盲腸摘出がばい漁

「今日、モーターカー持って帰って来た。」
d0137326_23443551.jpg

「ぅわー…もぅ…今日『もやさないゴミの日』やったのにぃ…持って帰って来るのが一日遅いぢゃんかー…タイミング悪いなぁ…」
「え…ソッコー捨てちゃう系?!」
「違うね。『系』は付かない。ヘイポーがモーターカーを持って帰って来ます・私にみせます・感想を言います・ゴミ箱直行。モーターを使って走る車を作りましょう、とかいう教材のちゃちぃヤツやろ?立体はかさばるから間違いなくバッチリ捨てる。プラスチックは『もやせないゴミ』…今日だったのに。」
「だって…出来上がったのが今日やってんやもん…モーターカーじゃなくて、ロボットなんやけどな?」
「ロボットぉ???何をしてくれんのよ、そのロボットは?」
「サッカーロボ。サッカーする。」
「ち…使えんロボットや…掃除とかしてくれるならまだしもサッカーして遊んでるだけぢゃんか役立たずめ…まだヘイポーのほうが使えるじゃん。」
何日間かをかけてモーターまで内蔵して作り上げて、やれることサッカーかよ。
私なんて十月十日かけて子宮内部でデカくして13時間かけて産み約12年かけて自転車に乗ることを覚えさせたヘイポーには、モーターなんか無しでスーパーまでの水汲みとちょっとした買い物をさせられるぞ。洗濯物の取り込みと風呂掃除は素手でやれるからな、電池も使わず燃費がイイ。最近では卵を白身と黄身に分けることを教えたからますます使い勝手が良くなり、かつ自立まで促している。

「ヘイポーって味噌汁は作れたやんなぁ?コメも炊けるし…ええっと…あとは…卵…割れたよなぁ?」
「割れるけど…料理による。」
「卵の割り方がメニューによって違うなんてきーたことないよ。」
「目玉焼きの時、カラが入ったりするから無理。」
「無理ぢゃない、カラは取ればいい、おいで。」
「えー…なにーぃ…?何すんのーぉ…???無理やってぇー…」
無理なことなどない、無理だと思う自分がいるだけ。…みつを。」
「…それ、みつをの言葉?」
「いいや?私の言葉。みつを…て付きそうな言葉やん?正確には~、アンタが水汲みに行く時に前を通る寺の御言葉…を、パロったヤツ。ステキな御言葉が書いてある掲示板がある寺の前、通るやろ?見たことある??」
「あ~…あるある…あっこ、ここんとこずーーーーっと言葉、変わってないで??」
「あの寺の御言葉更新は不定期やからな。あっこに何年か前に、コレのモトになる御言葉が貼ってあってんやん。なんやったかなぁ…『憎いものなどない、憎いと思う自分がいるだけ。』やったかなぁ…要するに醜い自分が憎しみを生むってコトか??」
「アレと一緒やな?みんないい時はいいんです…でもうまくいかなくなると誰かのせいにしたくなる…
「そーそー、そ・そ。誰しも結局は自分がかわいい。苦境に立たせたくないほど自分がかわいい。苦境ほど自分を成長させてくれるのサ~ちゅうわけで、かる~く苦境に立ってみる?タマゴをー、シロミとキロミに分ける、ハイやってみて、4個ね。」
「キロミって何よ…キミやろ?」
「アンタ…キロミが聞いてたら泣くで。白身には『ロ』を付けるくせに。黄身にも『ロ』くらい付けたれよ。」
「え…だって…シロミは『白』やけどキミは『黄』やんか…」
「つべこべ言うんぢゃねぇ。シロミとキロミに分ける。」
「シロミと…キロミ…」
「そうです。キロミの取り方、2回やって見せるから。4個練習するうちに成功さすんやで?」
「へ?全部で6個も割るん??それとも4個?2個が練習?」
「アンタの練習用は4個。こっちの2個はプリン用やから。こっちは失敗したら困るから私がやる。その失敗しないやり方を見て、アンタが4個で練習するの、わかった?」
「じゃぁ、こっちの4個で失敗したらどうすんの?」
「失敗してもええねん。メニューは全卵使うヤツにするから。」
「カラが入ったら?」
「取ればイイじゃん。」
「キロミが割れたら?」
「どうせ混ぜるメニューやから。」
「じゃぁシロミとキロミに分ける必要ないんちゃん?」
「ないよ?」
「じゃぁなんでわざわざ分けるん?」
「オマエの練習のためぢゃっ!わ~かってねぇなっさてはっ?!全卵を使うメニューで4個の卵を割るの。それを利用してアンタがシロミとキロミに分ける練習をするの。アンタが卵の分別の練習をするためダケに私が卵を提供すると思うか??ん~な無駄なことが出来るほどウチの生活に余裕はないわい。」
「あ~そうゆうことね~♪じゃぁ失敗してもイイってこと??」
「イイってコトよ。プレッシャーゼロってコト。」
「そうゆうことかぁ…わかった~。」
「失敗できるからって手を抜くなよ?全力で取り組んで失敗するのはいいけど、どうせ練習やからっていう取り組み姿勢は許さん。その卵が今日の食材っていうことに変わりはないから。」
d0137326_23462051.jpg

