シマウタ

二週間ほど下っ端仕事でくすぶっていた私が、「塗り職人」から「掃除のおばちゃん」に転職し「ノミ職人」へと返り咲いたかとおもたら「ヤスリ職人」に就任。野球部の階段ダッシュよりも速いこの出世劇の重責に堪えかねてか、どうも体調を崩してしまった。こうみえてとっても責任感が強いんだわ…押しつぶされそうになっているのだわこの重要な任務に…と、買い物のついでに薬局へ足を運んだ。
「今の症状はどんな感じかしら?ん?」
と白衣の堕天使が訊く。随分と自由な意思をお持ちの薬剤師は、喉と鼻が痛いからカイゲンを買いに来たと言う私に「副鼻腔までキてるわ」と「カイゲンならこれがいいのよ」とニューカイゲンをおススメしたが、それよりもダンゼン「葛根湯」を推した。ちなみに「ビャクエのダテンシ」は「オネェな薬剤師」。どっからどうみても男性である。最近はオネェマンが増えているのだろうか、私の行く先々、訪問販売の人の中にまで「オネェなスタッフ」が非常に多い。そしてオネェマンスタッフの共通点は「いやん♪」てカンジなのと「同じ説明を何度も繰り返す」ということである。それから言葉の選び方が、独特だ。
「おネツを、ん、測られたと思うけど、ネツがこもるタイプだわアナタ。ワタシが見る感じでは、アチラさんもそうだと思う。」
アチラさん、とは私のすぐ横にいるヘイポーのことであるらしい。
「インフルエンザは潜伏期間が二日、あるの。」
とビャクエちゃんがピースサインを私に向ける。ハイ、目で見る「二日」はピース・ピース。
「これからおネツが上がってきた時にはインフルエンザよ。我慢しないで病院に行ってね。」
心なしか既に熱がアがってキたような気がするがこれはインフルエンザの症状では、ないな。さっきまでは喉と副鼻腔が痛かったわけであるが、今現在は「目の前の状況」がイタい。私は体調が優れないしあまり我慢をしたくはなかったので、ビャクエちゃんのススめる「葛根湯」を買う事にした。
「これだと5歳以上から飲めるの。だからコチラさんも大丈夫よ。」
コチラさん…ヘイポーのこと。
「錠剤ですね?この錠剤の大きさはどんなもんでしょう?デカいですか?」
「ん~~~。そうねぇ…マーブルチョコレートよりは小さいわ。」
当たり前ぢゃっ!そんなデッカイ錠剤、見たことねぇよ。マーブルチョコレート、噛んで食べるぢゃんっ!マーブルチョコレート、ちょこれいとぢゃんっ!なんで例えにマーブルチョコレートもってクるかなぁ…まぁ…ビャクエちゃんに似合ってはいるけどさぁ…。キライぢゃない、うん、キライじゃないよ。でも今はちょっと調子が悪くメンタル的にも万全ではないので、ノり切れない…ごめんよビャクエちゃん、ソチラは悪くないの。
「もし大きいと思ったら割ってもらっても構わないわ。」
めんどくせぇよっ!マーブルチョコレートよりかてぇぞ、錠剤。薬を服用しようかってくらい病んでる時に、そんなしちめんどくせぇことしたくねぇよ…飲むよ…どんだけデカくても4錠まとめて飲んでやるよ…割ったら溶けるんがはえぇだろ…錠剤には錠剤にしてる意味があんだろぉ…じんわり溶けろよ…そして効けよ…。ごめんよビャクエちゃん、ソチラは悪くないの。コチラが症状を用法容量を守って緩和したいダケなの、しかも今すぐに。
「おネツが上がったら無理しないで病院に行ってね♪」
ムリ~今がムリ~。今の体調でビャクエちゃんに付き合うのがムリ~。
「ぁいー…」
「大人は4錠、しっかり飲んでもらっても120錠入ってるから。これだとコチラもイけるからね。」
コチラ…ヘイポーのこと。
「ぁいー…」
「身体を温めるからいいのよ「葛根湯」が。これにはマオウが入っているの。」
「ぁいー…」
マオウが入っているの…。魔王の手先か白衣の堕天使…。入れるなマオウ、抜け魔王。
「喉を温めてね、冷やすといけないわ。」
「…ぁいー…」
「二日間はしっかり飲んでね…」
「あぃー…」
「おネツが上がっ…」
「ぁいー…」
支払いを済ませた後も私たちに、店から完全に出るまでいつまでもいつまでも声を掛け続けるビャクエちゃん。…何がアナタをそうさせるの…。

「…あのひと…ヘンぢゃなかった…?」
店を出た時にヘイポーは、ビャクエちゃんのオネェっぷりを指摘した。
「…うん。オネェやったなぁ…思いっきり。」
「うん・うん、そうだった。ボクのこと、なんで『アチラ』とか『コチラ』とか言うんやろ?『お子さん』て言ったらええのに。」
「うん・うん、言えてる。なんで頑なに『コチラ』やってんやろ?」
「う~ん…失礼になると思ってんのかな?『お子さん』ってゆったら。」
「失礼?失礼か??『お子さん』やで???」
それはどっちに対して「失礼」になるんだ?ヘイポーに対してか?私に対してか?ヘイポーはどう見たって「お子さん」の年齢だし、私もどう見たって「お子さん」を産んでそうな年齢である。私が母でヘイポーが子。どっちに対しても、何の失礼もない。「失礼」を加味して『アチラ』や『コチラ』にする意図がわからんなぁ。アチラ・コチラ呼ばわりするほうが失礼ぢゃん。それならもう立場的な絡みから「コチラのお客さん」「アチラのお客さん」にしたほうがなんぼか印象イイと思うし。

ビャクエちゃんのススメる葛根湯を、ビャクエちゃんオススメのピース・ピース二日間きっかり飲んだ甲斐も無く、結果はダウン。ビャクエちゃんが危惧したインフルエンザの潜伏期間ピース・ピースの二日間後、私の熱は平熱のまま割れんばかりの頭痛でダウン。…魔王が…やって来た・やって来た・やって来たっ・ぞ~♪
幸い単なる風邪であった私は丸一日の休息で回復。6粒しかないピノの最後の1個を食べるまでに力尽きて眠ったらしい私は翌朝、枕元で液体になり更にそれが乾燥した状態になっているピノを発見した。
「ぅお~…ピノ…1個残ってたんや…無残な姿になってる…」
「もぅ…くれたらよかったのに。食べへんのんやったら。」
「食べたらよかったのに。気付いたんやったら。」
「気付いてないから。」
ヘイポーと私はよく「ピノを半分ずっこせぇへん?」という食べ方をするが、3個・3個の頭があるのでよもや1個が余っているなどという状況を予測する能力は、ドチラにもないようだ。
「あぁ…あの喉が痛かった日に風呂に入ったんが失敗やったわ…。あの時あったかくして眠ってれば悪化しひんかったんかも。寒い中で掃除すんのわかっててんから、事前に手を打ってたらよかったなぁ。あの一日が風邪を呼んだんやろぉなぁ…。」

♪風邪を呼び~嵐がきた~♪

ヘイポーが口ずさむ。むむむ。アげられるわ。イけるわハナモゲスト。だから今は活動したくねぇーってばよぉ…。病み上がりで声まで枯れてんのに、もぅ…。

元歌の歌詞を若かりし頃のTHE BOOM『島唄~ウチナーグチ・ヴァージョン~』から「そう聴こえたように」抜粋。

でぇ~ごぬ花が咲き かじぇ~を呼び あらすぃが来た

でぇ~ごが咲き乱れ かじぇ~を呼び あらすぃが来た
くり返すくぬあわり すぃま渡る波ぬぐぅとぅ
ウージぬ森であなたとぉ出会い
ウージぬ下で千代にさよならぁ
島唄ぐゎ かでに乗り 鳥とともりぃ 海を渡れ
島唄ぐゎ かでに乗り 届けてたぼれ わんぐぬぅなだぐゎ


それではハナモゲストが「そう感じたように」アレンジ。
「何を」そう感じたかは「ビャクエちゃんを」でも「風邪のひき始めを」でもどちらでも可。
沖縄の方言の一部は、なにかと騒がしかったのが最近やっとこさ落ち着いた我が故郷宮崎県の方言と、意味も使い方も同じ言葉があったりよく似た言い回しを使う。近いからかな。せっかくなんでその共通方言を使いつつ作詞。ウチナーグチではないから沖縄弁オンリーには出来ないので、ウチナーグチくらいわかんないモロ弁を入れ込んでいくゾ。
ただ、方言のみでは3分の1ほどかな~何を言っているのかわからないかもしれないので「わりかし標準語翻訳」を付けることにしよう。

『シマッタ…~ウチんげらへんさるき・ヴァージョン~』

でぇ~じゃ~ど店んしが 風邪ひっかぶいのよこん来た

でぇ~じゃ~がかんげもねぇ 風邪を呼ぶはぬしゃやんど
くびっていぬ葛根湯 行くが医者よだきぃかい
うぜらしきかす てげやじしなす
だからよぐらし いらんこっがよ
あだも~したん やっせんなぁ まこてのさん もへてにゃわんど~ 
よこた~ら よかあんべ せっぺしゃぶっが いっきまっちょけよ


わりかし標準語翻訳による歌詞の意味

『しまった…~我が家近辺をブラブラする・ヴァージョン~』

大変だよ~!お店のひとが、風邪をひきかけている私の傍に来た!
大変なことじゃないか…どうしよう…風邪を呼んでるのはあなたじゃないですか
葛根湯を包んで帰りますから メンドーだな…病院にも行きますから
ひつこく説明されるのももう限界ですよコノヤロー
なんて可哀想な私…余計なことを…
あれまぁ…どうしようもねぇなぁ…ほんと困った…あぁやってらんねぇ~
休んだら具合よくなりますから十分にしゃべりましょうよ すぐだから待っててね

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by yoyo4697ru980gw | 2009-11-23 00:06 | +ハナモゲスト ゲリライブ+ | Comments(0)

どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ


by MA