か海外か、費用は会社持ちなのだから好きにしたらええやん、とずっと言っているがどうも海外に行くには、むーちんにとって不安が多いようである。海外と決めてからも「一週間もおらへんねでぇ?耐えられるかぁ??」と訊いてくる。「むーが一週間おらへん、ていう経験がないからなぁ…どうとも答えられへんで。」…うん、意外に正常な答えぢゃないか。めまいがするが、なかなかの回答である。
「飛行機がなぁ…落ちるやろぉ…?」
そう不安になるむーちんに、チョナーは答えていた。
「大丈夫やって。ニュースは落ちたことしかやってへんからな?『また落ちた』って思うやろけど、無事に飛んでるほうが多いねんから。」
「うん同感。落ちたことしかニュースでやらへんもんな。飛んだことをもしニュースでやっててみ?『また無事に飛びました』ってしょっちゅうゆぅてんで、しつこいくらいに。ここんとこずっと無事に飛んでる。イヤになるくらい、無事に飛んでると思う。それに、飛行機って一番安全な乗り物らしいで。もし落ちたとしても燃えなかったら無事らしいよ、落ちただけなら全員助かる。燃えるからアカンらしいわ。高い確率で燃えると思うから、燃える前に脱出したらえんちゃう?」
う~ん我ながら、冴えてるね。意外に、正常か?
とくに「ボケ」は進行する気配をみせず、ただめまいと吐き気だけが私の気力を奪っていった。
そして洗濯物を干そうと洗濯機へと移動し、前屈みになって洗濯物をカゴに入れた途端、私はもう立ち上がることさえ出来ないほどのめまいに襲われたのだった。いかん、これはいかんと思い、風邪ひいたみたいだから帰りにお弁当を買ってきて、とむーちんにメールでヘルプを求めると、むーちんはすぐに現金を取りに帰宅した。…財布は…カラか。
私たちが一週間、日本に残されることよりも、むーちんを一週間、海外へ出すことのほうが、よっぽど不安だが。

「今はやってるらしいで?ノロウイルス。」
「ううーん…吐き気とめまいを解熱鎮痛剤で散らしてんねで?そんなんでノロウイルスに効くもんなら、ノロってチョロイな。」
しかもこの薬ってほとんどもうプラシーボやし。
「吐き気なら、ノロウイルスらしいで?」
「ちゃうと思うけど…だって一番なにがつらいって、めまいやねん。吐き気って何か食べようとして前屈みになると『うげー』ってクるだけ。そうしなかったら吐き気はナイねん。でも、めまいはすごいよ。立ったら地面が揺れてんねから。歩く時、こうやで。」
私は不調の朝の千鳥足を再現してみせた。超~ウケた。
「ちょっとっ!ホンマにやってば。笑い事ちゃうでな?アブナイねんて。『あれ?真っ直ぐ歩いてない??』って自分でもわからんくらいヒドいめまいやねんから。」
はっはっはっは~。
…わかってねぇな…ホンマにひどいめまいなんやから。あまりにひどいから早く治したくて4錠の鎮痛剤を飲んだら時空を旅した。
「アンタが体操服でおったんはホヤ~ンと覚えてんねん、ゼッケン見た。ほんでジナーの姿も見て、帰ってきたんやな~、くらいでスコーーーーーンと飛んぢゃったんだよね~。気が付いたらジナーが『今日ボンブーやでっ!』て言って焦ってて意識が還ってキターーーー!!やねん。私、薬品の用法と容量は今後、絶対に守ります。」
ジナーが日課の水汲みに行ってボンブー仲間のギュ~ちゃんに出会い、今日はボンブーやからな~♪と言われ慌てて帰宅。その声で意識が戻った私に「眠っていた」という感覚はなかった。ジナーが帰ってきたんやな~の後ですぐに「今日ボンブーやでっ!」とジナーが焦っているくらい、時間経過部分はスコーンと抜けていた。しかし時間は、確実に過ぎたみたいだ。
麻薬でトリップしちゃうってこんな感じなのかな。「記憶に御座いません」ちゅうようなそうゆう感覚。50錠498円の薬物でトリップって、ずいぶんと安上がりだなオイ。
トリップしちゃった私は容量を守らなかった恩恵を受け、完全にめまいを克服。
「行こうか、ボンブー。」
と口走るほどに回復していた。ボンブーに行くとメールする私に「仮病を使いやがって」とむーちんが怪しむほどの回復ぶり。
しかし私は知っている、症状は散らしているだけなのだと言う事を。だから更に2錠の鎮痛剤を服用してボンブーへと出掛け、散らし続けるために効能が切れる前にまた服用。

「コレってサ、もう私の片頭痛にはキかないんだけど、違う症状だとその威力を発揮してキくんだよね。でもサ、この鎮痛剤が治してるってワケぢゃないのよ。病気を治すような力はナイからね。病気を治してるのは私の自然治癒力なわけ。鎮痛剤で症状を散らしてる間に、私の治癒力を高めるわけよ。吐き気とかめまいとかを感じさせなくして要は『動ける体』をつくってんだよね。動くことで身体の自然治癒力がメキメキと病気を治してんのよ。だから飲み続けてないと意味がないの、動けなくなったら病むだけやから。…そう考えるとさぁ、何がスゴイってこの薬ぢゃなくてサ、人間の自然治癒力って、スゴくね???」
「ん…ぅんん…まぁな…。」
「私の治癒力…ホンマ何より信頼できるわぁ~!!…ところでサ、4錠飲んでトリップしちゃって思い出したんだけど、前にも余計に飲んで大変な目に遭ってんだよね私。そン時にも用法容量を守ろうって思ったことを思い出した。実は2回目なんだよねー。だからサ、今後、私がしんどくて『4錠飲も~』とか言ってんの目撃したら『過去2回トリップしてるで』とか何とかゆーてくれる?…治癒力は信頼できんねけど記憶力のほうがどぅーーーも信用ならん。」
「薬、飲まんかったらええねん。」
この薬のサポートあっての治癒力やないか。
治癒力で全て賄えたらわしゃ病まんぞなもし。
[PR]

by yoyo4697ru980gw | 2010-03-12 22:55 | +YOU WIN!!+ | Comments(0)  

<< 就活、してます、か? 備忘ROCK >>