「ぅわ~まぅううぅうう~、キロミが落ちたぁああぁああ~!!」
d0137326_23463673.jpg

「ドコに?」
「テーブルに~~~~~!」
「そのテーブルはキレイやから、上手に拾って戻して。」
「どうやって??」
「それをオマエが考えるんじゃっ!!」
「ええーーーーー?!どうしよう?!どうしよう、まぅ??」
「ヒントいるぅ??」
「いる!」
「キロミを潰さずにボウルに戻す方法はいくらでも、ある。」
「ええーーーーーー…」
「いいこと、教えたろっかぁ??」
「なに?!」
「アンタが思ってるほど、キロミって簡単には割れない。何使ってもいいけど、後のことを考えた合理的な方法でやるのが自分がラクやんな?」
「カラ使って戻す??」
「それも、出来る。やってみ?」
「ええーーー…割れるってー…」
「割れるかどうか、やってみれば?」
「えーーー…無理やってー…」
無理なことなどない、無理だと思う自分がいるだけ。カラのなるべく平たく割れた部分を使うとええで。『すくう』っていうより『乗っける』っていう感覚かな。」
d0137326_23472473.jpg

「くっくっくー…取れた…できた…」
d0137326_23475130.jpg

「初めは失敗するもんやけどなぁ…アンタ…最初にしてはウマいんちゃうか??」
「向いてるんちゃん?!素質、あるんちゃん?!最初でこんなに出来るって♪」
「アンタの場合、最初が遅いねん。それ、チョモは3年で出来てることやから。4年ではもうパンが作れた。それも夜中にね。」
「夜中にやることぢゃないで…」
「確かに。」
これでゆくゆく独り暮らしをした際、なんか甘いものを食べたくなった時には、その技術を使って安い材料費でもって『白身だけシフォンケーキのあっさりカスタードクリーム添え』が作れることだろう。…夜中にね。いいかヘイポー、嗜好品は「創意工夫」が第一だ。金が無くとも質を落とせばなんとなくでも出来上がる覚えておけ。が、睡眠を犠牲にしてまでやる必要は、ない。

