どうでもよいことを考えはじめたらキリがおへん どうでもえぇのについつい考えてまう どなたサンもその状態が「ミルニング」どすぇ

不運を呼ぶマント

「よしっ。明日からはマントやな。」
「さっ。今日からマントやな。」
マントに大喜びのヘイポーは前日の晩からマントにかなりの熱を上げていた。数年前、編み物をする私にヘイポーはマントを編んで欲しいと言って、私はそれをサボりながらやっているのを責められたので心を入れ替え一気に編み上げたが、ヘイポーには「マント」のイメージがあったらしい。それは私が思うに「ハリー・ポッター」ライクなマントだったのだと思う。出来上がりが「可愛らしいポンチョ」になっているメイドインマミーのヤツは「マント」でなかったようだ。90%私に対して紳士的であるヘイポーに何故にマントマントゆぅとったくせに着ぃひんのやと、い~っても~♪いつも返事はお~な~じ~♪
「そこまで寒くないから。」
紳士的である。ハッキリ言えよ「イメージと違う」って。

セールで買った既製品の「マント」はカジュアルなパーカーポンチョであるがレディスサイズであるので、ヘイポーが着るとイイ感じにマント然としている。長すぎず短すぎないその丈の具合も気に入ったのだろう、試着をしたヘイポーは鏡の前に立ち「コレ、いいねぇ。」と言ってカメハメ波を一発お見舞いした。しかし、ヘイポーの繰り出すカメハメ波は自動ドアしか開けることが出来ないレベルなので、姿見はビクともしなかった。マントを羽織った途端、魔法を使おうとするその素振りに私は、このマントがヘイポーのイメージと合致したのだということを察した。ヘイポーはマントが欲しい理由を「敵と戦うため」だと言っていた。魔法を操り魔法学校で戦うハリー・ポッターか…たぶんそうゆうマントに可愛らしさはいらなかったのだ。まァ…ニットだからねぇ…シャープさよりラブリーが勝つ素材ではあるなァ…。2990円で魔法が使えるようになるなら安いぢゃないか。…鍛えろ、魔法力。

「今日、そのマント着て行ったらみんなが『これマントなんちゃ~ん?』とかゆぅて集まってくるかもよ?その時は、魔法を出してやっつけちゃえば?カメハメ波を出さんとアカンようになんで、出しておいでぇな。ノリのいいひとなら、やられてくれるよ。再起不能やで、なんせカメハメ波やから。」
そう言って送り出したが、帰宅したヘイポーにマントの評判を訊くと、こう答えた。
「いいや?ひとりも気付いているひと、いなかった。」
まさに魔法の力が発揮されている。その魔法は『必殺・隠れ蓑』…忍者寄りだな。かなり魔法力に磨きをおかけになったようだ。

「今日さぁ…最悪な事にさぁ…」
夕食のロールキャベツを食卓に運ぶため台所に来たヘイポーが告白。
「給食の時に先生がさぁ…僕の腕にスープこぼしちゃってん。ほんと、最悪。しかも、もうひとりのひともこぼしてさぁ…。そのスープってたまごスープやってんけど、今でも袖からたまごの匂いがする…。」
「帰って来た時に着替えたらよかったのに。」
「まぁ…乾いてるからもうイイんやけどな…。マント着て行った今日に限ってこんな最悪な事が起こって…縁起でもない。」
…魔法力か…これも?普段の学校生活で寡黙なヘイポーの周りは静かすぎるほどなのに…今日に限って賑やかね。
「マントからも少したまごの匂いがするねんな…イヤやわ…」
これも魔法力か?温泉浴マント。う~ん癒される…洗えよ。
「洗うトコ出したら?洗うから。」
「いや…明日も着て行くから…。」
不運を呼ぶマントでも、お気に入り。

二日目、学校から帰宅したヘイポーは嬉しそうにこう言った。
「今日な?『それマントやな?』ってみんなが気付いてん。」
「お~。『魔法も使えるで』って出してみた?カメハメ波?」
「出さない。」
「ソコは出しとかないと。」
「あんな?実は、昨日マントに気づいてたひとがひとりおってん。誰やと思う?」
「誰って…。ヘイポーのクラスメイトは交流がないからほとんど名前を知らんやんか…それって私が『誰』って言えるひとぉ??今年クラスがはぢめて一緒ってひとの名前はわからへんで??」
「あ~…名前は知らないと思うけどー…でも違う感じでわかると思うで、まぅ。今やったらとくにわかるかな。」
「ぁあ!テンサイやな?」
「そうやね~ん。やっぱりさすが天才って感じやろ??みんながな『マントやんか~』って言ってたらな?テンサイが『昨日も着とったで。』ってゆぅてん。知ってたみたい。やっぱり天才やろ??」
学校で話しをしないがヘイポーは、学校での出来ごとは私に家で話す。最近ではクラスで『天才』と呼ばれているテンサイの話題でもちきり。勉強もスポーツも出来て物知りなのでみんなから『天才』と呼ばれているそうだ。テンサイの天才エピソードを私に語っているくらいなので、テンサイに興味津々のようである。だからといって学校でテンサイに話しかけテンサイ情報を入手しているのかといえばそうでなく、テンサイが誰かと話している内容にこっそりと聞き耳を立て、盗みをはたらいているのだ。「テンサイってナニナニやねん」「テンサイってコレコレやねんで」とテンサイの素晴らしさを語るヘイポーに、わかっていても質問する。
「…て、ゆぅことを、テンサイと、話したの?ヘイポーが?したの?会話?」
「ん~…テンサイって…ナニナニらしいねん…コレコレ…みたいやで?」
「ほら。『ナニナニらしいで~』『コレコレみたいやで~』全部コソっと盗み聞きした情報やろ?さも自分でテンサイに訊き出したみたいに話しやがったなぁ?…話せよ、そんなに興味があんなら。」
「ん~…ボク…言葉がなぁ…」
ちょっと発音が悪くて通じにくいが、家では話すぢゃん。ミズオとも話すし、ウチに来たチョモの友達とだって話すぢゃん。公園で話してる時にクラスメイトに出会っても話し続けてるぢゃん。なぜ学校に入った途端、黙るんだ??授業の中でなら声を出すのに。国語で本を読めと言われれば読み、スピーチ原稿を読めと言われれば読み、発表をしろと言われれば発表をする。時間はちょっとかかるが以前のように「待っても待っても言わない」ということはなく、こなせているようだという報告は担任の先生から聞いている。しっかし6年間、頑なに私語を慎んだねぇ…。「おしゃべり」だけをカットとするというそのヘイポーの基準は何なんだろう。クラスメイトのおしゃべりに聞き耳は立てるのに。

「テンサイがみんなにマントのことゆっちゃって、マントが知れ渡ってしまってん…困ったことに。」
ヘイポーがマントを着ているとテンサイが言いふらしたことで、「ホンマにマントやんか~」とチャチャ入れに来るヤツ、続出。穏やかな学校生活を切望しているヘイポーにとって、『マントやな~っ!ポン・ポンっ』みたいなコミュニケーションはとっても不運。「魔女みたい…て。」失敬だな、気分はハリー・ポッターぢゃい。出すのはカメハメ波。
「オープンスクールの日そのテンサイとやらを見てみよっと。当てるから言わないでね。」
「うん、わかると思う、見ただけで。」
「見ただけで?顔も天才なん?」
「うん、天才。」
すごい天才がいたもんだな。天才の顔してるテンサイ。眼鏡をかけてるんだろうか。

体育の授業を一時間みて、テンサイを選ぶ。勉強もスポーツも出来るっつったって、勉強が出来るのは参観ごときでは探れない。高飛びの練習をしている2組の面々から、顔が天才のスポーツマンをピックアップ。二名、該当。授業が終わって教室へ戻るヘイポーに探りを入れる。
「テンサイってさ、背ぇ高いやろ?」
「高いって…ひとりしかいないやんか…」
「一番ぢゃないよ。小さいか大きいかで分けたら、大きいほうやんな?」
「あ~…そうそうそう、そうやな。」
ん、一歩近づいたな。

しかし正解は第一の男でも第二の男でもなく、眼中に無い男であった。
「え…あのコ…?今、はぢめて見た。」
本名が全くわからないテンサイの、勉強の出来もスポーツの出来も何一つ私は探れなかった。そして今やもう、天才って顔をしているテンサイの顔も、すでに忘れてしまったほどだ。
忘れさせることにかけても天才だぜ、テンサイ。
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by yoyo4697ru980gw | 2009-10-28 22:42 | +開楽館+ | Comments(2)
Commented by ポバヤシ at 2009-10-29 15:33 x
マントでカメハメ波出してるヘイポーも天才やないつか来るぜ天災。
Commented by MA at 2009-10-29 21:48 x
でもカメハメ波で開いた自動ドアは勝手に閉まるで。そっちが天才やな。
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