どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ

相思相愛かしら

今とっても気になる存在の女性がいる。手話サークル『もみじの会』のナッシーさん。もちろん私が勝手に「ナッシー」という渾名をつけて呼んでいるにすぎない。世界の人々がネス湖のネッシーに心惹かれたように、私はナッシーさんに心惹かれるのだ。ネッシーの魅力が一言で語りつくせないのと同じように、ナッシーさんの「魅力的なひと」要素は一言では語りつくせない。だって、お会いしたのはたった3回。最初に会ったのは『もみじの会』の見学に行った時である。
私はまだ、ナッシーさんのことをあんまり知らないのである。しかしたった三度、お会いしただけなのにナッシーさんは十分に魅力的なのである。

ナッシーさんはとにかく「カンジのよいひと」である。カンジのよいひとならたくさん出会ってきたが、今までのカンジのよさとはまた別のカンジのよさなのだ。「品がある」というのともちょっと違う。でも品性はとても感じる。「品がある」外見のひとにはなんとなく声が掛けにくいもんであるが、私は『もみじの会』のことでわからないことを誰かに訊こうかな~と思えば間違いなくナッシーさんを選ぶだろう。『もみじの会』の雰囲気は全体的におっとりゆったりとした感じで、どちらかといえばチャカチャカとして落ち着きのない私などは浮いてしまいそうな気がするが、それを程よいカンジにしてくれるような気さくさをお持ちなのがナッシーさんである。「気さく」というのは油断をすると「ガサツ」になってしまいがちであるが、ナッシーさんの「気さく」はかなり丁寧である。物静かに話しをされるけれど聞き取れないということがない。控えめな感じなのに存在感はしっかりとある。なんとも不思議な「カンジのよさ」なのだ。

見学に行った日、私はナッシーさんの横に座った。
「こんにちは。まぁ着ているものがステキ、手作り?」
「はい、そうです。」
「手芸が得意なんですか?」
「いいえいいえ、好きなだけです。」
先生が、新しいひとが見学に見えたので基本をやりましょう、と手話での自己紹介から始まった。みなさん、私がわかるようにと声に出しながら手話をやってくださる。ナッシーさんは、先生が高校の教師をしておられ定年前に聞こえなくなられたのだと教えてくれた。
「だから教えるのもすごく上手いの。」
そして私の住まいが先生と近いことを、手話で先生に通訳してくれた。私は手話で童謡を歌うことから始まり、それが邦楽になり洋楽になり詩になり、と完全に「遊び」の延長線上で手話に興味を持ってきたので、「会話」として使う「手話」のセンテンスは歌や詩とは違うなぁ、と感じた。きっかけはヘイポーがしゃべらないんなら手話はどうだろう、といったトコロから入ったが、なんせ「学ぶ」ということよりも「楽しむ」ことを優先してしまう性格で、遊びの域を出ないのだ。
「では千徒さん、自己紹介をどうぞ。」
と先生にフられ、サポートしてもらいながらなんとか終え、基本の指文字などをやると、先生のサインランゲージが両手の指先を自分に向け胸の位置で交互に上下。
「ハイ、ではこれから『楽しい』お楽しみの時間です。」
??みなさんが持参のカップを出され、いろいろなおやつを広げる。
「千徒さんは、コーヒーと紅茶とどっち?」
「あ…はい…では、コーヒーでお願いします。」
ナッシーさんは紙コップを出され、私の飲み物を用意してくだすった。そして自分の荷物の中からおやつを出しながら、小声でこう言うのだ。
「みんな、家にあるから持ち寄ってるだけで、用意しているわけではないからね。絶対に持って来なきゃってことは考えなくていいのよ。」
この言葉に、私はナッシーさんのお人柄を垣間見た。はじめてのことばかりを体験する人間が考えることを、ものすごくよくわかっているひとなのだ。周りの状況を把握していないのに覚えることはたんまりあるもんだから、わけがわからんくなってどーでもええことを深く気にかけ、ああでもねぇこうでもねぇと考えすぎてしまうことが新人にはよくある。時間が経ち自分の中に余裕が生まれた時になって「なんであんなどっちゃでもええことを真剣に考えとったんや…アホくさ~」と気付くのであるが、どーでもええことを考えすぎていることに気付く余裕がその時にはない。そこで一言、先輩が「で、いろいろ教えてきたけど、今は考えなくてもええってのがコレとコレとコレ、てことをまず覚えて。」と言ってくれたら、どんなにかラクだったことだろう。
ナッシーさんが「考えなくていいのよ」と言ってくれなければ、私はきっと一番最後の「おやつを持ち寄るシステム」だけが印象に残り、「持って行ったおやつを食べられないひとがいたらどうしよう」とか「たくさん持って行ったらまるで遠足ぢゃないか…」とか考えたに違いないのだ。どーでもええのに、そんなこと。

ナッシーさんのようなひとを「大人の女性」と言うのだなぁ…と私は思った。それで、我が子たちにその魅力を語っている。
「本当にねぇ~『こうゆう大人の女性になりたいわぁ』て思うようなひとやねん。ただカンジがええってだけじゃない何かがあんのよぉ。それをこれから探っていこうおもて、入会してきたサ。」
老女が醸し出す「大人の女性」の感じとはまた違う雰囲気のナッシーさん。落ち着き感が私より30倍はあるのに、トシは15歳上。決してトシを訊き出したわけではなく、ナッシーさんが『もみじの会』の会計担当で代表の連絡先としてケータイ情報を互いに赤外線で交換したのである。赤外線で交換するとプロフィールがそのままコピーされることになる。私は画像まで登録してあるので、私がメールを送ったり電話を掛けたりすると好むと好まざるとに関わらず我が子2人と私の「うっしっし画像」が受着信中ずっと表示されることになるんである。私は2日目に『もみじの会』に入会したがうっかり会費を払い忘れてしまい、すぐにその旨をナッシーさんにメールした。来週でもよいのでしょうか、と問うとナッシーさんは、来週でかまわないと返信してくれたことに加え、『もみじの会』の出席率が最近はよくなくて少なかったから私がガッカリしたんじゃないかと思ってい、しかし私たちは千徒さんの入会を大歓迎で、「とても嬉しいです」と分厚いハートが添えられていた。なんてかいらしいひとなんだ…と思いつつ、私は「来週きっちり耳ぃそろえてお払い致します!」とフザけて返信。通常はいくらなんでも「このひとフザけたひとやな」という私への認識が浸透するまではフザけてはいないメッセージをこさえ常識人を装うのだが、ナッシーさんにはなんとな~く許されるような気がしたので、のっけからフザけてみた次第だった。翌週「メールありがとうね、お子さんの写真が送られて来てて、あんなん出来るんや~おもて。」と言うナッシーさんに、画像登録をしていますから赤外線でやりとりをした人には漏れなく画像がイヤでも表示されることになっとります、という残念なお知らせ。するとナッシーさんは「私…プロフィールは娘が全部やったのよ…そのまま送ったからもぅ…生年月日まで…恥ずかしい…。千徒さんにバレちゃったわ。」と小さく笑っていた。むむむ、と帰宅後に早速チェック。それでトシ情報を得たんである。15歳も年上なのにさりげなく50%、語尾を敬語になさる。私はもちろん100%敬語であるが、ナッシーさんのさりげない5割敬語が、私のフル敬語を遠慮なくスムーズに馴れ馴れしくさせ、会話をカタくしない効果を生み出している。

そして何より「さりげない」というその「さりげなさ」のタイミングがすんごく「カンジがいい」のである。
見学の時、みなさんに持ち寄りおやつを分けていただき、私はもらった紙コップのコーヒーを飲んでその空の紙コップの中におやつのゴミを入れていた。さて楽しい時間もお開きとなり長テーブルを折りたたみ、座布団を片づけるという段になると、私は見よう見真似で片付けを手伝い始めた。我が家の折りたたみテーブルと違って「ここが折りたたむ時に押すレバーですよ~」というハッキリとしたレバーが見えなかったので力任せに折ろうとしたのだが、どうも折れない。「あのぉ…この足はどうやって折りますか?」とナッシーさんに訊くと、折りたたみの説明をしつつナッシーさんは、私のゴミをさりげなく片付けてくれるのである、こういう風に。
「それね、足の向こうっかわにね、押す所があるけどわかる?ちょっと出てる所、あるやろ?…ゴミは私、もらって捨てとくわね。」
「あぁ、すいませんありがとうございます…えっと…コレですか?コレですね?」
「そうそう、それそれ~。押しながら曲げてみて。」
「はい、曲がりました曲がりました。」
「はい、ありがとう。テーブルはあそこにお願いします。」
「はい。」
なんて「さりげない」んだろう。これが雑談中に「ゴミは私が持って帰るわ」なんて言われたら「いえいえいえいえ、自分で持って帰ります」というやりとりになる。ランチに繰り出した時のおばちゃんらがレジで「私が払うわ」「アカンアカンここは私が。」「いいからいいから」「なにゆぅてんのん私が払うて~」のアノ状態。気心の知れた相手なら「じゃぁごちそうになるわね、今度は私が。」で落ち着くからよいが、そうでない場合は「レジ前問答」は時間をかけるほどに切り替えが難しい。
あぁ…こうゆう風にさりげなくサラリと気をつかい、それでいて相手に「気をつかわせてしまったわ…」という負担をかけないような方法があったなんて。ステキなひとだなぁナッシーさん。

2回目、初めての正式な出席の日、2時間の学習を私はほぼ正座していのだが、後片付けで自分の座布団をのいて横の余っていた座布団と重ねたところで、よつんばいになった姿勢のまま足の付け根からつま先までビンっビンにシビレて動けなくなってしまった。おまけに膝をついた瞬間に右足がツってしまっていたんである。
「あ…ぁ…あ…足…足が…すいません…シビ…シビレ…い…イタイ…ぉおー…ぁはぁー…ぅうー…」
わぁーずっと正座してたぁん??と小学校のPTAで何回か顔をお見かけしたことのあるナセーさんが声を掛けてくれるも、もう返事をするだけで激痛が走りそうである。
「ぁはー…」
力無く呟いてよつんばいのまま固まる私。
「いいよ、いいよ、ゆっくりしてて。私たち片付けるから、ゆっくりね。大丈夫?」
私の座っていた座布団を1コ飛ばして右に座っていたナッシーさんが、私の分まで座布団を片付けてくれようとするのだが、いかんせん、よかれと思って重ねた座布団二枚、よつんばいの私の手と曲げた膝の間に。ぁはー…ダメ…動けません…体勢を崩したら私は生きて帰れるのか…。体勢が変えられないのを察してかナッシーさんが言う。
「引き抜くよ?イイ?取るよ?」
「ぁ…ひゃぃ…おねぎゃぃひまふ…」
「じゃ…抜きますっ!」
スッ。
「大丈夫?」
「だぃぞぉぶ…でず…」
「急がなくていいからね?ゆっくりしてて。」
意を決し足を投げ出して座った姿勢に変え、右足をソロソロとなでてドコがツっているのかを見極める。ぁはー…イタイ…もうドコかわかんねぇ…。それを見た先生が、帰り支度をしながら「どうしたん?」ナセーさんが通訳「足がシビレでしまったみたい。」ここかな?どれどれ??なんて、ユーモアたっぷりの先生は私の足を触りに近づいて来る。
「ひぇええぇえぇえぇええぇええっっっ!!!!!ぃや~~~~っ!!やーめーてーくーだーさーいーーーーーっ!!」
それをナッシーさんが脚色して通訳。
「セクハラや~~~~って、言われちゃいましたよ?」
私の緊張と失態は、あっという間に、笑いに変わった。

あぁ…引越し準備に追われていて11月は、まるまる『もみじの会』を欠席。ナッシーさんに会えないのは寂しい…。しかしその気持ちをひた隠しにして、リフォームや引っ越しなどで行けそうにないので欠席させてください、とナッシーさんにメールすると、しばらく来られないのは寂しいですが来月会えるの楽しみにしていますね♪と嬉しいお返事。いやぁ~~~~ん大胆、ナッシーさん♪
…自分の気持ちを抑えてましたが…ナッシーさんの100倍くらい私のほうが寂しいっスよぉおぉおぉおおっ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-11-05 23:48 | +開楽館+ | Comments(0)
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