「これなぁ…障害物をラクラク乗りこえる!て書いてんねんけど、ラクラク乗りこえる大きさに限度があってな…しかもレベルがチョーーーーー低いから、障害物とかあってもほとんどこっちが気付いてのけなアカンねん…こけちゃうから。」
「めっちゃ気ぃ遣うロボットやなぁ…それってロボットが障害物をラクラク乗りこえてんぢゃないやんけ。こっちが事前に気付いてのけてあげるから、障害物をラクして乗りこえたことになってるダケぢゃん。もぅ…今やロボットの技術って進歩しててな?人間の代わりに受付とか案内とかするロボットまで開発されてるくらいやねんで?アンタのロボットは時代が江戸で止まってんなァ…『からくり』のジャンルやで『ロボット』でイくのはどうかと思うわ。伝統に則って蹴球をするべきやな。」
「捨てるんやろ?これ。じゃぁバラバラにしてみてもいい??」
「是非バラバラにして。ゴミ分別のためにも。」
「これな?先生が組み立てるのが難しいから分解せんほうがええって言っててん。」
「もう二度と組み立てることはないから。」
「ここな?ココはべつに無くても動くねん。ココをはずしてみよっと。」
「無くても動く部品が入ってんねな…わざわざやなぁ…。それせへんかったら完成が一日早かったんちゃうか。そしたらゴミの日に間に合ったのに。」
「どうしても今日捨てたかったみたいやなぁ…まぅ…。」
「…いや…来週でもかまわんけど…今日捨てられたほうがなおよかった。」
「お~…取れた~♪…ええっと…コレ…何やったかなぁ…名前…」
「そんな『無くてもいい』って部品に名前がついとんか。」
「違う、違う。この『無くてもいい』って部分が、人間でゆったら『何』ってゆーのがあんねん。あるやろ?人間の身体にもそうゆう部分が…身体の中に…んー…『大腸』ってあるよな?」
「ある。でも大腸、いるよ。人間に、なくてはならない部品のひとつやろな。惜しいけどな、大腸もいるし、小腸もいる。肝臓もいるぞ、もちろん心臓はいるし。」
「あーーーーーっ!盲腸・モーチョー!!人間でゆったら、コレ、盲腸。べつにいらんやろ?」
「私、もってるけど。ほかすつもりもないし。」
「でも、とくにいらんねんやろ?」
「先生が、その部品はとくにいらんから人間でゆぅたら盲腸みたいなモンやって?」
「うん、そんなことをゆってた。」
「比喩としてゆったんやろけど、ニュアンスが違ってる。盲腸は『とくにいらん』じゃなくて『なくても支障はない』やから。あって越したことはないんやで?いらんもんが人間の身体に最初から備わってるわけないやろ?盲腸は盲腸で盲腸の役割ってのがあってついとんねん。臓器の予備みたいなモンやな。予備って普段は必要ないやろ?盲腸はいらんわけじゃなくて、ただ出番が無いってだけ。いつか盲腸も出番が来んねん、それがいつかは知らんけど。」
「いるんや…盲腸って…」
「いらんのやったら、最初からつけんでええやろ。みんなについてるからにはそれなりの理由があってやで。私は、いる。」
「うん、ボクもいる。」
でも、何かひとつ臓器を捨てろって言われたら…やっぱ盲腸かな…。盲腸の出番って…そんな出番だな。

「コレふたつ、磁石やで?ひとつは、まぅにあげる。」
「いらんけど。」
「いらんのっ?!」
「何でいるって思うのよ。そないに意外な反応やったか?」
「いやぁ…何かに使うかなぁ…と思って。」
「何かに使う…何かに使う…ゆぅてとっとくモンって結局『何にも使わない』まま、ずっとあんねん。」
「そうやなぁ…でも磁石やで?」
「何で磁石だけ特別扱いやねん。最先端の物でもないで。」
「だって、ほら。がばいばぁちゃんがサ、引きずっててお金になるって。」
ちょいと前に『かばいばぁちゃん』の本を読んでいたヘイポーであるが、その中のエピソードとしてかばいばぁちゃんが歩く時に腰からぶらさげた紐の先端に磁石をつけておき鉄くずを集め、それを換金して収入の足しとしていた『歩く時にもちょい稼ぎ』の方法が紹介されていた。
「それには時代背景ってのがあってな?今も磁石を引きずって鉄くずがくっついてくるのは変わらないけど、それを換金して足しにするような物資の乏しさのほうがなくなってんねん。今やもう、物が豊富にありすぎる。」
鉄くずを集めるという行動は、もはや『月一のドブさらい』みたいな掃除の一環やな。
「でも、楽しそうやで?」
「あぁ、楽しいよ?砂鉄集めは。やってみる?U型の磁石あるやろ?あれに紐つけて砂場をグルグル歩いたら『ワシャっ!』ってカンジでトゲトゲした砂鉄がくっついてくんねん。」
「あーーーーそうそう。砂鉄って磁石くつけると、ピンピンなるなぁ…。でも、この磁石、ちっちゃくない?」
サッカーロボの盲腸に入っている磁石は、ダースっていう名前のチョコレートぱくっと1個分の形と大きさ。
「ちっちゃいけど、イけんことはないで?」
「どうやって紐、つけるん?」
「アンタ、ぁあ~たしを甘く見んぢゃないよっ。しょーもない事に使う知恵なら、山ほど持ってんだから。コイル、あるんちゃう?このセット。コイルで巻くわ。ポイントはバッテンに巻くことね、引きずってもこれならヘーキ。」
「まぅ…まぅってスゴイなぁ…」
「この遊びのために他の材料使ってたら無駄だからね。この『捨てるセット』の中の材料だけで完成させる。これ何?」
「これはー、タイヤのゴムの部分。」
「んじゃこれ、ジョイント部分に使おうか。」
「まぅ…ほんとに無駄がないなぁ…」
「うん…この無駄のない技術を生活力としてよい方向に使いたいと常々思ってるんだけど、思いつくことにどうも無駄が多いみたい。」
「アカンなぁ…」
「うん…『イイこと思いついた~♪』てよく思いつくんやけどな…『どうでも“イイこと”』なんや残念なことに。」
「まぅは本当にかわいそうやなぁ…」
「そう思うんやったらまぅに駐車場を買ってあげて。」
「駐車場が欲しいん?」
「もらったら今、一番うれしいもの、駐車場。」
「今はムリやけど、大人になって、30くらいになって余裕が出来たら買ってあげようか?」
「アンタ…30で余裕が出来る予定?」
「うん、初任給のうちは自分の生活でせいいっぱいやから。」
小学校卒業したら早速働かないと計算が合わねぇ。結婚はドコで入れてんだ?30で余裕ぶっこいてるってコトは、結婚は入ってないのか?
「今年なぁ…私、35歳。生活…カツカツに見えてない?35くらいで、こんなもんやけど?30で余裕が出来ることはないと思うねんけど。」
「それは…まぅは結婚が早くて失敗してるやろ?ボクは普通くらいに結婚するから。」
「うーん…成功してるかて言われたら否やけど…失敗してるて決めるにはまだ早いで。普通くらいって何歳くらいのコト?」
「ん~っと~…26歳か27歳くらい。」
「あ、じゃぁ30くらいが一番ヒーヒーゆぅてると思う。精神的にも金銭的にも一番、余裕を失くすと思う。」
「そうかなぁ…」
「今までこの生活を…どう見てきてたんやアンタ?現実の厳しさに直面してたろうに…隠し切れんほどの現状を見せてきたのに…ちょっとは隠したらよかったんかなぁ…正直すぎたんか… …できたっ!これ引きずって公園で砂鉄集めたらええわ。これで砂鉄を集める遊びの名前は『がばい漁』やな。ドコに行くの~?て訊かれたら、がばい漁に行くって答えて。」
「うん、わかった。集めた砂鉄はどうするん?」
「捨てる。」
「捨てるん?!」
「次にがばい漁に行く前に捨てる。」
「捨てるものを拾いに行くん?捨ててからまた拾いに行くの?捨てるのに?めっちゃ無駄やん。」
「あんなぁ…がばい漁の醍醐味は『集めてる』って行動を楽しむことやねん。集めたモノに執着せんことやな。楽しそうやろ?しかも磁石についた砂鉄なんてどんだけ取り難いか。それを一所懸命チマチマ取って、またくっつけに歩くねん。そしてまたチマチマ取るの。アンタこんな無駄なこと今までやったこと、あるぅう??」
「それは…ナイなぁ…」
「アンタ大人になってから、こんなこと、すると思う?」
「せんやろ…」
「な?今しか、ないよ??」
「やんなぁ?!行こうっ!!砂鉄集めっ!!」
「がばい漁な。」
「あぁ…がばい漁な…」
d0137326_2350961.jpg

今日もヘイポーは徒歩でゆく。
d0137326_2351285.jpg

「ベンチコート着て行ったほうがええで。冷え込むらしいで。」
「あいよー」
d0137326_23512351.jpg
d0137326_23515060.jpg

前回のがばい漁は大漁・大漁。
「行く前にチマチマ落としてな?」
「あいよー」
d0137326_23521751.jpg

「んじゃ、行ってくるわ…」
d0137326_23523687.jpg

無駄なコトに意欲的なヘイポー。
d0137326_23525213.jpg

無駄なことなどない、無駄だと思う自分がいるだけ
[PR]
by yoyo4697ru980gw | 2010-02-17 00:05 | +朝臣寺+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA