テレっとワーク ~ラウンド2~

「ここまでのシステムをお聞きになりまして、何か質問などございますか?」
「んーーーーん…」
「こういったシステムをどう思いますでしょうか?どうですかね?」
「正直に言っていいもんです?」
「ええ、正直におっしゃってください。」
「正直、アヤシイなぁという思いが在宅ワーク全体に対してありまして、アヤシイなぁと感じます、今も。今でも。」
「そうですか、では、どういったところがでしょうか?」
「まず、そちらの会社、成り立ってます?仕事を依頼してくる企業から、紹介料とかそうゆうのをもらってるんですか?」
「いいえ、企業から料金をいただいいるということは、ありません。」
「2年後の実際の仕事をする、という時は置いといて考えますね、まず。そちらの、仕事をベースにしたテキストで2年間の実習をしますね?これ、一枚で単価500円となっていて、月3万円、うち17600円がサポート料、12400円が報酬。これは理解しました。」
「はい、ありがとうございます。おっしゃっていただいた通りのシステムです。」
「でもね、これは実際の仕事ではないわけでしょう?言わば、スキルをつけるため・実績を積むための勉強の期間。使用してるテキストは企業から提供された仕事ではないので、この500円は企業が出すわけではない。ということは、そちらの会社が「これ1枚を500円」と計算したお金を出していることになりますよね?」
「そう…ですね。」
「じゃぁ、サポート料の17600円からその500円を賄っているとしましょう。月で3万円ね。足りませんよね?そちらも会社として成り立つためにはどこからか収入を得ないことにはね。でも企業と個人の間で仲介的なことをしていても、どちらからもマージンを取るわけではないんでしょう?だったら、会社を経営するためのお金はどこから?」
「実はですね我々の会社は在宅ワークとは別に、ネット上でのパソコンスクールもやっているんですね。パソコンのスキルアップだけをやられている方もいますが、こちらに通われている方たちの中にも、在宅ワークをされている方はたくさんいるんですよ。」
すっとぼけ口調の庄子クンは、バシっと黒字経営の根拠を示せない。
なんでパコソンのスキルアップだけをするひとがいるの?すんごいトクなシステムで、スクール料金が無料どころか収入まで得られるのに。そう言いたいけれど、それを言ってしまってはココでストップしてしまうではないか、実態調査が。
「へぇ~それでなんですねぇ。うぅ~ん、納得しました。パソコンスクールやって、収入を得てるわけなんですね?」
「そうですよ。」
「やっていけてます?」
「へ?いけてますよ?」
「ふぅ~ん…やってけるもんなんですねぇ…」
「やって、いけるんですよ?」
「いけるんですか~…ほぉー…」
「ええ~いけるんですよ~」
すっとぼけ口調で、いけるってさ。
「ま『いける』って言われたら『いけるのね』としか返しようがないですけどね。会社がそれで続くに越したことはナイですわ。」
あ・やべ。つい出ちゃった。包むオブラートに買い置きがなかったみたい。
「あっはははは~。そうですよね。このシステムで信頼されているからこそ、10年『も』続いた実績があって、企業の方々も依頼をしてくださるのだと思います。」
「あ・10年ですか…」
「そうですよ~。10年、続いてるんですよ。」
そうなんだ、おとぼけ庄子クン。「10年」というスパンが「長い」って感覚なんだ…。「10年」が長いかどうか、それは「何が10年か」によらないか?盆栽職人なら10年ぢゃまだ職人としては駆け出しなんじゃないかな。結婚10年ならとりあえずの一区切りがキたトコって感じだし、水ダケで10年生きたってんなら随分と長いこと生きてはんで、10年寝てたら4年目あたりで火葬されても文句は言えない。会社が続いている、10年。『も』かな?『も』なの?まだまだ10年ですから…てな感覚なん、私だけかな。100年『も』前から続いているうどん屋さんのうどんを食べて、親子二代何十年『も』続いた喫茶店でバイトしたから、感覚おかしいのかな。

「今日さぁ、在宅ワークの説明の電話受けたった…。もぅ…10時くらいにかかってきて12時過ぎまでやで…疲れた…。単にきーてるだけちゃうねんでぇ??こっちからも突っ込んで、時々おにーちゃんを笑わしたりなんかもしてウマいこともっていっての2時間ちょいやねんから…すんげぇ疲れる…明日もあんねん。今度は『スキルアップについて』の説明…今週は忙しいから説明、分割にしてもらった。」
「よぉやるわ。笑わさなアカンの?」
「アカンよ…好印象で次に繋げなアカンねから。今日の説明はこのくらいで、て言うから『わ~もう昼ですやん、お腹すきましたねぇ?そちらペコペコちゃいますか?私はまだペッコペコ程度ですけどねぇ。』ゆぅてサ。次回はスキルアップについての説明を~て言うから『それ何時間くっちゃべりますぅ??』ゆぅて笑ってもらうねん。今日と同じくらいの時間やゆぅからさ、『分割でイけます?火曜と木曜で。』てゆぅたら『説明を「分割で」って言われたのは初めてです』て言うから『初めてなんですか?それはそれはおめでとうございます何事も経験ですよ~。』てな、クス・クス、と笑っていただくねん。大変やねんから…大爆笑を取るわけにもいかんのやし…『はははー…』くらいのトコロで止めるのって、高い技術や思わへん?履歴書の特技の欄に書かれへんかなぁ…『特技:電話勧誘や訪問販売をする人をクス・クスさせる。成功率50%』成功率がまだまだ低いか…」
その成功率って6回のうちの3回を成功させたってコトぢゃナイんだよね。クス・クスしないひとは最後までせんのだよ、つまりゼロ。失敗に次ぐ失敗やからね、ダメージは大きい。
「大変やなぁ…」
「あと2回、こやって大変な経験すんのよ…。…まァ何事も経験やからな。」

「千徒さん、9時半で家事はもう終わってるんですか?」
約束の9時半に電話をかけてきた庄子クンは、そう言った。
「9時には終わってますよ?さっきまでは朝ごはんを食べてました。」
「9時に家事が終わるなんて、早いですよね?」
「早いんですか?」
「早いですよ?私が担当している主婦の方たちは、だいたい10時とか10時半にして、ておっしゃいます。10時より前ってことは無いです。」
「あ・じゃぁ私、手ぇ抜いてますわ。みんな念入りやなぁ…自分が手を抜いていた事実を今、知りましたねぇ。」
「はははー…」
ツカミはオーケーか。
そもそもなにゆえ掴まにゃならん。

ここまでの説明、どうでしょう?
ここまでのシステム、どうでしょう?
ここまでの方法で、どうでしょう?
ここまでのカンジ、どうでしょう?

庄子クンはいちいち確認を取る。納得していない素振りを見せたら、決して次には進まない。納得出来る理由を挙げさせるようだ。そして多少『アヤシイかな~』という疑惑の念が感ぜられても、今まで蓄積させてきた「納得」でどんどんアヤシィ~くなってゆく説明をねじ伏せる気だ。先に進めば進むほどとんでもなく納得できないのだが、2回くらいは「納得」出来る理由を挙げた。3回くらいは「庄子クンが答えてくれそうな」質問も用意した。そしてそれに庄子クンはすっとぼけて答えたが、それは私の納得できる根拠にはならなかった。でも無理して納得した。
収入を得ながらスキルもつけられる、このシステムを使わないテはないですよね。
ということを庄子クンは売りにしているようだが、その時点で完璧にこれは「仕事」でなくて「商売」になっている。「社員割引なら半額で買えるから、買わないテはないよね。」と言われているのと同じだろう。利益が出るから半額でも売る。「社員割引」という「恩恵を受けて」の付加価値を付けて売り捌いているということではなかろうか。「社員だからこそ」の特典を出すなら、会社が損も得もしない「仕入れ値」で売ったらいいじゃないか、3掛くらいで。
庄子クン目線で考えよう。報酬を与えてスキルを積ませても、利益があるのだ。その利益はドコでもない私から出ることになる。「仕事をしている」と信じさせることで出る利益なんだから、ココが頑張りドコロの庄子クン。
私が納得していない口調なのを察し庄子クンは、パソコンスクールに通い同じスキルを積むのにいくらかかると思いますか?という対比作戦に打って出た。
「さぁ?ごっついかかるんでしょうねぇ。」
「約、100万円、かかります。」
「かかるもんですなぁ~。」
「かかるんですよ。ちなみに、私はそうやって100万円をかけた人です。」
「かけましたねぇ~。」
「はい、かけました。」
ホンマに庄子クンが「パソコンスクールに通った人」だったらのハナシね。
「それで、100万円かけてした勉強、活かせてます?」
「ええ。お陰さまでこうゆう仕事をさせていただいてますので。」
「それはそれは。」
「この会社に入ることもできましたし。」
「何よりですな。」
創立当初から入っていたとして、勤続年数10年だね。授業料100万円だからこの会社でスキルを活かす代金の換算が1年で今のトコロ10万かかってる。十分モトは取ったのかな?…ノルマはないんかぁ?…歩合給かぁ?…ちゃんと食べとるかぁ?…おばちゃん、アンタの親になったつもりで考えてみたんやけどなぁ…アンタの職種は「営業」かぁ?ほならオカンなぁ、アンタにゆぅときたいことあんねん、よぉ聞きやぁ?おとーさんが飲んだら新人にゆぅとるで「営業はなぁ、この足で取るもんやっ!」。膝バッシーーーーン叩いてゆぅとんでぇ。電話で取れるのは営業のアポくらいやで。電話だけで営業が1件でも取れるモンならアンタ…おとーさんあのトシで係長なわけなぃやないのぉー…いつまでたっても部下は新人やでぇー…うぅー…オカンもう疲れたわ…風呂入ってええか?あ~アンタっそれはそうと「追いだき」て便利やな?オカンいっつも風呂は最後やんか、何やかやしなアカンから最後やんかいっつも。そやけどアンタあれ便利やで~、オカン助かってんねん。アレ考えたひと誰や思う?ま・名前ゆわれても知らんけど?

「私のように100万円かけてスキルをつけて、ということもしなくてもイイっていうのは、魅力、ですよね?」
「そうゆうことになりますよね。」
「魅力じゃナイですか?」
「魅力、でしょうね。ネットスクールね。でもね、そのシステムにネックがないわけじゃないですよね。デメリットは『通わない』ということです。パソコンスクールに行くということは当然ね、通う事になるでしょう?決まった時間に、決まった場所へ。それってすごく束縛にはなるんですけど、『行かなきゃ』って気持ちには当然なれるわけですよイヤでも。ところが24時間のネットスクール、好きな時に好きなだけ。要は『いかに継続できるか』ということで自分次第なんですよね。ひとはみんな、自分に甘いでしょ?そんな根性があるんだったら私、『在宅ワーク』なんて考えてないと思いません?私は小さい子供がいるわけではないし、時間的にも余裕はあるという状況でしょう?なのに『在宅ワーク』をしようって考えるくらいですから、相当に自分に甘いわけですよ。」
「そのために、私という担当者がいるんですよ。」
「ケツ叩く係?どのくらい叩く?毎日?」
「はははー…いえいえ、毎日は…。ケツ叩くというのは言い方が悪いですけども…『どのくらい進んでますか~?』とか『ちゃんとやってますか~?』という電話は、入れさせていただきますよ?それが私の仕事です。」
あら。庄子クンの仕事は「ケツ叩く係」だったんだ。在宅ワークの仕事を提供することぢゃナイんだ。
「叩くんだねぇ…。でも私ね、ケツをいくら叩かれようと負けないよ?勉強が嫌いだから。叩かれたってメゲない自信ならあんね~ん♪」
「負けない…んですね…。勉強、キライですか…?」
「好きなひとが、いるの???もしかして、いんの??」
「いえ…そうですねぇ…まぁ…勉強は…好きな人はいないんじゃないでしょうか?誰だって嫌いだと思います。」
「だよね?あ~よかった~!私だけが嫌いなのかと思ったぢゃん。」
「嫌いですよ、皆さんね。」
「でしょ?」
けど私、学生時代の12年間「勉強が好きなんやな~」と思えるようなひと、クラスに2人くらいは常にいた。嫌いな人ばっかぢゃ、ナイんでねぇの?私に同意してくれたのは嬉しいけど。
「ま・叩く叩かんは置いといて、説明、次に進んで?」
私は「納得しない」を出したまま、次の説明を促した。どうする、庄子クン?説明、ススメちゃう?ココからは「納得」の蓄積が途絶え「疑い」の蓄積が積もってくことになるけど。どうかな?進むかな??
「…へ?…あ、はい。」
「他の説明があったら先に進んで?」
「あ、はい。では先に進みましょうか。」
いいのかな~庄子クン~本当にいいのかなぁ~。わ~た~し~は~「巻き返し」にかかったんだぞぉ???
私はその後、庄子クンの説明に突っ込み突っ込み、十分に沈黙の時間を作ってから「あ・ごめんごめん、説明、進んで?」「ま、いいや。先に進めてね?」「あ・いいよいいよ待たなくても、進んで?」と促した。沈黙はもちろん「疑っている」という意思表示である。庄子クンの説明はどんどん勢いがなくなり、短くなっていき、説得するための術を失ったので、「分割」にする手筈であったが昼前に全ての説明が完了した。
「これでもう説明は全部、終わり?」
「はい、終わりました。」
「おっ♪早かったね。じゃぁ、この返事ってメールでしたらいいの?」
「あぁ…そうですねぇ。メールで…。担当者庄子宛てのメールで送っていただいたら…」
「じゃぁ、今までの説明をじっくりと把握して、考えてからメールで返事しますね。」
「ええ、よく考えてから返事をくださいね。…一日…くらいでしょうか?」
「無理・無理っ!考える時間って一日しかくれないの?」
「いえいえ、そんなことは…。じっくりと考えてくださいよ?」
「今週、もう予定が詰まってるからじっくり考える時間が取れないのよ。だから来週までには返事をするようにします。」
「あの…だいたいでいいんですが…この日くらいに…という目安を言っていただいてもいいですか?返事がもらえるのはいつくらいでしょうか。」
契約取った数に入れるのは何日シメなのさ?給料と一緒?20日シメの25日払いになってんの?20日までに取れた契約が給料に反映してくるの?目安って、そうゆう目安?今月の給料の計算?それともノルマ達成数の頭数計算として私を足すか足さないかなの?
「んー…そうねぇ…早くて土曜日。遅くても月曜か火曜あたりではメールします。」
土曜日が20日。いぢわるして、ごめん。月末シメの翌月イッピ払いって企業もあるぢゃんね?数になんないことに変わりは無いんだけどさ。
「わかりました。お返事お待ちしております。」
庄子クンはアッサリ手を引いた。あれ…見破られちゃったのかなぁ??庄子クン、世間話…フってこないの??庄子クンからの世間話にはノリノリにノってキたから「気のいいおばちゃん」の印象は与えたと思うのに。庄子クンにしたって、数々の「主婦」を担当している経験からおわかりかとは思うが、「専業主婦」って職業は「会社」というコミュニティからはちょっと違ったところで、独自のネットワークを築いている。名刺交換などを必要としない営業をし、机と椅子を必要としない会議を開いている。今風に言っちゃう?housewive's gossipよ。wellのsideでmeetingね、井戸端会議。社会からちょいと隔絶された環境である我々は、フレッシュな話し相手を見つけるや否やここぞとばかりに放さない。それだけ、日常に変化をつけるのが難しいということだ。上司に何か仕事を任されるという事こそないが、「何も任されていない」ということは「何もかもを任されている」ということと同等なんである。何事もナイように何事もナイように切り抜けようとする時、何かに変化があってはイケナイのだよ。
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by yoyo4697ru980gw | 2010-02-23 14:32 | +in the sky?+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA