女子の法則

ミズオにメール。

まだ学校おわらへんの?

学年閉鎖やでー

すぐさま電話。

「ドコおるん?」
『家~』
「手伝って欲しいことあんねん。」
『何ぃ?』
「今、新しい家おんねん。ひとりで木を切ってんねん。来てよ。」
も~遅い~ひとりで寂しいやんか~はよ来てよ~、と急かして急かしてミズオを呼び出す。ミズオ、住所だけでは辿り着けず。
『まぅちゃんちってドコなん?』
「ドコにおんのよ?」
『え~公園の横。』
「行き過ぎや。表まで出るから戻って。」
『え~…ココらへんぢゃナイん…?』
「おっ!みっけた。おお~い、ココ・ココ。」
顔を見ながら生電話。

「まぅちゃ~~~ん、ブログみた~。行きたかったよ流星群、なんで誘ってくれへんのよ。」
「誘うつもりはあってんで。あの日、誘おうって言っててんから。一悶着あったんや、チョモはずっと誘おうって言い張って。アイツなら来るからって言ってさ。でも、アンタが私を裏切って女子の法則を適用したからな。それまでに一回でもウチに来れば許しとったけど、こーへんかったから、腹立ってたしさ、誘うのやめた。」
「女子の法則なんて使ってナイよ!」
「使った。アンタあの電話した日、あの日よ、ウチに来て入らずにそのまま帰ったやろ?女子の法則やんけ、何も言わんと帰りやがって。」
問題の日の夕方、ヘイポーが手伝いの水汲みに出掛ける際、ちょっと薄暗い時間だったので私は台所に立ってその窓から「ゆっくりでええから気をつけて行きや~」とヘイポーを見送った。それと入れ違いに、制服姿のミズオが自転車に乗ってウチに向かっているのが見えたが、すぐに入ってくると思い私は声をかけなかったのだ。しかし、ミズオはいつまでも入ってこない。おかしいなぁとは感じたが、てっきりヘイポーの後ろ姿を見て追って行ったのだと思っていた。そして二人で帰ってくるもんだと。しかし、ヘイポーはひとりで帰って来た。「あれ?ミズオは??」と訊くと、会っていないし見ていないと言う。ヘイポーが出て行ってすぐにミズオが見えたけど入って来ないからてっきり二人で一緒に…。
「アイツ…女子の法則やで。さっきミズオからの不在着信あったから折り返して『何やった?』ってきーたら『まぅちゃんのイヤホンあるやん?あれドコで買った?』とかぬかしよったわ。ヘンやとおもてん、そんなん電話して今すぐに確認するようなコトちゃうやん。探り入れたんやで、ミズオが来たことに私が気付いてるかどうかの確認。アイツ…私にまで女子の法則を使ってきやがった…そんな浅い付き合いぢゃないのに…絶対…許さん…とっちめてやる。」
「ミズオ、なんか用事を思い出したんちゃう?それか、まぅの見間違いとか。」
「あの体型は絶対ミズオやから。アーリなら見間違うかもしらんで?会ってない時間が長いからや。でもミズオはナイな。それになんか用事を思い出したにしても玄関の前まで来てんねんから『寄るつもりで来たけど、用事思い出したから帰るわ~』くらい言うべきやろっ。アレは女子の法則や…。私のキライな女子の法則を出したんや…。ヒドイよな?」
「う~ん…ヒドイなぁ…。」
「とっちめてやる。」
その、とっちめてやる目的でミズオ、呼び出し。新しい家の、木の処分の手伝い。

「…てゆぅてな?私、あの時、台所に立ってたから。」
「知ってる。でも気付いてないなら…て思ってな…帰った。ごめん。」
「どーせ友達からメールでも入ってそっちに行ったんやで、てゆぅててん。」
「いやいや、メールは来てない。ホンマ。でもあの日、来たんやけどミズのテンションが低くてなぁ…やっぱりなぁ…とおもて帰ってん。」
「じゃぁ、ガラガラって開けて『来たけど、なんか気分ぢゃないからやっぱ帰るわ。』て正直に言えよっ!言えへん関係とちゃうやろっ!女子の法則やないかっ!」
その日、ミズオは学年閉鎖になった。その連絡はメールで知らされることになっていたのだが、メールがないので友達に「学校あるよな?」という確認を取り、あるんやろうなぁ…ということで1時間かけ市外の学校まで行くと授業が始まらず結局、学年閉鎖。
「近くのコたちはええやろけどさぁ…ミズなんて1時間もかけて学校行ってるのにな…行ってから学年閉鎖でまた1時間かけて帰ってさぁ…なんでわかってたら自宅待機とかにしてくれへんねやろーて思って…」
そんなテンションだったので、テンションが常に高い我が家に溶け込む気分ではなかったらしい。…じゃぁ、そう言えよ正直に。てトコが私の立腹の原因である。ミズオが私の誘いを数々断ったことを「断りやがって」とはゆぅてきた。しかし私は断った理由が正直だったのでまた次もそのまた次も誘ったんぢゃないのか。電話を折り返した時に「さっきまぅちゃんちに行ったんやけど~なんかやっぱ帰りたくなって~」と言えないような薄っぺらい付き合いをしてきたつもりは、私にはない。だから私は正直に自分の気持ちをミズオに言う。アンタに女子の法則を使わすような私なのだとしたら、ミズオは私の悪いトコロをちゃんと私に言ってくれないと。それで私たちの付き合いが切れるようなモンではないと、私は信じているのに。

ちょっと前に観た中国かどっかのドラマの中に、こんなセリフが出てきた。

一番タチが悪いのは、何も知らずにひとの恋路を邪魔するヤツなの。悪気がないから責められない。本人は責められるようなことはやってないと思ってる。だからタチが悪いのよ。

悪いことをやっている自覚があってひとの恋路を邪魔していた女が吐いたセリフなもんだから、“おめぇのやってたコトもそうは変わらねぇぞ!”とは思ったが考え方としては、同感である。
「恋路を」と限定した場合は同感ぢゃないけど。恋愛に関してならどんだけ悪質に邪魔をされようが、うまくいくのかいかないのかは当事者たち次第なので「そうだ・そうだ」と思う気持ちはないが、この「恋路を邪魔する」を「いぢめる」に置き換えた時、私は「その通りっ!」と叫ばずにはいられない。

一番タチが悪いのは、何も知らずにひとをいぢめるヤツなの。悪気がないから責められない。本人は責められるようなことはやってないと思ってる。だからタチが悪いのよ。

いぢめてるヤツに「いぢめている」という自覚がないのだ。「からかい合ってる」「フザけ合ってる」と思っている。しかし実は自分が一方的に「からかって」一方的に「フザけてる」としたら、どうだろう?相手のほうは、からかい合ってる気も、フザけ合ってる気も、ない。しかしそれを言ったり態度に表したりはせず、「からかい合ってるフリ」「フザけ合ってるフリ」を続ける。もちろんそれをなんの疑いも無く「からかい合ってる」と思っているほうは、いぢめているなんて感覚はない。…あぁ…自分でキーボード打ってて、耳と指先が痛いわ…私、絶交状を突き付けられたことが二度三度…。
フリをしているほうは、「からかい合ってる」中での言葉に傷つき「フザけ合ってる」中での接し方が心の負担となっているのだ。かといって、悪気があってやっていることではないってことはわかるので、責めるべき「誰」がいるわけではない。それでも一緒にいるとブルー。だから仲間として中にいるのはどうもイヤ。「そのノリが楽しめない」という気持ちである。

こういう場合、私たちの世代では「絶交状」なるものを交付した。紙に書かれている場合もあれば直接「関わりたくない」と言われることもあるのでわかりやすい。しかし平成の昨今ではこの「絶交状」というものが廃れたようである。
「なぁ…まぅつぁ~ん…ちょっと人生相談を…」
「おたくらは私をいくつやおもてんねや?わしゃ人生の相談に乗るほど生きちゃおらんぞ。」
「あー…まー…意見として、意見として。」
一時期、我が家が「女子のたまり場」になっていた時期がある。いつの時代もそうであるが、男子よりは女子のほうが精神的成熟が早い。人間関係のイザコザを抱えているのも圧倒的に女子である。その人間関係の中でウチに集うのはナニの因果か「我慢しているほう」「言い出せずにいるほう」に偏る。あぁそうさ、あたしゃ我慢し続けられずに言い出しちゃって孤立するタイプさ…神様ってイヂワルね。相手側の気持ちってのを知る機会をくれるんだね…トホホ。

彼女たちは友達の「どーも合わない」と思っている箇所に対して「そりゃぁちょっと合わねぇなぁ…別の人とどーぞ。」と本人に言わずにズルズルと親友関係を保ち、時にツルむのが苦痛になっている様子である。
「アンタのそうゆうトコロがイヤや、て、言えば?」
「えー…だってぇ…イヤってぇ…」
「実際、イヤなわけやろ?」
「うん…」
「じゃぁ、言えば?」
「そんなん…言えるわけないし…」
「じゃぁグチらんと我慢せぇよ。」
「えーーー…」
「なんやねんなっ」
「だって向こうは…親友やって思ってるみたいやから…」
「あんなぁ…ホンマに親友やったらな?『アンタのココがイヤや』ゆぅたくらいで縁が切れるコトはないねん。こうゆう内容の話し合いができんような友達はその程度の友達やろ。これくらいのことで切れる縁やったら、早めに切っといたほうがえんちゃう?」
「だってぇ…」
だってじゃねぇよっ。人生相談なんつって他人に相談してる段階ではもう自分の心は決まっとんねん。自分が取るべき行動に対する賛成意見の「あと一押し」が欲しいだけやねん。自分の思うよぉに、したらええがな。
「私ねぇ、数々の友達と縁が切れてきたけど、どんなに自分の汚いトコを見せても縁が切れないってひとが、ひとりいるよ。たったひとりやで。でもそのひとりが、どんだけ私を支えてきてくれたことか。」
「うーん…それはわかるんやけど…」
「わかるんやったら、ハッキリ言うことやね。アンタが変わらんかったら何も変わらんで。」
「えー…なんかそれとなく…それとなくは言ってみてんけど…わかってくれてないっていうか…伝わってないっていうか…」
「…一生やっとれ。」
孤立するかもっていう覚悟をしてバシっと言うからこそ意義があんねやないか。まァ…実際、バシっと言ってしまった時にはしばらく孤立することは避けられないんだけどネ。

これを私は「女子の法則」と呼んでいて、それを最近の「女子」の中に多く見る。言いたいことを言いたいようにバシっと言わない。言うとしたら、遠まわしに。あぁ~マックスめんどくせぇ~!女子の私が言うのもナンだが、女子ってめんどくせぇ~!!わかるけど、わかるけどめんどくせぇ~…女子にはどうしてグループみたいなモンがあるのだろう…ほんでなんでそのグループからハジかれることがいけないことなんだろうか…永遠の謎やね。一緒にトイレに行こうという誘いを断ったというダケでシカトこかれる、というようなジョーダンのような制度が女子界には確かに存在するんである。めんど~。私はどうもこの制度では「和を乱す」タイプでずっときている。さびしがり屋サンだけども、やっぱ行きたくない時にトイレには行きたくないし、カラオケって気分じゃナイときにカラオケには行きたくない。でもそれを正直に「行きたくない」と言うことは女子界(とくに女子学生界)ではタブーである。「行きたくない」理由が「行きたくない気分」ではいけない。

ミズオの女子の法則の発作が起きたのがちょっと前の出来事である。
「ミズオ最近よくウチ来るやん。」
「ミズオは今な、女子の法則中やからな。」
「女子の法則、ちゃうしなっ!」
「じゃぁアンタさ?アーリが今『あそぼ~』って誘って来たら正直に言うか??どうせ『今日は用事がある』とかの理由にすんねやろ?」
状況を知らないチョモに、私が説明。
「ミズオ今な?誰とも遊びたくない気分らしいねん。それで家に居るかまぅちゃんちか~て選択やねん。やから今はアーリからでも誘われたくはないねんて。ほんじゃぁさ、もしアーリが今さ誘って来たらやで?そのまま正直に言えばイイぢゃん?『今、誰とも遊びたくない気分やねん、やから悪いけどー。』とかさ?そうゆう自分の気持ちを正直に言えるんが友達や思わへん?でもさ、そやってゆったらさ、アーリの性格上さ『なにそれ~(怒)あっそ、じゃぁええわ(怒)』てなるやん?それを知ってるから自分の気持ちを言わん、てことやろ?思いっきり『女子の法則』やんけ、なぁ??」
ウン、ウン。チョモは大きく頷いた。チョモもまた『女子の法則』の被害者なのである。とある女子からメールで「嫌いな人とかいる?」と訊かれ、答えたくなかったチョモは話題を変えた。彼女はチョモのアドレスを本人から訊かずにチョモのアドレスを知っている人から訊き出した。チョモに何も確認せずに勝手に教えてしまったキューにはイエローカードを出しておいた。
それからも彼女からは『女子の法則』的な「遠まわしな訊き方」のメールが届き、いくらか経ってまたも「嫌いな人とか、いないやんなぁ?」とのメールが届いたので、私はこの女子に対し「不愉快だ」とチョモに訴えた。「携帯は親との共有」であることは、アドレスを教えた相手にはちゃんと伝えるようにチョモに言ってあり、メール内容はチェックするので秘密にしたい内容なら直接会って話すように、とも言っている。
「チョモ、この子はそれを訊いてどうしたいわけ?嫌いな人がいるかどうかを訊かれた相手がどんな気持ちになるか、ていうのを考えていないとしか思えへんわ、私。もしチョモに嫌いな人がいたとしようや、返事するのに嫌いな人のことを考えなきゃいけないわけやんか。好きな人のことなら考えたいけど、嫌いな人のことなんて考えたくないやろ誰だって。どうしてそんな事を訊くの?どうして嫌いな人がいるかを知りたがるの?チョモの何を知りたいの?何か知りたいことがあるとしてもメールじゃなくて本人に会って訊けよ、て私は思う。毎日、学校に行ってんねから。接点は無いけど仲良くなりたい、ていう気持ちやからキューにアドレス訊いてメールもしてくるんやと思うねん。それは嬉しいことやで?でも話題がナイならナイなりの会話の礼義ってあるやんか。チョモに嫌いな人がおったとしても、嫌いな人がおるかどうかなんて訊くべきぢゃないし、アンタも答えるようなことちゃう。黙って嫌っとけ。アンタ、これどうにかして。この質問はもう目にしたくない。とっても不愉快です、二度とイヤ。」
女子の法則を目にし耳にすると、私はとっても不愉快である。心が狭いんだろうか。私だって女子の法則を使わないわけではない、他の理由を持ってきて断ることだってある。しかし女子の法則を使った時の後味はすこぶる悪い。だから印象が悪くなろうが結局は断んねんから正直に断っていきたい。どのみち「自分の後味」か「相手への印象」かの違いなダケで悪いモンは悪いねから。

ちゅうわけで、私たちの関係に『女子の法則』は適用しないことを希望する。
私たちは本音でイこうぜ、ミズオ。
11月2日、木の処分のラストスパートあるで。
ビバ!学級閉鎖!!
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-31 01:28 | +ミルニング+ | Comments(0)  

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